俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

9月29日(土)

2018-09-29 09:21:02 | 日記
★式部の実色づき初めしに空晴るる  正子

○今日の俳句
刷かれきてここより鰯雲となる/川名ますみ
眺めている空の雲の景色は、見ていて飽きない。移動していると、空に刷かれていたすじ雲が、あるところからは、鰯雲となったというたのしさ。秋空の澄んだ空気を得て、心境が出た。(高橋正子)

●台風24号の影響が出始める。
早暁目覚め、「俳句四季10月号」を丁寧に読むが、記事が小刻みで写真に遮られ読みにくい。同じような内容の記事が少量ずつあちこちにあるし。来年1年間の購読と申し込んだが、ちょっと残念な思い。

梨の実の中の青梨汽笛鳴り       正子
柘榴の実ほろほろこぼす子の手のひら  正子
柘榴の紅USAの字が浮きて       正子

○アズマカモメヅル

[アズマカモメヅル/東京白金台・国立自然教育園]

  東鴎蔓
★森に来て見知らぬ草の花に会う/高橋信之

 東鴎蔓(アズマカモメヅル var. albiflorum )は、ガガイモ科 カモメヅル属で、コバノカモメヅルの変種。コバノカモメヅルの白花品(黄緑色)。花の色が違う他は基本種と違いはない。
 小葉の鴎蔓(コバノカモメヅル、学名:Vincetoxicum sublanceolatum )はガガイモ科カモメヅル属のつる性の多年草。つる性で、他の草などに巻きついて、高さは2mから3mほどになる。葉は葉柄があり、茎に対生し、形は披針形または広披針形で先が尖り、縁は全縁。花期は7月から9月で、径7から9mmほどの暗紫色をした星型の花をつける。花が終わると径7mm、長さ5から7cm程度の、ガガイモ科特有の袋果(実)をつける。秋に袋果が割れ、種髪(毛束)をつけた種子がはじける。本州の関東地方、中部地方、近畿地方の山野の草原や湿地に自生する。


◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)
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9月28日(金)

2018-09-28 14:33:48 | 日記
★金水引つゆ草さくら蓼野が埋まり   正子
春のピークと同様、秋の季節のピークには野山には秋の草花で覆われます。まさに秋の園、草の花、秋の色ですね!!青空に映えて散策が一際楽しくなる気候となりました。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
 四条大橋~高瀬川界隈
せせらぎの岸に茶店や水の秋/桑本栄太郎
せせらぎのほとりの茶店はいいものだ。ゆっくりとお茶を飲みながら水音を聞き、水を眺める。「水の秋」の爽やかさである。(高橋正子)

●晴れ。久しぶりの天気。明日からは台風で大雨の予報。布団干し、郵便局、銀行、薬局の用事を済ます。
日吉商店街で小買い物。井口文華堂で小筆。井口文華堂が中央通りからなくなっていたので、隣のマルヤさんで聞くと、すぐ近くに規模を小さくして開店していた。横通りの八百屋で、新潟の無花果、愛媛の青蜜柑、地元の茗荷を買う。東急で子持ち鮎。

柳原美知子さんから電話。「俳句四季10月号」のことで。私の力を注いだところ、ーー 一人一句を挙げるのに句集を読み返したり、ネットの秀句を調べたりしたところをよく汲み取ってもらった話だったので、大変うれしかった。写真までも凛としていいと言われて恐縮。写真では、絶対笑いたくないから笑っていないのだけれど。

一人居の食卓匂わす青蜜柑     正子
みちのくの無花果の乳噴きだせる  正子
鮎焼くとグリルの炎の色清らかなり 正子   

◇生活する花たち「茶の花・犬蓼・吾亦紅」(横浜下田町・松の川緑道)
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9月27日(木)

2018-09-27 09:58:50 | 日記
★露草の青のいのちの正午まで   正子
あちこちの路傍に生える露草は一年草で青色の花をさかせる。月光を浴びて咲くので月草とも言われ、正午頃には綺麗な青色が覚め始める。初秋に可憐に咲く素敵な花ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
とんぼうととんぼの影の水面かな/小口泰與
とんぼうが水面を飛ぶ。そのとんぼの影も水面にある。澄んだ水面と、とんぼうの翅の透明感がよい。(高橋正子)

●雨。大型台風24号が近づく。今朝は、10月下旬ごろの気温。

「WEP俳句年鑑」への投句依頼がある。「現代の俳句風景が見られるものにしたい。」のが発行趣旨。
閉め切りは10月15日。自選7句。参加資格は主要同人・会員。来年1月発行予定。定価2800円。で
花冠から9名推挙。でも、ずいぶん急な話だな。

秋冷にほのかに温し小鳥の身 正子
誰か居るように紅茶を秋の朝 正子


[白鳥(コッツウォルズ バイブリー)]     [シェイクスピアの家(ストラトフォード・アポン・エイボン)]

イギリス俳句の旅2011

○バイブリー
 コッツウォルズ地方と言えば、日本ではバイブリーの景色がなじみとなっている。この町は世界一きれいな町として、実際ここに住んだウィリアム・モリスが言っている。彼は町の保存に力を尽くしているが、もとはウールで栄えた町だった。産業が下火になり、家を建て替えたりする資金がなく、昔のままが保存されたということである。家は、近くで多く産出されるライムストーンという砂岩で出来たブロックを積んで造られて、独特の風合いとなっている。小川も大変きれいで、ウールで栄えたころの教会がある。ライムストーンは、湿度や気温などその土地によって、変色がさまざまであるそうだ。花が家を飾り、これが普段の人々の生活そのものであることに驚かされる。教会のとなりに小さな小学校があるが、しずかに授業をしている声が聞こえた。乗用車がひっきりなしに通るのも不思議なほどだ。

 水澄んで白鳥ふうわり流れくる

○ボードン・オン・ザ・ウォーター
 ボードン・オン・ザ・ウォーターは、町を浅い川がながれ、川のほとりは、芝生が植えられベンチが置いてある。川に六本橋がかかっているが、二〇歩ほどで渡れる橋だ。観光にきた老人も多く、町の人に交じってゆっくりお茶を楽しんでいる。ここのティーハウスで、お昼前だったが、クリームティーを句美子と楽しんだりした。クリームティーは、紅茶とスコーンのセットを楽しむお茶のことで、スコーンにジャムとバタークリームが付いて供された。アールグレイを頼むとゆったりとしたティーポットに入れてきてくれた。
 お茶のあと、観光街を外れてあるいていると、「ポッタリー175ヤード」の小さな標識があったので、そのポッタリーをさがして歩いた。ヤードはたぶん、「ひとひろ(両手をのばした長さ)」ではなかったかと、思いつつ歩くと間もなく見つかった。
店に入って驚いた。益子焼とバーナードリーチの作品に非常に似ている。なにかそういう影響を受けたのかと店の女主人に聞くとそうだという。彼女も芸術家で彫刻と絵付をしている。主人が焼いている。ミルクピッチャーを一つかった。益子焼に似ている。彼女によれば、浜田庄司の湯呑をひとつもっているとのことだった。パンフレットにはリーチイーストセンターでご主人が勉強したと書いてあった。近くで産出されるこれもライムストーンを使っているようであった。モリスにしろ、リーチの影響を受けたご主人にしろ、思ってもみなかった縁がここにあることに、驚かざるを得なかった。

