俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

5月31日(日)

2015-05-31 08:14:28 | 日記
★木にひたとこげら飛び来て森五月  正子
初夏の森です。こげら(キツツキの一種)が飛んできて、森の木にひたと取りつきました。五月の賑やかな森の作業が始まるのです。愉しい気分に溢れています。(河野啓一)

○今日の俳句
夏潮の青く広きや船の旅/河野啓一
「夏潮」は青さを特徴とするものであるが、「広き」が加わり、船旅の開放感を詠み手にも味あわせてくれる。(高橋正子)

○南瓜の花

[南瓜の花と実/横浜緑区北八朔町(2012年5月30日)]_[南瓜の花/横浜緑区北八朔町(2013年5月24日)]

★南瓜咲く室戸の雨は湯のごとし/大峯あきら
★貧乏な日本が佳し花南瓜/池田澄子
★黄の濃さよ日の出前なる花南瓜/両角竹舟郎
★朝早き車窓に南瓜の花を見き/高橋正子

南瓜は、ウリ科カボチャ属(学名 Cucurbita)の総称である。特にその果実をいう。原産は南北アメリカ大陸。主要生産地は中国、インド、ウクライナ、アフリカ。果実を食用とし、カロテン、ビタミン類を多く含む緑黄色野菜。 日本における呼称類はこの果菜が、国外から渡来したことに関連するものが多い。一般にはポルトガル語由来であるとされ、通説として「カンボジア」を意味する Camboja (カンボジャ)の転訛であるとされる[3]。 方言では「ぼうぶら」「ボーボラ」などの名を用いる地方もあり、これはやはりポルトガル語で、「カボチャ」や「ウリ類」を意味する abóbora (アボボラ)に由来するとされる。 ほかに「唐茄子(とうなす)」「南京(なんきん)」などの名もある。 漢字表記「南瓜」は中国語: 南瓜 (ナングァ; nánguā)によるもの。英名は pumpkin (パンプキン)であると理解されている場合が少なくないが、実際には、少なくとも北米では、果皮がオレンジ色の種類のみが pumpkin であり、その他のカボチャ類は全て squash (スクウォッシュ)と総称される[4]。 したがって日本のカボチャは、kabocha squash (カボチャ・スクウォッシュ)などと呼ばれている。属名Cucurbita はラテン語で、一般的には「ウリ」と訳される語を転用したもの。


◇生活する花たち「未央柳(びようやなぎ)・釣鐘草・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月30日(土)

2015-05-30 07:58:20 | 日記
 港の見える丘公園
★薔薇を見しその目に遠き氷川丸  正子
横浜港にほど近い薔薇園のようですね?色とりどりの薔薇の花を愛でた後遠くに目を向ければ、青い海の彼方に氷川丸の白い船体が望まれる・・・。如何にも爽やかな初夏の光景が想起され、好きな句です。 (桑本栄太郎)

○今日の俳句
かしましき程の田道や揚ひばり/桑本栄太郎
田道は しずかに明るく、雲雀を邪魔するものもない。雲雀が野の明るさを謳歌している。(高橋正子)

○茄子の花

[茄子の花/横浜日吉本町(2010年6月3日)]_[茄子の花/横浜市都筑区川和町(2013年5月21日)]

★この辺でかみ合ふ話茄子の花/稲畑汀子
★ふだん着の俳句大好き茄子の花/上田五千石
★雨あとの土息づくや茄子の花/松本一枝
★茄子の花茄子に映つてをりにけり/木暮陶句郎

 茄子(なす)は、ナス科ナス属の植物。また、その果実のこと。原産地はインドの東部が有力である。その後、ビルマを経由して中国へ渡ったと考えられている。中国では広く栽培され、日本でも1000年以上に渡り栽培されている。温帯では一年生植物であるが、熱帯では多年生植物となる。日本には奈良時代に、奈須比(なすび)として伝わった。土地によっては現在もそう呼ばれることがある。女房言葉により茄子となった。以降日本人にとってなじみのある庶民的な野菜となった。葉とヘタには棘があり、葉には毛が生えている。世界の各地で独自の品種が育てられている。加賀茄子などの一部例外もあるが日本においては南方ほど長実または大長実で、北方ほど小実品種となる。本州の中間地では中間的な中長品種が栽培されてきた。これは寒い地域では栽培期間が短く大きな実を収穫する事が難しい上に、冬季の保存食として小さい実のほうが漬物に加工しやすいからである。しかし食文化の均一化などにより野菜炒めや焼き茄子など、さまざまな料理に利用しやすい中長品種が全国的に流通している。日本で栽培される栽培品種のほとんどは果皮が紫色又は黒紫色である。しかしヨーロッパやアメリカ等では白・黄緑色・明るい紫、さらに縞模様の品種も広く栽培される。果肉は密度が低くスポンジ状である。ヘタの部分には鋭いトゲが生えている場合がある。新鮮な物ほど鋭く、鮮度を見分ける方法の一つとなるが、触った際にトゲが刺さり怪我をすることがある。収穫の作業性向上や実に傷がつくという理由から棘の無い品種も開発されている。品種によってさまざまな食べ方がある。小実品種は漬物、長実品種は焼き茄子、米茄子はソテー。栄養的にはさほど見るべきものはないが、東洋医学では体温を下げる効果があるとされている。また皮の色素ナスニンは抗酸化作用があるアントシアニンの一種である。なかには、「赤ナス」のような観賞用として生け花などにも利用されているもの(熊本県などで「赤ナス」の商品名で栽培されている食用の品種とは別物)もある。赤ナスは食用のナスの台木としても用いられる(観賞用の赤ナスは味などにおいて食用には適さないとされる)。

