俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

1月31日(火)

2012-01-31 07:12:17 | Weblog
★手袋に手を入れ五指を広げみる   正子
手袋なしには外出もしにくい寒さです。手を入れてその温かさを感じながら、指がちゃんと入っているか五指を広げて見る。誰もが思い当たる微笑ましい一こまです。 (河野啓一)

○今日の俳句
寒椿膨らみ嬉しわが門に/河野啓一
節分も近くなり、春が待たれる。わが門に寒椿の蕾が膨らむと嬉しさも増してくる。(高橋正子)

○切山椒
★わかくさのいろも添えたり切山椒/久保田万太郎

「正月用の餅菓子。しん粉に白砂糖を加え、水でとろとろ加減にこねて、山椒の実を熱湯に浸した汁を少量混ぜ、蒸してから臼で搗いたものを、小さく蒸しって、さらにもう一度蒸しなおしたものを、長方形に切った餅の一種。食用紅で淡赤色に染めたものと、白いのをつくるのが普通で、ほのかな山椒の香味が喜ばれる。蒸羊羹に添えて出したりする。」(角川歳時記)

歳時記にこうはあるものの、切山椒を初めて食べたのは、横浜に越してきて初めての正月だと思う。だから、6年ほど前。切山椒を売る店も少なくなったようで、年中売られているのは、鎌倉の長島屋だけらしい。年中といっても夏場あるかどうかわからないが。鶴岡八幡様に初詣に出かけた折にお土産で買った。その日は雪だった。雪の寒さとともに切山椒が思い浮かぶ。買ってかえって食べると、まずいとも、美味しいとも言えないような味。たしかに紅白そろって長方形に切られていた。風邪引きの予防になるらしい。味がほんとうによくわからないので、もうひとつ、もうひとつと食べているうちに、この奇妙な味に病みつきなった。しばらく鎌倉に行っていないので、節分の前のこの寒さに切山椒を食べてみたくなった。浅草では2月に売られると聞いた記憶がある。

★切山椒買ってふたたび雪に出る/高橋正子
★やわらかに紅白そろう切山椒/高橋正子

◇生活する花たち「寒椿・三椏の蕾・柳の冬芽」(横浜四季の森公園)

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1月30日(月)

2012-01-30 07:11:18 | Weblog
 鎌倉・報国寺
★竹林に踏み入るところ冬椿   正子
色の乏しくなった厳冬にあって、竹林は新鮮な緑を見せてくれます。目指すところは竹林であったのでしょう。しかし、その竹林の道に入る直前に偶然に出会った冬椿に、作者は喜びを隠すことができません。椿の花のあでやかな色が際立ちます。(小西 宏)

○今日の俳句
辛夷冬芽の散り輝ける空の晴/小西 宏
空が晴れれば、日が耀き、枝に散らばっている辛夷の冬芽の姿がよくわかる。「散り輝く」は辛夷の冬芽を詠んで的確。(高橋正子)

○火鉢
★ちちははの桐の火鉢でありしかな/高橋将夫
★瀬戸火鉢大勢家族佳かりけり/岡本眸
★夕餉待つひまの火鉢に手をあぶる/瀧春一
 
灰を入れ、炭火を熾し、暖を撮る器具。木製、金属製、陶磁器製などがある。電熱・ガス・石油などを利用した暖房器が一般化された現在は、陶器の丸火鉢もあまり見られない。

◇生活する花たち「寒椿・冬桜・枯芦」(横浜四季の森公園)
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1月29日(日)

2012-01-29 07:08:24 | Weblog
★あたらしき薪を傍積み暖炉燃ゆ   正子
薪を燃やして暖をとる。いまブームになっているようである。化石燃料や電気の熱にない優しさを持った熱であり、何より熱源が目に見えることがうれしい。ストーブの横に切り口の新しい薪を積んでゆったりとした時間を過ごす。至福の時である。(古田敬二)

