俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月31日(金)

2018-08-31 11:10:07 | 日記
★白萩の奥なる門の半開き  正子
白萩に、その家に住まわれる人の清楚な暮らしぶりが思われます。半開きには住人の動きが見えるようです。(黒谷光子)

○今日の俳句
萩咲くを乱して山に供花を切る/黒谷光子
仏様へお花をお供えするのも作者のお勤め。山に花を取りにでかけることもある。心ならずも美しく咲いている萩の姿をみだすこともある。萩の花を含めて季節の花を用意される暮らしがゆかしい。(高橋正子)

●年のせいか、暑さのせいか、気がかりなことのせいか、ことが全く捗らない。


◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)・「キツネノカミソリ」(横浜四季の森公園)

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8月30日(木)

2018-08-30 10:21:03 | 日記

★雲が来て風のそよげる花芙蓉 正子
たおやかな芙蓉の花が風にやさしくそよぐ姿が、やわらかな雲の流れくる背景によく調和し、秋の涼しさを明るく静かに感じさせてくれます。(小西 宏)

○今日の俳句
海近くトンボ集える墓参り/小西 宏
それぞれの家の墓地は、山裾にあったり、市街地を眺める丘にあったりする。宏さんの墓参は海の近くのお墓。見晴らしのよい墓地には、トンボが集い爽やかである。(高橋正子)syl

●「俳句添削教室」用の掲示板style21の使用料を支払う。1年分。


○薮蘭(やぶらん)

[薮蘭/鎌倉・宝戒寺]             [薮蘭/ネットより]

★藪蘭は大樹の下にのびのびと/高橋信之
★藪蘭や涼しくなると思うころ/高橋正子

薮蘭(やぶらん、学名:Liriope muscari)は、スズラン亜科(Nolinoideae)ヤブラン属(Liriope)のる多年草。Liriope(リリオーペ)は、ギリシャ神話の女神の名前に由来。 東アジアに分布する。開花期は夏から秋。花は紫色の小さいもので、穂状に咲く。葉は細長く、先は垂れる。日陰に生える。日本庭園の木々の根元などにアクセントとして植えられることが多い。葉が斑入り(ふいり)のものもある。実(タネ)は黒い丸形。別名は「山菅」(やますげ)。ちなみに、万葉集で「山菅」として歌われたのは竜の髭(りゅうのひげ)のこと。万葉集では薮蘭は登場しないようだ。10月26日の誕生花。花言葉は「謙遜」。


◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)・「キツネノカミソリ」(横浜四季の森公園)



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8月29日(水)

2018-08-29 09:33:23 | 日記
★剥く梨にわが顔映りいたるかも  正子

○今日の俳句
箱の荷の泥付き芋は地方紙に/祝恵子
届いた箱の荷を開けると、地方紙にくるまれた畑から掘り起こしたばかりの泥つきの芋が入っている。地方の便りも、合わせて届き、懐かしい思いだ。(高橋正子)

●福田病院へ、信之先生の付き添い。昨日のCT検査の画像を病院に渡す。医者の心配した癌ではなかった。
肺にはそれまでの病気の履歴がみな残るそうだ。投薬で、1週間様子をみるとのこと。

2日続けて病院の付き添いの病院疲れ。家事、いろいろ滞る。

○芙蓉


 雲が来て風のそよげる花芙蓉 正子

 秋めいてきた。きのう、色づき始めたむらさきしきぶの向こうにピンクの芙蓉が咲いているのは知っていた。今朝、それを写しにゆくと、頭をタオルで包んだ男の人がカメラを覗いている。その傍に草取りをしている女の人がいて、「おはようございます。花を撮らせてください。」と頼んで芙蓉を撮らせてもらった。
ご夫婦で趣味が写真のようだ。朝八時過ぎでまだ陰っているので、芙蓉を撮るとフラッシュが焚かれた。奥さんが、「今フラッシュが焚かれましたよ。」という。そのあと、ご指南があった。花を撮るときは、フラッシュは焚かないほうがいい。近くで撮りすぎるとピンぼけになる。オートをはずしなさい。カメラを覗いているご主人は、ちょっとカメラを見せてごらん、と。しかし、カメラもいろいろでよくわからんなあ、と。この芙蓉の花がいいですよと、奥さんが指す。言われるとおりにその花を撮って家で落ち着いて見てみると、はっきりとして、幾分情緒に欠けているように思うが、写真家好みになっている。家の錆びたトタンの壁までくっきりと写っている。芙蓉はそんなところにも似合う。
 松山の郊外に一時住んでいたときは、玄関に芙蓉があり、花に隠れて水道があった。そこでは、盥で洗濯をしたが、花の傍で水をいっぱい使って洗濯をすると、気分もさわやかだった。

◇生活する花たち「桔梗・落花生の花・青栗」(横浜市緑区北八朔)

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8月28日(火)

2018-08-28 10:23:55 | 日記
★朝顔の紺一輪を水に挿し  正子
朝、切り取られた紺の朝顔をすぐに水に挿された。朝顔の紺色の一輪で有るからこその涼やかさと清楚さが美しく浮かび上がって参ります。活けられているお部屋全体まで清々しさを感じます。(佃 康水)