 秋夕日羊にそれぞれ影生まる

○ストラトフォード・アポン・エイボン
 シェークスピアの生家を訪ねる前に、妻のアンの生家を訪ねた。趣のある藁ぶき屋根の家で庭には当時植えられていたであろう花がいろいろ植えてあった。屋根には小さな金網を掛けてあり、小鳥が巣づくりで藁を抜いていかないようにするためと聞いた。
 シェークスピアの生家は、街のなかにあり、写真で見るより小さかった。シェークスピアが生まれた両親の部屋なども見たがベッドもずいぶん小さい。大きくなると、背に大きな枕当てて、半身を起して寝たようだ。体を伸ばして寝ると死んだように見えるからとも言っていた。暖炉があり、冬は湿った薪を焚くので、部屋は煙りがもうもうとなり窓を開けて寝たとも。そのために、ナイトキャップが必要とされたそうだ。父親は皮職人だったので、皮手袋をぶら下げて売っていた部屋もあった。今は裏庭に秋のはなが咲き乱れていたが、トサツ場であったようで、牛の骨が見つかっている。ドラマ仕立ての説明があったが、ドラマティックに仕立ててあって、演劇の素地がこの街にあることを十分に感じた。著名演劇人に交じって日本人では黒沢明の写真が1枚あった。
 この街の中学生や高校生をバスが停車しているとき見たが、日本人とわかると、「こんにちは。」と声をかけてくる。日本の普通の中学生と変わらない。明るい雰囲気のする街であった。シェークズピアが眠る教会を訪ねたが、アプローチに12使徒を表す菩提樹が12本両脇に植えてあった。エイボン川の流れが静かであった。

   シェイクスピアの生家
 秋晴るる日射し庭の花々に

◇生活する花たち「藻の花・萩・藪蘭」(鎌倉・宝戒寺)

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9月26日(水)

2018-09-26 09:35:40 | 日記
">★林檎手に送られ来しが赤ほのと  正子
遠くから送られてきた林檎。手に取ってみればほんのりと赤く色づいている。林檎そのものへの慈しみのみならず、遥か旅してきた林檎への労り、贈り主への感謝の思いも読み取ることができます。(小西 宏)

◯今日の俳句
★静かなる海の遠さや稲光/小西 宏
海ははるかに遠くに静かに横たわる。全く平らかに。ところが、その海をいらだたせるかのように、稲光が走る。平らな海と稲妻が好対照。(高橋正子)

●雨。名月のあとの昨日はどしゃ降り。今朝は小雨。小寒い。
21日に発送した「俳句四季10月号」が昨日25日に皆さんに届いたようで、届いたひとから8名からメールをもらう。印刷して病院の信之先生に見せる。3連休があったせいか、到着が遅かった。郵便局連休は配達を休んでいる?

○柚香菊(ゆうがぎく)

[柚香菊/東京小金台・国立自然教育園]

★花開ききったり柚香菊そこに/高橋信之
★花びらの欠けるかに咲き柚香菊/高橋正子
★やや寒し柚香菊の白を帯ぶ/〃
★茎すっと伸びて岐れて柚香菊/〃
★湖の縁にならんで柚香菊/高橋句美子

 ユウガギク(柚香菊、学名:Kalimelis pinnatifida) は、キク科ヨメナ属の多年草で、やや湿性の高い場所に自生し、いわゆる「野菊」の仲間である。草丈50cmほどで、しばしば1mを越える。上部で花茎を分け、花期は6月下旬~11月、茎頂に径3cm前後の白から淡紫色の典型的なキク型の花をつける。葉は、幅3cmほど、長さ8cm前後の卵状長楕円形で、通常、葉縁に鋭く浅い切れ込みか、または羽状の中裂が入る。本州の近畿地方以北に分布し、関東地方以北に分布するカントウヨメナにとてもよく似ている。近年、シロヨメナをヤマシロギクの別名としたり、その逆としたり、シロヨメナとヤマシロギクを混同する記載が結構目立つ。シロヨメナとヤマシロギクはともにノコンギクの亜種だが、別種である。ヤマシロギクは東海地方以西に分布し、シロヨメナの分布は本州~九州・台湾である。シロヨメナはしばしばヤマシロギクとの間に雑種を作るのでこのような混同がおきているのかもしれない。「柚香菊」は、ユズの香りがするとの命名だが、葉を揉んでもユズの香りは確認できていない。

★野菊持ちし女の童に逢ひぬ鈴鹿越/正岡子規
★足元に日のおちかかる野菊かな  一茶
★湯壷から首丈出せば野菊かな/夏目漱石
★蝶々のおどろき発つや野菊の香/前田普羅
★頂上や殊に野菊の吹かれをり/原石鼎
★かがみ折る野菊つゆけし都府楼址/杉田久女
 横浜日吉・慶大グランド
★サッカーの練習熱帯ぶ野菊咲き/高橋正子

 柚香菊は、野菊の仲間である。野菊(のぎく)とは、野生の菊のことである。よく似た多くの種があり、地域によってもさまざまな種がある。一般に栽培されている菊は、和名をキク(キク科キク属 Dendranthema grandiflorum (Ramatuelle) Kitam.)と言い、野生のものは存在せず、中国で作出されたものが伝来したと考えられている。したがって、菊の野生種というものはない。しかしながら、日本にはキクに似た花を咲かせるものは多数あり、野菊というのはそのような植物の総称として使われている。辞典などにはヨメナの別称と記している場合もあるが、植物図鑑等ではノギクをヨメナの別名とは見なしていない。現在では最も身近に見られる野菊のひとつがヨメナであるが、近似種と区別するのは簡単ではなく、一般には複数種が混同されている。キク科の植物は日本に約350種の野生種があり、帰化種、栽培種も多い。多くのものが何々ギクの名を持ち、その中で菊らしく見えるものもかなりの属にわたって存在する。
 野菊は、野生の植物でキクに見えるもののことである。キクはキク科の植物であるが、この類の花には大きな特徴がある。菊の花と一般に言われているものは、実際には多数の小さい花の集合体であり、これを頭状花序と言う。頭状花序を構成する花には大きく2つの形があり、1つはサジ型に1枚の花弁が発達する舌状花、もう1つは花弁が小さく5つに割れる管状花である。キクの花の場合、外側にはサジ型の舌状花が並び、内側には黄色い管状花が密生するのが基本である。


◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)
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9月25日(火)

2018-09-25 08:15:45 | 日記
★もろこしのつめたさつまり露の冷え  正子
朝夕田畑に露が置き敷かれる秋口はちょうどトウモロコシが稔るころ。その実を手に取ると、ぎっしりとつまった粒があたかも露の玉のようのように冷たくも感じられますね。軽妙な詠みが秋の到来を実感させてくれます。(河野啓一)

○今日の俳句
深み行く秋空ひろきベッドかな/河野啓一
入院生活も長くなられ、猛暑の夏を越して秋になった。ベッドから眺める秋空がひろびろと、色深くなってきて、もの思う作者の心境が察せられる。(高橋正子)

●曇。
名月の今天心に止まれる    正子
秋冷の病窓灯のある街のを見せ 正子

○酔芙蓉

[酔芙蓉/横浜・四季の森公園]           [酔芙蓉/横浜日吉本町]

★震度四芙蓉の酔ひをうながしぬ/水原春郎
★無雑作な土鉢に風の酔芙蓉/皆川盤水
★歌詠みの留守を預けし酔芙蓉/品川鈴子
★漲るは朝の大気の酔芙蓉/稲畑汀子
★酔芙蓉向かうをむいてをりにけり/高橋将夫
★日の暮れの日のあるうちの酔芙蓉/鷹羽狩行
★枝ぶりの日ごとに替る芙蓉かな 芭蕉
★日輪病めり芙蓉の瓣の翳ふかく 亞浪
★深まれる秋の真中の酔芙蓉/高橋正子

 フヨウ(芙蓉、Hibiscus mutabilis)はアオイ科フヨウ属の落葉低木。種小名 mutabilisは「変化しやすい」(英語のmutable)の意。「芙蓉」はハスの美称でもあることから、とくに区別する際には「木芙蓉」(もくふよう)とも呼ばれる。原産地は中国で、台湾、日本の沖縄、九州・四国に自生する。日本では関東地方以南で観賞用に栽培される。
 同属のムクゲと同時期に良く似た花をつけるが、直線的な枝を上方に伸ばすムクゲの樹形に対し、本種は多く枝分かれして横にこんもりと広がること、葉がムクゲより大きいこと、めしべの先端が曲がっていること、で容易に区別できる。
 スイフヨウ(酔芙蓉、Hibiscus mutabilis cv. Versicolor) 朝咲き始めた花弁は白いが、時間がたつにつれてピンクに変色する八重咲きの変種であり、色が変わるさまを酔って赤くなることに例えたもの。なお、「水芙蓉」はハスのことである。混同しないように注意のこと。 アメリカフヨウ(草芙蓉(くさふよう)、Hibiscus moscheutos、英: rose mallow) 米国アラバマ州の原産で、7~9月頃に直径20cmにもなる大きな花をつける。草丈は1mくらいになる。葉は裂け目の少ない卵形で花弁は浅い皿状に広がって互いに重なるため円形に見える。この種は多数の種の交配種からなる園芸品種で、いろいろな形態が栽培される。なかには花弁の重なりが少なくフヨウやタチアオイと似た形状の花をつけるものもある。


生活する花たち「白むくげ・萩・藤袴」(東京・向島百花園)
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9月24日(月)

2018-09-24 09:28:44 | 梅林
★山萩を黄蝶をわが目に遊ばせる  正子
草冠に秋と書いて萩と読ませる。昔の人にとっては萩は秋を象徴する花だったのでしょうか。そんな萩も山萩となるとそんなに目立つ花ではなく地味な感じとなる。そこへ秋の黄色の蝶が飛来する。「わが目に遊ばせる」の主語は何かと考える。秋をつかさどる自然の神かと思って読みました。豊かな秋に対する喜びと自然に対する感謝とも読み取れる句である。(古田敬二)

○今日の俳句
 書道展
秋の字が黒々生まれる太い筆/古田敬二
墨痕の鮮やかさが一番引き立つのは季節でいえば、秋ではなかろうか。太筆で黒々と書かれた字が力を得ている。(高橋正子)

●十五夜。きのうデパートに行ったら、お月見団子、うさぎの上用がたくさん並んでいたので、てっきり十五夜と思ってしまった。夕方に気づいて月を見たら、雲の中。今日が十五夜。


○杜鵑草(ほととぎす)

[杜鵑草/横浜日吉本町]           [ヤマホトトギス/東京白金台・国立自然教育園]

★杜鵑草暮れ母の忌の仏間暮る/林 翔
★時鳥草顔冷ゆるまで跼(セグク)みもし/岸田稚魚
★紫の斑の賑はしや杜鵑草/轡田 進
★杜鵑草壺中にくらき水湛う/養学登志子

「杜鵑」は鳥のほととぎす。「杜鵑草」と書けば、植物のほととぎすである。我が家の庭の下草に植えていた。なかなか丈夫で秋になると赤紫の班がある花をつける。暗いようでもあり、にぎやかなようでもある。玄関に花がない日には、この花を一茎摘んで籠に挿した。それだけで結構様になる。庭や近くの野辺の一輪の花が空間にうるおいを与えてくれた。杜鵑草もそんな花のひとつである。

★活けたれば花が飛びたる杜鵑草/高橋正子

 ホトトギス属(杜鵑草属、学名 Tricyrtis)は、ユリ科植物の属の多年生草本植物である。山野の林下や林縁、崖や傾斜地などの、日当たりの弱いところに自生する。葉は互生し、楕円形で長く、葉脈は縦方向で、表面には毛が生える。花期は初夏から秋にかけてで、雌雄同花で上向きに咲き、花弁が 6枚で直径数cm程度のもので 2〜4日程度咲くことが多い。東アジア(日本、台湾、朝鮮半島)に分布し、19種が確認されている。そのうち日本では 13種(変種を除く)が確認されており、うち 10種は日本固有種である。 日本列島を中心に分布していることから、日本が原産であると推定されている。
 ホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook 代表種。草丈は 1m になり、花は葉腋に 1〜3個ずつ付き、4日間咲く。花期は秋。関東・新潟県以西に分布する。 ヤマホトトギス Tricyrtis macropoda Miq. 関東以西の太平洋側および長野県に分布し、草丈は 1m ほどになる。花は 2日間で、茎の先に花序を伸ばし、晩夏に咲く。花びらの折れたところに斑紋が入らず、花びらが反り返るところで判別できる。

