曇
曇
●『すべては音楽からうまれるー脳とシューべㇽト』(茂木健一郎著・PHP新書)はクラッシク好きの脳科学者の書で、茂木氏が話したことを女性編集者が文章にしたとある。読んでいる時、茂木氏はこんなに女性的な文章を書く人だったのかと思ったが、そういう事情だったかと。面白いのは後半3分の1のルネ・マルタンとの「ラ・フォル・ジュルネ」についての対話。
この本で印象に残ったことを一つ挙げるなら、「心を動かされる」ということ。
クラッシクを聞き、心を動かされることはよくある。では、作曲家は、何に心を動かされて作曲するかということ。バッハは別として、モーツアルトは生まれた街のザルツブルグの風景が
曇
●私の「俳句添削教室」に「昆布」を使った俳句が投句された。
「おにぎりの昆布に磯のかほりかな」
一読して、おにぎりの昆布は佃煮だから、昆布に季節を感じない。あるいは逆に昆布を夏の季語と知って無理やり夏の景色に封じ込めれば、それなりの季節感がないでもないような気分になる。
角川歳時記では夏の季語としての「昆布」はなく、「昆布刈る」「昆布干す」が夏の季語として載っている。「昆布」は夏の季語ではなく、「昆布刈る」「昆布干す」となってはじめて季語として成立するのではと思うが、どうなのか。ちなみに「海苔」は春の季語として角川歳時記に載っている。例句は海苔の採取にまつわる諸事の句が掲載されいている。昆布、海苔を季語としてよい場合は、季節を感じるようでなければ季語の効果はない。
ネット上には、「昆布」は夏の季語として載っている。ネット上の記事を挙げると、①のようにひどいものから、②から④までは何の意味があるのかわからないようなものがある。⑤の「筆まかせ」の例句はまともで参考にできる。
思うに、実際、海で昆布や海苔を見たことのある人が今は少ないので、こんなことが起こっているのだろう。もう一つには、歳時記をお題で経験もないのに想像して俳句を作る作り方に問題があるのだろう。
①夏の季語「昆布(こんぶ)」を使った俳句一覧 | 俳句の作り方 - 俳句入門 「お~いお茶新俳句」入選を目指して 俳句大学 (jhaiku.com)
- 達磨忌の口とりは昆布に山椒かな / 加舎白雄
- 滝行者今あつあつの昆布茶飲む / 川端茅舍
- 掛け昆布や霜の名残の三棹程 / 河東碧梧桐
- 竿昆布に秋夕浪のしぶきかな / 河東碧梧桐
②きごさい季語歳時記
例句無し
昆布(こんぶ)晩夏
【子季語】
ひろめ
【解説】
岩礁に着生する褐色の大きな海草。夏に船で沖まで出て刈り取っ たり、浅瀬で引いたりする。浜辺で乾燥させ、食料や調味料に利 用する。
【科学的見解】
昆布類は、コンブ科コンブ属の褐藻類であり、複数種が含まれている。マコンブは、北海道函館を中心に分布し、調味料や菓子などに利用されている。その変種としては、リシリコンブが挙げられ、北海道利尻島を中心に分布し、高級昆布として知られている。その他、ミツイシコンブ(別名:日高昆布)やオニコンブ(別名:羅臼昆布)など、北海道周辺に有用昆布類が分布している。(藤吉正明記)
ひろめ
【解説】
岩礁に着生する褐色の大きな海草。夏に船で沖まで出て刈り取っ たり、浅瀬で引いたりする。浜辺で乾燥させ、食料や調味料に利 用する。
【科学的見解】
昆布類は、コンブ科コンブ属の褐藻類であり、複数種が含まれている。マコンブは、北海道函館を中心に分布し、調味料や菓子などに利用されている。その変種としては、リシリコンブが挙げられ、北海道利尻島を中心に分布し、高級昆布として知られている。その他、ミツイシコンブ(別名:日高昆布)やオニコンブ(別名:羅臼昆布)など、北海道周辺に有用昆布類が分布している。(藤吉正明記)
③こども歳時記(長谷川櫂監修)
例句無し
④きごさい
昆布刈(こんぶかり) 三夏
【子季語】
昆布刈る/昆布採る/昆布干す/昆布舟