○今日の俳句
潮の香の港にたてば銀河濃し/佃 康水
漁港を詠んで、句材が整っています。潮の香がする夜の港は、港の明かりも家々の明かりも落されて、銀河の限りない星がはっきりと見えます。無窮の空の銀河なのです。(高橋正子)

●午後、予約していたCT検査のため、関東労災病院へ信之先生の付き添いで出かける。元住吉駅から徒歩7分ほどだが、残暑が厳しい。病院では簡単な問診のあとCT検査。検査は10分もかからなかった。画像をもらうため、50分ほど待つ。ドトールが病院のホールにあり、珈琲とホットドッグで昼食。若い男の子が親の付き添いで来ているのが2,3人いて目についた。昔なら、男の子には頼めなかっただろう。

病院の帰り、日吉の東急で買い物。信之先生は久しぶりの東急で、目に入るものをいろいろ買った。賀茂鶴のゴールドと八海山の小瓶も買う。賀茂鶴のゴールドが美味しいので、また買うとのこと。

○葛の花
 クズは、マメ科のつる性の多年草。根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。万葉の昔から秋の七草の一つに数えられる。漢字は葛を当てる。葉は3出複葉、小葉は草質で幅広く、とても大きい。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。地面を這うつるは他のものに巻きついて10メートル以上にも伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている。根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチにも達する。花は8~9月の秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせる。花後に剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実を結ぶ。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。和名は、かつて大和国(現:奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。温帯および暖帯に分布し、北海道~九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布している。
 クズは、荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。雑草としては、これほどやっかいなものはない。蔓性で草地を這い回り、あちこちで根を下ろす。地上部の蔓を刈り取っても、地下に栄養を蓄えた太い根が残り、すぐに蔓が再生するので、駆除するのはほとんど不可能に近い。世界の侵略的外来種ワースト100選定種の一つである。他方で、その蔓は有用であった。かつての農村では、田畑周辺の薮に育つクズのつるを作業に用いた。そのため、クズは定期的に切り取られ、それほど繁茂しなかった。しかし、刈り取りを行わない場合、クズの生長はすさまじいものがあり、ちょっとした低木林ならば、その上を覆い尽くす。木から新しい枝が上に伸びると、それに巻き付いてねじ曲げてしまうこともある。そのため、人工林に於いては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。クズは根茎により増殖するため根絶やしにすることが困難である。
 北アメリカでは1876年にフィラデルフィアの独立百年祭博覧会の際に日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのがきっかけとして、東屋やポーチの飾りとして使われるようになった。さらに緑化・土壌流失防止用として政府によって推奨され、20世紀前半は持てはやされたが、原産地の中国や日本以上に北アメリカの南部は生育に適していたためか、あるいは天敵の欠如から想像以上の繁茂・拡散をとげた。そのため有害植物及びに侵略的外来種として指定されたが、駆除ははかどっていない。現在ではクズの成育する面積は3万km2と推定されている。近年ではアメリカ南部の象徴的存在にまでなっている。クズの英語名は日本語からkudzu(「クズー」あるいは「カァズー」と発音される)である。

 葛の葉は、初夏をすぎるころから生い茂る。大きな木を覆いつくし、山を行くバスの窓からは、山肌の崖に垂れ下がる。至るところに茂っているが、花は、と思って見ても花が見つからないことが多い。花がつくものには、たくさん葛の花が咲き、地面に紫の花が落ちこぼれて、道の埃を冠っていることもある。八月二十八日、中山の四季の森公園に出かけた。朝のうちは、公園は新涼の風が吹き抜け、水引草、萩、ヤブランな
どが咲き始めていた。コスモス畑には、準備中の立て札が立っている。四季の森公園の北口から入り、紅葉谷を南口へと抜け、公園を出て、中山中学校へ通日広い道路を下った。この道は街中と違って、野の風情があって好きな道だ。葛の蕾を見つける。花は一週間ぐらい先かと下ると、花盛りの葛に出会った。花房も長く、野生の力を発揮している。芳香がする。写真に撮って歩き始めたが、引き返して句美子へのお土産と、私が匂いを忘れないようにするために一花摘んだ。葛の反対側のガードレールには、芒が穂を開いている。また少し下ると、酔芙蓉がわずかにピンクに変わり始めていた。丘の家に庭におみなえしがある。見上げて、そらの白雲を入れて写真を撮った。葛が咲けば、おみなえしも、芒も、酔芙蓉も咲くのである。

★葛の葉の吹きしづまりて葛の花 子規
★むづかしき禅門でれば葛の花 虚子
★葛の花が落ち出して土掻く箒持つ 碧梧桐
★山桑をきりきり纏きて葛咲けり 風生
★車窓ふと暗きは葛の花垂るる 風生
★葛の花見て深吉野もしのばゆれ 石鼎
★花葛の谿より走る筧かな 久女
★這ひかかる温泉けむり濃さや葛の花 久女
★葛の花こぼれて石にとどまれり 青邨
★奥つ瀬のこだまかよふや葛の花 秋櫻子
★朝霧浄土夕霧浄土葛咲ける 秋櫻子
★わが行けば露とびかかる葛の花 多佳子
★花葛の濃きむらさきも簾をへだつ 多佳子
★いちりんの花葛影を見失ふ 鷹女
★白露にないがしろなり葛の花 青畝
★葛の花流人時忠ただ哀れ 誓子
★今落ちしばかりの葛は赤きかな 立子
★細道は鬼より伝受葛の花 静塔
★葛咲や嬬恋村字いくつ 波郷
★葛咲や父母は見ずて征果てむ 波郷

