俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

12月31日(月)

2012-12-31 12:45:39 | Weblog
★大年の山河も晴れを賜りし  正子
大年のこの日にあって、恵まれた晴天が、この上なく清々しく晴れやかに感じられます。明るく輝かしい自然の大らかさに、一年の末日の深い感慨とともに、来たる年への明るい希望もあふれます。(藤田洋子)

○今日の俳句
年の瀬の遮断機上り街動く/藤田洋子
遮断機が上ると一斉に車が忙しく動き出す。年の瀬の街の風景をよい視点でとらえた。(高橋正子)

○ユズリハ

[ユズリハ/横浜日吉本町]

★楪のしきりに殖ゆる古葉かな/原石鼎
★楪の日本の家明るき日/高島茂
★父とかはす年賀短かし共に主/高島茂
★枯れ落ちた楪の葉は一年目 琴姫
★楪の葉のいれかはり新成人 征夫
★楪の赤きところが見ゆる庭/高橋正子

ユズリハ(楪、交譲木または譲葉、学名:Daphniphyllum macropodum)は、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木。古名はユズルハ。雌雄異株。高さは10mほど。葉は長さ20cmほどで枝先にらせん状につく。花には花被がなく、葉腋から総状花序を出す。花の形態がトウダイグサ科に似るので古くはトウダイグサ科に含められたが、心皮が2個(トウダイグサ科は3個)などの違いから独立のユズリハ科(Daphniphyllaceae)とされた。APG分類体系ではユキノシタ目に入れられている。ユズリハの名は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる。クマリン系アルカロイドのダフニクマリンを含み、中毒の原因となる。日本では、本州の福島県以西、四国、九州、沖縄に、アジアでは、韓国、中国中部まで分布し、暖地の山地に自生する。


◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)
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12月30日(日)

2012-12-30 15:28:12 | Weblog
★年逝かす蘭の華やぐ丈見上げ  正子
一日一日と慌しくなる年の瀬ですが、花茎を高く上げて咲く見事な蘭の花々に、心和み明るくなります。その華やかな存在感に、過ぎ行く年の感慨と、来る年を迎える新たな喜びも感じられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
大雪の朝の光と鳥の声と/矢野文彦
生き生きとして、かがやきのある句。目に大雪の朝のまぶしい光、耳に鳥のはずんだ声。こういった世界が目の前にあるよろこび。(高橋正子)

○フランス柊

[フランス柊/横浜日吉本町]

★落つことも降ることもなき赤き実は/高橋信之
★赤き実の一と日しっかと木に付ける/高橋信之
★雪冠るフランス柊我が庭に/高橋正子

 ヒイラギモドキは、モチノキ科モチノキ属、別名 シナヒイラギ ヒイラギモチという。
たまたま訪れた県林業技術センターでシナヒイラギ、また延岡植物園でフランスヒイラギと標示されている木を見かけました。ちょうど真っ赤に熟した美しい実がついていましたので、園芸種と思いますが、載せることにしました。両方ともヒイラギモドキ 別名シナヒイラギと思います。セイヨウヒイラギは、葉が普通の楕円形で縁全体に鋭い鋸歯が取り囲んでいますが、ヒイラギモドキの葉は、葉の形そのものが大きな不整形の鋸歯を形成するような特殊なかたちをしています。
 ヒイラギモドキも、セイヨウヒイラギも、ヒイラギの名がついていますが、モクセイ科モクセイ属のヒイラギとは無縁のモチノキ科モチノキ属です。モクセイ科のヒイラギには、赤い実をつけるものはないと思います。鋭くとがった歯牙のある硬い葉と赤い実をクリスマスの飾りとするお馴染みの植物で、欧米では、クリスマスホーリーと呼ばれているようです。欧米ヨーロッパ中南部からアジア西部の原産だそうです。多くの品種があり、果実を観賞するために庭に植えられる常緑高木です。モクセイ科のヒイラギに似た葉を持つモチノキの意で、ヒイラギモチともいわれています。なお、セイヨウヒイラギとヒイラギモチを別種としているもの、ヒイラギモチを別名シナヒイラギとしているもの、また、クリスマスに使うのはアメリカヒイラギとしているものなど、いろいろ名前については、扱いが一定していないようです。(HP「みやざきの植物散策」より)


◇生活する花たち「山茶花・柊・桜黄葉」(横浜日吉本町)

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12月29日(土)

2012-12-29 15:26:53 | Weblog
★枯れ道の白くかがやく固さ踏む  正子
作者身辺のささやかな行為ではあるが、そこに日常生活の力強さがある。作者内面の強さを評価したい。(高橋信之)

○今日の俳句
花束の中より散らばる実千両/平田弘
正月用の花束であろう。実千両も束のなかに。その花束より千両の実がこぼれて散った。その驚きと、その可憐な実の鮮やかさが印象的で、心が軽い。(高橋正子)

○さるとりいばらの実

[さるとりいばらの実/東京白金台・自然教育園]