◇生活する花たち「露草・なんばんぎせる・玉珊瑚(たまさんご)」(東京白金台・自然教育園)

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9月23日(日)

2018-09-23 10:57:43 | 日記


 四国88ヶ所45番札所 岩屋寺
★月明の寺に湯浴みの湯をたまわり  正子
岩屋寺は一遍上人も修行された寺だということで、私も何回か行ったことがあります。月明かりの中での湯浴みは、心身ともに疲れを癒してくれたことでしょう。(井上治代)

○今日の俳句
廃屋の増えゆく里や白木槿/井上治代
廃屋が増えていく村里と白槿の寂しさとがよく呼応しています。(高橋正子)

●晴れ。気持ちよい天気。
今日は妹へ葡萄のお返しと、元希の敬老の日の絵と手紙のお礼の品を買いにそごうへ。

今朝の朝日新聞の俳壇・歌壇のコラム「短歌時評」の大辻隆弘氏の「誰に向けてうたうのか」は、短歌を俳句に置き換えてもほぼ当たる内容で、興味をひかれた。

<「読者一人一人の心の必然性によって得られたポプラリティであれば、理想的。」(東直子)という肯定的意見から、「短歌を公にするに当たって歌人は、ポプラリティを求めるべきではない。」(石井辰彦)とする意見まで、見解は多岐に渡っている。>これを読むと、現在東直子氏は、言葉通りに人気の歌人で、ポプラリティのある歌人と言え、穿つわけではないが、自分自身を肯定する意見と、読める。

結論としての大辻氏の意見あるいは感想は、「歌人たちがポプラリティに誘惑を感じる背景には、批評不足の状況にたいする漠然とした不安がある。が、もし多くの読者を獲得することだけが歌作の最重要課題となるなら、少し寒々しい。」である。

俳句や歌を作る人が「批評不足に感じる不安」は何だろう。批評不足はなぜ起きているのか。批評不足だけが不安なのか、という疑問も湧く。
一つは、俳句・短歌の大衆化・俗化。批評することを、大衆や俗世間は、悪口ととる。文芸上のことと捉えない。最近「今は戦争前の世の中と似てきた」というのをよく聞くが、他人と違う意見が言いにくい。一人が褒めると二人が褒める。二人が褒めると三人、五人と褒める人が増えていく。(ついに褒められた人はマスコミ界で著名になるのだが。)そのなかで、異を唱えることは、わざわざバッシングを受けるために名乗り出るようなものだ。そのように思える。

(去年)
俳句界10月号に橋本直氏が「俳句における「解釈」と「構造」」という文を書いておられた。夕べ読んだ。
<社会の中の言語実践の仕組みを思うとき、俳句のとあるひとつの構造に入りきることで一種の商況的情操を帯びるほうがわかりやすくなるだおう。大西*の用語を借りれば、それが「道」ということかと思われる。>
*大西:大西克礼(1888-1959)(『東洋的芸術精神』などの著者)

○オクラ(秋葵)

[オクラの花と実/横浜日吉本町]      [黄蜀葵(トロロアオイ)/ネット(野平美紗子)より]

★口楽しオクラの種を噛むことも/中村文平
★薄刃もて刻むオクラの糸を引く/松下裕子
★陽を浴びるオクラの花を訪ひにけり/山元重男
★一晩の時間オクラのふとりかな/松田秀一
★黄蜀葵花雪崩れ咲き亡びし村/加藤楸邨
★市原野とろろあふひの花咲かす/加藤三七子
★空を謳歌するごと黄蜀葵/野平美紗子
★オクラの花と実と出会う小さな旅よ/高橋信之
★秋葵川は南へ流れ去る/高橋信之
★秋葵花は黄色を澄ましきる/高橋正子
★露消えしばかりの時間秋葵/高橋正子

 オクラ(秋葵、Okra、学名:Abelmoschus esculentus)は、アオイ科トロロアオイ属の植物、または食用とするその果実。和名をアメリカネリと言い、ほかに陸蓮根(おかれんこん)の異名もある。英名okraの語源はガーナで話されるトウィ語 (Twi) のnkramaから。沖縄県や鹿児島県、伊豆諸島など、この野菜が全国的に普及する昭和50年代以前から食べられていた地域では「ネリ」という日本語で呼ばれていた。今日では当該地域以外では「オクラ」という英語名称以外では通じないことが多い。
 以前はフヨウ属(Hibiscus)に分類されていたが、現在ではトロロアオイ属に分類されている。短期間で50cm-2mほどに生長し、15-30cmの大きさの掌状の葉をつけ、黄色に中央が赤色のトロロアオイに非常に似た花をつける。開花は夜から早朝にかけてで、昼にはしぼんでしまう。開花後、長さ5-30cmの先の尖った形の五稜の果実をつけ、表面に短毛が生えており、熟すと木質化する。原産地はアフリカ北東部(エチオピアが有力)で、熱帯から温帯で栽培されている。エジプトでは、紀元前元年頃にはすでに栽培されていた。アメリカ州では、主に西アフリカから移住させられた奴隷によって栽培が始まり、現在でもアメリカ合衆国南部、西インド諸島、ブラジル北部など、アフリカ系住民の多い地域でよく栽培されている。日本に入って来たのは明治初期である。熱帯では多年草であるが、オクラは少しの霜で枯れてしまうほどに寒さに弱いために、日本では一年草となっている。
 オクラは、刻んだ時にぬめぬめした粘り気が出るが、この粘り気の正体は、ペクチン、アラピン、ガラクタンという食物繊維で、コレステロールを減らす効果をもっている。日本では、生あるいはさっと茹でて小口切りにし、醤油、鰹節、味噌などをつけて食べることが多い。他にも、煮物、天ぷら、炒めもの、酢のもの、和えもの、スープ、すりおろすことによってとろろの代用にするなどの利用法がある。加工食品として、ソースやケチャップの原材料としても用いられる。種子は煎じてコーヒーの代用品として飲まれた歴史がある。
 トロロアオイ(黄蜀葵、学名:Abelmoschu manihot )は、アオイ科トロロアオイ属の植物。オクラに似た花を咲かせることから花オクラとも呼ばれる。原産地は中国。この植物から採取される粘液はネリと呼ばれ、和紙作りのほか、蒲鉾や蕎麦のつなぎ、漢方薬の成形などに利用される。花の色は淡黄からやや白に近く、濃紫色の模様を花びらの中心につける。花は綿の花に似た形状をしており、花弁は5つで、朝に咲いて夕方にしぼみ、夜になると地面に落ちる。花びらは横の方向を向いて咲くため、側近盞花(そっきんさんか)とも呼ばれる。


