俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

7月31日(火)

2012-07-31 17:24:43 | Weblog
★冬瓜にさくっという音のみありぬ  正子
涼やかな色の冬瓜を切る音が厨に響きます。冬瓜を切る音も涼やかで、ひとときの安らぎを感じさせてくれます。冬瓜はどんな料理になるのでしょうか。 (井上治代)

○今日の俳句
青空を透かして網戸まっさらに/井上治代
網戸から青空が透けて、その網戸もまっさら。風もよく通り、目に涼しい。さわやかで、清潔感のある句。(高橋正子)

○秋葵(オクラ)の花

[秋葵(オクラ)の花/横浜市緑区北八朔町]

★秋葵川は南へ流れ去る/高橋信之
★秋葵花は黄色を澄ましきる/高橋正子

オクラ(秋葵、Okra、学名:Abelmoschus esculentus)は、アオイ科トロロアオイ属の植物、または食用とするその果実。和名をアメリカネリと言い、ほかに陸蓮根(おかれんこん)の異名もある。英名okraの語源はガーナで話されるトウィ語 (Twi) のnkramaから。沖縄県や鹿児島県、伊豆諸島など、この野菜が全国的に普及する昭和50年代以前から食べられていた地域では「ネリ」という語で呼ばれていた。今日では当該地域以外では「オクラ」という英語名称以外では通じないことが多い。以前はフヨウ属(Hibiscus)に分類されていたが、現在ではトロロアオイ属に分類されている。短期間で50cm-2mほどに生長し、15-30cmの大きさの掌状の葉をつけ、黄色に中央が赤色のトロロアオイに非常に似た花をつける。開花は夜から早朝にかけてで、昼にはしぼんでしまう。開花後、長さ5-30cmの先の尖った形の五稜の果実をつけ、表面に短毛が生えており、熟すと木質化する。原産地はアフリカ北東部(エチオピアが有力)で、熱帯から温帯で栽培されている。エジプトでは、紀元前元年頃にはすでに栽培されていた。アメリカ州では、主に西アフリカから移住させられた奴隷によって栽培が始まり、現在でもアメリカ合衆国南部、西インド諸島、ブラジル北部など、アフリカ系住民の多い地域でよく栽培されている。熱帯では多年草であるが、オクラは少しの霜で枯れてしまうほどに寒さに弱いために、日本では一年草となっている。日本に入って来たのは明治初期である。従来「ネリ」と呼んでいたトロロアオイの近縁種であるため、アメリカネリと名付けられた。現在の日本で主流を占めるのは、稜がはっきりしていて断面は丸みを帯びた星型になる品種だが、沖縄や八丈島などでは大型で稜がほとんどなく、断面の丸いものが栽培されている。他にも莢が暗紅色になるもの(赤オクラ)など亜種は多い。大きくなりすぎると繊維が発達して食感が悪くなるので、角オクラは10cm、丸オクラは15-20cmくらいに成長した段階で収穫される。


◇生活する花たち「蓮の花」(横浜市港北区箕輪町・大聖院)
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7月30日(月)

2012-07-30 03:49:52 | Weblog
★熟れきってまるきトマトの冷やされし  正子
丸々とはちきれそうに熟れて色も鮮明。大きなトマトがどっしりと冷やされて露を帯びている。そんな情景が一瞬にして眼前に現れました。ただただ涼しげです。(小西 宏)

○今日の俳句
大きく晴れし南の空や凌霄花/小西 宏
南の空が広く眺め渡されて、その中にオレンジ色の凌霄花が咲き盛り、絵画的印象の強い句となっている。(高橋正子)

○向日葵

[向日葵/横浜北八朔]

★日まはりの花心がちに大いなり 子規
★葉をかむりつつ向日葵の廻りをり 虚子
★日天やくらくらすなる大向日葵 亞浪
★向日葵や日ざかりの機械休ませてある 山頭火
★向日葵の月に遊ぶや漁師達 普羅
★向日葵やいはれ古りたる時計台 風生
★向日葵もなべて影もつ月夜かな 水巴
★向日葵や月に潮くむ海女の群 麦南
★日を追はぬ大向日葵となりにけり しづの女
★ひまはりのたかだか咲ける憎きかな 万太郎
★向日葵にとほき紺青の波の列 秋櫻子
★キリストに挿せし向日葵のみ新た 青邨
★向日葵の眼は洞然と西方に 茅舎
★向日葵のひらきしままの雨期にあり 汀女
★向日葵に天よりあつき光来る 多佳子
★ひまはりの昏れて玩具の駅がある 鷹女
★高原の向日葵の影われらの影 三鬼
★向日葵に澄む即興の子を守る唄 草田男
★われら栖む家か向日葵夜に立てり 誓子
★向日葵の蘂を見るとき海消えし 不器男
★塀出来て向日葵ばかり見ゆる家 立子
★向日葵や一本の径陰山へ 楸邨
★わだつみの辺に向日葵の黄ぞ沸きし 鳳作
★山畑に向日葵咲きて山よ濃し たかし
★向日葵にひたむきの顔近づき来 波郷
★ゴッホの向日葵切りとられ切口を見せ/高橋信之

  マンションに住んでからは向日葵を咲かせようと思ったこともなかったが、今年は、サカタのタネにミニ向日葵の種を注文した。注文する切っ掛けはあるにはあるのだが、小学生でも育てられる朝顔と向日葵を選んだ。まだ、今日のところはまだ葉っぱが成長中で蕾も見られない。よその向日葵はよく咲いている。町には青空をバックに並んだ向日葵のポスターもあって見るものに元気くれる。
 わが家から東へ数軒先に毎年決まって向日葵を咲かせる家がある。小さな用事の外出に通りすがりに見上げて楽しむ。この家には、2年ほど続けて2メートル以上になる「木立ダリア」が咲いていたが、何の花だろうと、これも見上げて楽しんだ。背丈の高い花がお好きなようだ。

 最近大輪の向日葵を見ることが少なくなった。子どものころの向日葵は大輪だった。種が実ると重くて頭を垂れた。この大輪が「ロシア向日葵」だということを、はるか昔、たぶん中学生のころだろうが、知った。ロシアンケーキ、マ-マレードを入れる紅茶、ロシア民謡など、ロシアのイメージの一つとして記憶していた。それを、今日ここで思い出した。

 向日葵の原産地は北アメリカ西部で、ネイティブアメリカンの食用作物だったとのこと。食用向日葵に、ノースクイーンとか、アメリカンスナックという品種があるらしいが、もっともなこととうなづける。が、私のイメージは、向日葵は東欧かロシアの花のイメージが強い。食用向日葵の種子の生産の先進国は、ロシアとのこと。理由は、ロシア正教のものいみの食品制限で、油脂食品の禁止食品に向日葵が入っていなかったので、ロシアで盛んに栽培されたとのこと。こういうこともあるのか。