 茄子の花は野菜の花のなかでも、句に詠まれることが多い。茄子は、濃い紫の茎、紫の色を残した緑の葉、うす紫の花、そして紫の実とその色合いが少しずつ違って一本となっている。その中で茄子の花の芯は一つ黄色で、そのおかげで花が生きている。夕方、野菜畑に水をやるときには、もっとも涼しそうな花である。

★茄子の花葉かげもっとも涼しかり/高橋正子
★茄子の木にもっとも淡し茄子の花/高橋正子


◇生活する花たち「紫陽花・カルミア・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月29日(金)

2015-05-29 06:58:01 | 日記
★蔓ばらの空に咲きたる聖五月   正子
薔薇は明るく華麗な花であり、その咲き方にもいろいろあるようです。なかでも庭園のアーチや大きな家のフェンスなどに昇り咲く蔓ばらの賑わいは、太陽光に満ち満ちた空や風に更なる光を散りばめてくれています。「聖五月」という表現はそんな蔓ばらに似つかわしく輝きます。(小西 宏)

○今日の俳句
段なして植田それぞれ空を持つ/小西 宏
田ごとに空が映つる植田は、目にも涼やかで美しい。早苗の緑と、空の映る田水が段をなしている棚田の風景は、日本の残したい風景。(高橋正子)

○胡瓜の花

[胡瓜の花/横浜市緑区中山町(2012年5月26日)]_[胡瓜の花/横浜市都筑区川和町(2013年5月21日)]

★蝶を追ふ虻の力や瓜の花/正岡子規
★夕鰺を妻が値ぎりて瓜の花/高浜虚子
★生き得たる四十九年や胡瓜咲く/日野草城
★雲ひくし風呂の窓より瓜の花/芥川龍之介
★土蔵もて史蹟としたり瓜の花/富安風生
★瓜咲くや一つになつて村の音/永田耕衣
★肌合いの届くところに胡瓜咲く/成宮颯

胡瓜は、(キュウリ、Cucumis sativus L.)とはウリ科キュウリ属のつる性一年草、およびその果実のことである。かつては熟した実を食用とした事もあったが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになった。インド北部、ヒマラヤ山麓原産。日本では平安時代から栽培される。胡瓜の「胡」という字は、シルクロードを渡って来たことを意味している。「キュウリ」の呼称は、漢字で「木瓜」または「黄瓜」(きうり)と書いていたことに由来する。上記の通り現代では未熟な実を食べる事からあまり知られていないが、熟した実は黄色くなる。尚、現代では「木瓜」はボケの花を指す。温暖な気候を好むつる性植物。栽培されているキュウリのうち、3分の2は生で食することができる。種子は暗発芽種子である。雌雄異花ではあるが、単為結果を行うため雄花が咲かなくとも結実する。主に黄色く甘い香りのする花を咲かせるが、生育ステージや品種、温度条件により雄花と雌花の比率が異なる。概ね、雄花と雌花がそれぞれ対になる形で花を咲かせてゆく。葉は鋸歯状で大きく、果実を直射日光から防御する日よけとしての役割を持つ。長い円形の果実は生長が非常に早く、50cmにまで達する事もある。熟すと苦味が出るため、その前に収穫して食べる。日本では収穫作業が一日に2~3回行われる(これには、日本市場のキュウリの規格が小果であることも一因である)。夏は露地栽培、秋から初春にかけては、ハウスでの栽培がメインとなり、気温によっては暖房を入れて栽培することもある。しかし、2003年から2008年の原油価格の価格高騰により、暖房をかけてまでの栽培を見送る農家も少なくない。果実色は濃緑が一般的だが、淡緑や白のものもある。根の酸素要求量が大きく、過湿により土壌の気相が小さい等、悪条件下では根が土壌上部に集中する。生産高は2004年、2005年は群馬県が第一位であったが、2006年からは宮崎県が第一位である。


◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)

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5月28日(木)

2015-05-28 10:23:27 | 日記
★竹落葉わが胸中を降るごとし  正子
竹は初夏に新葉が生じると古い葉を落とす。作者も初夏の気持ちの良い新緑の中で新しい勇気が湧き上がってくる。素敵ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
郭公や牧草ロールおちこちに/小口泰與
心地よい夏の牧場の風景。郭公が鳴き、牧草ロールが遠く、近くに点在する。よい時間が流れている。(高橋正子)