◇生活する花たち「犬蓼・吾亦紅・チカラシバ」(横浜下田町・松の川緑道)
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9月22日(土)

2018-09-22 11:13:33 | 日記
★パイプ椅子天の川へと向け置かれ  正子
夜も更け暮しの灯も落ちて来た頃、漆黒の夜空に輝く天の川をゆっくり眺めようと持ち運びし易いパイプ椅子を用意されたのでしょうか。澄み渡った今宵の空への期待と作者の心のゆとりまでも感じられる涼やかな御句です。(佃 康水)

○今日の俳句
ゆきあいの空へコスモス揺れどうし/佃 康水
「ゆきあいの空」がなんともよい。出会った空にコスモスゆれどうしている。そんな空に明るさと夢がある。(高橋正子)

●秋雨前線の影響で、夕べは雨。今朝は上がるが、肌寒い。

今朝のラジオ、曹洞宗の40歳ぐらいの僧侶の話。修行は、毎日、規則正しく生活すること。自分でルールを作ってきちんきちんとそれを行うこと、というような内容。『正法眼蔵』の話も。花冠のデイリー句会(自由な投句箱)もその意味では、修行。修行は難行苦行を言うのではないらしい。淡々と行うことか。
そういう意味で、デイリー句会が意味をなしているとも言える。

アメリカの初期の英語俳句は禅の影響を受けている。ネットを始めたばかりの頃、20年ぐらい前、アメリカのネットを覗くと、ごく普通の人の句に「serene」という英語を使った俳句がよく見られた。なにかしら、高みを求めていた。今はどうなんだろう。違う気がする。その時代の句を古いと一蹴している気がする。

○曼珠沙華

[曼珠沙華/東京白金台・国立自然教育園]  [曼珠沙華/横浜・四季の森公園]

★曼珠沙花あつけらかんと道の端 漱石
★木曾を出て伊吹日和や曼珠沙華 碧梧桐
★駆けり来し大烏蝶曼珠沙華 虚子
★彼岸花薙がば今もや胸すかむ 亞浪
★悔いるこころの曼珠沙華燃ゆる 山頭火
★曼珠沙華無月の客に踏れけり 普羅
★崖なりに路まがるなり曼珠沙華 石鼎
★葬人の歯あらはに哭くや曼珠沙華 蛇笏
★曼珠沙華五六本大河曲りけり 喜舟
★投網首に掛けて人来る彼岸花 汀女
★曼珠沙華茎見えそろふ盛りかな 蛇笏
★曼珠沙華傾き合ひてうつろへり 泊雲
★むらがりていよいよ寂しひがんばな 草城
★考へても疲るるばかり曼珠沙華/星野立子
★曼珠沙華今朝咲きぬ今日何をせむ/林翔
★青空に声かけて咲く曼珠沙華/鷹羽狩行
★水に水ぶつかり勢ふ曼珠沙華/能村研三
★旅すれば棚田棚田の曼珠沙華/高橋正子
★曼珠沙華日暮れの空の青きまま/〃
★起きぬけの目にりんりんと曼珠沙華/〃

 日本には北海道から琉球列島まで見られるが、自生ではなく、中国から帰化したものと考えられる。人里に生育するもので、田畑の周辺や堤防、墓地などに見られることが多い。特に田畑の縁に沿って列をなすときには花時に見事な景観をなす。また、日本に存在するヒガンバナは全て遺伝的に同一であり、三倍体である。故に、種子で増えることができない。中国から伝わった1株の球根から日本各地に株分けの形で広まったと考えられる。学名のLycoris(リコリス)とはギリシャ神話の女神、海の精:ネレイドの一人、Lycoriasの名前からとられたもの。


◇生活する花たち「女郎花・葛の花・萩」(四季の森公園)
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9月21日(金)

2018-09-21 03:22:13 | 日記
★葛にさえ初花ありて匂うなり  正子
山野に自生し繁茂する、粗野な植物の葛だけに、初花としての可憐な初々しさがいっそう強く感じられます。紫紅色の花穂から漂う香りの芳しさに、秋の訪れを実感いたします。(藤田洋子)

○今日の俳句
窓越しの鳴き澄む虫と夜を分つ/藤田洋子
「夜を分かつ」によって、窓の外の虫音と内とが繋がって、しっとりと落ち着いた虫の夜となっている。「鳴き澄む」虫の声が透徹している。(高橋正子)

●昨日の秋の彼岸入り。小雨。今朝も小雨。気温は最高が24度。秋冷。

「俳句四季10月号」を花冠同人に贈呈、郵送。16名。
「俳句四季10月号」40冊購入代金を振り込み。

ネット短信No,345号送信。

病院の図書にあった『偸盗の夜-高瀬川女船歌』(澤田ふじ子著・中央公論)を読みかけた。女性の書く時代小説は、結構面白い。


○茶の実

[茶の実/東京白金台・国立自然教育園]

★元日やお茶の実落ちし夕明り/渡邊水巴
★初秋の森にお茶の実の確と/高橋信之

 茶の花は9月から11月にかけて咲きます。昆虫などによって花粉受粉し、ほぼ1年後の秋に種子が熟し、地面に落ちます。1つの実の中に1粒から5粒くらいの種子が入っています。翌年の春に発芽しますが、種子が乾きすぎると発芽しにくくなります。種子が落下した後、すぐに取り、直まきにするのが簡単です(秋まき)。なお、現在では茶の繁殖は、ほとんどが挿木によって行われています。昔は茶の種子から油を採り、食用や洗髪に利用していた地域がありました。また、家紋としてデザインされ、40種類以上の茶の実紋が生み出されるなど、茶の実は、日本人の生活と密接に関わってきました。
 チャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である。チャの木、あるいは茶樹とも記される。単にチャ(茶)と呼ぶこともある。原産地は中国南部とされているが確かなことは分かっていない。
中国や日本で栽培される1m前後の常緑低木(学名 : Camellia sinensis)。インド・スリランカなどで栽培される変種のアッサムチャ(学名 : C. sinensis var. assamica)は8 - 15mにも達する高木になる。ここでは基本変種を中心に記述する。
栽培では普通は1m以下に刈り込まれるが、野生状態では2mに達する例もある。幹はその株からもよく分枝して、枝が混み合うが、古くなるとさらにその基部からも芽を出す。樹皮は滑らかで幹の内部は堅い。若い枝では樹皮は褐色だが、古くなると灰色になる。
葉は枝に互生する。葉には短い葉柄があり、葉身は長さ5-7cm、長楕円状被針形、先端は鈍いかわずかに尖り、縁には細かくて背の低い鋸歯が並ぶ。葉質は薄い革質、ややばりばりと硬くなる。表面は濃緑色でややつやがある。その表面は独特で、葉脈に沿ってくぼむ一方、その間の面は上面に丸く盛り上がり、全体にはっきり波打つ。花は10-11月頃に咲く。花は枝の途中の葉柄基部から1つずつつき、短い柄でぶら下がるように下を向く。花冠は白く、径2-2.5cm、ツバキの花に似るが、花弁が抱え込むように丸っこく開く。果実は花と同じくらいの大きさにふくらむ。普通は2-3室を含み、それぞれに1個ずつの種子を含む。果実の形はこれらの種子の数だけ外側にふくらみを持っている。日本の地図記号で茶畑を表す記号はこの果実を図案化したものである。