丘をなす一面の向日葵畑は、ロマンティックな叙情がある。ゴッホの向日葵も有名だ。ゴッホの向日葵は、向日葵とその背景の色彩が、さすがゴッホと思わせる素敵な色だ。これは大輪ではない。花瓶に活けられた向日葵もまたよい。

 ★向日葵に空の青さがあり余る      高橋正子


◇生活する花たち「睡蓮・すかし百合・すかし百合」(フラワーセンター大船植物園)
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7月29日(日)

2012-07-29 03:17:57 | Weblog
★わが視線揚羽の青に流さるる  正子
ふと、色鮮やかな揚羽蝶との出会い。目に追う揚羽の、美しく爽やかな青の流れです。夏の日差しの中、揚羽の生命の輝きに、揚羽の青の軌跡がいっそう鮮明に印象付けられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
山の雨上り茅の輪の列に入る/藤田洋子
山の雨が、一句の雰囲気を作り出し、夏越し祭の茅の輪の緑が生き生きしている。茅の輪をくぐる順番の列に入って、無事に夏を越せることを祈る。(高橋正子)

○えぞぎく(翠菊・蝦夷菊)

[蝦夷菊/横浜日吉本町]

★蝦夷菊に日向ながらの雨涼し/内藤鳴雪
★独りゆきて吾子蝦夷菊を買ふほどに/星野立子
★蝦夷菊や老医のことばあたたかく/柴田白葉女
★翠菊や妻の願はきくばかり/石田破郷
★蝦夷菊や犬に牽かれて人走る/石原早苗
★蝦夷菊を力強きと見て思う/高橋信之 
 
 蝦夷菊を最近はあまり見ない、と思ったら公民館の少しばかりの空き地に咲いていた。アメリカ芙蓉、向日葵、キンレンカなどと混ぜて植えてあって、男性の老人の方がひもで結わえたりして手入れをしていた。そして思い出したのが、暑い盛り、祖母に言われて仏様にあげる花に蝦夷菊をよく切った。暑いのですぐに茎が傷む。少しでも長くもたせようと、水は冷たい井戸水を汲んで挿した。蝦夷菊は暖かい地方では育ちにくいそうだが、実際そう思う。きれいに咲きそうになると、葉が枯れてきたり、花がしゃっきりしなかったり。なぜか、供花として蝦夷菊がうえられていた。蝦夷菊のとりどりの色が涅槃を想像させるのかとも思う。

★井戸水に活けし蝦夷菊色五色/高橋正子

 エゾギク(蝦夷菊、学名:Callistephus chinensis)は、キク科の園芸植物である。かつてはシオン属 Aster に分類されていたため、一般にアスターと呼ばれているが、現在では1種だけでエゾギク属 Callistephus に分類される。中国北部原産の半耐寒性一年草で、草丈は30-100cmに達する。茎は直立し、葉は柄があり、長楕円形で互生、茎・葉共に白い毛が生えている。花は花径3cmくらいの小輪から10cmを超える大輪まであり、頭花は白・ピンク・赤・藍色などがあり、中心の黄色と美しいコントラストをなす物も多い。花の形には、一重咲きと八重咲き、重ねの厚いぽんぽん咲きがあり、管弁のものもある。日本では江戸時代から改良が進み、日本のエゾギクは欧米でも非常に評価されている。切り花、特に佛花用として栽培されている。中部地方、東北地方、北海道など寒い地方では割合よく育つが、暖地では病気が出やすく栽培しにくい。また、連作障害を起こしやすいので、エゾギクを5年ほど植えていない土地に植える必要がある。花言葉は、同感、追想、信じる心。花占いで恋の行方を占っていたことから、「信ずる心」という花言葉が生まれたとされている。江戸時代には日本へ伝わっていたとされ、当時鹿児島県である薩摩で広く栽培されていた。その地名に因んで薩摩菊とも言われる。

◇生活する花たち「桔梗・ヤブミョウガ・むくげ」(東京・新宿御苑)

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7月28日(土)

2012-07-28 03:17:52 | Weblog
 ドイツの旅平成2年夏
★ラインのぼる巨船の人の裸かな  正子
ライン川はヨーロッパの大動脈のひとつといえる大河です。そこを航行する船も大きく、これは旅客船で日光浴を楽しんでいる人の姿でしょうか。冬の長いヨーロッパの人にとって、夏の日差しは何よりありがたいもの。存分に満喫しておられるのでしょう。(多田有花)

○今日の俳句
高速路青田青嶺を貫いて/多田有花
高速道路は、人家を避けて建設されているので、青田の中や、青嶺を突っ切っている。そこを走れば、爽快この上ない。(高橋正子)

○ネット短信No.155配信

■ネット短信No.155/2012年7月28日発信
□発信者:高橋正子(花冠代表)
□電話:045-534-3290

■□花冠10月号投句受付中
ご投句をお願いします。締切8月10日です。
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

■□第15回(立秋)フェイスブック句会のご案内
①投句:当季雑詠(夏・秋の句)を計3句、立秋など
②投句期間:2012年8月7日(火)午前0時~午後12時(24時)
③互選期間:8月8日(水)午前6時~午後12時(24時)
④入賞発表:8月9日(木)午前0時
⑤伝言・お礼等の投稿は、8月9日(木)午前0時~8月10日(金)午後10時
※句会場(投句場所)は、facebookページ「インターネット俳句センター」です。
http://www.facebook.com/kakan02/

■□今週の秀句
次回は、7月22日(日)~31日(火)の投句分を8月1日(水)に発表し、
8月はお休みとします。
http://blog.goo.ne.jp/kakan111

●高橋正子の俳句日記(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/kakan02/
●インターネット俳句センター
http://kakan.info/

■□8・9月の予定
下記の通り予定が決まりましたので、よろしくご協力をお願いいたします。
○8月1日(水)
  ①今週の秀句(7月22日~31日)発表
  ②7月月間賞発表
○8月7日(火)
  第15回フェイスブック(立秋)句会
○8月10日(金)
  ①花冠10月号投句締め切り
  ②花冠9月号発送予定

○9月1日(土)
  8月月間賞発表
○9月10日(月)
  ①花冠11月号投句締め切り
  ②花冠10月号発送予定
  ③今週の秀句(9月1日~9日)発表
○9月30日(日)
  第16回フェイスブック(十五夜)句会投句


