俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

10月25日(火)

2011-10-25 09:24:37 | Weblog
 グレコ展
★秋光あおあおと浴び「水浴の女」  正子
エミリオ・グレコの「水浴の女」は横浜のベイシェラトンホテル前にも飾ってありますが、「グレコ展」とありますからどこか他のところでご覧になったのかもしれません。いずれにせよ、伸びやかな肢体のブロンズ像に秋の光が豊かに行きわたり、青々と輝いていたことが見てとれます。理屈を言えば像自体の色なのかもしれませんが、「秋光あおあおと浴び」の表現が秋の爽やかさを遺憾なく伝えてくれています。(小西 宏)

○今日の俳句
濃く厚き葉にどっさりと青どんぐり/小西 宏
樫か楢か、葉がよく茂り、枝にはそれに負けないほどのどんぐりがどっさり付いている。「厚き葉」が葉の質感をよく捉えているので、どんぐりの生り具合がありありと目に浮かぶ。青どんぐりはさっぱりとして、楽しいものである。

○竜胆
野生の竜胆を初めて出会ったのは阿蘇の外輪山の草原であった。二十代のころ九州旅行の途中、阿蘇の外輪山の宿に泊まることがあった。露がかわいたばかりの草原を歩くうちに足元に竜胆が咲いているのが目に入った。天近き草原である。まさかと目を疑ったが確かに竜胆である。その後も松山市から三十キロほどの久万高原町のふるさと村の崖で見た。ひょろりとした茎に紫紺の花が付いている。竜胆もいろいろ種類があるようだ。ある日、PTAの美術クラブで、買ってきた園芸種の竜胆を描こうとして、絵の先生に注意を受けたことがある。作り物はいけない、自然の花のいのちを描けよ、ということだったのだろう。確かに園芸種とは全く違う姿風情。この注意も、野生の竜胆に出会っていたので、本意が多少ともわかったと思う。可憐で色の深さは、誰をも魅了するのだろう。好きな花のひとつである。

◇生活する花たち「竜胆・ビオラ・烏瓜」(横浜日吉本町)

コメント
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