俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月31日(月)

2015-08-31 06:40:28 | 花冠投句
★鎌倉の朝が移れる酔芙蓉  正子

○今日の俳句
一輪の桔梗朝陽をほしいまま/井上治代
桔梗は、秋の七草のなかでも、残暑のきびしいころから花を開く。一輪の桔梗が咲き始め、朝陽をひとりじめして、それこそ朝陽をほしいままに咲いている。ほこらしくさえ思える。(高橋正子)

8月の俳句(2015.8)
あきらかに天は青かり原爆忌
安静の日々の背をおす今朝の秋
今朝の秋洗面の水たまりゆく
ひと夏の病癒えたり葛の花
葛の花ふっと匂うよ創あとに
森に来てアサギマダラの明るき翅
秋蝶の翅ゆるやかに開く森
秋蝶の翅の浅葱を森にひらく
擬宝珠の花色濃かり池水照り
盗人萩風にもまれて眩ゆかり
榛の実を秋風くろぐろ吹きすぎる
枝分れして枝先の吾亦紅
点々を咲く露草をまなじりに
すすきの穂出でしばかりが黄昏る

○秋海棠

[秋海棠/ネットより][秋海棠/横浜日吉本町]

★秋海棠西瓜の色に咲にけり 芭蕉
★手拭に紅のつきてや秋海棠 支考
★画き習ふ秋海棠の絵具哉 子規
★北に向いて書院椽あり秋海棠 漱石
★節々に秋海棠の紅にじみ 虚子
★石灰を秋海棠にかくるなよ 鬼城
★秋海棠にそゝぐはげしや軒の雨 淡路女
★美しく乏しき暮し秋海棠 風生
★病める手の爪美くしや秋海棠 久女
★書を愛し秋海棠を愛すかな 青邨
★秋海棠母を大事の家のさま 汀女
★雲に濡れ秋海棠の茎の紅 悌二郎

愛媛の焼き物の町、砥部町に住んでいた。砥部の家は和風の平屋で、小住宅ながら土地が百坪あまりあって、椿をはじめ、いろんな植物を植えていた。秋の初めになると秋海棠の花が咲いた。北向きの玄関脇は朝日が斜めに当たったあとは日陰になる。そこにピンク色の秋海棠がほろほろと幾分大きめの葉から覗くように咲いて玄関の彩となった。そしてもう一か所、あとで取り付けた小さな濡れ縁の下にいつの間にか秋海棠が咲くようになった。節のある紅色の茎は水を含んでいた。ベゴニアに似ている。ベゴニア科なので言う間でもないが、秋海棠のほうがよどほ日本の家屋に馴染んで似合っている。砥部の家は、住み変わっているが、庭はそのままで楽しんでくれているらしい。そうならば、今も秋海棠が咲いているだろう。子どもたち二人もこの家が気に入っていたので、幼い時の子供たちのことも一緒に思い出す。

★一段と空澄み咲きつぐ秋海棠/高橋正子
★秋海棠の紅の茎また紅の花/〃
★縁に掛け足に触れたる秋海棠/〃
 伊予双海の寺
★伊予灘の波の反射に秋海棠/〃

シュウカイドウ(秋海棠、学名:Begonia grandis)は、シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)に分類される多年生草本球根植物である。和名は中国名「秋海棠」の音読み。ヨウラクソウ(瓔珞草)とも呼ばれる。英名 hardy begonia。高さ約60センチ。秋、紅色の花が下垂して咲く。葉の付け根に小さいむかごをつけて増える。東南アジア原産で、日本へは寛永年間(一六二四〜四四)に渡来したといわれ、観賞用に庭園に栽培される。


◇生活する花たち「犬蓼・吾亦紅・チカラシバ」(横浜下田町・松の川緑道)
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6月10日(金)

2011-06-10 11:06:40 | 花冠投句
★朝影のみどりの深き夏ポプラ  正子
ポプラは街路樹として美しい樹形が好まれる落葉高木です。この句を口ずさみますと爽やかな夏の朝の樹姿が目に浮かび、すがすがしい気分がしてきます。 (河野啓一)

○今日の俳句
射干の咲いて空には雲もなし/河野啓一
射干(ひおうぎ)は、葉が檜扇に似て、橙色に斑のあるこじんまりと品のある六弁花を開く。雲もない夏空に、日本的な射干の花の色が印象的である。(高橋正子)