○鬼百合

[鬼百合/東京・新宿御苑]

★亭寂寞薊鬼百合なんど咲く/夏目漱石
★望岳のころの鬼百合おいらん草/和知喜八
★鬼百合も写ってしまう心電図/岸本マチ子
★鬼百合を闘志の花として残す/柴田悦子
★鬼百合あれは出征前夜の父/石倉夏生
★鬼百合に負けてはならじとぞ思う/高橋正子

オニユリ(鬼百合・学名Lilium lancifolium)とは、ユリ科ユリ属の植物。グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に自生する。日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われている。変種に対馬に自生するオウゴンオニユリ(Lilium lancifolium var. flaviflorum)がある。草丈は1~2m程となる大型のユリ。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。茎は紫褐色で細かい斑点がある。花季は7月から8月で、花弁はオレンジ色、濃褐色で暗紫色の斑点を生じる。花弁は強く反り返る。種子は作らないが、葉の付け根に暗紫色のムカゴを作る。鱗茎はヤマユリと同様、食用となる。 花言葉は「賢者」「愉快」「華麗」「陽気」など。


◇生活する花たち「むくげ・コムラサキ・鬼百合」(東京・新宿御苑)

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7月27日(金)

2012-07-27 08:35:00 | Weblog
★初蝉は一蝉遠く鳴いて止む  正子
ふと、遠くから聞こえて来た初蝉の声に気ずき、耳を澄まして見ると途切れんばかりの未だ弱々しい小さな声。それもいつしか鳴き止んでしまった。「鳴いて止む」の措辞には余韻を感じ、生まれたばかりの蝉の様子、そして短いいのちを生き抜く蝉への深い心情が込められている様に思います。(佃 康水)

○今日の俳句
噴水のしぶきや児らを走らせる/佃 康水
噴水のしぶきを避けながらも、喜々として水に濡れたり、水から逃げたりする幼い子たちの無邪気な姿がよく詠めている。(高橋正子)

○新宿御苑
新宿御苑の花たちを見に信之先生と出掛けた。オニユリ、ムクゲ、ヤブミョウガなどが盛りで、沢山写真に撮って帰った。午前9時に自宅を出て、午後2時半頃の帰宅。オニユリは、西休憩所近くで年々、花数が増えているとのことで、見ごたえがあった。千駄ヶ谷休憩所近くでは、ピンクや濃紅色で八重咲きのムクゲが咲いていた。ヤブミョウガ(藪茗荷)Pollia japonica の白い花がみごろで、長く伸びた花茎の先についた真っ白な花は、木陰でひときわ白く輝いていた。
ヤブミョウガは、ツユクサ科の多年草で、葉がミョウガに似ることからこの名がついたが、実際にはミョウガはショウガ科で、全く別物。
http://www.fng.or.jp/shinjuku/shinjuku-index.html

○日日草

[日日草/横浜日吉本町]

★花の名の日日草の凋みけり/後藤夜半
★日日草窓一枚の蜑の家/池上樵人
★働かねば喰えぬ日日草咲けり/佐伯月女
★逞しき日日草や赤と白/高橋信之
★日日草日々掃き寄せてかるき花/高橋正子

ニチニチソウ(日日草、学名: Catharanthus roseus)は、キョウチクトウ科ニチニチソウ属の一年草。学名 Catharanthus(カサランサス)は、ギリシャ語の「katharos(純粋な)+ anthos(花)」が語源で、ニチニチソウ属のこと。roseushaは、「バラ色の、淡紅色の」の意味。初夏から晩秋まで次々に花が咲くので、「日日草」という。原種は小低木で、匍匐する傾向があるが、一般には一年草として、観賞用に改良された品種は、直立するものが多い。葉は長楕円形で、対生する。花は直径3~4cm程度で、花弁は5裂し、色は白、ピンク、赤、赤紫などがあり、中心だけ色が違うものもある。ニチニチソウには、「ビンカアルカロイド」と総称される、10種以上のアルカロイドが、全草に含まれる。そのうちの、ビンクリスチンとビンブラスチンには、細胞分裂阻害作用(チューブリン脱重合による)があり、抗がん剤として用いられるが、脱毛などの副作用・毒性があるので、素人の利用は危険。たんに食すると、嘔吐や下痢程度では済まないことになる。症状 - 中枢神経刺激作用、心機能障害、痙攣、筋肉麻痺、嘔吐。マダガスカル原産で、熱帯各地に野生化する。温帯でも栽培可能である。

◇生活する花たち「鬼百合・サンゴシトウ・ヤブミョウガ」(東京・新宿御苑)

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7月26日(木)

2012-07-26 12:36:19 | Weblog
★白すぎて花おおらかに泰山木  正子
泰山木の花は割と高くに花をつけています。青葉の中での白さが引き立つ花です。大きく白く。なんとなくゆったりとしたおおらかな気持ちになり見あげる花です。(祝恵子)

○今日の俳句
児は透けし袋に水着持ち帰る/祝恵子
泳いだあとの幼い子どもが、透き通った袋に水着を入れて持って帰ったというのであるが、なにもが愛らしい。濡れたままの幼子の髪、かわいい絵柄の透き通った袋、それを持って歩く様子など。(高橋正子)

○縷紅草(るこうそう・るこう)

[縷紅草/横浜日吉本町]

★子規墓に蒔かばやと思ふ縷紅草/高浜虚子
★看護婦と茶飲咄や縷紅草/石田波郷
★塀一面に蔓這わせ縷紅の赤花/高橋信之

 フェンスなどに絡まって、小さい緋色の花と切れ込みの繊細な葉の形が涼しそうだ。特に人目を意識して咲いているようではなく、夏が終わり秋が来るうれしさに咲いているようにも思える。よくよく見れば、花の色は情熱的。熱帯アメリカ原産で江戸時代に渡来して、「縷紅草」という素敵な名前をもらっている。それもこれも、この花の姿による。

★縷紅草農の畑を飾りたり/高橋正子
★縷紅草朝日が昇る方へ向き/〃

ルコウソウ(学名 Quamoclit pennata)は、ヒルガオ科ルコウソウ属。Quamoclit(ルコウソウ属)は、ギリシャ語の「kyamos(豆)+clitos(低い)」が語源。豆の植物のようにつる性で伸び、背が低いことから。pennataは、「羽状の」を意味する。熱帯アメリカ原産で、江戸時代に渡来した。 つる草。夏に、真っ赤な星形または5角形の5弁花が咲く。白や橙色の種類もある。縷紅草の名は、糸のように細い葉で、赤い花を咲かせるところからの命名。縷は、糸のように細長いもののこと。この色は「緋紅(ひこう)色」という。縷紅草は、留紅草とも書く。ルコウソウは星型の小さな花を夏の終わり頃から秋にかけて次から次へと咲かせる。葉は線状で、夏によく茂るが、あまり花は咲かず、8月下旬頃からよく花を咲かせるようになる。つる性で近くの棒などに巻き付いたり、地を這って伸びたりする。