★炉なごりの小柴にまじる山帰来/石原八束
★やすらひてさるとりの花杖にあぐ/中村若沙
★何の実といふこともなく実を結び/山下由理子
★赤い実に猿近づきて山の秋 芝滋
★色染めて路傍の秋やサンキライ/夢夢ばあさん

★さるとりの実があかあかと平和なる/高橋信之
★さるとりいばら実は幼き日とおなじ/高橋正子

 西日本ではサルトリイバラ(猿捕茨)の若葉で餡餅(あんもち)を包み、端午の節句の柏餅のカシワの代わりに用いられます。関東では一般的な柏の葉だが、柏の葉が手に入り難い関西で、いばらの葉を代用した事が始まりとの事でした。俳人の私には「いばら」と云うと野茨を思いますが、「いばら餅」に使う葉はサルトリイバラ(猿捕茨)の葉だそうです。サルトリイバラ(猿捕茨)を図鑑で引いてみると『西日本では柏餅のカシワの代用とする』とやはり書いてあります。またこの葉をサンキラ葉と言うらしく、「いばら餅」をサンキラ餅とも呼ぶとの事です。サンキラ? 聞きなれない言葉なのでこれも調べてみました。正確にはサンキライと言い、山帰来と書くそうです。 サルトルイバラの別称でした。山帰来の名の由来について 『昔は毒消しの実として使われていた。 山野に多く自生しているため栽培をおこなうことはせず、毒消しの必要がある時に山に入り実を食べて帰ってくるという利用をされていた事から』と環境gooの植物図鑑に載っていました。中部地方も柏の葉が入手し難かったようで、昔は専ら「いばら餅」だったとの記事も散見しました。 三重県も同様ですが、三重県在住の方々のブログには「いばら餅」が三重県独自のお餅のように思っておられる記述が幾つか見られました。確かにネットで「いばら餅・いばら饅頭」を検索してみるとブログや和菓子店のHPは三重県発信のものが殆どでしたから、現今でいまだ一般的に親しまれているのは三重県だけなのかも知れませんね。(「≪‘のぶ`のフォト俳句≫~from伊勢」より)

 サルトリイバラ(猿捕茨、学名 Smilax china)は、サルトリイバラ科(またはユリ科)に分類される多年生植物(半低木)。漢語で菝葜と書く。東アジア(中国、朝鮮半島、日本)に分布する。日本では北海道から九州までの山野や丘陵の林縁などに自生し、日が当たり水はけのよい場所を好む。草丈 70〜350cm ほどで這うように伸び、茎は硬く緑色で棘が所々に生える。葉は互生し、円形または広楕円形で先端が尖り、基部は円く、硬く表面には光沢があり、3〜5 本の葉脈がある。雌雄異株で、4〜5月になると葉腋より散形花序を伸ばし多数の花を付ける。 花は淡黄で、6枚の花被片は先端が反り返る。雄花には雄蘂が 6本、雌花には子房が 3室・柱頭が 3本ある。果実は直径 7mm 程度の球形の液果で、秋に熟すと赤くなる。ルリタテハの幼虫が食草とする。
 根茎は薬用に使われる。四国地方などの関西圏以南では、葉を柏餅を包むのに用いる。園芸用では、庭園の添景木や、赤く熟す果実は生花にも用いられる。繁殖は 3月頃に播種する。サルトリイバラの別称はサンキライ、がめの木、かから、がんだちいばら、からたちいばら、等

 サンキライはサルトリイバラ(学名 Smilax china)の俗称だが、正確には別種(学名 S. glabra) で、本来、サンキライ(山帰来)は日本に自生しない。俳句ではサルトリイバラをサンキライと呼ぶ事が多い。 
 山帰来(サンキライ)は中国に産するユリ科のつる性木本である土伏苓(ドブクリョウ)を指す俗称とされてきたが、これによく似た同じくユリ科のつる性木本であるサルトリイバラの俗称ともなっている。しかし、山帰来の名前の由来に関するさまざまなパターンのストーリーを見かけるが、山帰来の名前の起源がどこにあるのかわからない。


◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)
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12月28日(金)

2012-12-28 15:24:43 | Weblog
★オーバーの肩の落ちしが身に安し  正子
ゆったりとしたオーバーが暖かく身体を包んでくれます。寒い冬も心はほかほかしてきて安らぎます。(井上治代)

○今日の俳句
寒林を突き抜けてくる鳥の声/河野啓一
木の葉を落としたり、黄葉もからからと枯れ、常緑樹も真冬の色となった寒林には、引き締まる空気がある。その林を抜けてくる鳥の声も鋭く耳に届く。冬も鳥らは元気である。(高橋正子)

○ひいらぎ南天の花

[ひいらぎ南天の花/横浜日吉本町]