○今日の俳句
清冽な山水流れ山眠る/古田敬二
原句は、「流して」であるが、これでは、山が片目を開けて眠っているような印象なので、写生句として添削した。山は眠っているが、それでも清冽な水は、流れ続けている。これがよい。写生は、俳句の初心。初心を大切にしていただきたい。(高橋正子)

○第4回きがるに句会入賞発表!
ご挨拶
新年からはじめたきがるに句会も第4回の入賞発表となりました。大勢の皆さまにご参加いただいて驚いていますが、大変ありがたいことです。大寒もそろそろ終わり、日脚も伸びて寒いながらも明るい気分になります。冬の終わりから春へ微妙に変化する季節を詠んだ句がたくさんあって、楽しませていただきました。特別招待選者の皆さま選とコメントをありがとうございました。これで、第4回句会を終わります。次回第5回句会のご投句をお待ちしています。

【最優秀/2句】
★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
「枯れ尽くしても水の上」は、意表をついて、新しい発見。蓮や菖蒲などは、枯れると茎や葉が折れて水に浸かってしまう。葦原の葦は、枯れながらもまっすぐに立ち、水には影を落とすのみ。なるほど、枯れ尽くしても水の上ある。(高橋正子)
★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
「野に覚めし」によって、淡い蕗の董のみどりが目に強く焼きつく。初めて見つけた蕗の董であろう。驚きと嬉しさを隠せない。(高橋正子)

http://blog.goo.ne.jp/kakan02c/

○綿入
綿入れ半纏というものが、今も健在で売られているので、今年は信之先生のものを新しくコープで購入した。柄は、「文人柄」と称して、紺地に白い小さな長格子が織り込んであり、お尻まですっぽり隠れる長めのもの。最近新聞広告に若い男性が綿入れ半纏を着てパソコンを使う姿が大きく載っていた。(パソコンの広告だが)日本の冬にはこれが一番、なかなかかっこよい。受験期の子供二人も半纏の愛用者だった。信之先生は、大連育ちで、ドイツ文学者であるが、読書に物書きには半纏やちゃんちゃんこが一番よいようで、長年愛用している。ほっこりと体を包み、中の体は自由に動く。こういう半纏を着て炬燵に足を入れれば心地よい。足を温め、頭は冷やす。故人の知恵はいまも我が家で暮らしに生きている。ちなみに子供たちのは、女の子はピンクに兎の柄、男の子は黒に、詳しは忘れたがスポーツチームのマーク。もっと小さいときは、かわいい汽車が裾回りを走っているもの。思い出しても懐かしい。

◇生活する花たち「寒椿①・寒椿②・木瓜の花蕾」(横浜日吉本町)

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1月28日(土)

2012-01-28 19:42:24 | Weblog
★レモンの香潮の香混じり牡蠣を食ぶ   正子

○今日の俳句
何もない寒空を昇ってゆく鳶/川名ますみ
何もない寒空は、雲さえも、音さえもないということ。澄みきった寒の青空に吸い込まれように昇る一羽の鳶が、静謐な寒青空を印象付けている。

○咳
★咳の子のなぞなぞあそびきりもなや/中村汀女
★誰か咳きわがゆく闇の奥をゆく/篠原梵

おもに気管や喉頭の粘膜が寒さの刺激を受けて起こるものだが、結核によるもの等もあり、その原因は複雑である。俳句での「咳」は冬の季語となっているので、俳句に詠まれる「咳」は風邪の咳となる。

★上の子が咳して下の子が咳を/高橋信之

◇生活する花たち「寒椿①・寒椿②・木瓜の花蕾」(横浜日吉本町)

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1月27日(金)

2012-01-27 19:40:33 | Weblog
★枝打ちの銀杏冬芽が地に弾み  正子
銀杏の枝打ちの音が、力強く明るく地に響き聞こえてきます。落とされた銀杏の、冬芽にある漲る生気が「地に弾み」に込められているようです。 (藤田洋子)