◇生活する花たち「槿/・百日紅・待宵草」(横浜日吉本町)
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7月25日(水)

2012-07-25 02:44:38 | Weblog
★枇杷の実のあかるさ葉ごと買いにけり  正子
まるまるとよく熟れた枇杷の実、長い葉がついているのを葉ごと買ってこられました。黄橙色の美味しそうな枇杷の実、「あかるさ」の言葉に言い尽くされているように思います。葉のついた枇杷は趣きがあって、少し食卓に飾って置きたくなります。 (藤田裕子)

○今日の俳句
朝を歩く吾にポピーの揺れやさし/藤田裕子
何かの用事で、朝、戸外を歩くことがあった。歩く傍にはポピーがそよ風を受けてやさしく揺れている。日常の中にもふっとした小さな詩の世界がある。(高橋正子)

○ブルーベリー

[ブルーベリー/横浜日吉本町]

★ブルーベリー食べし瞳や雲の峰/けい
★ブルーベリー摘む指細し半夏生/けい


 「新潟日報」7月20日号に「ブルーベリー狩り、シーズン迎える」という記事が載った。
 胎内市塩沢の第三セクター果樹園「新潟フルーツパーク」が、ブルーベリー狩りのシーズンを迎えている。16日までの3連休には、市内外から多くの家族連れが訪れ、甘酸っぱい果実と、ブルーベリー畑からの眺めを楽しんでいた。ブルーベリー畑は約25アールで、標高100メートルほどの蔵王山中腹にある。実が大きい「チャンドラー」など6種類約700本が栽培されている。
 6月3日、自宅の菜園でブルーベリーを初収穫。たったの三粒で、一人ひとつぶずつ。市販のものに比べ、すっぱくて、噛めば実が弾ける。このすっぱさが野生味があって、おいしい。ちょうど、すっぱい蜜柑がおいしいように。順次熟れ次第いただく。ただいまフェイスブック句会中だが、ベランダに息抜きに出て実をもいだ。
日吉本町駅から真っすぐ南へ抜ける道路があるが、その道路わきに広い畑が残っている。そこに茂みがあって、小鳥がよく鳴いている。その一画の茂みが気になって、どうしてそこだけ藪のようにしているのだろうと常々思って通りすがっていた。昨年ブルーベリーの苗木を一本購入してからそれがブルーベリーの茂みであることがわかった。かなり沢山実を付けている。その実を摘んでいるのを見たこともない。出荷するのか、自家用がまた気になるところだ。よくよく見れば、一本プルーンの木もたって実がたわわに熟れていた。春、鈴蘭のような幾分青味のある白い花をつける。この花はなぜか落ちやすい。落ちないように気を付けなければ、ブルーベリーは、もちろん実を付けないので、水遣りも気を付けてやっている。ときどき、市販のブルーベリーを買うが、木から直接採って食べるのが一番だ。

★六月に入りたる朝摘むブルーベリー/高橋正子
★六月の葉末に熟るるブルーベリー/高橋正子
★ブルーベリー新樹の冷えにすっぱかり/高橋正子

 ブルーベリー(英: blueberry)は、ツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される北アメリカ原産の落葉低木果樹の総称である。栽培品種の成木の樹高は1.5-3m。春に白色の釣鐘状の花を咲かせ、花後に0.5-1.5cmほどの青紫色の小果実が生る。北米大陸でのみ栽培される野生種に近い品種は数十cm程度の低木である。果実は北アメリカでは古くから食用とされてきたが、20世紀に入り果樹としての品種改良が進み、ハイブッシュ系、ラビットアイ系、ローブッシュ系の交配により多くの品種が作出された。生食用途の他、ジャム等の加工食品として供給されている。長期輸送・市場流通に充分耐えうる品質のものが世界中から日本の市場へ供給され、通関は通常検査で行われる。日本国内ではラビットアイ系品種が1962年にジョージア州から導入され、1968年より東京都小平市で経済栽培が始まり、1971年長野県にハイブッシュ系が導入され、群馬県・新潟県・山梨県・宮城県など栽培に適した高冷地を中心に各県で生産されるようになった。東北地方では岩手県の岩手大学の公開講座により経済栽培が広まった。石川県の旧柳田村では、土地の事情からラビットアイ系が栽培されている。 東京都小平市・山梨県北杜市・茨城県つくば市が「日本三大ブルーベリー」の地として有名である。

◇生活する花たち「やまゆり・合歓の花・ヘクソカズラ」(横浜・四季の森公園)
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7月24日(火)

2012-07-24 03:35:47 | Weblog
★ゆうすげに月まだ淡くありにけり  正子
榛名湖の湖畔に「ゆうすげ」の有名な花咲く場所がございます。一日花で夕方咲いて翌日の午前中にはしぼむ夕菅。まだ月が淡く残る素敵な景色ですね。有難うございました。(小口泰與)

○今日の俳句
湖へ虎杖の花咲きいそぎ/小口泰與
湖のほとりに虎杖の花が咲き急いでいる。夏が短い北国を思わせる。虎杖の花は小さく白い。散れば葉に埃がかかるように散る。夏の短さも、花のもろさも、みな移ろいやすさでえある。(高橋正子)

○蒲の花(蒲の穂)

[蒲の花(穂の下部は雌花、穂の上部は雄花)/日吉本町]

★蒲の穂は剪るべくなりぬ盆の前/水原秋桜子
★蒲の穂に緋の絨緞の見ゆる家/飯田蛇笏
★蒲の穂やはだしのままに子の育つ/池内たけし
★蒲の穂を捧げ自転車向うから/中 ひろし

 蒲の穂に初めて接したのはお花を習っていたとき。はたしてそれが栽培されているものか、水辺に生えているものかあまり考えたこともなかった。面白い形状の花材ではあるが。松山城より西にある衣山に住んだときに蒲が生い茂る湿地があった。近くにある考古館の傍の池にも蒲があった。身近にあることに驚いたが、こどものころは一度も見たことがなく、因幡の白さぎの話で知って、どんなものかと思っていた。
赤茶色の雌蕊の部分とその上に突き出た細い棒状の雄蕊の部分が蒲の特徴であろう。秋になると穂絮が風に千切れて吹かれているのを見るが、国生みのころを想像して、淋しさを感じる。横浜では、四季の森公園の池の辺にある。写真に撮ればそれなりに雰囲気のある写真になるがやはり暗さと淋しさがある。