★葛咲けり一つの花のその奥にも/高橋正子  
   久万・三坂峠
★わさわさと葛の垂れいる峠越え/高橋正子
 
◇生活する花たち「百合・女郎花・睡蓮」(横浜・都筑中央公園)
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8月27日(月)

2018-08-27 07:13:07 | 日記

★りんりんと虫音に力のありて闇  正子
残暑厳しい中にも夜に入ると、虫の音が聞こえ、確かな秋を感じるころです。あの小さな身体であれだけ響く音色を出す、「力のありて闇」に共感いたします。 (多田有花)

○今日の俳句
秋茄子の不ぞろいなるも強靭に/多田有花
真夏の暑さが去り、朝夕が涼しくなってくると、茄子が生き生きとして美味しい実をつけるが、皮が傷んだようなのも、曲ったのも様々。「不ぞろいなるも強靭」なのである。(高橋正子)

過去
●元家族がお昼に来る。Nゲージの鉄道模型を持って帰る。元が小学生の時のものだから、20数年経っている。元希はおばあさん、つまり私が大きな口を開けて笑っている絵とお菓子を送ったお礼の手紙を書いて持ってきてくれた。絵もてがみも自分でかくというらしい。
身長は107センチ。柱には、わが家に来た時の身長の印があるが、それより、2センチほど伸びたか。嫁の奈津子さんが岐阜のお菓子の「お初尾」という鮎のお菓子などお土産に。
暑いけど、冷房を入れて、ビーフシチュー(デミグラスソースは買ったけど、赤ワインを入れて3時間ほど煮込んだ。)とエビフライ。サラダは、ポテトとグリーンサラダ。グリーンサラダは、私のレシピで、レタス、キュウリ、カイワレ、茗荷、青じそ、鶏ささみの酒蒸し裂きに昆布ポン酢をかける。このサラダ、中国人やドイツ人、若い人にも好評。パンは、クロワッサン型のシリアルロール。あっさりして食べやすい。当分ははまりそう。
夕方、句美子のところへ、同じものを持ってゆく。夕食なので、パンではなくご飯。グリーンサラダがもっと欲しかったという。

◯尾瀬初秋/高橋正子([過去]8月27日金曜日)
尾瀬行きのバスの秋日のあたたかし  
みなかみの稲穂熟れそむ日和なり   
胡麻の花山の青さをきわだてり    
八月は水芭蕉の葉のおおいなる
ハンゴンソウの黄花真盛り触れもして
木道に沿えば風吹き吾亦紅
 イワショウブ
みはるかす湿原白き花が立ち
湿原に日はかたむかず未草
 弥太郎清水
差し入れし泉の水に手を切られ
山小屋の湯にいて秋の笹の音


◇生活する花たち「藻の花・萩・藪蘭」(鎌倉・宝戒寺)

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8月26日(日)

2018-08-26 08:54:39 | 梅林
★原っぱにえのころぐさの影となる  正子
寸地にも、えのころ草は生えて来ますが、原っぱで有ればなお生茂り大きな穂が伸びて少し色付き、影をつくる程になって参ります。その影や揺れるすがたに初秋の爽やかさを感じます。「原っぱ」「えのころ草」に遊んだ子供の頃の懐かしさを覚えます。(佃 康水)

○今日の俳句
賑わいの漁港の上の鰯雲/佃 康水
出船、入船、魚の水揚げなどで、賑わう漁港。その上の空高くに広がる鰯雲。生き生きとした漁港の美しい景色。(高橋正子)


◇生活する花たち「キツネノカミソリ」(横浜四季の森公園)
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8月25日(土)

2018-08-25 08:38:20 | 日記
★葛咲けり一つの花のその奥にも  正子

○今日の俳句
青柿の並びさわさわ風に揺れ/河野啓一
青い柿の葉のなかにある青い柿の実。風が吹くと青柿がさわさわ揺れ、新涼のさわやかさを目にみせてくれる。(高橋正子)

●夕べ9時ごろ洗面所の天井から水が漏れた。管理会社が来て写真を撮る。あと給水業者が来て点検する。2階の排水管が詰まって水漏れしたとという。洗濯機を使い風呂の水を同時抜いてに流したため、流れきれない水が溢れたとのこと。管理会社の怠慢。排水管を掃除すべき。この騒ぎで一日つぶれる。

公司さんの奥さんに電話。いつもどおり明るい声だが、やはり8月16日に亡くなって19日葬式だったとのこと。

○小豆の花

[小豆の花/ネットより]            [野小豆の花/ネットより]
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8月24日(金)

2018-08-24 10:30:32 | 日記
 八月二十四日、横浜へ
★秋蝉となりしを聞きて引越しす  正子夏の初めから鳴き始めた蝉の声もいつしか秋の蝉になっている。そんな季節の移ろいを感じながら、住まいを別の地へ引越しをする。新しいところはどんなところであろうと思いを馳せながら。(高橋秀之)

○今日の俳句
産声を待つ部屋の窓白木蓮/高橋秀之
子の誕生を待って落ち着かない父親の目に、白木蓮が映る。産着のような純白の白木蓮に、まもなく誕生する子が重なって見える。(高橋正子)