【解説】
夏に大きく成長した昆布を解禁日を待ち沖に出て刈り採ること。北海道や東北など冷たい海で採れる昆布は上質で珍重される。
昆布刈る/昆布採る/昆布干す/昆布舟
【解説】
夏に大きく成長した昆布を解禁日を待ち沖に出て刈り採ること。北海道や東北など冷たい海で採れる昆布は上質で珍重される。
⑤筆まかせ
昆布刈る
昆布刈る の例句(←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/22818741/
昆布刈る 補遺
さいはてや夏も荒れつぎ流れ昆布 鈴木真砂女 夏帯
たわたわと乳房揺るるや昆布干し 加藤秋邨
ときをりに昆布干し女の光りとなる 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
アイヌ部落沖に昆布の一扁舟 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
トラック唸る朝過剰に白い昆布積み 赤尾兜子 蛇
一心に見つむ寄せくる波の昆布 山口青邨
一木もなくて祠や昆布の浜 富安風生
三伏の幾野を越えて昆布の地 飯田龍太
児は遊ぶ昆布干場に何かして 山口誓子
入学や昆布ほしたる学びの舎 山口誓子
夏汐や磯に突き出し昆布小屋 高浜年尾
大浪の寄せては昆布もたらせる 山口青邨
子も犬も早起昆布漁の浜 津田清子
岬の日の一日分の昆布たたむ 岡本眸
岬の道昆布あふれて蝦夷桜 角川源義
帯のごとかがやかしては昆布とる 山口青邨
干昆布塩吹く日南笹鳴いて 村山故郷
引上ぐる昆布に波が蹤いてくる 津田清子
或る時は和布ばかりや昆布干場 阿波野青畝
放牧の馬と昏れゆく昆布小屋 松村蒼石 雪
昆布の村寒暁マッチ明りほど 鷹羽狩行
昆布の貨車と客車二輛の根室線 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
昆布ほす陽の青々と燃えにけり 西島麦南 人音
昆布干すや日高山系海に尽き 鈴木真砂女 夏帯
昆布干すソーラン節の記念碑に 阿波野青畝
昆布干す炎天海の紫紺なす 松崎鉄之介
昆布干す道の辺たまる女声 角川源義
昆布干す陰ゆ泳ぎ子をどり出づ 松崎鉄之介
昆布揚ぐ体も舟も傾きて 津田清子
曇り来し昆布干場の野菊かな 橋本多佳子
朝日が呼ぶ海の青さと昆布馬車 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
棹前昆布の舟いさましと岬に佇つ 角川源義
民宿が昆布干場を占めにけり 阿波野青畝
汐泡の段をなしては昆布育つ 阿波野青畝
波打つて昆布干されぬ尻屋岬 大野林火 雪華 昭和三十九年
海にうねられ激しく歩く昆布屋の前 永田耕衣
海猫群れ昆布生成の潮温るむ 飯田蛇笏 山響集
白波のレースふちどる昆布の浜 山口青邨
知床を楯として昆布揺れゐなり 阿波野青畝
短夜の念々昆布に執着す 水原秋櫻子 晩華
秋潮に必死の糧の昆布ひろふ 能村登四郎
竿昆布に秋夕浪のしぶきなき 河東碧梧桐
船鍛冶の谺と知りぬ昆布干場 阿波野青畝
花冷えや国訛りの駅に昆布くれぬ 角川源義
雨気こめて襟裳はるけき昆布拾ひ 飯田龍太
風筋に七輪炎立つ昆布浜 角川源義
鮫汁に昆布なめらかな凝りやう 河東碧梧桐
鶺鴒のいざなひ昆布の納沙布岬 角川源義
以上
雨
豆腐屋のラッパ響けり走り梅雨 正子
降る雨の雫に混じりえごの花 正子
咲きほこる薔薇にびっしり雨が沁む 正子
●一日雨。近所の薔薇、それぞれに工夫していて、素晴らしいと思いつつ、全然俳句にならない。どこをどう見ればよいのか。幻惑されているのかもしれない。
曇のち雨
●午前リハビリへ。帰りにURの団地の中でいろいろ野草の花を1本ずつ10種類ぐらい抜いて帰った。手もとの図鑑で調べようと思って抜いてきたが、調べたい花が載っていない。ひとつわかったのは、「ぺらぺらよめな」。名前が面白いが最近よく見かける。同じ茎の花ながら、色がすこしずつ違う。