○信之先生誕生日。84歳。昼はうなぎ。夜は鯛。茄子の田楽。一番おいしいのは茄子の田楽でした。
芍薬の花の咲くとき誕生日/正子

近所の古家が壊され、更地となる。李の木根元から掘り起こされた。
更地となり李数顆がころがれる/正子

○栃の花

[紅花栃の木(べにばなとちのき)/横浜市都筑区牛久保]
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5月27日(水)

2015-05-27 10:22:40 | 日記
★浜名湖の水の五月を新幹線  正子

○今日の俳句
晴れて今日裸足の季節始まりぬ/多田有花
裸足が気持ちがよいのは少し暑さが加わった晴れた日。今日はちょうどそんな日なので、裸足ですごすことに。「晴れて」裸足の季節が始まるという当たり前のようだが、そこに意外性がある。(高橋正子)

○未央柳(びようやなぎ)

[びようやなぎ/横浜日吉本町]

★彼女眉目よし未央柳をむざと折る/高浜虚子
★水辺の未央柳は揺れ易し/清崎敏郎
★傘ひらく未央柳の明るさに/浜田菊代
★モンローの忘れ睫の美女柳/杉本京子
★胡姫の舞おもはす未央柳かな/富岡桐人

 未央柳は、キンシバイと同じ時期に咲くから、どちらも知らない人には同じ花と目に映るかもしれない。キンシバイは、花が梅の様だし、蕊が長くない。未央柳は、蕊が金色の糸のように長い。絵に描いた美人の長い睫毛とも見える。私が身近で未央柳を見かけるようになったのは、昭和40年代も終わりのころ。日本の景気が上向いて新興住宅団地が開拓され、庭つきの家が売り出された。庭も簡単に設計されて、樫などの裾を隠すために未央柳が植えられているのをよく目にした。住人が好んで植えたようでもない。日吉本町では、公園や公団、小さいビルの根方に植えられている。低木で花が沢山つくので、設計した庭の植え込みには便利がよいのだろう。水と合わせて植えれば、もっと風情がよくなるだろうといつも思う。

★夕映えは未央柳の蕊にあり/高橋正子

 未央柳(ビヨウヤナギ、学名:Hypericum monogynum)はオトギリソウ科の半落葉低木。別名「美女柳(びじょやな)」、「美容柳(びようやなぎ)」、「金線海棠(きんせんかいどう)」。中国原産。唐の長安の宮殿「未央宮」にかかわる名前で、柳の葉に似ていることからだが、これは日本名。中国では金糸桃と呼び、おしべがまさに金の糸。 半常緑性の小低木で、よく栽培されている。花期は6-7月頃で、黄色の5枚の花弁のある花を咲かせる。キンシバイにも似るが、特に雄蕊が長く多数あり、よく目立つ。雄蕊の基部は5つの束になっている。葉は十字対生する。7月14日の誕生花(未央柳、花言葉は「幸い」(未央柳)。


◇生活する花たち「山紫陽花・あさざ・がまずみ」(東京白金台・自然教育園)
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5月26日(火)

2015-05-26 10:21:26 | 日記
★金魚鉢きらめくものを子が飼えり  正子
金魚鉢の中で生きる小さな命たち。その「きらめく」命の輝きを日々いとおしみ、観察し育てる子どもたち。また、その子どもたちの姿を見守る母の、慈愛に満ちた眼差しを感じさせていただく御句です。(藤田洋子)

○今日の俳句
開いては菖蒲の高さ揃いたり/藤田洋子
菖蒲のあでやかな花が印象づけられる。どれも同じ丈に咲きそろう菖蒲の見事さ。(高橋正子)

○スイートピー

[スイートピー/横浜日吉本町]

★スイートピー薩摩切子の藍深く/水原春郎★
★百本のスイトピーとて一握り/稻畑汀子★
★来客を待つ卓上のスイートピー/羽根田和子★
★レントゲン終へてスイートピーの部屋にゐる/田中章子★
★風のあるさまに活けたるスイートピー/塩路隆子★
★スイートピー眠くなるほど束にする/高橋正子

 スイートピー (Lathyrus odoratus) は、マメ科レンリソウ属の植物。和名では、ジャコウエンドウ(麝香豌豆)やカオリエンドウ(香豌豆)、ジャコウレンリソウ(麝香連理草)などと呼ばれている。地中海沿岸原産で、日本では主に観賞用として栽培される。品種によって一年草や多年草がある。酸性用土ではうまく育たず、直根性で移植を嫌う。ふつう秋蒔きする。中世までは雑草扱いされていた。園芸植物として栽培されるようになってからも改良のスピードは遅く、本格的に改良、交配が進むのは19世紀後半に至ってからであった。トレヴァー・クラークとヘンリー・エックフォードの尽力により、多彩な品種が誕生した。エドワード朝のアレクサンドラ王妃はスイートピーを愛し、祝いの場では装飾としてスイートピーがふんだんに用いられ、エドワード朝を象徴する花となった。
 有毒植物であり、成分は同属の種に広く含まれるアミノプロピオニトリル (β-aminopropionitrile) で、豆と莢に多く含まれる。多食すればヒトの場合、神経性ラチリスム (neurolathyrism) と呼ばれる痙性麻痺を引き起こし、歩行などに影響が出ることがある。他の動物では骨性ラチリスムと呼ばれる骨格異常が生じることがある。
 スイートピーを題材とした歌に『赤いスイートピー』があるが、この歌が世に出た1982年1月当時に、赤色の花をつけるスイートピーは存在していなかった。しかし、写真にもあるように、その後、品種改良によって赤色のスイートピーも誕生した。花言葉は「門出・思い出・別離」といわれている。2月15日、3月15日、3月20日、6月9日の誕生花。


