俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月26日(月)

2012-03-26 04:21:00 | Weblog
★宵風の白みて強し犀星忌  正子
犀星といえば、「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」との詩が浮かびます。私生児として生まれ、生後間もなく養子に出されるという複雑な生い立ちは犀星文学の原点でしょう。「白みて強し」にその感覚がうかがえます。傷は裏返せば持ち味であり、強さにもなります。(多田有花)

○今日の俳句
頂の三角点に蝶降りぬ/多田有花
世の中あるいは自然界には、説明のしがたいものの良さが多くある。この句もそのひとつ。山頂の三角点に蝶が留まった。敢えて意味づけると、山頂、三角点、三角形の翅。危ういがしかし確かなピンポイント。山頂の春の日の輝きである。(高橋正子)

○雪柳
★月うるむ地にただようて雪柳/石原八束

ユキヤナギ(雪柳、学名:Spiraea thunbergii)は、バラ科の落葉低木。別名にコゴメバナ、コゴメヤナギなど。春に小さい白い花を咲かせる。中国原産という説もあるが、日本原産であると考えられている。特徴は、手を掛けなくても成長し、大きくなると1.5mほどの高さになる。地面の際から枝がいく本にも枝垂れて、細く、ぎざぎざのある葉をつける。花は、3月から5月にかけて、5弁で雪白の小さなものを枝全体につける。そのさまから和名がついた。

雪柳の花ざかりは、枝が見えないほど真っ白になる。雨に散れば小米のような花びらが地面に張り付いてなかなかとれない。コゴメバナとはよくいったものだが、子供のころよく見た小米は、今はどこにいったのだろう。全く見かけない。

★雪柳自由な茎と空気と触れ/高橋正子
★雪柳水のかかれる井戸端に/高橋正子

◇生活する花たち「河津桜」(伊豆河津2011)
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