●午後、センター北へ買い物。孫に頼まれている『まんが日本の歴史③』と『はじめてのげんそずかん』(セオドア・グレイ著 創元社)、『どっちが強い!?ハチvsクモ』を買う。『はじめてのげんそずかん』はきれいでシンプル。たしかに、副題が「せかいでいちばんうつくしい」となっている絵本。
●ランチョンマットを替えたいと思っているが、自分で縫ったものなので捨てがたい。それに、なかなか扱いやすいランチョンマットが売っていない。夏に向けてさっぱりしようと、ユザワヤで布を50センチ買って3枚縫った。角はこだわって額縁仕上げに、乾きやすいように一重。次出かけたときは色違いを買い、また3枚縫うつもり。
曇り
●今日は何とか信之先生を皮膚科のクリニックへ。2月に診察を受けて以来いってないので、「あれあれ、はじめから治療のやり直し」と言われる。病院へ来ること自体が一苦労。病院へ行くときは、何日も前からそろりと予告して、頭にしみ込ませておかねばならない。
晴
●天気がよいのは今日までらしい。大物を洗う。明日より天気は崩れ、週末は雨。
●全身が固くなった感じ。煎餅蒲団のせいか、背中が痛む。多分、疲れがたまっていると判断して、今日は洗濯をすませたら、すぼらに過ごすことにした。こういうところが、高齢者なのだと、気づく。
●ロシアにいるピアニストが、動画でピアノを弾くときの手の格好を説明していた。ピアノの蓋に手を上向きに置いて脱力。その形をキープして鍵盤におろせばいいと。それをキーボードに応用したら、なんと、間違いなく、やわらかく、早く打てる。
曇り、一時雨。
●5月月例ネット句会入賞発表
入賞発表は、信之先生の選が遅れているので、正子選だけでとりあえず済ませた。
●秀之さんの俳句10句にぷらす2句が送られて来た。12句から5句選ぶ。真夜中になったが、添削と選をして、メールで返信した。
晴れ
●5月月例ネット句会。
句会、いつもは13名だが、きょうは11名。
●今日は母の日ということで、句美子がケーキを持ってきてくれた。花はもういいからと断っていたので、ケーキになった。玄関にミニバラを花瓶にいっぱい活けていたら、「これじゃ、花はいらないわ。」と一言。去年母の日に句美子がくれたミニバラを植え替えて育てたら、あふれる程咲いた。意外と丈夫。
●ケーキは梨の入ったキャラメリゼしたケーキ。カシスのケーキ、苺のケーキ。日吉駅から矢上の方へ歩いて行った少し奥まったところのケーキ屋さんとのこと。
●夜、秀之さんから俳壇7月号へ投句のための10句が送られて来る。句を印刷して、眺めながら、添削しようとおもったが、疲れて頭がまわらない。考えないで、寝てしまう。
曇
谷戸口に樹齢いくばく栃の花 正子
花嫁が混じりておりぬ夏電車 正子
●昨日、港の見える丘公園へ行った。中華街駅を出て「やとさか」へ出ると、目の前のフランス山の登り口に栃の大樹に白い花が湧き立つように咲いていた。
きのう、自分でも栃の花の句を作ったが、今日ネットで栃の花を検索して、久女の句に出会った。久女の句は全く読んだこともなかったのだが、こういうこともあるのかと、あまり驚きもしなかった。久女の句に「ぞ」があるのは、彼女の芯の強さ。自分に無いところと気づいた。
仰ぎ見る樹齢いくばくぞ栃の花/杉田久女
●フランス山。きのう登った。登り口に栃の大樹が2本ある。円錐花序の白い花に、赤みがかった色が見える。フランス山の麓なので、マロニエかと思ってぶら下がっている樹木札を確かめたが、「栃の木」と書いてあった。マロニエ(西洋栃の木)の実には棘があるとのこと。マロニエではないかと、疑いを持つ。こんど秋に来て確かめよう。階段を上った。麓に梅花ウツギが咲いている。階段で結構人とすれ違った。頂上に着くと、例の風車が立っている。都忘れ、蔓桔梗、薄紫や紫のパンジーで、一面薄紫色がひろがっている。その中に石楠花がの白い花や赤い花が花びらを透かせて咲いている。かつて井戸水を組み上げた風車が一基。三色旗の色に羽が塗られているというが、オレンジ色っぽくて、よくわからない。今も水をくみ上げているらしい。フランス山からばら園へ出た。