◇生活する花たち「紫陽花・カルミア・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月25日(月)

2015-05-25 10:20:08 | 日記
★青葉木菟湯にとっぷりと子と沈む  正子
夕暮れ時でしょうか。遠くから青葉木菟の泣き声が聞こえてきます。お子さんととっぷりとお湯に浸かって、誠に健康的なひとときです。この時季の風情溢れる詠みに惹かれます。(河野啓一)

○今日の俳句
楠若葉並木一筋通学路/河野啓一
楠の若葉は盛り上がるように樹を覆う。その若葉が連なり重なる並木を通学する児童や生徒は健康的だ。(高橋正子)

○飯桐の花

[飯桐の雄花(落花)/東京白金台・自然教育園]_[飯桐の木/東京白金台・自然教育園]

★桐咲くやカステラけむる口中に/原子公平★
★飯桐の落花を見ては木を仰ぐ/高橋信之★
★飯桐の落花あまたよ道濡れて/高橋正子★

 イイギリ(飯桐、学名:Idesia polycarpa)は、イイギリ科の落葉高木。和名の由来は、昔、葉で飯を包んだため飯桐といわれる。果実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)ともいう。イイギリ属の唯一の種。日本(本州以南)、朝鮮、中国、台湾に分布する。秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、栽培もされ、生け花や装飾にも使われる。
 雌雄異株。高さは15-20m。葉は互生、枝先に束性し、キリやアカメガシワに似て幅広い。葉柄は長く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身の付け根にある)。雄花も雌花も同じように黄緑色で3-5月頃咲き、円錐花序となり垂れ下がる。花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。雄花には多数の雄蕊がある。雌花にも退化した雄蕊があり、子房上位。果実はブドウの房のように垂れ下がる。液果で直径1cmほど。熟すと真っ赤になり、多数の細かい種子を含む。果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ。白実の品種もある。


◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)
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5月24日(日)

2015-05-24 11:21:59 | 日記
★卯の花の盛りや雷雨呼びそうに  正子
卯の花と言えば昔歌った童謡「夏は来ぬ」を思い出します。真っ白い花は清々しく夏の訪れを感じさせますが、またこの頃には田植えの時期と同時に梅雨の時期でも有ります。「卯の花の盛りや」に対し梅雨よりももっと強い「雷雨呼びそうに」と詠われ、真っ盛りの卯の花がより印象深く思われます。(佃 康水)

○今日の俳句
青空の高きへ掲ぐ朴の花/佃 康水
実際、朴の花はこの通りである。高く聳える木に朴の花は上を向いて咲く。仰いでもその花は下から眺めるのみで、「青空の高きへ掲ぐ」は実直な見方。それが、堂々としてよい。(高橋正子)

○蛍袋

[蛍袋/横浜日吉本町]_[蛍袋/横浜・四季の森公園]

★宵月を蛍袋の花で指す/中村草田男
★子を思へば蛍袋が目を掠む/佐野良太

 蛍袋は、釣鐘型の形がかわいい。ちょうど蛍が飛ぶときに咲くので、蛍を入れるには恰好の入れ物。朝霧の中でうつむいて咲いている姿から、何を考えているのだろうかと思うときもある。関西には白い蛍袋が多くて、関東には紫がかったものが多いと聞く。事実、横浜あたりで見たのは紫がかったものばかり。たまには白いのも見てみたい。山路へ踏み込んだところや、山を切り開いて作られた新興住宅地など、思わぬところに咲いている。学名は「カンパニュラ・・」と呼ばれる。「カンパネルラ」と間違えそうになる。こちらは、宮沢賢治の銀河鉄道の夜に出てくる少年の名前だが。子どもの絵本に「十四匹のあさごはん」というのがあって、その絵本には、夏の朝の森が涼しそうに描かれていた。そういう時、蛍袋は主役の花である。

★蛍袋霧濃きときは詩を生むや/高橋正子

 ホタルブクロ(蛍袋、Campanula punctata Lam.)とは、キキョウ科の多年草。初夏に大きな釣り鐘状の花を咲かせる。開けたやや乾燥した草原や道ばたなどによく見られる草本で、全体に毛が生えている。根出葉は長い柄があり、葉身はハート形。匍匐枝を横に出して増殖する。初夏に花茎を延ばす。高さは、最大80cmくらいにまでなり、数個の釣り鐘型の花を穂状につける。花は柄があって、うつむいて咲く。山間部では人里にも出現する野生植物であるが、美しいので山野草として栽培されることも多い。花色には赤紫のものと白とがあり、関東では赤紫が、関西では白が多い。ヤマホタルブクロ(学名、Campanula punctata Lam. var. hondoensis (Kitam.) Ohwi)は、ホタルブクロの変種で、山地に多く生育する。ほとんど外見は変わらないが、萼片の間が盛り上がっている。一方、ホタルブクロは萼片の間に反り返る付属片がある。園芸植物として親しまれているカンパニュラ(つりがねそう)は、同属植物で、主に地中海沿岸地方原産の植物を改良したものである。