★天辺に花咲かせたり柊南天 遊雀
★朝日受く柊南天の花と 照れまん

★子ら遊ばせ柊南天逞しき/高橋信之
★柊南天花はミモザのような黄に/高橋正子

ヒイラギナンテン(柊南天、学名:Mahonia japonica)は、メギ科ヒイラギナンテン属の常緑広葉低木。中国南部、台湾、ヒマラヤ原産で、庭や公園などに栽培される。葉は、奇数羽状複葉で互生して付き、厚く皮質で光沢があり、葉縁には深い鋸歯がある。冬~初春、房状花序に沿って黄色い小花を咲かす。秋に黒熟する果実の表面には白い粉状のものが付着する。別名:トウナンテン(唐南天)。同属には約70種あり中国から北米・中米にかけて分布する。小葉の細長いホソバヒイラギナンテン M. fortunei もよく栽培されている。

◇生活する花たち「蝋梅①・蝋梅②・さんしゅゆの実」(横浜・四季の森公園)

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12月27日(木)

2012-12-27 15:21:46 | Weblog
★南天の実も水音もかがやかに  正子
今、どの道を行ってもたわわに実南天が輝いています。この頃の池や川の水は澄んで厳しい冷たさを想像致しますが、それを「水音もかがやかに」と詠まれたことで、南天の実の輝きが更に強調されると同時に愈々お正月が来るんだなと高揚感を覚えます。(佃 康水)

○今日の俳句
丸ごとの大根抱えてただいまと/高橋秀之
下五の「ただいまと」がこの句の命であって、作者の思いは、この言葉に尽きる。そう読み取れば、「丸ごとの大根抱えて」も、みずみずしく頼もしい。(高橋正子)

○ローズマリー

[ローズマリー/横浜日吉本町]

★文届くローズマリーの咲く朝/四ツ谷 龍
★残り香やローズマリーの胸にあり 華了
★ローズマリー日永の句座の眠くなる 暢一
★秋うららローズマリーの優しき香 チー
★わが街に花多しローズマリーも/高橋信之

★寒き日もローズマリーの花淡し/高橋正子
「ローズマリーの花」は、年に数回、冬の厳寒期を除いていつでも咲く。12月の「寒き日」にも咲く。それが「花淡し」なのであり、詩情のある句だ。(高橋信之)


ローズマリー(学名:Lamiaceae Rosmarinus R. officinalis)は、地中海沿岸地方原産で、シソ科マンネンロウ属の常緑性低木。生葉もしくは乾燥葉を香辛料として用いる。また精油は薬にも用いられる。花も可食。属名Rosmarinusは「海のしずく」を意味する。愛や貞節の象徴とされる。様々な品種があり、立性と匍匐(ほふく)性種に分かれる。花の色は、青から紫色のものがほとんどだが、白や桃色のものもある。和名マンネンロウの漢字表記は「迷迭香」であるが、これは中国語表記と同一である。

◇生活する花たち「アリストロメリア・サンタンカ・ユリオプスデージー」(横浜・綱島)

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12月26日(水)

2012-12-26 15:23:13 | Weblog
★水仙の香を吸いながら活けており  正子
水仙はややうつむき加減の清楚なたたずまいとともに、あの香りが素晴らしいですね。それをいっぱいに浴びながら活けておられる、水仙のような心持を思います。(多田有花)

○今日の俳句
寒暁の噴煙むくと起ちにけり/小口泰與
身を切る寒さの冬の暁。浅間の噴煙がむくむくと吹きあがり、見る者を奮い立たせて雄々しい。(高橋正子)

○きちじょうそうの実

[きちじょうそうの実/東京白金台・自然教育園]_[きちじょうそうの実と花/東京白金台・自然教育園]

★解夏草を持ちて僧来る海女の家/石原八束
★吉祥草咲き出でて世をおそるるや/青柳志解樹
★吉祥草日暮は早くなりにけり/佐久間耕

キチジョウソウ(吉祥草、学名:Reineckea carnea)は、百合(ゆり)科キチジョウソウ属の常緑多年草。日本国内では関東から九州、また中国の林内に自生し、栽培されることもある。地下茎が長くのびて広がり、細長い葉が根元から出る。花は11月頃に咲く。ヤブランにやや似た穂状花序で茎は紫色、花は白い花被が基部で合生し筒状となっている。果実は赤紫色の液果。花が咲くことが少なく、たまに花が咲くときにはよいこと(吉事)があると言われたため、吉祥草の名が付いた。実際には毎年秋に花を咲かせるのだが、生い茂った葉に隠され、葉をかき分けなければ目に付かないことが原因のようだ。解夏草はキチジョウソウの別称。


◇生活する花たち「十両(やぶこうじ)・万両・白文字(しろもじ)」(東京白金台・国立自然教育園)


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12月25日(火)

2012-12-24 07:04:55 | Weblog
★山中に鵯鳴きわが身まっ二つ  正子
「まっ二つ」との言葉は鵯のあの鳴声ならではと感じます。甲高く決して聞き惚れるような声ではありませんが、何か魂をゆさぶるようなところがあります。 (多田有花)

○今日の俳句
湯気立てて私の時間愉しめり/藤田裕子
「愉しめり」がいい。「私の時間」がいい。主婦の日常を詠んだ、作者のささやかだが、充実した生活が伝わってくる。この句を読めば、読者も「愉しめり」の境地になる。(高橋信之)

○冬黄葉(はりぎり/てんぐうちわ)