ばら園は、コロナで2年は開園されなかったと思う。何年か前、この薔薇園の続きのポートヒルホテルで一泊して水煙大会をした。レストランのフルコースもよかったが、港の丘の場所がよかった。そのときより薔薇園が整備されている。アーチやパーゴラが作られたり、薔薇の手入れも行き届いている。
ばら園の端から港が見える。この日は、港は霧で真っ白だった。手前に氷川丸の煙突と黒い船尾、向こうの大桟橋に停泊している客船の煙突はくっきり見える。写真に撮ろうとしたが、スマホのカメラが動かない。(家に帰って再起動したら動いたが。)せっかくの景色も、薔薇も噴水も撮ることができなかった。しなしながら、残念という気持ちもそれほど湧かなくて、目に映ったものだけ、記憶して、ばら園を出た。すぐ近くの近代文学館では吉田謙一展が開かれていた。ポスターに吉田謙一のフランスの文学者っぽい風貌の半身写真があった。寄り道をするには時間がなく、文学館には寄らないで帰った。
港の見える丘に来るとき、中華街駅を出ようとしたら、白い花束をもった男性が改札へ向かって階段を急いだ。間もなく、白いドレスの裾を摘んで、花嫁が現れた。電車に乗る花嫁。みんなどんな視線を送ったのだろうか、それとも無関心だったのだろうか。ともかくも、花嫁が電車に乗るくらい、いい季節なのだ。
曇、ときどき晴れ。
谷戸口に樹齢いくばく栃の花 正子
●午後すぐ、用事で横浜ゲートタワーに行く。みなとみらい線の新高島下車.
このビルは去年できたばかりで3階がシェアオフィスになって、ここに用事。新高島駅の出口1をまっすぐまっすぐ上り、まっすぐ歩きビルに着く。出口を間違えれば、迷うことになる。
受付らしいものはないが、英語の看板のあるどこかの会社らしいカウンターに女性が二人。ここで聞くしかないと思い、「お尋ねしてもよろしいでしょうか。」と自分では普段言わない日本語を話してしまった。「誰べえです。」というと「うかがっております。」と言ってGUESTと書いた首から掛ける名札をくれた。ここは受付なのかもしれない。しばらくロビーで待って事務所の人と会った。
さっき、「お尋ねしますけど、」と言おうとしたのだが、ちょっと躊躇したとたん、テレビで聞く妙な日本語「お尋ねしてもよろしいでしょうか。」と言ってしまった。まるで英語のCan I ask you ,,,? の直訳のような言い回し。聞いていいかどうか尋ねて物を聞く。どうしてそこまで気を遣う、ゆきすぎ。
信之先生によく聞き返される。耳が遠いせいもあるのだが、譲らない相手に対して、こちらとしては、言い方がまずかったかと言いなおす。たびたびなので、自分の話した日本語が通じているかどうか、非常に気になる。それに、毎日のように自分の俳句を推敲していて、だれかの俳句も添削していて、だれかの言葉に深く入り込んで、それらは普段話す言葉ばかりではないから、普段話す日本語がおかしくなっているのではと、ひょっと思う。
●ゲートタワーでの用事が終わって、帰ろうとすると、帰り道を案内してくれた。「ありがとうございます。いえいえ、来た方の電車に乗りますから。」「えっ。」「港の見える丘公園に薔薇を見にいきますので。家には帰りは5時と言ってありますから。」事務所の人はにっこり。ここまで来て、薔薇を見のがすことはないので、来た方の下り電車で終点、元町中華街まで乗った。
晴
玄関に立夏のアロマよく匂い 正子
薔薇活けてざっくりと敷く白リネン 正子
更地の畑きぬさや豌豆すずなりに 正子
