伊勢神宮参拝は、「外宮(げぐう)」から「内宮(ないぐう)」へと詣でるのが正式ということ。近鉄およびJR伊勢市駅前から、直進する道路の突き当たりに広がる深い森が、外宮の神域で、バスなら2分、歩いても7~8分です。
車の往来が激しい幹線道路を横切って、一歩境内に入れば、そこは別世界。亭々と空に伸びる樹木の中を、ざくざくと玉砂利を踏みしめて奥に進むうちに、俗世界の垢が落ちていくような・・・。
天照大御神の食事を司る神・「豊受大御神」を祀る「外宮」の正殿(しょうでん)は、「唯一神明造り(ゆいいつしんめいづくり)」という、日本最古の様式を伝える建物。ヒノキの素木を用い、切妻、平入りの高床式。屋根は茅葺きで、柱は掘立(ほったて)。
屋根の両端には「千木(ちぎ)」が高く聳え、棟には「鰹木(かつおぎ)」が並んでいるというもので、弥生時代の高床式の穀倉が原型とされています。内宮も同じ様式ですが、屋根の千木の切り方と、鰹木の数が違うそうです。 (下は内宮の写真)
(上: 遷宮直前時の内宮=『伊勢二千年ものがたり』より)
そんな予備知識を仕入れて行ったにもかかわらず、正殿の前で、「あれれ?」の気分。社殿は木の垣や柵で幾重にも囲われて、屋根のほんの先端しか見えないのでした。
(上: 外宮=伊勢神宮パンフレットより)
文字通りの「垣間見る」状態。その上、垣の内側は撮影禁止で、傍らにガードマンが立っている物々(ものもの)しさ。さすが別格の神宮です。
ちなみに伊勢神宮の正式名称は単に「神宮」というのだそうです。そこへお参りすることは「参宮」と言い、一般の神社の「参拝」とは、言葉を使い分けていた時代もあったとか。
外宮神域は、正宮の他、鎌倉時代に、蒙古の襲来を神風で撃退した功績により、末社から別宮に昇格したと伝わる「風宮」をはじめ、別宮三社と摂社、末社など十社が点在し、厳かな雰囲気で満たされています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます