俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月5日(月)

2012-03-05 05:01:43 | Weblog
★花菜の束一つが開き売られたり   正子
売られる花菜の、束の一つの明るい春色が一際目を引くあたたかさです。これから開く花菜の束の鮮やかさに、心ふくらむ思いがします。(藤田洋子)

○今日の俳句
★桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)

○猫柳
★猫柳明るき空の下りて来し/稲畑汀子
★城山が見えている風の猫柳/川本臥風

臥風先生の猫柳の句は、旧制松山高校(現愛媛大学付属中学校)の校庭に句碑がある。旧制高校からは、松山市内のほぼ中央にあるこんもりとした城山がよく見える。
山間の渓流のへり、平野河川のほとりに叢生する落葉灌木で、人家等にも植えられる。早春葉の出る前に雌雄異株に花を開き、雄花穂は、その蕾に柔滑絹状の白毛を密生する。これが銀色にかがやいて、雨などに濡れると一層美しく見える。生花などに用いるのは蕾である。私が生まれたところは、これといった野川も、河川も、渓流も住んでいる近くにはなかったが、隣にある分家の池のほとりに猫柳があった。子供たちはよその家の庭でも、「こんにちは。」とか、「通らせて。」とか、なにかしら声をかけて、お構いなしに庭に入り込んだり、通り抜けたりした。一度もそれでしかられたことはなかったので、近所の庭のどこに何の木があるかもよく知っていた。通り抜ける途中にたまたま見ることもある。蕾の猫が膨らんで来ておもしろかった。

★岩に滾る水にかがやく猫柳/高橋正子

◇生活する花たち「山茱萸(さんしゅゆ)・木瓜・三椏の花」(横浜四季の森公園)
コメント (1)
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