◇生活する花たち「未央柳(びようやなぎ)・釣鐘草・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月23日(土)

2015-05-23 08:17:56 | 日記
★燕子花を抱え一束の湿り  正子
燕子花は湿地に群生します。そのの花束を抱えて、感じられる花の湿り。燕子花らしさが御句に漂っています。(多田有花)

○今日の俳句
若葉山抜けて琵琶湖の真青なる/多田有花
若葉の山を越えて見えるもは、真っ青に水を湛えた琵琶湖である。初夏の琵琶湖の真青さは、爽快に目に映るだろう。また、若葉の色と湖の青とが美しい色合いである。(高橋正子)

○釣鐘草

[釣鐘草/横浜日吉本町]

★釣鐘草道をなじみし土着の子/貞弘 衛
★どの花も青い光よ釣鐘草/高橋正子
★畳屋が育てて愛す釣鐘草/高橋正子

○フェアリーのベルを鳴らせよ釣鐘草(ブログ「二〇世紀ひみつ基地」より)
 盛夏から晩夏にかけて、釣鐘形で薄青紫の可憐な花をつける、キキョウ科の多年草・ツリガネニンジン(釣鐘人参)、別名・ツリガネソウ(釣鐘草)。春先の若葉は山菜として、ゴマ和えや天ぷらで食され、細いニンジン状の根も食用にするほか、漢方では咳止め・去痰薬として使われる。ツリガネニンジンをトトキともいい、長野県の俗謡に「山でうまいはオケラにトトキ 里でうまいはウリナスビ 嫁に食わすも惜しゅうござる」とうたわれるほど珍重された山菜だった。オケラはキク科の多年草でこれも若葉を食べる。秋田県内での呼び名(方言)は、トドキ、トットキ、ヤマダイコン、ヌノバなど。
 妖精が宿るかのような愛らしいその花は詩人たちに愛され、宮沢賢治は「ブリューベル」青いベルと呼んだ。

あやしい鉄の隈取りや
数の苔から彩られ
また捕虜岩(ゼノリス)の浮彫と
石絨の神経を懸ける
この山巓の岩組を
雲がきれぎれ叫んで飛べば
露はひかってこぼれ
釣鐘人参(ブリューベル)のいちいちの鐘もふるえる
‥‥後略‥‥
           宮沢賢治『早池峰山嶺』より

風が吹いて草の露がバラバラとこぼれます。つりがねそうが朝の鐘を、
「カン、カン、カンカエコ、カンコカンコカン」と鳴らしています。
                    宮沢賢治『貝の火』より

釣鐘草 野口雨情

小さい蜂が 来てたたく
釣鐘草の 釣鐘よ
子供が見てても 来てたたく
大人が見てても 来てたたく
釣鐘草の 釣鐘よ
静かに咲いてる 釣鐘よ

   『青い眼の人形』より

風の子供 竹久夢二

風の子供が 山へ出て
釣鐘草をふきました
釣鐘草は目をさまし
ちんから ころりと 鳴きだすと
薄(すすき)も桔梗も刈萱(かるかや)も
みんな夢からさめました
‥‥後略‥‥
      『日本童謡集』より


◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)
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5月22日(金)

2015-05-22 08:39:08 | 日記
★葉桜に夜も残れる空の紺  正子
見事で、賑わった桜も葉桜となりました、夜はまだ空色が残っている。静かになった夜景です。
(祝恵子)

○今日の俳句
若葉光手つなぎ歩くいとこ達/祝恵子
若葉の輝く季節、小学生ぐらいのいとこ達であろうか、集まって、行楽にでかけるのであろう。「手つなぎ歩く」には、兄弟姉妹だけよりも、広がりのある身内のたのしさが、若葉の季節を得て、かろやかに詠まれた。(高橋正子)

○十薬(ドクダミ)

[十薬/横浜日吉本町]

★どくだみや真昼の闇に白十字/川端茅舎
★十薬や四つの花びらよごれざる/池内友次郎
★叢に十薬花を沈め咲き/星野立子
★十薬の根の長々と瓦礫より/細見綾子
★測量の人十薬に踏み込みぬ/稲畑汀子
★十薬や夜へ突立つ坂がかり/鷲谷七菜子
★花言葉なき十薬は十字切る/上田五千石
★毒だみや十文字白き夕まぐれ/石橋秀野