[はりぎり/東京白金台・自然教育園]

★冬もみぢ晩年すでに始るか/安住敦
★水底の紅葉水面の冬もみぢ/岡本眸
★冬もみぢ三面鏡に閉ぢ込める/塩路隆子
★鈍色の空にきはだつ冬黄葉/桐一葉

★てんぐうちわの黄葉がきらりきらり森の空/高橋信之

 ハリギリ(針桐、学名:Kalopanax septemlobus)は、ウコギ科の落葉高木で広葉樹。幹は直立し、高さ10-20m、大きいものは30mになる。別名、センノキ(栓の木)、ミヤコダラ、テングウチワ、ヤマギリなどがある。
 日本全土(特には北海道)・朝鮮半島・中国の山地に分布する。若木は枝や樹幹にとげがあるが、老木になるに従い鋭さを失い瘤になる。幹の樹皮に深く縦に入った筋(裂け目)がこの樹木を特徴づける。葉柄は長さ10-30cm、葉身は掌状に5-9裂し、カエデのような姿で径10-25cmと大きく、天狗の団扇のような形をしている。そこから「テングウチワ」と呼ばれることもある。秋には黄褐色に黄葉する。7-8月、黄緑色の小花が球状に集まったものが傘状につき、藍色の丸い果実を結ぶ。
 肥えた土地に自生するので、開拓時代はこの木が農地開墾の適地の目印であった。その為、北海道には大きな木が多く、明治末には下駄材として本州に出荷された。現在でも国内産の栓の9割は北海道産である。展開したばかりの芽は同じウコギ科のタラノキやコシアブラ、ウドなどと同様に山菜として食用にされる。見た目は「たらの芽」としてよく知られる近縁のタラノキの芽に良く似るが、苦味やえぐみとして感じられるあくがやや強い。しっかり灰汁抜きをすればコシアブラ同様に非常に美味であり、利用価値が高い。


◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)

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12月24日(月)

2012-12-24 07:03:02 | Weblog
★柚子の香に頬のほのかに温まる  正子
料理用に絞った柚子の香りから、作者は二,三日前の冬至湯の湯気と香りを想い出された、と解釈しました。温かいのびやかな情趣を感じる御句です。(河野啓一)

○今日の俳句
風寒く晴れいて空に広き道/小西 宏
下五の「広き道」の解釈が難しいが、良寛が子どもの凧に書いた「天上大風」を思い、天上の「広き道」と解した。地上の「広き道」との解釈も可能だが、凧が揚がり、飛行機が飛ぶ大空の「広き道」である。(高橋信之)

○クリスマスローズ

[クリスマスローズ/ネットより]

★クリスマスローズ咲かせる窪の家/松崎鉄之介
★クリスマスローズ仰向くことのなく/椋本一子
★クリスマスローズかかへて友を訪ふ/坂本知子
★また一つクリスマスローズの鉢殖やす/渡邉紅華
★クリスマス来るたび母の誕生日/品川鈴子
★船上を人かげ歩むクリスマス/鷹羽狩行
★昇降機に英語満ち充つクリスマス/林翔

★牡蠣を焼きピザを頼みてクリスマス/高橋正子
★風邪に臥し一日清しクリスマス/高橋正子

 「クリスマスローズ」という呼称はクリスマスのころに開花する「ヘレボルス・ニゲル」だけを指した呼称であるが、日本の園芸市場では「レンテン・ローズ」と呼ばれる「ヘレボルス・オリエンタリス」なども「クリスマス・ローズ」の名前で出回る。多くの品種は、クリスマスのころではなく春に開花する。
 ヘレボルス(Helleborus)はキンポウゲ科のクリスマスローズ属に分類される植物の総称。ヘレボラスともいう。「チベタヌス」が中国の四川省から雲南省にかけて自生しているのを除けば、15の原種の全てが、東ヨーロッパからバルカン半島からトルコ、シリアに自生している。20世紀後半の品種改良は主にイギリスでヘレン・バラードや、エリザベス・ストラングマンによって進められた。「クリスマスローズ」という呼称も「イギリスのクリスマス」に開花するという意味である。夏は休眠状態となり根は活動を休止し、呼吸しているだけの状態となる。花に見える部分は植物学上では「花」ではなく「がく片」という部分である。そのため「鑑賞期間」が比較的長い。 ただし本来の花弁も蜜腺として残り、これが大きく発達したものを選別した品種もある。


◇生活する花たち「林檎の帰り花・山茶花・冬黄葉(くぬぎ)」(横横浜・四季の森公園)
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12月23日(日)/天皇誕生日

2012-12-23 09:17:16 | Weblog
 鎌倉・報国寺
★竹林の千幹二千幹が冬  正子
千幹、二千幹と言う広大な竹林と同時にその辺りすべてに深閑とした静かな佇まいを想像させます。しかも「…が冬」と言う措辞がインパクトが大変強く、冬の竹林の色、音、影、光りなど次々と想像が膨らみ楽しませて頂きました。 (佃 康水)