●今年はアブラムシが全然いない。こんなに全然いない年は経験したことがない。逆に、大丈夫かなとも思う。薄暑といいながらも、空気がひんやりしている。わが家のミニミニ薔薇がよく咲くのはいいけれど。
●You Tubeに『バカの壁』の養老孟司先生の「生活の知恵」と言う講演を切り取ったような話が出現したので、数話聞いた。禅問答のような話もあるが、つい聞いてしまう。口癖は、「そうでしょ」。これで同意し、納得させられているのかも。それに落ちとして「虫」が出て来る。
●髪が落ち着かないので、カットしてもらう。前のカットからちょうど1か月。正直な髪の伸び具合。出かけたついでに、暑くなりそうなので、無印でTシャツを1枚買った。あまり似合っているとは言えないが、いいことにして。太番手の木綿の少しざっくりした生地。
晴れ
●日吉東急にあったヤマダ電機がなくなって、エディオンが新しく離れたところにできた。午後、ひとり、店の見物に出かけた。もっぱら2階のデジタル製品だけ2時間ほど見た。電子ピアノ、ステレオ、パソコン、カメラなど。
目新しいデジタル製品がある。電子メモ、クーピーのデジタルペン、リングライト、双眼鏡、面白いデジタルカメラ、ピントが自動で合う老眼鏡。いろいろ見ると、デジタル化に体が追いついていない、取り残されている感じがだんだん強まってきた。電子ピアノやキーボードが楽器店ではなく、電器店で売られている。ステレオがそうだから、それもそうかもしれないが。
電子ピアノに楽譜が置かれていたので、どんな音か弾いて見た。「エディオンマーチ」の楽譜だった。外に出ると広い駐車場、そしてすぐには高架を東横線が走っている。高架を潜り、徒歩でバス通りに沿って帰る。歩いているうち、デジタルの世界から少し解き放たれた感じになった。バス通りは家並みの若葉や花が輝いている。煉瓦造りのアパートが建設中。わが家のあたりはどの家も薔薇が満開。
●菖蒲を買ってきたので、今日菖蒲湯を立てる。
晴れ
薔薇咲いて改憲論の処々に湧き 正子
ばら剪りぬ真新しき軍手はめ 正子
薔薇咲いてとろとろ煮えるカレー鍋 正子
●まだ「ウィーン」が頭に残っていて、なんとなくgoogleのヨーロッパの地図を開いた。ウィーンは私が思うよりいつも東にある。ウィーンの位置がなかなかインプットされない。ドナウ河が流れ、東欧はすぐ。
●松野苑子第3句集『遠い船』を読み、礼状を認めた。苑子さんは1947年山口生まれ。
「身体感覚が詩的に浄化され一句となっているのが目立つ。自分のある一線を崩さず詠みっきっているのは素晴らしい。母を亡くしたり、乳がんの手術を受けたりと、沈みこんだ時を時の経過とともに尊さが増してきている。」
『遠き船』より好きな句(15句)
小鳥屋の百の扉や冬日中
摘草のときどき横の姉を見て
夜は星吹き出してゐる葱畑
夏蒲団と私の体との隙間
海底に沈みゆくごと髪洗ふ
春の日や歩きて遠き船を抜く
風鈴や山に山影ぶつかりて
指入れて指長くなる泉かな
草笛に草の味してまだ鳴らず
見舞ふたび命減りゆく母や春
息せねば母は骸や夏の月
父母亡くてこの世よく晴れ蒲団干す
桜ふぶき人のかたちを消してゆく
礼状に桃描く桃の香の中に
菜の花の大地の起伏光りあふ
曇、ときどき晴れ
かしわ葉のやや朽ち色に柏餅 正子
透きとおるまでわらび餅火を入れて 正子
花あけびいつも斜め上にあり 正子
●ネット短信No.379を発信。
5月月例ネット句会の案内、花冠7月号の投句依頼。
●奥の細道むすびの地記念館『共鳴』4月号(星野勝選出)より
落葉掻く匂いを立たせ園丁ら 髙橋正子
雲雀鳴く空広く町つつましき 小川軽舟(鷹)
天窓に日の射し来る七日粥 名村早智子(玉梓)
人来るたび榾を足しゐる除夜焚火 伊藤政美(菜の花)
春渚一歩に波の転げきて 和田順子(繪硝子)
みちのくや雪に寝る夜の雪の夢 名和未知男(草の花)