十薬は、生薬名の十薬(じゅうやく、重薬とも書く)で、ドクダミ(蕺草、学名:Houttuynia cordata)ともいわれ、ドクダミ科ドクダミ属の多年草。 住宅周辺や道ばたなどに自生し、特に半日陰地を好む。全草に悪臭がある。開花期は5~7月頃。茎頂に、4枚の白色の総苞(花弁に見える部分)のある棒状の花序に淡黄色の小花を密生させる。本来の花には花弁も、がくもなく、雌しべと雄しべのみからなる。加熱することで臭気が和らぐことから、日本では山菜として天ぷらなどにして賞味されることがある。他の香草と共に食されるドクダミ(ベトナム)、また、ベトナム料理ではザウゾプカー(rau giấp cá)またはザウジエプカー(rau diếp cá)と称し、主要な香草として重視されている。ただし、日本に自生している個体群ほど臭気はきつくないとも言われている。中国西南部では「折耳根(ジョーアルゲン 拼音: zhéěrgēn )」と称し、四川省や雲南省では主に葉や茎を、貴州省では主に根を野菜として用いる。根は少し水で晒して、トウガラシなどで辛い味付けの和え物にする。生薬として、開花期の地上部を乾燥させたものは生薬名十薬(じゅうやく、重薬とも書く)とされ、日本薬局方にも収録されている。十薬の煎液には利尿作用、動脈硬化の予防作用などがある。なお臭気はほとんど無い。 また、湿疹、かぶれなどには、生葉をすり潰したものを貼り付けるとよい。


◇生活する花たち「ネーブルの花・八朔の花・すだちの花」(横浜日吉本町)
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5月21日(木)

2015-05-21 08:37:09 | 日記
★アカシヤの花に青空寄りかかる  正子
青空が寄りかかるというのが、アカシアが視点の中心の大きなところを占めていることがよくわかって、初夏の清々しさを醸し出しています。(高橋秀之)

○今日の俳句
木漏れ日の眩しさの中蝶々舞う/高橋秀之
木漏れ日のちらちらする中にまぎれるように飛ぶ蝶々。すずやかな光景だ。(高橋正子)

○山ぼうしの花

[山ぼうし/横浜日吉本町]

★鳥寄せや夜眼ほのかなる山法師/水原秋櫻子
★山法師咲けば記憶のある山路/稲畑汀子
★その上の雲より白く山法師/林翔
★遥か見るとき遥かなる山法師/篠崎圭介
 京都
★早起きの眼に満開の山ぼうし/高橋信之

 ヤマボウシ(山法師、山帽子、学名 Benthamidia japonica )はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。高さ5~10メートル。幹は灰褐色。葉は対生し、楕円(だえん)形または卵円形で長さ4~12センチ、全縁でやや波打つ。花は6~7月に開き、淡黄色で小さく、多数が球状に集合し、その外側に大形白色の総包片が4枚あり、花弁のように見える。山地に普通に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。街路樹・庭園樹・公園樹としても用いられる。材は器具材として用いられる。近縁にハナミズキ(アメリカヤマボウシ)があるが、こちらの果実は集合果にならず、個々の果実が分離している。
 山法師は、ずっと以前はなじみがなかった。花みずき(アメリカヤマボウシ)が住宅地や並木に植えられるようになって(今や銀座の通りを飾るようになって)、山法師を知ったといってもいい。その名前が愉快ではないか。松山に住んでいたころは、近くの総合公園に山法師があった。階段となった坂道なので、花を間近に真上から見ることができた。そういえば、似たような花に、小石川植物園のハンカチの木がある。そろそろ白い包片をひらつかせているころか。
 ★山に入り身近な花の山法師/高橋正子


◇生活する花たち「未央柳(びようやなぎ)・釣鐘草・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月20日(水)

2015-05-20 08:59:01 | 日記
★竹藪にあまりに明るししゃがの花  正子
しゃがの花は少し日蔭となる場所を好み、鄙びてあまり目立つ花ではないものの、群生となれば別ですね。群生するほどの沢山のしゃがの花に出会われ、その時の驚きが想われます。鄙びた花姿の中に、趣きのある素敵な一句です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
竹皮を脱ぐや常なる一幹に/桑本栄太郎
下五の「一幹に」がいい。今年の竹の誕生と成長を言葉の意味でも、また「イッカン」という音の響きでも。(高橋信之)

○朴の花

[朴の花/横浜都筑区ふじやとの道]