○今日の俳句
満潮へ鴨の二陣の広く浮く/佃 康水
満ちて来る潮に向かって、二陣の鴨の群れが広がり浮かんでいる。豊かな潮と浮き広がる鴨の群れが色彩的にもよい風景である。(高橋正子)

○むさしあぶみの実

[むさしあぶみの実/東京白金台・自然教育園]_[むさしあぶみの花/東京白金台・自然教育園]

  武蔵鐙(むさしあぶみ)
★草の実の赤の数多の逞しき/高橋信之

 パーフェクトな赤!こんなの初めてムサシアブミの実@植物多様性センター
 ムサシアブミの実は野川公園でも見られますが、こんなに粒と色のそろったのは初めてです。普通は虫食いがあったり、熟しすぎた粒があったりするんですが、全部が均一に赤く染まってる。あっ、植物多様性センターと言っても分かりませんね。神代植物公園の分園です。無料です。各ゾーンの中は、保護のために先日までは入れなかった。植生も落ち着いて通れるようになったんです。冬の曇り空だし、野の花も終わってる。期待しないでひと回り。でも、こんな収穫があった。あきらめないで歩いてみるもんです。ただし名札は「種類不明」となっていた。果実だけで葉がないので即断はできない。植物公園だから慎重です。サトイモ科テンナンショウ属の別の植物なんでしょうか。マムシグサも同じような赤い実をつけるからね(ブログ「多摩と入間の雑学的な散歩」より)
 武蔵鐙(むさしあぶみ、学名:Arisaema ringens)は、里芋(さといも)科テンナンショウ属。海岸近くの林中などに自生。大きな葉が2枚(さらに小葉は3枚)、その間から、「鐙」(あぶみ。馬具の一つで、鞍の両側に垂らし、乗る人が足をかけるもの。)のように丸まった形の仏焔苞(ぶつえんほう)が出てくる(うす緑色)。耳型。花は、この仏焔苞の中にあり、ふつうは見えない。この「鐙」のうち、武蔵の国で作られたタイプの「鐙」に特によく似ていたため、 この名前になった。ボクシングのグローブ、のようにも見える。


◇生活する花たち「茶の花・柊・満天星紅葉」(横浜日吉本町)
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12月22日(土)

2012-12-22 09:16:32 | Weblog
★桜冬芽空にもっともたくましき  正子
晩春に可憐な花を咲かせる桜。もう花の準備は整っており、目覚めのときを待っています。厳しい寒さを乗り越える桜の冬芽は冬空の下でたくましく息づいています。(多田有花)

○今日の俳句
猪狩を外れし犬と出会いけり/多田有花
猪狩をしてきた犬と山道で出会った。「外れし」が犬をうまく言いえている。猪を追い、山中を駆け回った犬と、今は静かに山を下る犬との対比が読み取れるのである。(高橋正子)

○浦島草の実

[浦島草の実/東京白金台・自然教育園]_[浦島草の花/小口泰與さん撮影]

★籠り居て木の実草の実拾はばや 芭蕉
★草の実をとばしいつまで空地かな/稲畑汀子
★びつしりと木の実草の実明日は晴れ/畑佳与

★浦島草の実が赤し吾も鳥の目に/高橋信之
★浦島草の実の朱に落葉落葉/高橋正子

 ウラシマソウ(学名 Arisaema urashima)は、サトイモ科テンナンショウ属の宿根性の多年草。日本の本州、四国を中心に、北海道と九州の一部に分布し、関東では4月下旬から5月上旬にかけて開花する。
 地下に偏球形の球茎を形成し、周囲に子球をつけることが多い。葉は通常1枚で、成株では11~17枚の小葉を鳥足状につけるが、実生のような小型個体では3枚~5枚の小葉をつける。小葉は先が鋭く尖る狭卵形か長楕円形で通常暗緑色である。葉の存在する期間は春から秋にかけてである。肉穂花序は葉の下につき大型の仏炎苞に包まれる。仏炎苞は濃紫色、緑紫色、緑色などで変異があり、内面には白条がある。口辺部はやや開出する。舷部は広卵形で先が尖り、開花の進展とともに垂れ下がる。肉穂花序の先端の付属体は釣り糸状に長く伸長し、これが和名の起源(浦島太郎が持っている釣り竿の釣り糸に見立てたか?)とされている。肉穂花序を形成する多数の花には花弁がなく、雄花は雄蘂のみ、雌花は雌蕊のみで形成されている。
 雄花から雌花への花粉の受粉はキノコバエの仲間による虫媒によって行われる。受粉に成功し、結実可能な条件がそろった個体では、秋にかけて果実を成熟させていく。結実した雌花群は多数の果実をトウモロコシ状につけており、当初は緑色であるが秋に成熟すると朱赤色に変わる。各果実中には0~数個の種子が形成される。成熟した果実は鳥により採食されることが知られているが、採食されずにその場で倒伏して散布されることも多い。未成熟の果実は有毒のシュウ酸化合物等を含有するが、成熟すると甘くなる(食用にはならない)。


◇生活する花たち「蝋梅①・蝋梅②・さんしゅゆの実」(横浜・四季の森公園)