○今日の俳句
千両のひと色壷に豊かなり/藤田洋子
壺には千両だけ挿されているのか。そういうのもいい。あるいは、正月の花のなかに千両があって、赤い実の色があることで壺が豊かになる。

○四季の森公園
横浜市緑区に県立四季の森公園がある。JR中山駅南口から徒歩約15分のところである。豊かな緑の里山をそのまま生かした公園で、横浜の中心部に近いことや、四季折々の自然に出会えることなどから多くの人が訪れる。
寒中の四季の森公園は、葉のあるものが葉を落とし、川に架かる橋なども初めて見る橋のようである。今日は、四季の森には中山駅から「よこはま動物園」行のバスに乗り、いつもなら「長坂」で降りるところを、一つ手前の中山中学校入口で降りた。すぐ公園の敷地内に入るが、浅い池は全面薄氷が張り、先日降った雪も残り、皐月には霜がきれいについていた。さくらの園には、奇しくも十月桜という冬桜が咲いていた。山桜の花は三月だそうだが、花芽もかなり大きくなっていた。蝋梅、みつまたの花の蕾、サンシュの赤い実などが見られた。鴨も氷が融けはじめた池に4,5羽かたまるように浮いていた。尾長らしい鳥がいた。葦原を一巡する。山肌には、植物の標識のみが立っているところがある。「シモツケ」「オタフク」などとあっても、植物は枯れ果ててしまっている。この大寒の午前中というのに、散歩を楽しむ人が多くいた。二時間ほど園内にいた。
http://www.kanagawaparks.com/shikinomori/

○枯芦
★葦枯れて空と水とに月ふたつ/福田蓼汀

芦は葉が枯れてからいつまでも浅水や湿地に茎を残して、冬の水辺の風景を侘びしく見せる。芦原に日が差し込んでくれば、日の光を抱え込み、直立した茎の並びは、ほの赤くて美しい。

★葦枯るる葦原奥に雪残り/高橋正子
★枯るる葦そよがぬときはほの赤し/高橋正子

◇生活する花たち「寒椿・冬桜・枯芦」(横浜四季の森公園)

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1月26日(木)

2012-01-26 08:58:16 | Weblog
★大寒の水道水の真すぐ落つ   正子
「大寒の水道水」が新鮮です。寒の水は薬用効果もあるといいます。蛇口から真すぐに落ちる寒中の水がきりりと冷たく、身も心も清められるようです。私の子供の頃は水道管がよく凍りました。(小川和子)

○今日の俳句
寒中の樹に日当るを触れてみる/小川和子
何もかもが寒中の寒さにある中、日当る樹がいかにも暖かそうに思える。つい手に触れてみたのだ。

○ネット短信
22日に129号をメールで送った。ネット短信は、俳句ニューズレターを引継ぐもので、俳句ニューズレターは、2001年6月7日発行の第1号から第108号(2008年7月1日)までの7年の間、発信した。ネット短信の歴史は、12年を越え、随分長く続いたものと思う。

▼ネット短信保存版
http://blog.goo.ne.jp/kakan107
▼俳句ニューズレター保存版
http://www.suien.ne.jp/0005/newsletter/

○ネット短信129号

■ネット短信No.129/2012年1月22日発信
□発信者:高橋正子(花冠代表)
□電話:045-534-3290

■□花冠年間賞
2011年の最優秀は、藤田洋子さん、多田有花さん、黒谷光子さん、佃康水さんの4名の句に
決まりました。賞品は、後日お送りしますので、お待ちください。
http://blog.goo.ne.jp/npo_suien105/

■□きがるに句会入賞発表!
第3回きがるに句会の入賞発表をいたしました。下記のブログをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02c/

■□きがるに句会投句箱
第4回きがるに句会のご投句は、下記アドレスの投句箱にお願いします。締め切り
は、1月28日(土)です。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02/