★朴散華すなはち知れぬ行方かな/川端茅舎
★朴咲く山家ラヂオ平地の声をして/中村草田男

ホオノキ(朴の木、Magnolia obovata、シノニム:M. hypoleuca)はモクレン科の落葉高木。
大きくなる木で、樹高30m、直径1m以上になるものもある。樹皮は灰白色、きめが細かく、裂け目を生じない。葉は大きく、長さ20cm以上、時に40cmにもなり、葉の大きさではトチノキに並ぶ。葉柄は3-4cmと短い。葉の形は倒卵状楕円形、やや白っぽい明るい緑で、裏面は白い粉を吹く。互生するが、枝先に束生し、輪生状に見える。花も大型で大人の掌に余る白い花が輪生状の葉の真ん中から顔を出し、真上に向かって開花する。白色または淡黄色、6月ごろ咲き芳香がある。ホオノキは花びらの数が多くらせん状に配列し、がく片と花弁の区別が明瞭ではないなど、モクレン科の植物の比較的原始的な特徴を受け継いでいる。果実は袋果で、たくさんの袋がついており、各袋に0 -2個の種子が入っている。葉は芳香があり、殺菌作用があるため食材を包んで、朴葉寿司、朴葉餅などに使われる。また、落ち葉となった後も、比較的火に強いため味噌や他の食材をのせて焼く朴葉味噌、朴葉焼きといった郷土料理の材料として利用される。葉が大きいので古くから食器代わりに食物を盛るのに用いられてきた。6世紀の王塚古墳の発掘時には、玄室の杯にホオノキの葉が敷かれていたのが見つかった。材は堅いので下駄の歯(朴歯下駄)などの細工物に使う。また、水に強く手触りが良いため、和包丁の柄やまな板に利用されたり、ヤニが少なく加工しやすい為、日本刀の鞘にも用いられる。樹皮は厚朴または和厚朴といい、生薬にする。

朴の花を見たのは、一昨年が初めて。横浜市営地下鉄北山田駅を出ると、「ふじやとの道」という緑道がある。行きあたりに池のある徳生公園があり、その公園の小高い丘にある。5月16日には、白い朴の花が咲いていた。花は真っすぐを向いて咲くので、しかも高木なので、梯子をかけてでもないと真上からの花は見えない。ところが運よく、朴の木よりも高く丘に道が付いている。その道を上り、朴の花を見ることができた。花の良い香りもする。これほどまでに匂うとは思わなかった。朴葉寿司、朴葉焼きなど山国の郷土料理であろう。朴のまな板は、台所にあったし、朴の高下駄は、兄なども新制高校だったが、戦後まもないときだったので通学に履いていた。
下駄で思い出すのだが、下駄の生産では日本一とう松永という町が、生家からバス三十分ほど行ったところにあった。塩田は廃止されたが、塩田と下駄で有名で、小さな松永湾には下駄に使う松の木を沢山浮かばせてあった。今でもそうだろう。お盆が来ると田舎の子どもたちは下駄を新調してもらった。下駄の歯がすり減ってなくなるまで履いた。大人になっても、サンダルではなく下駄を愛用したときもあった。日本の夏は、素足に履けば心地よいのは下駄である。

★朴の花栃の花見てゆたけしや/高橋正子
★朴の花わが身清めて芳しき/高橋正子
★花の香をたより登れば朴の花/高橋正子(2015.5.17)

◇生活する花たち「釣鐘草・薔薇・卯の花」(横浜日吉本町)
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5月19日(火)

2015-05-19 08:58:00 | 日記
★新緑の翳るときあり水があり  正子
日にきらめく新緑も曇り空の下では翳る時もあり、雨のあとなどでは水を含んでいる時もあるが、却ってそれが煌めきを助長して見える、と解釈しました。表面的な理解かもしれませんが、軽やかで印象に残る御句です。(河野啓一)

○今日の俳句
伊予水軍夏潮分けしその昔/河野啓一
夏潮の流れるさまを見れば、その昔、この夏潮を分けて伊予水軍が活躍したことが偲ばれる。とうとうとした夏潮の流れである。(高橋正子)

○蜜柑の花

[蜜柑の花/横浜日吉本町]

★全山に蜜柑花つけ通過駅/斎藤おさむ
★花蜜柑匂ふよ沖の船あかり/武田孝子
★花蜜柑の匂い池への斜面を流れ/高橋信之
★人の住む町に蜜柑の花香る/高橋正子(2015.5.15)

蜜柑の花の匂う季節となった。蜜柑の匂いは、やはり蜜柑どころが圧巻。蜜柑生産量日本一を愛媛が誇っているかどうか知らないが、愛媛に住んだころは、蜜柑畑の蜜柑の花の匂いに一日中包まれて暮らした。買い物に通る道も、子どもたちの通学路も蜜柑の花の匂いが漂う。家に居ても窓を開けていれば、蜜柑の花の匂いが流れてくる。夜、眠るころになるとさらに高く匂う。その匂いを惜しんで窓を閉めた。
「みかんの花咲く丘」の歌詞は、私にはまるで瀬戸内海の風景として見えるが、実際は静岡県ということだ。

みかんの花咲く丘
【作詞】加藤 省吾
【作曲】海沼 実

1.みかんの花が 咲いている
  思い出の道 丘の道
  はるかに見える 青い海
  お船がとおく かすんでる

2.黒い煙を はきながら
  お船はどこへ 行くのでしょう
  波に揺られて 島のかげ
  汽笛がぼうと 鳴りました

3.何時か来た丘 母さんと
  一緒に眺めた あの島よ
  今日もひとりで 見ていると
  やさしい母さん 思われる

◇生活する花たち「ネーブルの花・八朔の花・すだちの花」(横浜日吉本町)

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5月18日(月)