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12月21日(金)/冬至

2012-12-21 09:21:35 | Weblog

★柚子の香に頬のほのかに温まる  正子
お風呂でぽかぽかと、身の回りに柚子を浮かしては手に取り、香りを楽しんでおられます。(祝恵子)

○今日の俳句
一しきり霰の音を硝子戸に/藤田洋子
急な冷え込みに、霰が一しきり降り、硝子戸を叩く。家居の静かさを驚かす天気の荒れに、冬の緊張がある。「一しきり」が詩情を生んだ。(高橋正子)

○柚子湯
★柚子湯して妻とあそべるおもひかな/石川桂郎
冬至には、かぼちゃを食べて柚子湯(柚子風呂)に入る、とういうのが決まった冬至の過ごし方だが、子どものころは、かぼちゃは夏に収穫したものを冬至用にとっておいたのを煮て食べさせられたので、おいしいはずもなかった。柚子風呂は、子どものころの記憶にないが、冬のあいだは、食べた蜜柑の皮を布の袋に入れてお湯に浮かしていた。これでもよい香りがしていた。結婚してからは、柚子を買ってきて柚子風呂をたてている。子どもたちはぷかぷか浮く柚子をボールのようにして面白がったが、私も浮いている柚子をあっちへやったり、こっちへ寄せたりして楽しんでいる。そうすれば、一句浮かぶか、という算段でもある。

○蒲の穂絮

[蒲の穂絮/東京白金台・自然教育園]   [空を飛ぶ蒲の穂絮/東京白金台・自然教育園]

★天をとび樋の水をゆく蒲の絮/飯田蛇笏
★浄水の放流蒲の絮も翔(か)く/品川鈴子
★蒲の絮飛び立つ風のありにけり/石平周蛙

★蒲の穂絮ひっきりなしに吹かれ飛ぶ/高橋正子

20日、良い天気。白金台の国立自然教育園へ信之先生と出掛けた。この時期は、花はほとんどなく、実物と呼ばれるものが多かった。冬紅葉も四季の森、綱島市民の森とまた違った趣があった。ハリギリ、イヌクワ、こなら、あぶらちゃん、ごんずい、いろはもみじ、おおもみじなどが黄葉していた。実は、浦島草、むさしあぶみのサトイモ科の珍しい実も見つけた。多いのは、万両、千両、藪柑子。からたちばなの実は、ようやく一つついていた。きちじょうそうという藪蘭に似た植物も、薄紫の藪蘭のような小花と南天ほどの赤い実がついていた。きちじょうそうは、葉を触ると、やわらかく、しなやかだ。水生植物園では、蒲の穂絮が蒲の穂を離れ、ひっきりなしに飛んでいた。水に落ちたものは、水に浮いている。蒲や葦のなかに小鳥が良く鳴いていたが、名前がわからない。水生植物園の出口では、サルトリイバラの実も見つけた。また、さね葛も随分大きな赤く熟れた実を付けていた。水生植物園を出て、武蔵野植物園へ回ると、藤袴、おとこえしなどは、名札のみが立って、葉や茎など見分けがつかなかった。ただ、竜胆は、蕾のまま立枯れて、わずかに薄紫が残っていた。この植物園は、こならが多いのかもしれない。どんぐりがおびただしく落ちて、踏まれてか、土にめり込んでいた。結構いろいろな植物を見た年末であった。

 ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。円柱状の穂は蒲の穂と呼ばれる。北半球の温暖な地域やオーストラリアと日本の北海道から九州の広範囲に分布する。池や沼などの水辺に生える。葉は高さ1-2 mで、水中の泥の中に地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりでありソーセージに似た形状である。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る。風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる。
 蒲の穂絮は、ガマの果穂のことで、多数の小さい果実の集まりである。長い白い毛をもった実が風に乗って舞うようになる。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。 また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。

◇生活する花たち「実葛の実・池に浮く蒲の穂絮・千両」(東京白金台・国立自然教育園)

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12月20日(木)

2012-12-20 08:28:05 | Weblog
★木賊生う地より突き立つ濃き緑  正子
木賊という植物の名と実物とは、私の中で一致してはいなかったのですが、濃い緑でまさに地より「突き立つ」さまのこの植物には確かに見覚えがあります。茎はぎざぎざしていて、竹のように節があって、子どもの頃それで遊んだようにも記憶しています。「木賊」だったのですね。 (小川和子)

○今日の俳句
冬椿蕾結べりきっぱりと/小川和子
冬椿の蕾の固さが凛とした空気に「きっぱりと」した姿を特に印象付けている。(高橋正子)

○枇杷の花

[枇杷の花/横浜日吉本町]

★枇杷の花咲くや揚屋の蔵の前 太祇
★枇杷の花鳥もすさめず日くれたり 蕪村
★輪番にさびしき僧やびはの花 召波
★職業の分らぬ家や枇杷の花/正岡子規
★人住んで売屋敷なり枇杷の花/高浜虚子
★枇杷の花しくしく氷雨下りけり/臼楕亞浪
★枇杷咲いて長き留守なる館かな/松本たかし
★誰か来さうな空が曇つている枇杷の花/種田山頭火
★忘れゐし花よ真白き枇杷五瓣/橋本多佳子
★枇杷が咲く金の指輪の指細り/三橋鷹女
★人影のあとの供華清し枇杷の花/中村汀女
★かたまれることは倖せ枇杷の花/神蔵器
★ほころびてあたたかさうな枇杷の花/片山由美子