■□フェイスブック立春句会のご案内
第9回フェイスブック句会は、2月4日(土)にフェイスブック立春句会として
開催いたします。
http://blog.goo.ne.jp/kakan106/

●高橋正子の俳句日記(ブログ)
多くの方にお訪ねいただき、16日連続ランキング入りしています。これは今までにない
ことです。ご訪問ありがとうございます。毎日が楽しみです。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02/
●インターネット俳句センター
グーグルで「俳句」と検索すれば、それぞれのパソコンの設定によって違いがありますが、
「インターネット俳句センター」がウィキペディアの次、第2位の位置に来ています。お
かげさまです。
http://kakan.info/

○マスク
★マスクして我を見る目の遠くより/高浜虚子
★マスクして北風を目にうけてゆく/篠原梵

冬になると白いマスクで鼻・口を覆っている人を多く見かける。欧米では、こうした習慣がないので、医者が街にあふれていると思い、驚く。

★マスクして互いに目を見てあい話す/高橋正子

◇生活する花たち「寒椿・三椏の蕾・柳の冬芽」(横浜四季の森公園)

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1月25日(水)

2012-01-25 06:37:56 | Weblog
★波立てば鴨の勇みて泳ぎけり   正子
海や池などで波の意のままに気持良さそうに穏やかに漂っている鴨を見かけます。しかし、上げ潮か或いは何かの理由で、そこに波が立つとその波に勇んで乗ろうとする一瞬の鴨の動きを可愛く活き活きと描写されて居る様に思います。 (佃 康水)

○今日の俳句
ジャムを煮る夕べの窓に寒の月/佃 康水
ジャムをことこと煮る夕べの静かな時間。厨の窓をのぞくと寒そうな月が懸っている。なおさら、ジャムを煮る時間の豊かさを思う。

○手袋
★雪白の手袋の手よ善きことを為せ/中村草田男

冬の生活に身近なもの。布や毛糸、皮で作られ、防寒・保温のために手指を包む。手袋をはめて手を広げてみることがある。てぶくろの模様とか、指の長さとかがよく見える。私が小学生のころ、中学生や高校生は自分の手袋、マフラーは自分で編んでいた。マフラーは小学生でも編めるが、手袋はちょっとむずかしい。バスで10分ほどのところに母の実家があって、そこに高校生の従姉がいた。冬休みにゆくと、残り毛糸をいろいろ取り出してミトンを編んでくれたことがあった。親指ができるのがなんとも不思議だった。できたミトンは二つが離れないように、紐がつけられて、首にかけられるようになった。手袋って、ふたつが離れやすい。

★手袋に手を入れ五指を広げみる/高橋正子

◇生活する花たち「蝋梅・サンシュの実・冬桜」(横浜四季の森公園)

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1月24日(火)

2012-01-24 08:16:30 | Weblog
★北風吹ける湖を見ていて湖動く  正子
強く吹く北風のなかで湖を見ておられたのでしょう。空気が動いているのではなく、一瞬湖自身が動いているように感じられた、自身の感覚を忠実に詠まれていると感じました。(多田有花)

○今日の俳句
北風去れば静かに青き空残る/多田有花
「北風」と書き、俳句では慣例的に「きた」とも読ませる。北風が塵を吹き払い、後に青空が残る。「静かに青き」は作者の心境でもあって、静謐な青がよい。

○大寒
★寒浄し床に白磁の観世音/川本臥風
★大寒や転びて諸手つく悲しさ/西東三鬼
★大寒の床におさまり静かな土鈴/高橋信之

大寒(だいかん)は、二十四節気の一つ。冬至から1/12年後で1月21日ごろ、期間としては、この日から、次の節気の立春前日までである。今年は、大寒の入りが1月21日、立春前日の節分が2月3日で、その間の14日間を大寒という。この頃は、冬の内でも寒さのはげしい時期である。