2015-05-18 09:34:58 | 日記
★豆飯の飯の白さに風抜ける  正子
豆ごはんの緑が鮮やかに仕上って、ごはんの白さがより際立ち美味しそうに炊き上がりました。ご飯の白さに一瞬初夏の風が抜ける様な爽やかさを感じ取られ「風抜ける」と表現されたのでしょう。少し塩味の聞いた初夏ならではの豆ごはんが食卓に上っています。(佃 康水)

○今日の俳句
船窓に見え来る全山島若葉/佃 康水
船窓から島の全山が見え始め、さらに近付くと島を覆い尽くす若葉の鮮やかさに、息をのむような感動を覚える。(高橋正子)

○木苺

[木苺/横浜日吉本町]

★木苺に滝なす瀬あり峡の奥/水原秋桜子
★裾重く聖尼ばかりの木苺摘み/草間時彦

 木苺(キイチゴ・学名:Rubus palmatus・バラ科キイチゴ属)は、原産地が西アジア、アフリカ、欧州、アメリカで、ラズベリーやブラックベリー、デューベリー等、木になるイチゴ(苺)の総称。 春に、苺の花に似た5弁の白花を咲かせる半落葉低木で、葉はヤツデのような掌に似た形(深裂)をしている。初夏に橙色の小さな粒々が多数集まり、食用となる球状の果実を付ける。果実は、果汁が多く、爽やかな酸味と仄かな甘味がある。木苺の葉は、秋に綺麗に紅葉するので、別名をモミジイチゴ(紅葉苺)とも呼ばれる。
 5月白い花が咲き、青い実を結ぶ。野生でよく見るのは、オレンジがかった黄色に熟れるものだ。山道を車で通るときにもところどころに見つかる。里山を歩いても道沿いに見つかる。たくさん摘んだことはなく、一粒二粒熟れているのを採って食べた程度だ。わが家の近くでは、日吉本町の鯛ケ崎公園と、駒林神社の下手あたりで見つけている。なんでもそうだが、熟れる時期をはずすと、せっかく木苺摘みにでかけても蔕だけになっていることがあって、すごく残念な思いをする。

★木苺を摘みにそこまでブラウス着て/高橋正子
★木苺の実が消えたりしころの山/高橋正子(2015.5.10)

◇生活する花たち「クサイチゴ・イキシャ・山あじさい」(横浜日吉本町)
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5月17日(日)

2015-05-17 09:33:59 | 日記
 明治神宮
★新緑の枝差し交わす神の杜  正子
様々な木々の新緑の枝が交差する、広大な神苑の清々しさに心洗われる思いがいたします。古き神の杜に、新しい生命を生み出す木々の新緑がことのほか瑞々しく新鮮に感じられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
若葉風自転車きらり輪が廻る/藤田洋子
若葉風に吹かれ、自転車の銀輪がきらりと輝いて廻る。初夏の解放感と若々しさの溢れた句。(高橋正子)

○草苺

[草苺/東京白金台・自然教育園(2013年5月20日)]_[草苺の花と実/横浜日吉本町(2013年5月6日)]

★死火山の膚つめたくて草いちご/飯田蛇笏
★草苺藩主の墓の居並びて/宮津昭彦
★草いちご青春暗き沼もありし/山口冬男
★指こはばる掌に草苺盛るほどに/細野恵久

 クサイチゴは本州(岩手県以南)の各地に生育する落葉の小低木。低木と入っても高さは数十cmしかなく、葉も草質であり、イメージは多年生草本である。落葉であると図鑑には記されているが、岡山市では常緑であり、冬にも葉を付けている。気温の低下する場所では落葉となり、丈も低いことから、クサイチゴの名が付いたものであろう。生育地は明るい林縁や草地であり、ポピュラーなキイチゴである。早春に地下茎から新しい茎を出し、開花する。果実が稔るのは5月のおわり頃から6月始めにかけてであり、あっさりとした甘みで食べられる。

 草苺は、見かけは草のように見えるが、実は茎は木質ということだ。5月、野山を歩くと木下などに草苺の白い花を見つける。先日5月6日には、近所の駒林神社と金蔵寺を含む山裾で、花と熟れた赤い実を見ることができた。高いフェンスが張られているので、採ることはできなかった。 一昨年は、明治神宮の森で草苺の花を見つけた。意外と多いのかもしれないが、苺といわれるものは、花も実も可憐だ。この5,6年で食べた野の苺は、苗代苺、木苺、草苺。苗代苺は、もう少し後に花が咲き、実が熟れるが、松山市に住んでいたころ、野茨の咲く畑の崖にあったので、沢山摘んだ。草苺は、松山では食べた記憶がないが、横浜には近所の山裾など方々に見られる。フェンスで取り囲んでいるので採るわけにはいかないが、かわいらしい白い花と実をつけている。木苺も草苺と同じ山裾にあって、そろそろ熟れ始めた。オレンジがかった黄色である。

★大いなる森のはずれの草苺/高橋正子
★草いちご金環食のただ中も/高橋正子
白金台・自然教育園
★草苺植物園の赤きもの/高橋正子(2015.5.10)

◇生活する花たち「芍薬の花蕾・薔薇・卯の花」(横浜日吉本町)
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