○花冠8月号作品

夏椿
高橋正子
 信之先生傘寿のお祝い二句
くれないに色いろいろと祝う薔薇
芍薬の花束水吸う力あり
 横浜・山手百十一番館
薔薇の香の水を含みて薔薇館
 港の見える丘公園
薔薇を見しその目に遠き氷川丸 
沙羅の花みずみずしくて落ちている
夏つばき咲いて六十路の軽き風邪
軽き風邪ひいて梅雨の涼しさよ
黄あげはの掴まんとして離るる花
朝顔の支柱きりっと造り竹
赤深きチェリーを洗い滑る水

メモ
石楠花のうすくれないも昼下がり
紫陽花を剪りて雨の匂いせり
 隅田の花火は紫陽花の一種
この家も「隅田の花火」が咲き覗く

◇生活する花たち「あじさい」(横浜日吉本町)
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5月12日(木)

2011-05-12 09:46:21 | 花冠投句
 明治神宮
★新緑の枝差し交わす神の杜  正子
瑞々しい新緑の枝が交差し、風に揺れ、サヤサヤと葉ずれの音がして、初夏の清々しい光景に心が洗われます。(井上治代)

○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)

○花冠H237月号投句
花楓
高橋正子
花楓枝平らかにみな浮かび
あおられてまたあおられて花楓
 四季の森公園四句
水音に蛙の声の増えにけり
谷あいに蛙の声のよく弾み
菖蒲の芽いまようやくに陽がさして
翡翠を待てる杭なり若葉風
山若葉あらしとなって吾を吹けり
おおるりのラジオに鳴きて朝始む
さくらんぼ曇りたる日もつやつやと
日のかげを花にうずまき白薔薇

俳句メモ
四十雀飛びつつ鳴けり街の空
矢車草丘より見ゆる小さき街
ラベンダーはレースのようにみどりの日
なでしこの咲き満ちており黄金週間
憲法記念日ラベンダーを摘み束ね
苺いま白いみどりの実にふくらむ
雀の色みどりの色もあるレタス
まだ青き苺が苺のかたちなる
みつばちの影が生まれて陽が高し
 ミニ薔薇・テディベア
玄関に香り充たしてバラ二輪

◇生活する花たち「山ぼうし・はこねうつぎ・デージー」(横浜日吉本町)

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3月10日(木)

2011-03-10 07:51:00 | 花冠投句
★受験子の髪ふっくらと切り揃う   正子
受験の子。切り揃えられた髪の毛、「ふっくらと」にその子の何となく緊張し、また余裕のありようが、込められているような気が致します。 (祝恵子)

○今日の俳句
初摘みの土筆を持ちて病室へ/祝恵子
入院していれば、季節のもの、戸外のものがうれしい。初摘みの土筆に春が来たことが共に喜べることであろう。(高橋正子)

○5月号投句
河津桜
高橋正子

雪解けの少し黒きが富士雪嶺
修善寺の街のこぞって雛飾る
蕎麦に摺る山葵のみどり春浅し
 修善寺梅林
梅林の紅梅白梅層なせり
わさび田の田毎春水こぼれ落つ
天城越ゆ春の夕日の杉間より
 今井浜
怒涛とは椿・桜に飛沫くとき
春砂をゆきし足跡みな浅し
 河津
夜桜のくらがりふと立つ潮の香
菜の花も河津桜も朝の岸

○俳句メモ2月11日~3月10日
 神奈川宿五句
梅散って花びら流る滝の川
梅の香を息に吸い込みあるきけり
神奈川宿紅梅白梅匂いけり
 宗興寺
牡丹の芽ヘボン博士のレリーフに
 神奈川通東公園(オランダ領事館跡・神奈川宿の江戸側入口)
下萌えは大樹の太る根もとより

 川崎宿五句
春浅し六郷川に常夜灯
下萌えの六郷川の水青し
六郷川流れて青し春の雲

 修善寺・河津
梅林の鮎焼く炉火に身を温む
山々の春は名ばかり天城越ゆ
春浅し砂の風紋全きに
野に飛べる春鶺鴒や修善寺へ
重なりて透けることあり朝桜

梅林の丘をのぼりて伊豆連山
春寒し鮎焼く炉火に手をかざす
梢より富士の雪嶺に風光る
春浅し川に突き出す足湯なり
海に向き伊豆の椿の紅きなり
夜桜は紅かんざしのごと灯る   
夜桜にオリオン星雲浮いてあり
菜の花に蛇行の川の青かりし
春浅き湯に聞くばかり波の音
春朝日海にのぼりて海くらし
引き潮の色こそ深き春の砂
早春の砂の風紋駈けてあり
朝桜透けるばかりに川流れ
椿咲け桜咲けよと怒涛寄す