★蒲の花遊ぶ子どもを透かしたり/高橋正子

ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。北半球の温暖な地域やオーストラリアと日本の北海道から九州の広範囲に分布する。池や沼などの水辺に生える。葉は高さ1-2 mで、水中の泥の中に地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりでありソーセージに似た形状である。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る。風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。 また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。花粉は生薬としては「蒲黄」(ほおう)と呼ばれる。雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。日本神話の因幡の白兎の説話では、毛をむしり取られた兎に対して大国主は蒲黄を体につけるように助言している。しかし、唱歌の「大黒さま」の中ではそれが「がまのほわた」となっており、両者は混同されていたことがわかる(もっとも、摘みたての「がまのほ」に触ると大量の黄色い花粉がつく)。


◇生活する花たち
「カサブランカ・待宵草・百日紅」(横浜日吉本町)
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7月23日(月)

2012-07-23 06:56:19 | Weblog
★漂白されすずしき食器となりいたり  正子
食器洗い機を使われた時の印象を描かれた御句かと想像しました。洗剤を添加してスイッチオン。一夜明ければそこにはピカピカの白い食器が並んでいる。「すずしき食器となりいたり」の措辞から、そんな風情と光景が伝わってきます。 (河野啓一)

○今日の俳句
雲海に沈みし谷や奥丹後/河野啓一
奥丹後の谷は、今雲海に沈んで、緑滴る谷であろうことを想像させ、奥丹後の谷への思いがある。(高橋正子)

○カサブランカ

[カサブランカ/横浜日吉本町]

★カサブランカ咲き特別な日々となる/山崎 杏
★今年またカサブランカの紅の蕊/稲森如風
★風そよぎカサブランカの薫りあり/中居秀童
★カサブランカに風あり白いと思う朝/高橋信之

 カサブランカがブームになって、田舎都市の松山でも愛好者が増えた。大変美しく豪華な百合であると知ったし、花屋でもまず目についた。それを自分で咲かせてみようと思ったのは、加入しているコープのパンフレットでカサブランカの球根の案内があったから。試しに注文して球根が届いた。秋に鉢植えにして花を楽しみにしていた。普通の百合のように芽がでるものとおもっていたが、筍ようような切っ先が伸びてきて驚いた。なんの手入れもなく、カサブランカの花を楽しんだ。翌年は咲かせようとはおもわなかったので、私が咲かせたカサブランカはこのときだけになっている。
 先日7月19日に、四季の森公園で山百合を見て、カサブランカほどの大きさだと思ったが、カサブランカのもとは日本の山百合であることを後で知った。私の大きさの認識については間違っていなかったということだろう。

  松山・衣山
★カサブランカ海をうしろに咲く今朝よ/高橋正子

カサブランカの原産地は北半球の日本を含む亜熱帯~亜寒帯である。ユリ属のうちヤマユリ、タモトユリなどを原種とするオリエンタルハイブリッドの一品種。開花時期は7~8月。1970年代にオランダで作出され、世界的なブームを呼んだ。純白の大輪の花を咲かせ「ユリの女王」と言われる。結婚式の際のブーケをはじめ、主に贈り物の花束として喜ばれる花である。オリエンタル・ハイブリッドは、ヤマユリやカノコユリ、タモトユリなど森林のユリを交配して作られた品種群で、その中の「カサブランカ」が有名であるが、カサブランカを生み出す交配で主要な役割を果たしたトカラ列島口之島原産のタモトユリは、皮肉なことに自然状態ではほぼ絶滅してしまっている。なおカサブランカはモロッコの都市の一つ。なお、映画『カサブランカ(英語: Casablanca)』は、第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作が開始され、同年11月26日に公開されたアメリカ映画で、フランス領モロッコのカサブランカを舞台にした。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが出演しており、映画スターベスト100(1999年)の男性1位にハンフリー・ボガート、女性4位にイングリッド・バーグマンが選ばれている。


◇生活する花たち
「山百合・待宵草・ブルーサルビア」(横浜日吉本町)
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7月22日(日)

2012-07-22 04:18:49 | Weblog
★うっすらと平らに緋鯉の浮いて来し  正子
習性は真鯉も緋鯉も同じようなものかもしれませんが、緋鯉の動きは何となくおっとりとした所があるように思います。「うっすらと」、「平らに」の表現に、ゆったりと池の面に現れる鯉の動きが夏らしく感じられます。 (小西 宏)

○今日の俳句
ゆく雲に向日葵の苗のびゆける/小西 宏
向日葵の生長が楽しみな句。空をゆく雲を見上げ向日葵の苗がどんどん伸びる。咲いた時の花の明るさ空の広さが思われる。(高橋正子)

○山百合

[山百合/横浜・四季の森公園]

★山百合を捧げて泳ぎ来る子あり/富安風生
★山百合の木蔭孤高を守り咲く/宮崎正
★山百合や幾曲りして通夜の家/石田邦子
★山百合のいつせいに咲く坂の町/庄中健吉
★山百合を剪るや五輪の花おもく/瀧春一
★夜を徹す百合の香にあり書き継げり/岡本眸
★一月の百合を捧げて祈りけり/稲畑汀子
★いよよ咲く百合よ歓喜の蘂放ち/林翔
★百合といふ百合が鉄砲百合の島/宮津昭彦

 子どものころは、百合と言えば梅雨の走りのころから咲く白い鉄砲百合と夏休みに咲く赤い鬼百合の二つであった。今はカサブランカのような豪華な百合やさまざまな色のすかし百合の仲間がたくさんあるようである。昭和30年代だったと思う。父が前の畑に百合の花を売るために植えた。そのころは売る花は菊に限って農家が栽培していたようだが、父は鉄砲百合に挑戦して、うまく咲かせた。蕾のときに切り取られるが、白がかった緑色の蕾と鋏で切り取る音が目に耳に残っている。咲いてしまった花は学校に持っていった。鉄砲百合の花は生活の花となっていた。
 もう7,8年前になるだろうか。瀬戸内海が遠くみえる松山のマンションのベランダでカサブランカを育てた。その芽は、筍ほどで、百合の芽とは思えなかった。たしかにカサブランカの花であった。
 夏休みのころ咲く赤い百合は、すぐ前の伯父の家にあって、垂らした簾に似合っていた。冷房もない時代、それも涼しい景色だった。旅をすれば、切通しのがけなどに白い百合が咲いている。白百合は、清純さの代表ともなって、祈りの花としても欠かせない。
今年7月19日、四季の森公園へ行った。この日は大賀蓮を見るのが主な目的であったが、里山の林縁を歩くうちに、山百合に出会った。花の重みで茎が倒れている。細い竹を支柱に立ててあったが、ヘクソカズラの蔓が山百合に巻きついて支柱も用をなさないところもあった。数花咲かせているのも、一輪のもあったが、その大きさと蕊の朱色の強烈さに驚いた。今年は四季の森公園の山百合が例年になくよく咲いているとのことであったが、私が山百合を見たのは初めてである。神奈川県の県花に指定されていて、北陸地方を除く、近畿地方以北の山の林縁や叢に生えていると知った。