●台風20号が室戸岬から徳島・姫路へ上陸したようだ。神戸、大阪、京都、和歌山、三重、福井など大雨と大風らしい。湿度68%で窓を開けても風が動かない。小雨。静岡大の学生男女3人が浜辺で花火をしていて波に攫われたらしい。

◇生活する花たち「シモツケ」(横浜四季の森公園)
 
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8月23日(木)

2018-08-23 12:22:48 | 日記
★朝風のとんぼを運び海へ去る  正子
朝風の中、暑気も持ち去ってくれるようなとんぼの爽やかさです。とんぼ飛ぶ海への視野の広がりに、初秋の朝の清涼感があふれます。(藤田洋子)

○今日の俳句
一片の雲を真白に処暑の朝/藤田洋子
処暑の朝を迎え、まっ白い雲の美しさにうれしさが湧く。暑さも一息つき、朝夕の涼しさが期待できる。処暑というのは、そういう日なのだ。季語を生かした写生だが、詩情のある句。(高橋正子)

●台風のフェーン現象か、蒸し暑い。12時で30度を超えている。
ゼラニュウムの葉が猛暑の間白くなっていた。おとといごろから、白いところが緑になり始めた。初めての経験だ。この夏の余りの暑さのせいに違いない。花の色も薄くなってしまっている。

はらからの住むところへと台風来  正子
鉦叩歩けば歩くところより     正子
秋暑しマンション建築遅遅として  正子
絵葉書の松虫草に大きかり     正子
外出に夕月淡き金の色       正子

○水引草

[水引草/東京・向島百花園]   [ぎんみずひき/東京・向島百花園]

○水引草
水引草は、赤い糸を引くように風の中に咲く。植えるでもなくいつの間にか庭に下草のように増えている。一輪挿しにすっと伸びたものが欲しいとき、庭に出て水引草を摘んでよく活けた。まだ暑いのに秋の雰囲気がただよう。
 水引草は、蓼(たで)科の多年草。学名 Antenoron filiforme。Antenoron : ミズヒキ属、filiforme :糸状の。開花時期は、8/5頃~10/10頃。上から見ると赤く見え、下から見ると白く見える花を、紅白の水引に見立てた。ヒマラヤから中国の高山帯の草地に群生。花茎は高さは5~20センチで葉がなく、円筒状あるいは卵状の総状花序に明るいピンク色の花をつける。花弁は4枚で、5本のおしべを持つ.2本の花柱は花後も残って成長し、先がかぎ状になって果実の先端から突出する。葉は長円形で、表面に黒い斑が入る。高さは約1米位。
 ギンミズヒキ(銀水引)は、ミズヒキの白い花が咲く品種。ミズヒキは 4 つある萼のうち上側の3つが赤く,下の一つが白いが,ギンミズヒキは 4 つとも白い。葉が斑入りのものもある。
  キンミズヒキ(金水引)は、バラ科、ミズヒキはタデ科で、全く別の種類の花である。名前の由来はミズヒキの方が基で、冠婚等の慶事で用いられる水引(みずひき)に例えて名付けられた。キンミズヒキは、この花に花の付き方や花穂の全体像が似ていて黄金色の花を付ける事から金色のミズヒキ、つまりキンミズヒキ(金水引)となったと言われている。

★水引草の朱が試験期の図書館に/高橋正子

これは大学時代の句。図書館には、さりげなく花が活けられていた。司書の方のセンスであろうが、図書館に澄んだ風が吹いているようであった。入学したてのころ、図書館に行くと文学部の上級生がお昼も抜きで3時間4時間平気で勉強していた。大学生とはこういうものと、真似をして、私もその人がいる間中ずっと図書館にいたことがある。結構図書館でも過ごしたが、自分の部屋で本を読むものいい。図書館であたらしいことを発見し、部屋で考えを深めたり、楽しんだりするという本の読み方が大学を卒業するころは習慣になった。図書館の花は、頭の疲れをとってくれるような気がした。

★かひなしや水引草の花ざかり/正岡子規
★水引の花が暮るればともす庵/村上鬼城
★水引や人かかれゆく瀧の怪我/前田普羅
★木もれ日は移りやすけれ水引草/渡辺水巴
★水引草ならば心音かすかかな/清水径子
★今日は今日の夕暮の色水引草/島田和世

◇生活する花たち「女郎花・胡麻の花・稲の花」(横浜市緑区北八朔町)

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8月22日(水)

2018-08-22 07:58:58 | 日記
★小雨降る中の芙蓉を一つ剪る  正子
小雨に濡れた芙蓉の花、一日花ですから、朝の早い時間でしょうか。淡いピンクの花の芙蓉を思い浮かべました。 (多田有花)

○今日の俳句
はや桜紅葉始まる明るき午後/多田有花
「明るき午後」が魅力。暑さがようやく落ち着いたかと思うと、はやくも、桜は紅葉しはじめる。真夏の眩しさがぬけて、しずかな明るさに変わるころ。(高橋正子)

○吾亦紅(われもこう)

[吾亦紅/横浜市港北区下田町・松の川緑道]