◇伊豆修善寺梅林


▼修善寺梅林:
http://shuzenji.info/bairin.htm
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2月8日(火)

2011-02-08 06:40:53 | 花冠投句
★花丈の揃い真白なシクラメン   正子
シクラメンは寒い時期に花をつける数少ない花です。真っ白なシクラメンの清楚で高貴な雰囲気を愛でておられるさまが伝わってきます。(多田有花)

○今日の俳句
紅白を見せて膨らむ梅花芽/多田有花
梅の花芽が、はや膨らんで花の色が見えている。それに白と紅があって、咲いたときの華やぎを待つ楽しみの心がいい。(高橋正子)

○花冠4月号投句
飛ぶ自由
高橋正子

寒空の青に鳥らの飛ぶ自由
寒中の風にあそべる注連の藁
水仙に影と日とあり株立ちに
寒の陽の当たる橋なり渡りたし
波立てば鴨の勇みて泳ぎけり
真向かいの氷れる月へ帰りゆく
つぴつぴと鳴く鳥声の炬燵まで
銀色の椿の蕾みな固し
蕗の花まつげあるごとひらきけり
 日吉西量寺・水掛観音
水掛けて春水かがやく仏なる

○1月11日から2月7日俳句メモ
味噌汁の芹の香家族いま三人
節分の枡は朱と金市松の
たったひとつの蕗のとうがはや花に
蕗のとうひとつを見れば次にあり
黒雲の急に湧き出て蕗のとう
寺の戸のぴしと閉められ水仙花
月氷る森よりはるか上に出て
寒雀ころころ皆影を持ち 
裸木に雲は水色日をふくみ
ペンの影句帳の生まる日向ぼこ
見下ろせる冬菜畑の菜がそよぎ
吟行に凍てし身に湯のふかぶかと
凍みる日のみどりかがやく鴨の首
高台の寺の水仙濃く匂う
白梅の満開といい空おおう
白梅の匂うはカメラを収めるとき
三色の色をくっきり冬すみれ
日当たれる平屋の家の花紅梅  
沈丁花梅の蕾のみな固し   
すっきりと根元より立ち水仙花  
蕾固き野梅これから咲くたのしみ
水仙と梅のほかなき寺の庭  
月氷るヨーロッパもかくあるか
氷る月見るわが貌の青からむ 

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1月13日(木)

2011-01-13 10:09:57 | 花冠投句
★雪晴れに鴨のまばらにそれぞれに  正子

○今日の俳句
澄みていし枯野に響く貨車の音/迫田和代
元の句は季重なりとなっていたので添削した。枯れが進んでくると、枯れも澄んだ感じとなる。枯野を長い貨車がことことと走り抜けて行く音が、人間的な懐かしさをもって訴えている。(高橋正子)

■3月号投句
若松
高橋正子
追い焚きの湯にあたたまる大晦日
元旦の布巾をおろすうさぎ柄
年の夜のまたたく星と暁けにけり
御手洗に若松紅梅結わえあり
正月の子どもが五人じゃんけんぽん
二日なる山路に落葉の積む深さ
畑隅に白梅ほちほち二日なる
暮れゆけばピラカンサの実もしずか
水仙を活けしところに香が動く
二日朝花に水差す花守りに