★雲行かす山百合朱き蕊を立て/高橋正子
 
  富士登山のとき・河口湖
★松林に白百合のまばら富士裾野/高橋正子

 百合は、ユリ目ユリ科のうち主としてユリ属(学名:Lilium)の多年草の総称である。属名の Lilium はラテン語でユリの意。アジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布しており、原種は100種以上を数える。代表的な種に、ヤマユリ、オニユリ、カノコユリ、ササユリ、テッポウユリ、オトメユリなどがある。ヤマユリ(山ユリ、学名:Lilium auratum)とはユリ科ユリ属の球根植物。日本特産のユリ。北海道と関東地方や北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。和名は、山中に生えることからつけられた。草丈は1~1.5m。花期は7~8月頃。花は、花弁が外に弧を描きながら広がって、1~10個程度を咲かせる。その大きさは直径20cm以上でユリ科の中でも最大級であり、その重みで全体が傾くほどである。花の色は白色で花弁の内側中心には黄色の筋、紅色の斑点がある。花の香りは日本自生の花の中では例外的ともいえるほど、甘く濃厚でとても強い。発芽から開花までには少なくとも5年以上かかり、また株が古いほど多くの花をつける。風貌が豪華で華麗であることから、『ユリの王様』と呼ばれる。1873年、ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、ヨーロッパで注目を浴びる。それ以来、ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつであった。西洋では栽培品種の母株として重用された。カサブランカ(Casa blanca)は、日本に自生する山百合と鹿の子百合等を交配して育種された。 ヤマユリは神奈川県の県の花に指定されている。


◇生活する花たち「睡蓮・すかし百合・すかし百合」(フラワーセンター大船植物園)
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7月21日(土)

2012-07-21 05:23:39 | Weblog
★泳ぎ子の母呼び父と沖にいる  正子
父と一緒にいる子供の喜びとそれを感じる母のうれしい気持ちが伝わります。幸せな日本の家族の景色と思います。(上島祥子)

○今日の俳句
蓮の葉の少し傾き影を生む/上島祥子
日盛り、大きな蓮の葉の緑が少し傾いて、道にでもはみ出たのであろう、影を作っている。その影も涼しそうだ。(高橋正子)

○大賀蓮

[大賀蓮/横浜・四季の森公園]

★大沼も冬の構図や大賀蓮/青木牧風
★大賀蓮咲けりと書院開けらるる/赤間智子
★おほらかにおほきく古代蓮咲けり/加藤暢一
★しこり持つ左の乳房古代蓮/田中雅秀
★惜し気なく花弁散らすや古代蓮/鈴木壮治
★古代蓮明るし楽し朝の日に/高橋信之
★朝日白し古代蓮の花の上に/高橋正子

 大賀ハス(オオガハス、おおがはす)は、1951年(昭和26年)、千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区朝日ケ丘町)にある東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)の落合遺跡で発掘された、今から2000年以上前の古代のハスの実から発芽・開花したハス(古代ハス)のこと。戦時中に東京都は燃料不足を補うため、花見川下流の湿地帯に豊富な草炭が埋蔵されていることに着目し、東京大学検見川厚生農場の一部を借り受け草炭を採掘していた。採掘は戦後も継続して行われていたが、1947年(昭和22年)7月28日に作業員が採掘現場でたまたま1隻の丸木舟と6本の櫂を掘り出した。このことから慶應義塾大学による調査が始められ、その後東洋大学と日本考古学研究所が加わり1949年(昭和24年)にかけて共同で発掘調査が行われた。その調査により、もう2隻の丸木舟とハスの果托などが発掘され、「縄文時代の船だまり」であったと推測され落合遺跡と呼ばれた。
 そして、植物学者でハスの権威者でもある大賀一郎博士(当時・関東学院大学非常勤講師)が発掘品の中にハスの果托があることを知り、1951年(昭和26年)3月3日から地元の小・中学生や一般市民などのボランティアの協力を得てこの遺跡の発掘調査を行った。調査は困難をきわめめぼしい成果はなかなか挙げられなかったが、翌日で打ち切りという30日の夕刻になって花園中学校の女子生徒により地下約6mの泥炭層からハスの実1粒が発掘され、予定を延長し4月6日に2粒、計3粒のハスの実が発掘された。
 大賀博士は5月上旬から発掘された3粒のハスの実の発芽育成を、東京都府中市の自宅で試みた。2粒は失敗に終わったが3月30日に出土した1粒は育ち、翌年の1952年(昭和27年)7月18日にピンク色の大輪の花を咲かせた。このニュースは国内外に報道され、同年11月17日付米国ライフ誌に「世界最古の花・生命の復活」として掲載され、博士の姓を採って「大賀ハス」と命名された。また大賀博士は、年代を明確にするため、ハスの実の上方層で発掘された丸木舟のカヤの木の破片をシカゴ大学原子核研究所へ送り年代測定を依頼した。シカゴ大学のリピー博士らによって放射性炭素年代測定が行われ、ハスの実は今から2000年前の弥生時代以前のものであると推定された。自宅近く、博士の銅像が建てられている府中市郷土の森公園修景池には、この二千年ハスが育てられており、鑑賞会が催されている。
 この古代ハスは、1954年(昭和29年)6月8日に「検見川の大賀蓮」として千葉県の天然記念物に指定された[3]。また1993年(平成5年)4月29日には千葉市の花として制定され、現在千葉公園(中央区)ハス池で6月下旬から7月に開花が見られる。日本各地は元より世界各国へ根分けされ、友好親善と平和のシンボルとしてその一端を担っている。(フリー百科事典「ウィキペディア」より)


◇生活する花たち「蓮の花・のうぜんかずら・ブラックベリー」(横浜市港北区箕輪町)
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7月20日(金)

2012-07-20 05:21:53 | Weblog
★松林に白百合まばら富士裾野  正子
富士の裾野の松林は広く広がっている林ですが、松ばかりではなくその中にまばらに白百合がある光景は、まばらなだけに白百合が目を引きます。 (高橋秀之)