秋の高原で咲く。暗赤色の丸い花穂がおもしろい。丸いダンゴのよう。白い「長穂の白吾木香(ながぼのしろわれもこう)」というのもある。花は、花穂の上の方から下の方へ順に開花していく。秋の十五夜のお月見では、薄(すすき)とともに欠かせないもの。

◇生活する花たち「芙蓉・萩・紫式部」(横浜日吉本町)

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8月20日(月)

2018-08-20 09:01:06 | 日記
★追分の芒はみんな金色に  正子
街道の分かれる辺りに穂芒の群落があり、陽光を浴びてみんな金色に輝いてみえる。一斉に同じ方向に風にそよいでいる、如何にも秋らしく美しい情景が想像されます。 (河野啓一)

○今日の俳句
コスモスの丘ふわふわと光りおり/河野啓一
コスモスが丘一面に咲く眺め。コスモスの遠い眺めは、ふわふわとして、やわらかに光っている。コスモスのやわらかな戦ぎは、光りと化してゆくような、きよらかで、透明感のある世界が詠まれている。(高橋正子)

●台風19号が近づく。強くなるらしい。室温27度。湿度55%。 ちょっと湿った感じ。
この前表参道の横丁で買った緑色のガラスの花瓶に鉢植えの紫の花を2輪切ってさす。秋らしくなる。

水を入れガラスの花瓶に秋は来ぬ  正子
新涼の畳さらさらと掃きぬ     正子

思うのだが、最近難しい英語などが、そのまま日本語の中で使われる。例えば、ダイバーシティとか。「多様性」という日本語ではいけないのか。英語ぺらぺら。フランス語ぺらぺらでセンスよい方が確かに都会には多い。そのことで、文化を牛耳られてたまるか、と思う。

○稲の花

[稲の花/横浜市緑区北八朔町]

★いくばくの人の油よ稲の花 一茶
★南無大師石手の寺よ稲の花 子規
★稲の花今出の海の光りけり 子規
★湯槽から四方を見るや稲の花 漱石
★雨に出しが行手の晴れて稲の花 碧梧桐
★軽き荷を酔うてかつぐや稲の花 虚子
★酒折の宮はかしこや稲の花 虚子
★八十路楽し稲の花ひろびろと見る/高橋信之
★稲の花見つつ電車の駅までを/高橋正子
★稲の花雲なく晴れし朝のこと/高橋正子

 イネ(稲、稻、禾)は、イネ科 イネ属の植物である。稲禾(とうか)や禾稲(かとう)ともいう。 収穫物は米と呼ばれ、世界三大穀物の1つとなっている。本来は多年生植物であるが、食用作物化の過程で、一年生植物となったものがある。また、多年型でも2年目以降は収穫量が激減するので、年を越えての栽培は行わないのが普通である。よって栽培上は一年生植物として扱う。属名 Oryza は古代ギリシア語由来のラテン語で「米」または「イネ」の意。種小名 sativa は「栽培されている」といった意味。用水量が少ない土壌で栽培可能なイネを陸稲(りくとう、おかぼ)と呼ぶ。日本国内に稲の祖先型野生種が存在した形跡はなく、海外において栽培作物として確立してから、栽培技術や食文化、信仰などと共に伝播したものと考えられている。稲を異常なまでに神聖視してきたという歴史的な自覚から、しばしば稲作の伝播経路に日本民族の出自が重ねられ、重要な関心事となってきた。一般に日本列島への伝播は、概ね3つの経路によると考えられている。南方の照葉樹林文化圏から黒潮にのってやってきた「海上の道」、朝鮮半島経由の道、長江流域から直接の道である。3つの経路はそれぞれ日本文化形成に重層的に寄与していると考えられている。現在日本で栽培されるイネは、ほぼ全てが温帯ジャポニカに属する品種であるが、過去には熱帯ジャポニカ(ジャバニカ)も伝播し栽培されていた形跡がある。

 多くの節をもつ管状の稈を多数分岐させ、節ごとに1枚の細長い肉薄の葉をもつ。稈は、生殖成長期になると徒長して穂を1つつける。他殖性の風媒花であるが、栽培稲では98%程度が自家受粉する。開花時間は午前中から昼ごろまでの2-3時間と短い。花は、頴花(えいか)と呼ばれ、開花前後の外観は緑色をした籾(もみ)そのものである。籾の先端には、しなやかな芒(ぼう)が発達する。芒は元々は種子を拡散するための器官であるが、栽培上不要なため近代品種では退化している。農業上、種子として使われる籾は、生物学上の果実である玄米を穎(=籾殻:もみがら)が包んでいるもの。白米は、玄米から糠(ぬか)層、胚など取り除いた、胚乳の一部である。生態型によるジャポニカ種 (日本型、島嶼型)とインディカ種 (インド型、大陸型)という分類が広く知られている。

 稲の食用部分の主 成分であるでんぷんは、分子構造の違いからアミロースとアミロペクチンに別けられる。お米の食感は、両者の含有配分によって大きく異なる。すなわちアミロース含量が少ないお米は加熱時にやわらかくモチモチした食感になり、アミロース含量が多いとパサパサした食感になる。日本人の食文化では、低アミロースのお米を「美味しい」と感じる。この好みは、世界的には少数派となっている。通常の米は20%程度のアミロースを含んでいるが、遺伝的欠損によりアミロース含量が0%の品種もあり、これがモチ性品種で、モチ性品種が栽培されている地域は東南アジア山岳部の照葉樹林帯に限定されている。その特異性から、その地域を「モチ食文化圏」と呼称されることがある。日本列島自体が西半分を「モチ食文化圏」と同じ照葉樹林に覆われており、またハレの日にもち米を食べる習慣がある(オコワ、赤飯、お餅)ことから、日本文化のルーツの一つとして注目された。