◇生活する花たち「露草・なんばんぎせる・玉珊瑚(たまさんご)」(東京白金台・自然教育園)
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9月20日(木)

2018-09-20 13:18:40 | 日記
★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
黄金色に熟れた稲穂がびっしり立ち並ぶ田圃です。
もう間もなく刈られる稲穂に時折秋風が吹き、稲の香りをふんぷんとまき散らしている。さわさわと稲穂がさざめき、豊穣の秋の光景が素敵です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
赤とんぼ見ていて闇の迫りけり/桑本栄太郎
夕方を飛び交う赤とんぼ。見ているうちにも宵闇がせまる。秋の日暮れはたちまちに夜を迎える。(高橋正子)

●角川「俳句」に結社広告と出すため、見本誌と荒原稿、申込書を郵送。年鑑と奇数月。
「俳句四季10月号」40冊15日に頼んだのが、まだ来ない。

去年は「つがる」のりんごジュースがスーパーに初入荷したのが、9月20日。今年はどうか。


○郁子(むべ)の実

[郁子の実/東京白金台・国立自然教育園]

★郁子の実のまだ青けれど薄みどり/高橋正子

 ムベ(郁子、野木瓜、学名:Stauntonia hexaphylla)は、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物。別名、トキワアケビ(常葉通草)。方言名はグベ(長崎県諫早地方)、フユビ(島根県隠岐郡)、イノチナガ、コッコなど。
 日本の本州関東以西、台湾、中国に生える。柄のある3~7枚の小葉からなる掌状複葉。小葉の葉身は厚い革質で、深緑で艶があり、裏側はやや色が薄い。裏面には、特徴的な網状の葉脈を見ることが出来る。
 花期は5月。花には雌雄があり、芳香を発し、花冠は薄い黄色で細長く、剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なる。
10月に5~7cmの果実が赤紫に熟す。この果実は同じ科のアケビに似ているが、果皮はアケビに比べると薄く柔らかく、心皮の縫合線に沿って裂けることはない。果皮の内側には、乳白色の非常に固い層がある。その内側に、胎座に由来する半透明の果肉をまとった小さな黒い種子が多数あり、その間には甘い果汁が満たされている。果肉も甘いが種にしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは難しい。自然状態ではニホンザルが好んで食べ、種子散布に寄与しているようである。
 主に盆栽や日陰棚にしたてる。食用となる。日本では伝統的に果樹として重んじられ、宮中に献上する習慣もあった。 しかしアケビ等に比較して果実が小さく、果肉も甘いが食べにくいので、商業的価値はほとんどない。
 茎や根は野木瓜(やもっか)という生薬で利尿剤となる。

◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)
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9月19日(水)

2018-09-20 13:05:42 | 日記

★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
吹き起こる風の大きさに、田一面に波立つ金色の稲穂が目に見えるようです。情景さながらの爽やかさは、まさに稔りの秋の喜びです。(藤田洋子)

○今日の俳句
秋涼し仏花の束を風に解き/藤田洋子
仏様に花を供えようと花束をほどくと涼しい風が吹く。花束にはリンドウなど秋の花もあってそれも嬉しい。「風に解き」で、いっそうさわやかな句となった。(高橋正子)

●信之先生、10時入院。入院するやいろいろ事務手続きや検温などで忙しい。あっという間に2時。
病院の布団は薄すぎるというので、家に帰り、普段使っている羽毛の厚い蒲団を運んだ。午後6時半に病院を出て帰る。途中日吉の天一書房で、「世界一写真集」を買う。外国の世界一の景色に混じり、日本では淡路島大橋がのっていた。

「ベビーマグちゃん」の商品名のマグネシウムの洗濯用を使い始めた。始めたのは6月ごろだが、一度使って良さそうなので、肌の弱い句美子にあげた。よかったのか、句美子が通販で買って送ってくれた。一番良いのは、衣類に匂いが残らないこと。殺菌効果あり、みたい。


○稲刈

[稲刈/横浜市緑区北八朔]          [稲干す/横浜市緑区北八朔]

★世の中は稲刈る頃か草の庵 芭蕉
★みるうちに畔道ふさぐ刈穂哉 杉風
★稲刈れば小草に秋の日のあたる 蕪村
★落日が一時赤し稲を刈る/青木月斗
★稲を刈る夜はしらたまの女体にて/平畑静塔
★月の水ごくごく飲んで稲を刈る/本宮哲郎
★田の土の匂いが強し稲を刈る/高橋正子
★稲を刈りバッタ飛びたる弧が澄みぬ/〃