 ビワ(枇杷、学名: Eriobotrya japonica)は、バラ科の常緑高木およびその果実。冬、枝先に帯黄白色の五弁の小花をつける。目立たない花ではあるが芳香があり、この季節に咲く花としては趣がある。
 中国南西部原産。英語の「loquat」は広東語「蘆橘」(ロウクワッ)に由来する。日本には古代に持ち込まれたと考えられている。またインドなどにも広がり、ビワを用いた様々な療法が生まれた。中国系移民がハワイに持ち込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まった。トルコ、レバノン、ギリシャ、イタリア南部、スペイン、フランス南部、アフリカ北部などでも栽培される。
 葉は互生し、葉柄は短い。葉の形は20cm前後の長楕円形で厚くて堅く、表面が葉脈ごとに波打つ。縁には波状の鋸歯がある。枝葉は春・夏・秋と年に3度伸長する。花芽は主に春枝の先端に着く。花芽は純正花芽。花期は11~2月、白い地味な花をつける。花弁は5枚。葯には毛が密に生えている。自家受粉が可能で、初夏に卵形をした黄橙色の実をつける。果実は花たくが肥厚した偽果で、全体が薄い産毛に覆われている。


◇生活する花たち「冬椿・山茶花・帰り花(つつじ)」(横浜・綱島)
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12月19日(水)

2012-12-19 05:32:24 | Weblog
  藤沢
★栴檀の実に藤沢の白き雲  正子
旧東海道五十三次を歩かれた折、藤沢宿にての御句と存じます。葉の落ちた栴檀の木に、黄熟した実が残っています。しかしその実は高木に生り、冬空を仰がなければ、なかなか視界に入りません。栴檀の実が心にとまる折、景色は決まって空と一緒。「藤沢の白き雲」には、少し遠出をなさり、歴史に想いを馳せるまなざしが窺われ、広々とした心地になります。 (川名ますみ)

○今日の俳句
冬晴れて登ることなき山のぞむ/川名ますみ
冬晴れに高い山が望める。その山に自分は決して登ることはできないが、その山の姿のすばらしさに、登ることはかなわないが、せめて心だけでも登ってみたい思いや憧れがある。(高橋正子)

○冬椿

[冬椿/横浜西綱島]

★火のけなき家つんとして冬椿/小林一茶
★海の日に少し焦げたる冬椿/高浜虚子
★鶴とほく翔けて返らず冬椿/水原秋桜子
★まだ明日の逢はむ日のこる冬椿/中村汀女

★冬椿蕾ゆるきは肥後らしき/高橋正子
★誰からも見えぬ方向き冬椿/高橋正子
★冬椿鉄条網を隠しあり/高橋正子
★冬椿小さき白には青空を/高橋正子

 冬に咲く早咲きのツバキ。寒椿(かんつばき)。[季]冬。
 椿は、花が美しく利用価値も高いので万葉集の頃からよく知られたが、特に近世に茶花として好まれ多くの園芸品種が作られた。美術や音楽の作品にもしばしば取り上げられている。18世紀にイエズス会の助修士で植物学に造詣の深かったゲオルク・ジョセフ・カメルはフィリピンでこの花の種を入手してヨーロッパに紹介した。その後有名なカール・フォン・リンネがこのカメルにちなんで、椿にカメルという名前をつけた。19世紀には園芸植物として流行し、『椿姫』(アレクサンドル・デュマ・フィスの小説、またそれを原作とするジュゼッペ・ヴェルディのオペラ)にも主人公の好きな花として登場する。和名の「つばき」は、厚葉樹(あつばき)、または艶葉樹(つやばき)が訛った物とされている。「椿」の字の音読みは「チン」で、椿山荘などの固有名詞に使われたりする。なお「椿」はツバキとは無関係のセンダン科の植物チャンチン(香椿)の意味で使われることもある。
 ツバキの花は花弁が個々に散るのではなく、多くは花弁が基部でつながっていて萼を残して丸ごと落ちる。それが首が落ちる様子を連想させるために入院している人間などのお見舞いに持っていくことはタブーとされている。この様は古来より落椿とも表現され、俳句においては春の季語である。なお「五色八重散椿」のように、ヤブツバキ系でありながら花弁がばらばらに散る園芸品種もある。

◇生活する花たち「山茶花・柊・桜黄葉」(横浜日吉本町)
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12月18日(火)

2012-12-18 06:36:17 | Weblog
★青空の光りを弾き辛夷花芽/高橋正子
辛夷花芽は和毛の様なものに覆われて何時も天を指しています。春に咲く準備を整え、青空の光りを弾く力強い辛夷花芽が見えてまいります。辛夷には青空が一番良く似合っています。(佃 康水)

