ご存じのように、広島県「安芸の宮島」の海辺に建つ「厳島神社」は、満潮時には、あたかも海に浮かんでいるように見える特異な神社です。
昔から宮城県の「松島」、京都府北部の「天橋立」とともに「日本三景」の一つとして知られていますが、近年は世界遺産にも指定され、「伊勢神宮」、「出雲大社」と並んで、日本を代表する神社の一つに数えられています。
伊勢神宮は五穀豊穣をもたらす太陽神を祀り、出雲大社は国造りに関わる神、そして厳島神社は海の神を祀っています。
厳島神社の創建は、推古天皇元年(6世紀末)と伝えられていますが、今日に見る美しい社殿が造営されたのは、平安時代後期(12世紀半ば)、平清盛によってでした。
(下: 干潮時の社殿の景)
厳島神社へのアクセスは、宮島口桟橋からJR西日本宮島フェリーで・・・。
対岸の朱塗りの大鳥居がみるみる近づいて、10分ほどで宮島着。
まずは手水場で、心身を清めて参殿。寝殿造り風の建物なので、神社に参拝というより、平安時代の御殿に上がるという感じです。
回廊を進むと、幾重にも重なった朱塗りの柱が、うつくしい光景を演出します。
そして、私が一番注目したのは、床の構造。よく見ると、板と板の間に隙間があります。
満潮時には海面が床下すれすれまで上昇するため、嵐などで、それ以上に潮位が上がった時に、回廊にかかる海水の圧力を弱め、上がった水を逃がすための工夫とか。
また、以前に参拝した時は満潮時だったのですが、今回は干潮時で、新たな景色を見ることができました。
その一つは、「鏡の池」。
海水が引いた後に、小さな池が現れるという趣向です。
そして、大鳥居の足元まで行けたこと。
遠くから眺めた時は、大きいことは大きいけれど、ごく普通の鳥居に見えたのですが・・・
近づくと、その巨大さと造形美に圧倒されました。
鳥居は柱の前後に控柱のある構造で、木造の鳥居としては、日本一の高さと大きさを誇るそうです。
また、海底に基礎を打ち込むことなく、州浜に置かれた土台の石の上に立っているだけ。その方が、満潮時や荒波に対応できるのだとか。最上部に7トンの玉石を詰め、安定のための重しにしているとも。
それにしても、干満の差が約4メートルあるという潮の流れに、よく耐えられるものだと思いました。
(上: 鳥居を支える豪壮な柱と、柱の足元にぎっしりついたフジツボ。間にコインもぎっしり)
(上: 鳥居から望む厳島神社)
「驕(おご)れる人も久しからず・・・」と冒頭にある『平家物語』の影響からか、平家一族の筆頭であった平清盛は、悪いイメージで描写されることが多いのですが、厳島神社を見ていると、また別の清盛像が浮かんでくるようです。
* 厳島神社の大鳥居は、2021年6月17日現在、大規模な修理工事中とのことです。工事期間などについては、公式HPをご参照ください。
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