 稲刈り(いねかり)とは、熟したイネを収穫するために切り取る農作業で、普通は根元からその穂ごと切り取る。古代には穂のみを切り取ったと考えられるが、現在では株の基部で切り取るのが普通である。刈り取った稲は、普通はその基部で縛って束ね、ぶら下げて乾燥させる。実際の米の収穫はこれ以降の脱穀の過程で行われる。人力のみで行われていたころは、大きな人数を要し、集中して行う必要のある作業であった。稲刈りは古来より、日本の農村部における秋の代表的な風物でもある。秋祭りは、その年のイネが無事に収穫されたことを祝い、来年も豊作であることを祈願する祭りである。日本では第二次世界大戦後も久しく、鎌を用いて手作業で稲刈りが行われた。稲刈りに使用する鎌は、刃先が鋸になった特殊なもので、イネの茎の切断が容易に出来るよう工夫されている。稲刈りの実際の作業は、近年のコンバインの登場によって大きく様変りした。
 コンバインは1940年代に初めて登場し、徐々に普及した。稲刈りから脱穀までの作業を一貫して行えるのがコンバインの特徴である。稲刈りから脱穀をまとめて行うが、その間籾の乾燥工程がないので、脱穀された籾は直ちに専用の穀物乾燥機にかけられる。現在でも、山間地や棚田など大型の農業機械の導入が困難な田んぼ(圃場整備が行われていない千枚田など)では、バインダーで刈り取り、稲架にかけて乾燥、ハーベスターで脱穀するという組み合わせで収穫するか、もしくは鎌を用いた従来通りの作業方法が採られている。
 コンバインの普及により作業時間は大幅に短縮されたが、車両後方に排出される藁のくずが皮膚に付着すると、比較的大きな痒みや(人によっては)肌荒れが起きる為、コンバイン搭乗者以外の作業従事者は作業時の風向きに十分注意する必要がある。稲刈りを行っている農家が顔を覆うようにタオルや手ぬぐいを着用しているのは、その痒みを事前に防ぐ為である事が多い。近年は高価ではあるがキャビン(操縦席が密閉されているもの)付きの車両も登場しており、エアコンが搭載されている事も含め、搭乗者の負担は大幅に減少しているようだ。
 刈り取られた稲は水分が多いので、稲架にかけて天日干しされ、十分乾燥した頃に脱穀を行う。人力のみに頼ったころは、多人数が必要であったから、当然のように子供も動員された。そのため農村域では学校でも休暇を設定しているのが普通であった。農繁休暇と呼ばれたが、一般には稲刈り休みと呼んでいた。
 神社で神に捧げる少量の稲を神職や氏子などの手により作られている場合もあり、この場合、稲刈りはだいたい手作業で行われる。皇居でも生物学御研究所脇に御田があり、毎年9月下旬頃に天皇が自ら手作業で稲刈りをする。この行事は昭和天皇が始めたもので今上天皇にも引き継がれている。収穫した稲は伊勢の神宮に納めたり、皇居内の神事に使うほか、天皇一家の食事にも使用されている。


◇生活する花たち「犬蓼・吾亦紅・チカラシバ」(横浜下田町・松の川緑道)

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9月18日(火)

2018-09-20 13:01:59 | 梅林
★虫籠に風入らせて子ら駈ける  正子
心地よい秋風が吹く野原で、虫取りに夢中なっている子供たちの生き生きした声と虫籠を通り抜ける風の音や虫の音が聞こえてきそうです。(柳原美知子)

○今日の俳句
稲の香の風に放たれ刈られゆく/柳原美知子
熟れ稲の香が田に満ちて、刈るたびにその香が風に放たれてゆく。一株一株鎌で刈り取られているのだろう。爽やかな風の吹く晴れた日の稲刈りが想像できる。(高橋正子)

●過去記事を読むと、災害も健康も、今年も似たことが起こる。

過去(2015)
○きのう朝起きたチリ沖地震(M8.3)で、日本の太平洋沿岸にも津波が来ると、今朝1時ごろからラジオでひっきりなしにニュースが流れる。20センチから1メートルの津波。岩手の久慈港が80センチで最大。ニュースを聞いて眠れぬままに朝起きると風邪気味。
信之先生の消化器のCT検査に付き添い、10時過ぎ聖マリアンナ医科大学東横病院へ。CT検査は15分ぐらいで終わる。(2015)

○稲穂

[稲穂/横浜市緑区北八朔]

★旅人の藪にはさみし稲穂哉 一茶
★草花と握り添へたる稲穂かな 一茶
★稲の穂の伏し重なりし夕日哉 子規
★稲の穂に湯の町低し二百軒 子規
★稲熟し人癒えて去るや温泉の村 漱石
★稲の穂の向き合ひ垂るる小畦かな 風生
★握り見て心に応ふ稲穂かな 虚子
★子を抱いて乳飲まし来る稲の道 虚子
★我が思ふ如く人行く稲田かな 汀女
★稲孕みつつあり夜間飛行の灯 三鬼
★中学生朝の眼鏡の稲に澄み 草田男
★稲負ふや左右にはしる山の翼 楸邨
★ゆふぐれの溝をつたへり稲の香は 静塔
★熟れ稲の香のそこはかと霧は濃き 亞浪
★小作争議にかかはりもなく稲となる しづの女
★わがこころ稲の穂波にただよへり 青邨
★稲の香におぼれてバスのかしぎ来る 秋櫻子
★通勤の道の左右に稲穂垂れ/高橋正子
★稲の穂に朝露白く置いてあり/〃

 イネ(稲、稻、禾)は、イネ科 イネ属の植物である。稲禾(とうか)や禾稲(かとう)ともいう。 収穫物は米と呼ばれ、世界三大穀物の1つとなっている。本来は多年生植物であるが、食用作物化の過程で、一年生植物となったものがある。また、多年型でも2年目以降は収穫量が激減するので、年を越えての栽培は行わないのが普通である。よって栽培上は一年生植物として扱う。属名 Oryza は古代ギリシア語由来のラテン語で「米」または「イネ」の意。種小名 sativa は「栽培されている」といった意味。用水量が少ない土壌で栽培可能なイネを陸稲(りくとう、おかぼ)と呼ぶ。日本国内に稲の祖先型野生種が存在した形跡はなく、海外において栽培作物として確立してから、栽培技術や食文化、信仰などと共に伝播したものと考えられている。稲を異常なまでに神聖視してきたという歴史的な自覚から、しばしば稲作の伝播経路に日本民族の出自が重ねられ、重要な関心事となってきた。一般に日本列島への伝播は、概ね3つの経路によると考えられている。南方の照葉樹林文化圏から黒潮にのってやってきた「海上の道」、朝鮮半島経由の道、長江流域から直接の道である。3つの経路はそれぞれ日本文化形成に重層的に寄与していると考えられている。現在日本で栽培されるイネは、ほぼ全てが温帯ジャポニカに属する品種であるが、過去には熱帯ジャポニカ(ジャバニカ)も伝播し栽培されていた形跡がある。
 稲の食用部分の主 成分であるでんぷんは、分子構造の違いからアミロースとアミロペクチンに別けられる。お米の食感は、両者の含有配分によって大きく異なる。すなわちアミロース含量が少ないお米は加熱時にやわらかくモチモチした食感になり、アミロース含量が多いとパサパサした食感になる。日本人の食文化では、低アミロースのお米を「美味しい」と感じる。この好みは、世界的には少数派となっている。通常の米は20%程度のアミロースを含んでいるが、遺伝的欠損によりアミロース含量が0%の品種もあり、これがモチ性品種で、モチ性品種が栽培されている地域は東南アジア山岳部の照葉樹林帯に限定されている。その特異性から、その地域を「モチ食文化圏」と呼称されることがある。日本列島自体が西半分を「モチ食文化圏」と同じ照葉樹林に覆われており、またハレの日にもち米を食べる習慣がある(オコワ、赤飯、お餅)ことから、日本文化のルーツの一つとして注目された。

◇生活する花たち「女郎花・葛の花・萩」(四季の森公園)
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9月17日(月)