★大寒の水道水の真すぐ落つ/高橋正子  
★大寒の障子のそばの日の移ろい/高橋正子

◇生活する花たち「椿・ひいらぎ南天・梅の花芽」(横浜日吉本町)

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1月23日(月)

2012-01-23 08:12:41 | Weblog
★北風吹ける湖を見ていて湖動く  正子
湖畔の北風に向かって立っておられるのではないでしょうか。漣が絶えることなく押し寄せてくる。そのとき、湖全体がゆっくりとこちらに向かって迫ってくるような錯覚にとらわれます。あるいは自分が湖に引き込まれていくような気もしてきます。 (小西 宏)

○今日の俳句
丘まるく夕日孕みし冬木立/小西 宏
なだからな丘の冬木立ちがいま夕日を孕んでシルエットのように美しく立っている。ずっと留めておきたいような冬景色。

○第3回きがるに句会入賞発表
昨日22日、第3回の入賞発表をした。最優秀は次の2句。以下はリンクからご覧ください。

【最優秀/2句】
★銀杏みな冬芽整い街筋に/藤田洋子
「街筋に」がこの句のイメージを鮮明にしている。整然と並んだ街路樹のどの銀杏にも冬芽がしっかりとついて、つまり、冬芽が整い、きりっとした冬の景色となっている。(高橋正子)

★冬の虹土手道駈ける児の上に/迫田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)

ご挨拶
昨日は大寒の入りでした。風邪も流行っているようですが、皆さまは大丈夫でしょうか。
「きがるに句会」も今回が第3回の入賞発表となりました。今回は特別招待選者に同人会長の小西宏さんに加わっていただきましたので、さらに充実した句会になりました。次回第4回は、きがるに句会の過去に最優秀句をつくられた皆さんに特別選者に加わっていただきますので、よろしくお願いいたします。ご投句をお待ちしています。特別招待選者のみなさま、選とコメントをありがとうございました。これで第3回句会を終わります。(高橋正子)

▼その他の入賞作品は、下記アドレスをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02c/

○室咲・温室
★室咲の花を戻して客間閉づ/稲畑汀子

室咲は、昔、春に咲く草木の花を室内に囲って炉などであたため早く咲かせたものをいう。いまでは、温室やビニールハウスが普及してそこで冬季でも咲かせる。


◇生活する花たち「梅の花芽・冬椿・千両」(横浜日吉本町)
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1月22日(日)

2012-01-22 08:10:25 | Weblog
★水仙の枯れし終わりを折りて捨つ  正子
庭に咲いているのでしょうか、可憐な水仙花、でもいのちあるものには最後があるのです。ありがとうの気持ちでしょうか。(祝恵子)

○今日の俳句
まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
水仙が咲くのは、意外と遅い。12月ごろは、ほとんどは蕾が固くて、正月が過ぎたころから一花二花と咲き始める。一月半ばすぎからが見ごろであろうか。まず、一本咲いた水仙が少し傾いで咲いている。「清楚に傾ぎ」が咲き始めの水仙らしい。

○寒林
★寒林を抜け青き海広き空/稲畑汀子

冬の木立や林のことで、寒々とした林である。寒の季節の林のことでもある。冬の林は、葉を落とし、常緑樹も寒さに耐えてみどりをかたくなにしている。葉を落とした林からは林の奥が見え、曲がった道が見える。何もない枝、しかし冬芽をしっかりつけた枝からは、萌えでた葉の色、茂った姿などいくつも想像できる。小鳥の声がきこえてはっと我に返るが。想像するのは、林の姿だけではない。林の動物たちのものがたり。あるいは、遠く離れている人たち、音楽、などが頭をよぎる。寒林には、色や音や人たちまでが登場する。

★寒林を行けばしんしん胸が充つ/高橋正子

◇生活する花たち「冬椿・侘助・ミモザ」(横浜日吉本町)


