曇り。裏道にきのうの雪が残る。
春の雪解けてレンガのあかあかと 正子
塵取りに春の雪解け水たまり 正子
春雪に花びら研げり金魚草 正子
花に雪積りては花を透明に 正子
幾たび窓を開けてもさつさつ春の雪 正子
大根の皮にビタミンCが豊富と知りつつ
Cを捨てつつ春大根の皮を剥く 正子
●句集『踝』(近澤有孝著・2020年3月31日刊・喜怒哀楽書房・800円)
が信之先生宛送ってこられる。踝は「くびす・きびす」と読むのか。三次市在住、篠同人。とある。詩を書いてこられたようだ。全然知らない方。
あとがきには経歴もないので、作品でのみ読むしかない。評伝的、伝統的な読みはできない。ただ読んでの印象。
三次の「鵜飼い」「鮎」、「里神楽」は、作者の心情が出ていると思う。詩を書く人と俳句を作る人の違いは、そのdetailの扱いだと思う。言葉とリズムにはソツがないが、それでかえって言葉が滑っているように思える。例えば「七草にひとつ足りない粥を焚き」。
題名は「鈴虫の鈴振りたるを踝できく」から採られている。
好きな句
ハモニカの錆びたブレスや金鳳花
踏青やいずれ故郷を忘れたる
熊蝉や橡の一樹を音叉とし
鵜飼してとりとけものの夢のあと
錆鮎をほぐせば骨はひとすじに
みづをまとひ落鮎まさに火中へと