■3月号後記
★寒の入りに合わせたように寒波が押し寄せ、体の芯まで冷えきってしまうような日が続きました。美容室で思い切り髪をカットされて、寒いというより、凍てしむ冷たさに閉口しました。暦を見ると、大寒のあとには、節分(今年は旧正月の元旦)、立春、それに松山の椿祭りのことなどが次々書いてあり、「冬来たりなば春遠からじ」の感を強めました。
★編集作業をほとんど終えて、昼間の暖かい時間、氏神の駒林神社まで信之先生と吟行しました。正月に、御手洗の龍の水口に松と結わえた紅梅と白梅がすっかり開いており、境内には白梅が開き始めておりました。
★今月号は、昨秋出版されました井上治代さんの第一句集『香田』の特集を組みました。信之先生の序、私の跋、それと同人の皆様の一句鑑賞を載せました。治代さんは、四国愛媛の大洲市にお住いです。大洲は鵜飼で知られる肱川が大きく蛇行し、霧もよく発生する盆地です。里芋、ごぼうなどは、とくにおいしいものが採れます。のどかな田園風景の句には、日本の原風景のよさがそのまま残っているように思えます。代表二十句は、信之先生の抄出です。ご味読ください。
★「花冠」は、本号で三百二十七号となり、その間、多くの方にご投句はもとより会員・同人費をお納めいただいて、これまで継続できてまいりました。ご病気やご家庭の事情で、投句は休まれたり、たまのご投句になったりする方々がおられますが、他の会員・同人の皆様と同様会費をお納めくださっています。それに対する感謝の気持ちとして、信之先生と私の色紙・扇子を「参加功労賞」として送らせていただきました。順不動ですが、「参加功労賞」の方は次の八名の方です。 原順子・柳原美知子・堀佐夜子、下地鉄・ 甲斐ひさこ・松尾節子・堀川喜代子・山中 啓輔(敬称略)
★花冠は少人数ながらも、積極的なご支援とご支持を受けて、今年も多忙な年になりそうな予感です。「花冠投稿箱」にも随筆や地域便りなど、散文原稿をお寄せください。楽しみにお待ちしています。
★今年は、オンライン定例句会、吟行句会などを少人数でも積極的に行いたいと思っています。吟行句会にもご都合をつけて是非ご参加ください。また、よい吟行地があればご紹介ください。寒中の三月号の編集でした。風邪にご用心ください。      (正子)

○花冠3月号入稿。印刷所の浅井さんに電話。「俳句界」の広告版下は、まだ「2月号」しか用意されていないので止むをえない。
 花冠3月号の編集は、投句、投稿締切が、1月10日だが、締切日の3日前には、編集のほとんどが出来上がっている。編集作業は、信之先生がひとりの仕事、印刷所との連絡は、正子の仕事となっている。編集作業の流れは、以下のようになっている。

①原稿投稿
○投句箱(1月1日~1月10日)
http://www3.ezbbs.net/14/suien8/
○投稿箱(1月10日まで)
http://blog.goo.ne.jp/kakan18/

②花冠割付ファイル(花冠編集の高橋信之が作成)
下記アドレスは、上記の原稿が編集されたファイルで、印刷所は、花冠原稿をここからダウンロードし、印刷に使用するpdfファイルを作成します。
http://kakan.info/km/wari.pdf

▼オンライン版俳句雑誌花冠
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/
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H23年2月号投句

2010-12-05 23:57:39 | 花冠投句

冬桜
高橋正子

日は燦と冬芽の辛夷生かしめて
落葉あれば見上げて聳ゆ冬銀杏
冬桜そのちいささに雲浮かび
山茶花の高垣なればよく匂う
孟宗の冬竹林に日がまわり
南天に日はうららかに暮れにけり
木賊生う地より突き立つ濃き緑
大根の純白手中に面取りす 
枯蔓も朱の実もかざり烏瓜
綿雲の空や目白が枝移る
跳躍の真紅の花のシクラメン
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H23 花冠1月号後記