◇生活する花たち「縷紅草(るこう草)・白芙蓉・白萩」(横浜日吉本町)
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8月19日(日)

2018-08-19 10:55:32 | 梅林
★白桃の無疵を少女に剥き与う  正子
お子さんへ選ばれた無疵の白桃、向きあい、お話をしながら剥いてわたす、幸せな一時です。(祝恵子)

○今日の俳句
足場組む上へと徐々に秋空へ/祝恵子
足場が徐々に組まれ行く様子を見上げて、秋空をよく感じている。丁寧な写生がよい。(高橋正子)

●晴れ。室温11時27度。涼しい。
今朝、洋子さんから携帯へ電話。「洋子さん?」と聞くと、なにか言いにくそうな感じ。それで「誰か亡くなったの?」と聞くと「そう。」と。脇坂公司さんが66歳で亡くなったと愛媛新聞のお悔やみ情報に載っていたと。砥部にいるとき、一時編集長として頑張ってくれて、ドイツにも信之先生と愛媛新聞記者と同行してくれた。それにしても、早すぎる死。

★秋空の青の彼方に旅だてり  正子

角川俳句年鑑2019年版の俳人住所の葉書を返信。信之・正子・句美子
今回はアンケートがある。締め切りは2019年1月31日。(忘れそう)
俳句とは□□□□□□□□□□。の内容。(十字以内)

康水さんから電話。
夕食に秋刀魚と思ったが、値段をみてびっくり。東急では一匹600円。スーパーでは一匹300円。
あきらめて、隣に並んだかますを買った。一匹150円ほど。ところがこれがずいぶんおいしくて、家族大満足。娘婿は初めて食べたという。

花火揚がる音に出てみて何もなし  正子
今盛ん花火打ち揚ぐ音のみす    正子

○カンナ

[カンナ/横浜市港北区日吉本町]      [カンナ/横浜市港北区箕輪町]

★老いしとおもふ老いじと思ふ陽のカンナ/三橋鷹女
★鶏たちにカンナは見えぬかも知れぬ/渡辺白泉
★王様はこのごろ不安花カンナ/丸山海道
★押してゆく自転車カンナの海へ出る/西川碧桃
★カンナ咲く遥かな海を照らしつつ/鈴木夏子
★ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナ/丹沢亜郎

カンナ科はカンナ属のみで構成されます。熱帯アメリカを中心に約50種が分布する毎年花をさかせる多年草で、地下に根茎(球根)をつくります。日本には江戸時代前期にカンナ・インディカ(和名:ダンドク)が渡来し、現在では河原などで半野生化しているものが見られます。カンナはギリシア語で「アシ(葦)」を意味し、その草姿がアシに似ているところに由来します。
草丈が1m-2mになる大型種と40cm-50cm程度におさまる矮性種(わいせいしゅ)に大きく分けられます。冬は地中の根茎の状態で越し、春に芽を出して葉を広げます。葉は長だ円形や先のとがったやや細長いかたちで、色は緑や赤銅色、葉脈に沿って美しい斑の入るものもあり花のない時期も充分楽しめます。
花どきは主に夏-秋、花の形態はやや特異で6本ある雄しべが1本を残してすべて花びらになり※1、雌しべはへら状になります。花色は緋色、ピンク、オレンジ、黄色、白などがあり、葉に斑点や模様のはいるものも多く非常にカラフルです。


生活する花たち「白むくげ・萩・藤袴」(東京・向島百花園)

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8月18日(土)

2018-08-18 07:22:24 | 日記
★いつよりか燕無き空青澄める  正子
ツバメは群れを成したり隊形を整えたりして渡ることをしないようですから、春が来て何羽もが街を飛び交っているのを見つけたり、また秋には、いつの間にか一羽もいなくなってしまっていることにふと気が付くというようなことがよくあります。
「燕無き空青澄める」という表現には、しみじみと秋到来を思う深い詩情が込められており、「いつよりか」にはまた、小さな喪失への感慨が届けられて来ます。(小西 宏)

○今日の俳句
露ころぶキャベツ外葉の濃き緑/小西 宏
キャベツの濃い緑の外葉にころがる露に、力がある。丸く、収れんした露の力と輝きは秋の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

●晴れ。秋らしくなる。午前10時の室温26度。
みそ汁の味噌の香りに茗荷入れ   正子
茗荷刻む今朝はすっきり縦切りに  正子
帚木と鶏頭の鉢へ水たっぷり    正子
朝涼の針を持ちたる手のここち   正子
便り無き子は元気かな梨送る    正子

8時ごろからか、花火を打ち上げる音。出てみるが花火は見えない。ネットで調べると、鶴見川花火大会のようだ。

○木槿(むくげ)

[木槿/横浜日吉本町]            [木槿/東京・新宿御苑]