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1月21日(土)

2012-01-21 08:09:08 | Weblog
★日は燦と冬芽の辛夷生かしめて  正子
春に芳香のある白い六弁花をつける辛夷の蕾は冬の柔らかな日差しを受けて、春を迎える準備にいそしんでいる素晴らしい景ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
枯野にもほのかに朱かきもののあり/小口泰與
枯野となっても、枯一色ではなく、薄にしろ、ほかの草にしろ、ほのかに朱をもっている。「もののあり」と、多くを述べないので、却って句に膨らみと深みがでている。

○寒椿/冬椿
★寒椿つひに一日のふところ手/石田波郷
★木の葉中つき出て咲けり冬椿/松瀬青々

(寒椿)

早咲きの椿のこと。八重咲きの大神楽や、一重の侘助など、あるいは山椿の早咲きのものを、寒椿という。自宅のある横浜日吉本町の丘に探梅に信之先生と出掛けた。そこで寒椿と出会った。

★寒椿そよげる竹の葉にふれて/高橋正子
★寒椿葉が焼けながら咲いており/高橋正子

◇生活する花たち「茶の花・侘助・梅の花芽」(横浜日吉本町)

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1月20日(金)

2012-01-20 08:07:23 | Weblog
★水仙を活けしところに香が動く  正子
庭に咲いている水仙は、その辺りがとてもいい香りがしています。その水仙を部屋に活けると、また芳しい香りが漂ってきます。「香が動く」に感銘いたしました。 (藤田裕子)

○今日の俳句
寒念仏ひととき街が浄土なる/藤田裕子
寒の三十日の間、僧侶が修行のために、鉦や太鼓を叩き、念仏を唱えながら市中を巡る。僧たちの念仏が相重なり街に響きわたると、街がひととき、浄土となったような気持ちとなる。寒念仏を自分の生活に引きつけてよく捉えた。

○蕗のとう
涸滝のにじみそめたる蕗の薹/清崎敏郎


昨日、平成24年1月19日、寒中に蕗のとうを見つけた。農家の畑の隅には蕗の葉が小さくなってちらほら残っている。その葉の根もとに目を凝らして見ると予想にもしなかった蕗のとうが見つかった。丸みにはやや欠けるがふっくらとしている。早春の蕗のとうの黄みどり色と違って、緑が霜に当たったような色であった。
早春、蕗のとうが出るとやはり嬉しい。春が来たと思う。黄みどり色がうれしい。あのまるっこい形を摘んで手に収めるのもうれしい。蕗のとうにはよろこびがある。

蕗の葉の小さきに護られ蕗のとう 正子

◇生活する花たち「藪椿・冬椿・梅の花芽」(横浜日吉本町)

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1月19日(木)

2012-01-19 07:27:33 | Weblog
★寒林を行けばしんしん胸が充つ  正子
葉を落とし切り、枝をあらわにして鎮まる冬の林。地中深く根を張り近づいてくる春を待つ木々。想像力を刺激する冬の森で、詩人はいろいろな思いで胸を膨らませる。 (古田敬二)

○今日の俳句
寒禽の影滑る野に鍬を振る/古田敬二
野に懸命に鍬を振っていると、寒禽の影が滑っていった。土と我との対話があって、寒禽がそれに色を点じて景がたのしくなった。添削は、「冬禽」を「寒禽」として、鳥のイメージを際立たせ句に緊張感をもたせた。

○冬菫
★冬菫咲く万貫の巌を割り/藤井亘

「すみれは早春に花をつけるが、日当たりのより野山では野生のすみれは冬の半ばでも咲いているのを見かける。」と角川歳時記にある。金蔵寺の寺の裏山に登ったが、だれも人が来ぬらしく積もった落葉に埋もれてすみれが咲いていた。たったひとつということが多い。菫はかれんな花に似ず生命力が旺盛。子供のころ、畑にすみれが咲き喜んでいたら、すみれは瞬く間に増えて作物の邪魔になると、あっけなく抜き捨てられた。上掲の「万貫の巌割り」のすみれも、強靭な生命力を詠っている。
このごろは、パンジーも冬の花壇や鉢に植えられ、花の少ない季節に彩りを添えている。寒そうではあるが、生活の風景を変えている。

