日本庭園こぼれ話

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厳島(いつくしま)神社(干潮時)・・・広島県(改編)

2021-08-21 | 神社

ご存じのように、広島県「安芸の宮島」の海辺に建つ「厳島神社」は、満潮時には、あたかも海に浮かんでいるように見える特異な神社です。

昔から宮城県の「松島」、京都府北部の「天橋立」とともに「日本三景」の一つとして知られていますが、近年は世界遺産にも指定され、「伊勢神宮」、「出雲大社」と並んで、日本を代表する神社の一つに数えられています。

伊勢神宮は五穀豊穣をもたらす太陽神を祀り、出雲大社は国造りに関わる神、そして厳島神社は海の神を祀っています。

厳島神社の創建は、推古天皇元年(6世紀末)と伝えられていますが、今日に見る美しい社殿が造営されたのは、平安時代後期(12世紀半ば)、平清盛によってでした。

(下: 干潮時の社殿の景)

 

 厳島神社へのアクセスは、宮島口桟橋からJR西日本宮島フェリーで・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

対岸の朱塗りの大鳥居がみるみる近づいて、10分ほどで宮島着。

まずは手水場で、心身を清めて参殿。寝殿造り風の建物なので、神社に参拝というより、平安時代の御殿に上がるという感じです。

回廊を進むと、幾重にも重なった朱塗りの柱が、うつくしい光景を演出します。

そして、私が一番注目したのは、床の構造。よく見ると、板と板の間に隙間があります。

満潮時には海面が床下すれすれまで上昇するため、嵐などで、それ以上に潮位が上がった時に、回廊にかかる海水の圧力を弱め、上がった水を逃がすための工夫とか。

また、以前に参拝した時は満潮時だったのですが、今回は干潮時で、新たな景色を見ることができました。

その一つは、「鏡の池」。

海水が引いた後に、小さな池が現れるという趣向です。

そして、大鳥居の足元まで行けたこと。

遠くから眺めた時は、大きいことは大きいけれど、ごく普通の鳥居に見えたのですが・・・

近づくと、その巨大さと造形美に圧倒されました。

鳥居は柱の前後に控柱のある構造で、木造の鳥居としては、日本一の高さと大きさを誇るそうです。

また、海底に基礎を打ち込むことなく、州浜に置かれた土台の石の上に立っているだけ。その方が、満潮時や荒波に対応できるのだとか。最上部に7トンの玉石を詰め、安定のための重しにしているとも。

それにしても、干満の差が約4メートルあるという潮の流れに、よく耐えられるものだと思いました。

       

 (上: 鳥居を支える豪壮な柱と、柱の足元にぎっしりついたフジツボ。間にコインもぎっしり)

(上: 鳥居から望む厳島神社)

「驕(おご)れる人も久しからず・・・」と冒頭にある『平家物語』の影響からか、平家一族の筆頭であった平清盛は、悪いイメージで描写されることが多いのですが、厳島神社を見ていると、また別の清盛像が浮かんでくるようです。

 

* 厳島神社の大鳥居は、2021年6月17日現在、大規模な修理工事中とのことです。工事期間などについては、公式HPをご参照ください。

 

 

 

 


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