★花むくげはだか童のかざし哉 芭蕉
★道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉
★修理寮の雨にくれゆく木槿哉 蕪村
★花木槿里留主がちに見ゆる哉 一茶
★馬ひとり木槿にそふて曲りけり 子規
★縄簾裏をのぞけば木槿かな 漱石
★墓多き小寺の垣や花木槿 碧梧桐
★いつまでも吠えゐる犬や木槿垣 虚子
★お遍路木槿の花をほめる杖つく 放哉
★みちのくの木槿の花の白かりし 青邨
★路草にむかひて萎む木槿かな 耕衣
★日の出待つや木槿いつせいに吹かる中 林火
★避暑町の少しさびれぬ花木槿 たかし
★道すがらうかぶ木槿や徒労ばかり 波郷
★白木槿ごみを出すにも蝶むすび/片山由美子
★ふっくらと巻きて落花の木槿かな/野村洋子

 木槿は、朝咲いて夕方にはしぼむ。お茶席の花としてよく活けられもする。先日千駄木の骨董屋の女主人が亜浪先生の句について信之先生に聞いて来られた折に、骨董の竹籠に槿と縞萱を活けた写真を送ってこられ、だれかをお茶にお招きしたい気分だと書き添えてあった。お茶の花ともなるが、どこにでも咲いている。
 
★白槿十年たちまち過ぎていし/高橋正子
 
 この句は、砥部の田舎で学生が来たり、ドイツ語の先生が来たり、子どもの友達がわっさわっさと来たり、句会の人たちが出入りしたり、掃除、洗濯、庭の手入れなどなど、雑多なことに明け暮れて、ある朝、白い槿を見て、十年なんてすぐ終わってしまうと思ったとき出来た句だ。
 今朝、自分の以前作ったこの白槿の句を読んで、今はもうこういう句を作る気持ちではないと知った。あれから十年が何回過ぎたことか。
 
★底紅の紅が澄みたる白槿/高橋正子

 ムクゲ(木槿、別名:ハチス、Hibiscus syriacus; 英語: rose of Sharon)はアオイ科の落葉低木。 庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花としても欠かせない花である。インドや中国が原産で、中近東にも自生している。日本へは奈良時代に中国から渡来し、和歌山県や山口県に野生のムクゲがあったとされる。 夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい花をつける。薬用のほか、鑑賞用に多くの品種がある。俳句では秋の季語である。根が横に広がらないため、比較的狭い場所に植えることができる。 刈り込みにもよく耐え、新しい枝が次々と分岐する。そのため、庭の垣根に利用されることもある。 自然樹形は箒を逆さにしたようになる(下記の樹形の例参照)。 栽培されているものはよく剪定されてしまうため、高さは3-4mくらいのものが多く、灌木であると誤解されるが、放置すると10m以上の樹高になり、桜の木よりすこし小さいくらいの大きさになる。花期は7-10月。花の大きさは10-18cmほど。花芽はその年の春から秋にかけて伸長した枝に次々と形成される。 白居易(白楽天)の詩の誤訳から一日花との誤解があるが、朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開き、一重のもので2-3日。八重の長く咲くもので2週間くらい、一輪の花を楽しめる。中国名の木槿(もくきん)を音読みし、木槿(むくげ)、木槿花(もくきんか)と呼ばれるようになった。また、「類聚名義抄」には「木波知須(キハチス)」と記載されており、木波知須(キハチス)や、単に波知須(ハチス)とも呼ばれる。白の一重花に中心が赤い底紅種は、千利休の孫である千宗旦(せんそうたん)が好んだことから、「宗丹木槿(ソウタンムクゲ)」とも呼ばれる。中国語では木槿/木槿(ムーチン)、朝鮮語では무궁화(無窮花; ムグンファ)という。英語の慣用名称のrose of Sharonはヘブライ語で書かれた旧約聖書の雅歌にある「シャロンのばら」に相当する英語から取られている。


◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)
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8月17日(金)

2018-08-17 10:44:50 | 日記

★葛の花匂わすほどの風が起き  正子
秋の七草の一つの葛の花。その旺盛に伸び広がる蔓性の葉が、吹き起こる風に、いっせいに煽られる清々しい光景が浮かびます。風に裏返る白い葉裏も、辺りに漂う紅紫色の花の甘い香りも、嬉しい秋の訪れを感じさせてくれます。(藤田洋子)

○今日の俳句
真珠筏浸し秋の海澄めり/藤田洋子
浸し」が秋海の澄んだ水をよく感じさせてくれる。秋海の澄んだ水に浸され殻を育てている真珠は、美しく輝く珠となることであろう。(高橋正子)

●今朝起きると気温27度。涼しい風が吹く。遠い台風のせいかもしれない。

山口県の島で2歳の男の子が行方不明になっていたが、3日ぶりにボランティアの男性によって発見された。このボランティアの方はすごい。以前、2歳児が行方不明になり、探した経験が役立ったという。子どもは上へあがっていく傾向があるとも。また、日本の北から南まで、徒歩で3か月間旅した経験もあり、日本の地形をよく知っておられることもあるだろう。魚屋で鍛えた大きな声も役立った。大きな声で「よしくーん」と呼んだ。またこの2歳の男児もすごい。「ぼく、ここー」と元気な声で応えたという。日本のあらゆる被災地へ出掛けているベテランボランティア男性の、人生のすべての経験、体験が奇跡とも思える発見につながったのだろう。「人の命は地球より重い」と明言した。世の中には悪い人も多いが、立派な方が多い。