★冬すみれ日はしろがねに高くあり 正子

○グーグルの検索
グーグルで「俳句」と検索すれば、「インターネット俳句センター」がウィキペディアの次、2位の位置に来ている。昨夜の検索で驚いた次第。アドレスをkakan.infoに変えたので検索順位はぐんと下がったままではと思ったが、suien.ne.jp以上になった。おかげさまです。

インターネット俳句センター:http://kakan.info/

◇生活する花たち「梅の花芽・エリカ・蕗のとう」(横浜日吉本町)

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1月18日(水)

2012-01-18 07:26:22 | Weblog
 早稲田大学
★学生喫茶ジャズと会話と暖房と  正子
学生喫茶という言葉が若者が集い活気のある光景をうかがわせてくれます。ジャズの流れる中、きっと会話も弾んでいることでしょう。(高橋秀之)

○今日の俳句
冬草に海の青さが押し寄せる/高橋秀之
海の岸辺近くの冬草。日にかがやく海の青が強くて、冬草にまでその光が及んでいる景。テーマは「冬草」で、添削はテーマをはっきりとさせた。

○冬薔薇
★冬薔薇の一輪風に揉まれをり/高浜虚子

薔薇は花卉界の寵児でその種類が非常に多い。一般的には薔薇といえば初夏の花。初夏に薔薇展も多く開かれ、薔薇園も開放されて明るい季節にふさわしい花である。オールドローズもどこかの花園で咲いているのだろうと想像すると優美な気持ちになる。
冬の薔薇は、上掲の虚子の句のように、冷たい風に揉まれて、何かに耐えているが、自分を崩さない美しい女性の表情にも似ている。先日散歩の途中に、北側の窓の格子に黄色い冬薔薇を見たが、このような女性を思った。黄色い花弁の端が、寒さでほんのりオレンジがかって、完全に咲いて風に揺れていた。

★冬薔薇ほんのりオレンジ色の咲く/高橋正子

◇生活する花たち「冬薔薇・侘助・乙女椿」(横浜日吉本町)
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1月17日(火)

2012-01-17 07:01:32 | Weblog
★寒厨卵も餅も白ほのと  正子
寒中の寒々とした台所ですが、滋養に富む卵と餅のほのかな白さに、ほっと安らぐあたたかさを感じます。その白の優しい温もりは、寒厨ならではといえるのでしょう。(藤田洋子)

○今日の俳句
一路澄み石鎚見ゆる寒の晴/藤田洋子
行く手の一路の道が澄んで、その先に雪を冠った石鎚山が見える。寒晴れがくれたすっきりと、晴れやかな景色。(高橋正子)

○慈姑(くわい)
くわいを掘りにゆくからついてくるように言われたのは、もう半世紀以上も前。母の里には、蓮根やくわいが植えてあって、泥の中から青いくわいを伯母が掘りだして見せてくれた記憶がある。丸くて青いくわいは子供心にも魅惑的だった。これは、備後地方のこと。四国松山では、青くなく、その形も扁平である。正月料理に芽が出ていることから目出度いということで使われる。正月料理用には、一個150円から200円近くで売られているが、値段のことを言ってはおれないので買うのだが、私は、普段でもこのくわいを食べたい。しかし、正月を過ぎるとこのくわいが八百屋の店頭からも姿を消してしまうので、残念なのだ。昔、昔夏休みのころ食べた菱の実の味に似ていると思う。くりっとして、ほっこりしている味である。

◇生活する花たち「冬桜・水仙・万両」(横浜日吉本町)

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