2010-11-14 11:20:05 | 花冠投句
後記
★あけましておめでとうございます。本年も
よろしくお願いいたします。今年は卯年。う
さぎは福を招き、飛躍を期待する意味がある
ということです。花冠と誌名を変えてから三
年目となり、「花冠」と言う名前も次第に皆
様に馴染んでいただけるようになったかと思
います。卯年にあやかり、飛躍を期待いたし
ます。
★一月号ということもありまして、信之先生
が生涯に渡って研究されてきた文学について、
「私の文学」として、わかりやすくまとめて
いただきました。信之先生は、ドイツ文学者
ですが、文学研究の方法は独特で、現代文学
の果たす使命を考えられて、これまで様々な
実践行動をとってこられました。ホームペー
ジ「インターネット俳句センター」もその一
つですが、本文の終わりに示された論文項目
は、ネット上で閲覧できますので、お読みく
ださい。
★「俳句の風景」を連載していますが、お読
みになっていかがでしょうか。花冠には、全
国からご参加いただいて、それぞれお住いの
、それぞれの生活周辺から生まれた句をご投
句いただいております。美しい景色や、思わ
ぬ句の背景を知ることも愉しいことです。
★花冠同人の皆様が実行委員としてご活躍い
ただいた第十九回インターネット俳句コンテ
ストは、十月二十日の入賞発表、それに続く
賞状賞品の発送をもって、無事終了いたしま
した。一般の部、また子ども俳句の部でも好
成績を収められ、おめでとうございます。ご
協力ありがとうございました。
★私はと言えば、十月二十一日に全国俳誌協
会主催の「第一回編集賞授賞式・祝賀会」に
都内の会場でしたので、池田加代子さんと出
席しました。その詳しい報告は本号の加代子
さんの文章でお読みください。花冠は、今年
は応募いたしておりませんでしたが、全国八
百誌ほどある俳誌から、応募は十誌でした。
編集賞一誌、特別賞二誌が選ばれました。会
場で祝辞を、と突然指名されましたのであわ
てましたが、難もよい機会と思い、ネット時
代に果たす「本」の役目について祝意を申し
上げつつ、花冠やインターネット俳句コンテ
ストのことなどを話しました。全国数ある俳
誌のなかでも花冠は特異な立場であることを
ご出席の皆様の表情や雰囲気から感じ取りま
した。ご自分の俳句に誇りをお持ちになって、
ますますのご健吟をお祈りいたします。
                (正子)
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高橋信之俳句十二か月鑑賞(一月)

2010-11-12 11:20:13 | 花冠投句
高橋信之俳句十二か月鑑賞(一月)

正月の港が動きかもめの詩碑 
            高橋信之

正月の港は横浜港で、その港と一体となって山
下公園があり、武内俊子の童謡歌詞「かもめの
水兵さん」が刻まれた詩碑が建っている。ハワ
イに旅行する叔父を見送るために横浜港の大さ
ん橋に行った帰途で作詞されたものとされる。
横浜港は国際貿易港として正月も休むことなく
動き、白いかもめと青い海が鮮やかな対比を見
せて、明るい港となっている。正月のうららか
な気分に、かもめが波にたのしげに揺られてい
る。「かもめの水兵さん」の歌詞を重ねて、港
の正月がある。        (高橋正子)
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H23 1月号選後に その①

2010-11-12 10:41:57 | 花冠投句

 うす雲ひと刷け水引草真赤 喜代子

 ひと刷けのうす雲に水引草の一すじの赤い色。「ひと刷け」
も軽く、水引草も軽いが、そこに「真赤」をもって引き締めた。
その真赤も強烈な赤ではなく、水引草の可憐な赤で、その取り
合わせに詩がある。
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H23 1月号投句とメモ

2010-11-12 10:21:09 | 花冠投句
鶺鴒
高橋正子

芒の穂中洲にひらきみな若し 
鴨泳ぐ速き流れに乗りつつも
秋の野の黄蝶白蝶こまごまと
秋風の鳥小屋インコの羽四色
 治代さんから芋炊セット
水郷のごぼう里芋鍋に炊き
欅もみじはや夕暮れが来ておりぬ
十二夜の月にふらんす砂糖菓子
 鶴見川・鳥山川
秋川の出会いの水ののびやかに
落ちそうで落ちず鶺鴒飛ぶときは
すすきより後れて葦の穂が真白
 
  ********

 横浜スタジアム
秋天に強靭なるものスタジアム
剥かれたる芋の白さを煮て保つ
残業の子にあたためて芋煮鍋
里芋の畑にとなり芋を売る
晩稲田の刈らるるまでをそよぎけり
晩稲田の祭りすぎたるさびしさよ  
龍の口より落ちたる水の澄みていし
境内の秋澄み銀杏まだ青し
境内の崖をしばりて蔦紅葉
二丁目の丘に芒の穂の若し
酔芙蓉はれやかなるは八重であり
野ぼたんの紫あれば庭が澄み
湯上りの肌に星より来る寒さ
きょうからは色が見え出す菊蕾
ジンジャーの花の香に足る十三夜
おのこらが合唱して来る秋の坂
一鉢の小菊の色のたのしけれ
球根を植えて文化の日の晴天
秋天の青全きや指の傷
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H22花冠12月号