○今日の俳句
せせらぎの木陰のめだか動かずに/高橋秀之
せせらぎの木陰はすずしそうだ。涼しさを喜んで、目高が活発に泳ぐかと思えばそうではない。じっとして、木陰の水の涼しさを体で享受しているようだ。(高橋正子)

○四季の森公園/大賀蓮と合歓とやまゆり
 昨日午前、横浜市緑区にある四季の森公園に信之先生と出掛けた。自宅から100mほどの横浜市営地下鉄日吉本町駅で乗車し、30分して終点の中山駅で下車し、15分ほど歩くと四季の森公園がある。大賀蓮を目当て園内に入った。園内のワークセンター脇の池にある。残念なことに蓮は池の遠くに植えてあって、遠く朝日を反射して光輝いている。きれいなのだけれど、写真に撮るには技術がいる。遠くて、反射しているものを撮るにはどうしたらよいか勉強しなければいけない事態になった。がとにかく撮った。期待しなかったけれど、山沿いの道にはやまゆりが盛りで、例年になくよく咲いているとのことであった。花がカサブランカほどもある。白い花に斑点もはっきりして、蕊は朱色である。一茎に3,4輪咲いているのも、一つだけ咲いているのもある。やまゆりは群生しているのではなく、下草のなかにぽつぽつと咲いている。今日が見ごろの感じがした。宵待草も黄色い蕾を付けていた。合歓はこれまでこの公園内で最も美しく咲いていた。合歓の花も今日が見ごろかと思う。バックに山木々を入れて、合歓の花をくっきりさせた。背景の山の木々が暗すぎたのが残念。午前の合歓の花は朝日を受け、光が満ち溢れてすばらしかった。俳句日記のブログに載せる「生活する花たち」の写真を撮った。

★花ねむは円き光りを宿しける/高橋正子
★合歓の花空暑ければ涼しさを/高橋正子

○合歓の花

[合歓の花/横浜・四季の森公園]

★そのすがた人にうつすやねぶの花/加賀千代女
★雨の日やまだきにくれてねむの花/与謝野蕪村
★山風の暁落ちよ合歓の花/芥川龍之介
★花合歓や凪とは横に走る瑠璃/中村草田男
★旅多くなりし合歓咲きそめし頃/稲畑汀子
★雲運び合歓の花吹き風飽きず/宮津昭彦
★合歓の花南瓜の花と呼び交す/大串章
★川の辺に潮上りくる合歓の花/能村研三
★花合歓の光あふるる下に居る/高橋信之
★梅雨出水しぶくをねむの木ねむの花/高橋正子

ネムノキ(合歓木、Albizia julibrissin)はネムノキ科(広い意味でマメ科)の落葉高木。別名、ネム、ネブ。葉は2回偶数羽状複葉。花は頭状花序的に枝先に集まって夏に咲く。淡紅色のおしべが長く美しい。香りは桃のように甘い。果実は細長く扁平な豆果。マメ科に属するが、他のマメ科の植物とは花の形が大きく異なる。イラン、アフガニスタン、中国南部、朝鮮半島、日本の本州・四国・九州に自生する。陽樹であり、荒れ地に最初に侵入するパイオニア的樹木である。河原や雑木林に生え、高さは10mにもなる。芽吹くのは遅いが、成長は他の木と比較すると迅速である。ネムノキ属は主として熱帯に150種ほどが分布するが、その中でネムノキは飛び抜けて耐寒性が強く高緯度まで分布する。温帯で広く栽培され、一部で野生化している。和名のネム、ネブは、夜になると葉が閉じること(就眠運動)に由来する。漢字名の「合歓木」は、中国においてネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから付けられたものである。花言葉は「歓喜」。夏の季語であり、万葉集や松尾芭蕉、与謝蕪村の句に登場する。


◇生活する花たち「やまゆり・メマツヨウグサ・大賀蓮」(横浜・四季の森公園)

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7月19日(木)

2012-07-19 05:20:34 | Weblog
★すずしさに星座の話読みつなぐ  正子
夏の夜、お子様との涼やかなひとときかと思われます。母と子の慈愛に満ちた貴い夜の一刻に、読者もまた快い涼気に接し、すずしさの中、しばし心の安らぎを与えていただきます。 (藤田洋子)

○今日の俳句
青田から青田をつなぐ水の音/藤田洋子
青田に流れ込む水は、水源から小川へ、そして、それぞれの田へ分けれた水。「つなぐ」が的確で、どの田も青々と育っている。(高橋正子)

○朝顔

[朝顔/横浜日吉本町]

★あさがほに我は飯くふ男かな 芭蕉
★朝顔や其の日其の日の花の出来 杉風
★朝がほに釣瓶とられてもらひ水 千代女
★朝がほや一輪深き淵のいろ 蕪村
★朝がほや垣にしづまる犬の声 白雄
★あさがほの花はぢけたりはなひとつ 暁台
★雪国の大蕣の咲にけり 一茶
★朝顔のさまざま色を尽すかな/正岡子規
★朝顔の紺の彼方の月日かな/石田波郷
★堪ふることばかり朝顔日々に紺/橋本多佳子
★朝顔の濁り初めたる市の空/杉田久女
★朝顔むらさき海に裏側みせて棲む/桂 信子

 朝顔は、鉢植えにして行燈作りにするか、四つ目に竹を組んで垣根を作って咲かせてきた。最近はネットに上らせているが、風情がなくていけない。四つ目の垣に咲き上ると、花はみんな表を向いて、裏側からは、葉ばかり眺めることになる。でも、外からみれば、すずしい花がいくつも咲いて、きれいなのだ。
 桂信子の「海に裏側みせて」は、海の見えるベランダで咲かせたときは、まったくこの通り。久女の「濁り初めたる市の空」は、朝顔が涼しい時にさいているのは、ほんのひととき。すぐに市の空は煙ったように濁り初め、じりじりと暑くなる。朝の終わりを咲く朝顔か。
 横浜に引っ越してから、朝顔の種をまく時期がいつも遅くなっている。今年も5月20日過ぎに蒔いた。ゴールデンウィークに種をまくことにしていたが、ついつい遅くなっている。遅くなっても必ず蒔く。遅くなりはしたが、2,3日前から咲き始めた。最初は錆朱、次は赤紫、その次も赤紫。毎朝、何色が咲いたか楽しみにみるのが夏の朝の日課となるが、青も白もはまだ咲いていない。。朝顔の色を一つと言われれば、青をあげたい。西洋朝顔は、青い花ではあるが、昼間も夜も花をたくさん咲かせて、涼しいそうに見えはしない。日本の朝顔の破れそうなロート型の花が日本の夏にはよく似合う。