○今日の俳句
出漁や妻に焚き火の温み置き/佃 康水
出漁まで夫婦で焚火をして体を温めていたのだが、体も温もって、妻を残して船音もかるく漁に出て行った。漁師夫婦の情愛が焚火をとおして温かく詠まれている。(高橋正子)

○侘助

[侘助/横浜日吉本町]

★侘助の莟の先きに止まる雪/松本たかし
★侘助や波郷破顔の大写真/水原春郎
★侘助や茶釜に湯気の立っており/多田有花

★侘助へ寺の障子の真白かり/高橋正子
★日表も葉影も侘助うす紅/高橋正子

 横浜日吉に移って来る前は、愛媛に住んでいたが、松山郊外の砥部の自宅は百坪を少し超えていたので、いろいろ好のみの庭木や草花を植えていた。特に椿は三十本以上もあっただろうか。冬の初めに初嵐が咲き、それから赤い侘助が咲いて、名の知らないものから、肥後や乙女なども順次咲いた。裏の谷川に添って藪椿が茂り、年末からほちほち花を咲かせた。不意に来客があるときは、この枝を一本もらうこともあった。それなりの恰好がついたのである。

 ワビスケ(侘助)   中国産種に由来すると推測される「太郎冠者(たろうかじゃ)」という品種から派生したもの。「太郎冠者」(およびワビスケの複数の品種)では子房に毛があり、これは中国産種から受け継いだ形質と推測される。一般のツバキに比べて花は小型で、猪口咲きになるものが多い。葯が退化変形して花粉を生ぜず、また結実しにくい。なおヤブツバキの系統にも葯が退化変形して花粉を付けないものがあるが、これらは侘芯(わびしん)ツバキとしてワビスケとは区別される。 花色は紅色~濃桃色~淡桃色(およびそれらにウイルス性の白斑が入ったもの)が主であり、ほかの日本のツバキには見られないやや紫がかった色調を呈するものも多い。少数ながら白花や絞り、紅地に白覆輪の品種(湊晨侘助)などもある。 名前の由来としては諸説あり、豊臣秀吉朝鮮出兵の折、持ち帰ってきた人物の名であるとした説。茶人・千利休の下僕で、この花を育てた人の名とする説。「侘数奇(わびすき)」に由来するという説。茶人・笠原侘助が好んだことに由来する説などがある。


◇生活する花たち「柊・茶の花・錦木紅葉」(横浜日吉本町)
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12月17日(月)

2012-12-17 07:44:19 | Weblog
★南天に日はうららかに暮れにけり  正子
南天の実は赤く、冬ざれの景の中ではよく目につきます。
難(なん)を転(てん)ずる願いを込めて庭などにもよく植えられます。南天に夕陽が射しその赤色を一層鮮やかにします。穏やかに一日が終わった安堵感を感じます。(古田敬二)

○今日の俳句
初霜の大地へざくりと杭を打つ/古田敬二
初霜に強張った大地に杭を打ち込む。「ざくり」が人間の力強さ、また迫力をよく表わしている。(高橋正子)

○梔子(くちなし)の実(山梔子/くちなし)

[梔子の実/横浜日吉本町]

★山梔子に提灯燃ゆる農奴葬/飯田蛇笏
★竜安寺道くちなしの実となりぬ/村上麓人
★山梔子の実のみ華やぐ坊の垣/貞弘 衛
★くちなしの実のつんつんと風の中/安斉君子
★くちなしの実の日に映えて黙しけり/かるがも

 クチナシ(梔子、巵子、支子、学名:Gardenia jasminoides)は、アカネ科クチナシ属の常緑低木である。野生では森林の低木として自生するが、むしろ園芸用として栽培されることが多い。果実が漢方薬の原料(山梔子)となることをはじめ、様々な利用がある。樹高1-3 mほどの低木。葉は対生で、時に三輪生となり、長楕円形、時にやや倒卵形を帯び、長さ5-12 cm、表面に強いつやがある。筒状の托葉をもつ。花期は6-7月で、葉腋から短い柄を出し、一個ずつ花を咲かせる。花弁は基部が筒状で先は大きく6弁に分かれ、開花当初は白色だが、徐々に黄色に変わっていく。花には強い芳香があり、学名の種名「jasminoides」は「ジャスミンのような」という意味がある。10-11月ごろに赤黄色の果実をつける。果実の先端に萼片のなごりが6本、針状についていることが特徴である。また側面にははっきりした稜が突き出る。
 東アジア(中国、台湾、インドシナ半島等)に広く分布し、日本では本州の静岡県以西、四国、九州、南西諸島の森林に自生する。八潮市、湖西市および橿原市の市の花である。果実が熟しても割れないため、「口無し」という和名の由来となっている説もある。他にはクチナワナシ(クチナワ=ヘビ、ナシ=果実のなる木、つまりヘビくらいしか食べない果実をつける木という意味)からクチナシに変化したという説もある。(ウィキペディア)

◇生活する花たち「アリストロメリア・サンタンカ・ユリオプスデージー」(横浜・綱島)

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