2010-10-10 19:48:56 | 花冠投句
水澄んで
高橋正子

山の端へ星を配りて天の川
おそがけのふるさとの葡萄つめたかり
日にいちばん耀くものに菊蕾 
 駒林神社三句
おみららの囃して吹ける祭笛
祭笛獅子を寝かせる子守唄
祭笛風が運んで強弱も
大寺の銀木犀は空の香に
大寺の水あるところ水澄んで
足先がふっと蹴りたる青どんぐり
薄紅葉「天狗推参」あるやもし
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H22/11月号投句

2010-09-10 11:06:51 | 花冠投句
湿原に
高橋正子

尾瀬行きのバスの秋日のあたたかし  
みなかみの稲穂熟れそむ日和なり   
胡麻の花山の青さをきわだてり    
八月は水芭蕉の葉のおおいなる
ハンゴンソウの黄花真盛り触れもして
木道に沿えば風吹き吾亦紅
 イワショウブ
みはるかす湿原白き花が立ち
湿原に日はかたむかず未草
 弥太郎清水
差し入れし泉の水に手を切られ
山小屋の湯にいて秋の笹の音

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10月号投句/22年

2010-08-05 15:23:35 | 花冠投句

稲の花
高橋正子

 家郷
広島のとある岬のひろしま忌
遍路路は稲の花咲く道ならむ
つっと来て赤とんぼうの去らずいし
朝顔の紺の開きて佳き日なり
冬瓜を食す港の見える窓
水遣られもっともいきいき茄子の花
ベランダに晩夏の朝日黄ばみける
市民アパート誰か咲かせて紅蜀葵
盆が来ていよいよ黒く荒布炊く
走り藷蒸けてまばゆき夕日あり
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9月号後記/平成22年

2010-07-11 23:31:10 | 花冠投句
後記
★新涼の季節、九月号をお届けします。今月
号も先月号に引き続き、「電子書籍を読む」
について多くの方から感想を寄せていただき
ました。信之先生が電子書籍化された句集へ
のお礼も含め、あたらな気持ちで句集に向き
合われたことなど、ご自分のこととしての感
想に現実味があります。出版各社もようやく
重い腰を上げた感じがします。電子書籍の売
れ行きの伸びと相俟って紙の書籍も売り上げ
を伸ばして、胸をなでおろした様子です。平
成十三年には平成八年の二十倍の電子書籍が
売られると調査会社が報告しています。電子
書籍の時代がくることは間違いないでしょう。
ただ、心配がないわけではありません。出版
不況に陥り、よい本が出版されなくなり、本
当に読みたい本が市場から消えたことも現実
です。電子書籍においても、売れ筋の本ばか
りが出版され、本当に読みたい本が電子書籍
化されないこともありうることでしょう。ま
ず、よい内容の本を早く魅力ある本として電
子書籍化し、読者を逃さないようにしておく
べきでしょう。俳句に関するものもしかり。
そういう意味で、花冠の電子書籍は意義が深
いと思います。電子書籍がもっとの研究され
て、利点が生かされ楽しいものになればよい
と思っています。
★信之先生の俳句鑑賞を毎月違った方に書い
ていただいています。俳句は、一人ではなか
なか的確に読めないもの。鑑賞の参考にして
いただければと思います。「作者の気持ちに
なって」読むのが花冠の伝統的俳句鑑賞の方
法です。私見を優位に置いたものではありま
せんので、きっとお役に立つと思います。
★久しぶりに吟行記の掲載です。加代子さん
のご報告で、五月の秀之さん歓迎吟行句会の
模様です。お楽しみください。夏の吟行で思
い出すのは、鵜飼もあるけれど、気軽な吟行
です。四国札所の奇岩で有名な岩屋寺の吟行
で立ち寄った食堂。お昼に汗して帰ったご主
人が脇のテーブルで食事。われわれの食べた
ものは忘れたが、ご主人の昼食のおいしそう
なこと。大きなひややっこに鰹節を盛って、
もう一皿は、胡瓜を切ったものに醤油をかけ
て。それと白いご飯。吟行にゆけば、こうい
う涼しげな、人間的な体験ができる。涼しく
なったら、吟行句会を予定しています。
★「子どもの俳句」を真っ先に読みますとい
うメールを某俳句雑誌の若い女性編集者から
いただきました。大変うれしいことです。
「子どもの俳句」もよろしくご支援ください。
暑いときですので、お体大切にお過ごしくだ
さい。             (正子)
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