帚木を風が幾度も膨らまし       正子
無花果の乳ふきだすを剥きにけり    正子
日に映えて熟るる無花果子籠に捥ぎ   正子
いちじく剥くこわれそうなるその丸さ  正子
初秋の野菜いろいろ買い戻り      正子

○青柿

[青柿/横浜日吉本町]

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8月16日(木)

2018-08-16 08:33:13 | 日記
★いつよりか燕無き空青澄める  正子
ツバメは群れを成したり隊形を整えたりして渡ることをしないようですから、春が来て何羽もが街を飛び交っているのを見つけたり、また秋には、いつの間にか一羽もいなくなってしまっていることにふと気が付くというようなことがよくあります。
「燕無き空青澄める」という表現には、しみじみと秋到来を思う深い詩情が込められており、「いつよりか」にはまた、小さな喪失への感慨が届けられて来ます。(小西 宏)

○今日の俳句
露ころぶキャベツ外葉の濃き緑/小西 宏
キャベツの濃い緑の外葉にころがる露に、力がある。丸く、収れんした露の力と輝きは秋の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

○木槿(むくげ)

[木槿/横浜日吉本町]            [木槿/東京・新宿御苑]

★花むくげはだか童のかざし哉 芭蕉
★道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉
★修理寮の雨にくれゆく木槿哉 蕪村
★花木槿里留主がちに見ゆる哉 一茶
★馬ひとり木槿にそふて曲りけり 子規
★縄簾裏をのぞけば木槿かな 漱石
★墓多き小寺の垣や花木槿 碧梧桐
★いつまでも吠えゐる犬や木槿垣 虚子
★お遍路木槿の花をほめる杖つく 放哉
★みちのくの木槿の花の白かりし 青邨
★路草にむかひて萎む木槿かな 耕衣
★日の出待つや木槿いつせいに吹かる中 林火
★避暑町の少しさびれぬ花木槿 たかし
★道すがらうかぶ木槿や徒労ばかり 波郷
★白木槿ごみを出すにも蝶むすび/片山由美子
★ふっくらと巻きて落花の木槿かな/野村洋子

 木槿は、朝咲いて夕方にはしぼむ。お茶席の花としてよく活けられもする。先日千駄木の骨董屋の女主人が亜浪先生の句について信之先生に聞いて来られた折に、骨董の竹籠に槿と縞萱を活けた写真を送ってこられ、だれかをお茶にお招きしたい気分だと書き添えてあった。お茶の花ともなるが、どこにでも咲いている。
 
★白槿十年たちまち過ぎていし/高橋正子
 
 この句は、砥部の田舎で学生が来たり、ドイツ語の先生が来たり、子どもの友達がわっさわっさと来たり、句会の人たちが出入りしたり、掃除、洗濯、庭の手入れなどなど、雑多なことに明け暮れて、ある朝、白い槿を見て、十年なんてすぐ終わってしまうと思ったとき出来た句だ。
 今朝、自分の以前作ったこの白槿の句を読んで、今はもうこういう句を作る気持ちではないと知った。あれから十年が何回過ぎたことか。
 
★底紅の紅が澄みたる白槿/高橋正子

 ムクゲ(木槿、別名:ハチス、Hibiscus syriacus; 英語: rose of Sharon)はアオイ科の落葉低木。 庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花としても欠かせない花である。インドや中国が原産で、中近東にも自生している。日本へは奈良時代に中国から渡来し、和歌山県や山口県に野生のムクゲがあったとされる。 夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい花をつける。薬用のほか、鑑賞用に多くの品種がある。俳句では秋の季語である。根が横に広がらないため、比較的狭い場所に植えることができる。 刈り込みにもよく耐え、新しい枝が次々と分岐する。そのため、庭の垣根に利用されることもある。 自然樹形は箒を逆さにしたようになる(下記の樹形の例参照)。 栽培されているものはよく剪定されてしまうため、高さは3-4mくらいのものが多く、灌木であると誤解されるが、放置すると10m以上の樹高になり、桜の木よりすこし小さいくらいの大きさになる。花期は7-10月。花の大きさは10-18cmほど。花芽はその年の春から秋にかけて伸長した枝に次々と形成される。 白居易(白楽天)の詩の誤訳から一日花との誤解があるが、朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開き、一重のもので2-3日。八重の長く咲くもので2週間くらい、一輪の花を楽しめる。中国名の木槿(もくきん)を音読みし、木槿(むくげ)、木槿花(もくきんか)と呼ばれるようになった。また、「類聚名義抄」には「木波知須(キハチス)」と記載されており、木波知須(キハチス)や、単に波知須(ハチス)とも呼ばれる。白の一重花に中心が赤い底紅種は、千利休の孫である千宗旦(せんそうたん)が好んだことから、「宗丹木槿(ソウタンムクゲ)」とも呼ばれる。中国語では木槿/木槿(ムーチン)、朝鮮語では무궁화(無窮花; ムグンファ)という。英語の慣用名称のrose of Sharonはヘブライ語で書かれた旧約聖書の雅歌にある「シャロンのばら」に相当する英語から取られている。


◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)
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