★台風のすぎし朝顔青一輪/高橋正子
 今朝もまた朝顔が一輪咲いた。毎朝の家族の楽しみにベランダの鉢植えで花を咲かせてくれる。

◇生活する花たち「やまゆり・ヘクソカズラ・合歓の花」(横浜・四季の森公園)
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7月18日(水)

2012-07-18 06:32:02 | Weblog
★しがみつくかなぶん捨てて衣を畳む  正子
この時期洗濯物を干していると、いろいろな昆虫がつかまって、取りこむ時にそのまま残っているということがあります。家事をあずかる主婦ならではの御句と思います。「しがみつく」「捨てて」になんともいえないユーモアを感じます。絵が見えるようです。(多田有花)

○今日の俳句
とりどりの浴衣の少女踏切に/多田有花
踏み切りの開くのを待っている浴衣を着た少女たち。これから、連れ立って、祭りに出かけるのであろう。涼しそうで、少女らしいかわいさがあって、大人には、幼い頃を思い出させてくれる光景である。(高橋正子)

○ブラックベリー

[ブラックベリー/横浜市港北区箕輪町]

★ブラックベリーの黒輝きて今朝の晴れ/高橋信之
★蓮寺の結界出ればブラックベリー/高橋正子

 日吉本町の隣合わせの箕輪町にある大聖院の門前の家にブラックベリーがある。フェンスに絡ませて育てているが、驚くほど沢山実を付けている。自転車で通りすがりに見たときは、ラズベリーかと思った。それにしては、色が緑色がかりすぎている感じもした。何度かその前を通る内に実が黒く色づいてきたので、ブラックベリーと気付いた。ラズベリーに比べて実が少し長くて、つぶつぶがはっきりしているように思う。違う町にくれば、また違う植物を好んで植えるものだとつくづく思った。

ブラックベリー (Blackberry) は、バラ科キイチゴ属の一群の種または1種の低木およびその果実。広義には Rubus 亜属の総称として使う。ただし Rubus 亜属にはブラックベリーのほかにデューベリー (Dewberry) 類も含まれ、それらはブラックベリーから区別することもある。クロイチゴ(Rubus mesogaeus)、ブラックラズベリー (Rubus occidentalis) はいずれもラズベリーであり、(広義でも)ブラックベリーには含まれない。狭義には、 Rubus 亜属の栽培種セイヨウヤブイチゴ(西洋藪苺、学名 Rubus fruticosus)。ただし Rubus fruticosus をさらに多数の種に分割する説もあり、その場合は狭義のブラックベリーも多数の種の総称になる。米国中部原産で、落葉半つるである。開花期は5月下旬から6月で、 結実期は7月から8月上旬である。果実は生のまま食べることも出来るが、多少酸味があるためジャムにして食べることも多い。

◇生活する花たち「紅蜀葵・しもつけ白・しもつけ紅」(横浜日吉本町)

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7月17日(火)

2012-07-17 06:28:57 | Weblog
★夕焼けが海に分かたれ平らな沖  正子
見渡す限りの夕方の水平線上に燃えるような紅黄色の華やかで壮快な景と穏やかな海との素晴らしい句だと思います。有難う御座いました。(小口泰與)

○今日の俳句
目高の子ぐいと水面を走りけり/小口泰與
平明な句で句意がはっきりしている。目高の子が水面を「ぐい」と蹴るように走る。目高の子の力強さが、生き生きとして涼しさを与えてくれる。命の涼しさ。(高橋正子)

○白粉花(おしろいばな)

◇白粉花/横浜日吉本町◇

★白粉の花ぬつてみる娘かな/小林一茶
★おしろいは妹のものよ俗な花/正岡子規
★道端に白粉花咲ぬ須磨の里/正岡子規
★白粉花妻が好みて子も好む/宮津昭彦
★白粉花の実をつぶす指若しとす/金子兜太
★おしろいや人は心の裏見せず/稲畑汀子
★おしろいの花のたそがれ白痴の子/成瀬櫻桃子
★路地狭むおしろい花や廓跡/水原春郎

 おしろいばなは、白粉花と書く。秋の季語。熱帯アメリカ原産であるということだが、古くに渡来したせいか、夕涼みのころの日本的情緒のある花と思ってきた。それも昭和の白い割烹着の母を思わすような花と。

 白粉花咲けり昭和の母の花/正子

 暑さも収まる5時過ぎに日吉本町六丁目にある西量寺へ行った。目的は、白粉花の写真を撮るため。西量寺は、天台宗のこじんまりしたお寺で、石垣の上にある。近づけば、民家の屋根より少し大きいかなというぐらいの屋根がすぐ目に付く。

 寺の屋根西は西日の色に照り/正子

 お寺の石垣の裾を埋めて白粉花が咲いてほのかな香りが漂う。白粉花といえば、理科でならった遺伝の
法則を思いだすのだが、優性遺伝、劣性遺伝とあって、どちらかが遺伝する。普通は、赤い花と白い花を交配すると、白か赤かになる。ところが、白粉花は、ピンクになるというようなこと。西量寺の白粉花も長年同じ場所に種がこぼれて生えるのだろう、白に赤い斑があるものがたくさん見られた。純粋に白、純粋に赤というのが少ない。石垣の裾は夕方はちょうど日陰になって、日中の猛暑はどこへ去ったのかと思うほど、涼しい風が吹いていた。ほのかな香りがするのも、白粉花らしい。白粉花はまだ花が咲いているときから黒い種ができて、子どもがそれを割って中の白い粉を出し、白粉にして遊ぶ。子どもにも好まれる花と言えるのだろう。
 子ども時代の戦後を思い出すが、妻も子も慎ましさがあった。貧しいときであったが、個々のことを言わなければ、暗い時代ではなかった。扇風機さえも無い家が多かったから、夕方には縁台を出して、夕涼みをした。西瓜を食べたり、花火をしたり、星を見たり。垣根の根元には、白粉花が咲いていた。白粉花は、ちゃんとした場所ではなく、垣根の下や、ごみなどを焼く畑の隅に咲いた。種がこぼれて年々そこに花を咲かせるようになるのが多いからだろう。
 白粉花も朝顔も秋の花なのだと、この猛暑に思う。ずっと秋口まで咲いてくれる。朝咲く花と夕咲く花を夏の花にしておくには、慎ましすぎる。


◇生活する花たち「蛍袋・立葵・紅かんぞう」(横浜・四季の森公園)
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