俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月6日(火)

2012-03-06 05:16:34 | Weblog
★枯れしもの沈め春水透き通る   正子
池などを覗き込むと昨年の落葉や倒れた草、古い小枝などが底に透けて見えます。よく見ると、その中になにやら小さな虫のようなものが蠢いていることもあります。「春水透き通る」が「枯れしもの」を浄化しています。(小西 宏)

○今日の俳句
雨止んで白木蓮の芽のあまた/小西 宏
句意のよく通る句。雨が止んだばかりの空にぞくぞくと白木蓮の芽が見える。尖った花芽からはやがて鮮やかな白木蓮が咲くだろうと、楽しみにする気持ちが読める。(高橋正子)

○新聞を読む「豊かな日本語に感銘」(日経3/6付朝刊)
千葉市の印章店モリシタ主人の森下恒博(もりした・つねひろ)氏の「豊かな日本語に感銘」を読む。日本語は、漢字とひらかな(およびカタカナ)があって表記の上でも豊かといえるが、その豊かさをうまく利用して豊かで高度な言葉遊びのセンスが養われているのではと思った。以下に引用している文にある「小鳥遊」を「たかなし」と読ませる例など、「鷹がいないので小鳥が空を自由に遊ぶ」ということだろうが、ユーモアのセンスに拍手を送る。「大海原」を「わたのはら」と読ませるのは、海をわたという古語から来ていることも、古典の教養が見えてなかなかである。改めて豊かな日本語を大切に使わなければと思った。

以下は新聞からの引用。

 四月朔日、父母、蘭……。これらは人の名字(姓)だが、どう読むかおわかりになるだろうか。答えは「わたぬき」「ふも・ふぼ・たらち(ね)」「あららぎ」さん。
 印鑑の販売を手掛けて約60年。珍しい名字のハンコをそろえ続け、気がつけば在庫数は10万種類を超えた。冒頭に挙げた名字は、実際にハンコが売れた珍名さんだ。ほかに狼(おおかみ)さん、煙草(たばこ)さんといったハンコも売れた。
 その中には当然、読めない名字が多数あった。たとえば漢字1文字で「一」「九」「十」さん。一は二の前にあるから「にのまえ」さん、あるいは「よこいち」さん。姓も名も「一」の「にのまえはじめ」さんという方が実際におられる。
 九は「1文字のく」だから「いちじく」さん。十はひとつ、ふたつ、みっつ……ここのつ、と数えていくと、「つ」がつかなくなるから「つなし」さんという具合。
 「日本苗字(みょうじ)大辞典」には約29万の名字が収録されているが、私は同大辞典に記載のない名字を70ほど見つけて報告してきた。さらに外国人の帰化や改名により、平均すると毎年100個くらいの新しい名字が増えているという。
 これまでに10万種をそろえたが、そのほとんどは売れない“不良在庫”だ。家人には「もう置き場所がないから増やすな」とあきれられる。それでも、小鳥遊(たかなし)さん、大海原(わたのはら)さんといった珍しい名字を見ると、日本語の豊かさやユーモアのセンスの高さにほれぼれとする。珍名さんを求める旅に終わりはない。

○山桜
★鳥影の空はつめたし山桜/原田種茅
★村ほろびいきいきと瀬や山ざくら/宮津昭彦

関東より西部の山地に自生し、また広く栽培されている落葉喬木。東京町田の吟行の時の作を思い出した。
★山桜根方に小さき泉湧き/高橋正子

◇生活する花たち「山茱萸(さんしゅゆ)①・山茱萸②・満作」(横浜四季の森公園)
コメント (2)
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