2018-09-17 08:09:32 | 日記
★たっぷりと雲湧く台風過ぎしより  正子
台風が過ぎれば空気が入れ替わり、空は青く澄んで、晴れ渡ります。一方、台風がもたらした風雨により、大量の雨水が山野も覆って、やがて雲となり、空へと還ってゆきます。雲湧く様や、風の流れも感じられて、爽やかな心地をいただきました。(津本けい)

○今日の俳句
草に落つ青どんぐりの音軽き/津本けい 
風で落ちる青どんぐりであろうか。落ちるときに、草に軽く音を立てる。「軽い音」がよい。秋が深まれば「コツッという確かな音に変わる。(高橋正子)

●晴れ。30度の暑さ。
今朝方、ラジオ深夜便で「にっぽんの音」で「虫の音」を放送していた。「鳴く虫を守る会?」の会長さんが、鈴虫、松虫、邯鄲が3つ美しい音色だと。そして、最後の締めくくりで、「最近都会の中にも鈴虫がよく鳴いている、という人が増えた。これは間違いで、鈴虫ではなく、外来種の「青松虫」で木の上で鳴く。」と話された。これで、横浜に引っ越して来てからの不思議だと思っていたことが解決した。夕方住宅地を歩くと、木の上から蟋蟀が鳴いているように聞こえる。いくらよく聞いても草のなかではなく、木の上からだ。いままで「変な蟋蟀」として聞いていたのは、「青松虫」だったのた。これは好きにはなれない。虫は草に聞けではないだろうか。

草引かれ露の土となりいたり     正子
秋日和影濃く生まる濯ぎもの     正子
敬老の日と決め今日の秋日和     正子




◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)
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9月16日(土)

2018-09-16 12:37:00 | 日記
★青林檎ときに稲妻差しきたる  正子
酸味の残る青林檎の味、香り、ときおり遠くに細く走る稲光。まだ本当の稔りの秋にはなりきらない不安定な季節の、しかし瑞々しい情感に満ちた心象風景を思います。(小西 宏)

○今日の俳句
とんぼうの列なして行く空かろし/小西 宏
とんぼうが列を作って飛んでゆく楽しい空となった。すいすいと飛んでゆくとんぼうに空まで軽くなった感じだ。(高橋正子)

●曇り。
昨日、俳句四季10月号が届く。これに「花冠創立35周年」の記事が載る。40冊注文。連休中なので、数日かかるかも。届いたら、会員に勝手に送るつもり。

元希の幼稚園から、敬老の日のプレゼントとして、元希の絵が届く。きれいな色と形にびっくり。幼稚園が造形指導をしているのだろうが、絵本作家のような絵。何日かかけて描いた感じだ。

何年かぶりに信之先生用にブラウンの電気カミソリを買う。
一鉢ある朝顔が今朝は小さい花が10個以上咲いた。錆朱色だが、結構いい。

○毬栗(いがぐり)

[毬栗/横浜市緑区北八朔町]

★落栗やなにかと言へばすぐ谺/芝不器男
栗の木があるところは、山静かな里。落ちた栗も拾われずに転がっている。ちょっとした言葉も響いて谺となる。自分の発した声の谺は、もっとも自分の心がよく受け止めているのではないか。(高橋正子)

★毬栗に袋かぶせてありにけり/高橋将夫
★毬栗や身籠りし山羊つながるる/大串章
★毬栗や祖母に優しく叱られし/大串章
★毬栗を蹴つて日暮れの村となる/小澤克己
★毬栗の落ちてすとんと暗くなる/杉浦典子
★毬栗のやや枯れてゐる掌/田畑幸子
★毬栗を剥くに大事や鎌と足/田中英子
★毬栗の青々としてまん丸し/高橋正子

 クリ(日本栗・学名Castanea crenata)とはブナ科クリ属の木の一種。日本と朝鮮半島南部原産。中華人民共和国東部と台湾でも栽培されている。クリのうち、各栽培品種の原種で山野に自生するものは、シバグリ(柴栗)またはヤマグリ(山栗)と呼ばれる、栽培品種はシバグリに比べて果実が大粒である。また、シバグリもごく一部では栽培される。落葉性高木で、高さ17m、幹の直径は80cm、あるいはそれ以上になる。樹皮は灰色で厚く、縦に深い裂け目を生じる。葉は長楕円形か長楕円状披針形、やや薄くてぱりぱりしている。表はつやがあり、裏はやや色が薄い。周囲には鋭く突き出した小さな鋸歯が並ぶ。雌雄異花で、いずれも5月から6月に開花する。雄花は穂状で斜めに立ち上がり、全体にクリーム色を帯びた白で、個々の花は小さいものの目を引く。一般に雌花は3個の子房を含み、受精した子房のみが肥大して果実となり、不受精のものはしいなとなる。9月から10月頃に実が成熟すると自然にいがのある殻斗が裂開して中から堅い果実(堅果であり種子ではない)が1 - 3個ずつ現れる。
 果実は単にクリ(栗)、またはクリノミ(栗の実)と呼ばれ、普通は他のブナ科植物の果実であるドングリとは区別される(但し、ブナ科植物の果実の総称はドングリであり、広義にはドングリに含まれるとも言える)。また、毬状の殻斗に包まれていることからこの状態が毬果と呼ばれることもあるが、中にあるクリノミ自体が種子ではなく果実であるため誤りである。毬果とは、松かさのようなマツ綱植物の果実を指す。
 日本のクリは縄文時代人の主食であり、青森県の三内丸山遺跡から出土したクリから、縄文時代にはすでに本種が栽培されていたことがわかっている。年間平均気温10 - 14℃、最低気温氷点下20℃をくだらない地方であれば、どこでも栽培が可能で、国内においてはほぼ全都道府県でみられ、生産量は、茨城、熊本、愛媛、岐阜、埼玉の順に多い。


◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)
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9月15日(土)

2018-09-15 12:38:54 | 日記

★萩のトンネル真上ぱらぱら空があり  正子

東京・向島百花園

○今日の俳句
薄の穂切りて野の風持ち帰る/黒谷光子
風に吹かれている野の薄の穂を切って持ち帰ると、さながら、野の風を持ち帰るようだ、という。穂芒の姿に野の風が見える。(高橋正子)

●去年の9月15日。
「俳壇」から、原稿依頼。諾の返事を出す。10月12日締め切り。写真添付とある。どんな記事だったか?

小雨。気温は正午で25度。ベランダの花を刈りこむ。撫子と句美子の父の日のプレゼントの寄せ植えが元気。

撫子の花の赤さを通り雨 正子

○◇生活する花たち「萩」(横浜日吉本町)

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