日本庭園こぼれ話

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お伊勢参り「内宮」---三重県

2011-04-03 | 神社

外宮から7キロほど離れた内宮へは、バスで約15分。内宮前で下りると、大きな素木の鳥居の向こうに、五十鈴(いすず)川に架かる木造の宇治橋があり、内宮神域への一歩の始まり。(下の写真)

  

(上: 伊勢神宮パンフレットより)

(上: 『伊勢二千年ものがたり』より)

橋の向こう岸には、もう一基の鳥居があり、背景のこんもりした森は、さらに背後の山々に連なり、内宮神域の荘厳さは、その入口からすでに感じとられます。

ところで、伊勢神宮では周知のように、20年に一度、「神様のお引っ越し」である式年遷宮が行われますが、この橋の内と外に立つ大鳥居は、その時に、内宮・外宮の旧正殿の棟持柱(むなもちばしら)で作られるのだそうです。

そしてさらに20年後、今度は「関の追分」と桑名の「七里の渡し」に遷され、計60年にわたり三度のお務めを果たすのだとか。何と壮大なリサイクル?

100メートル以上あるという宇治橋を渡って、表参道を進み、一の鳥居を過ぎると、右手に幅広の石段が見え、下って行くと五十鈴川のほとりに出ます。ここは「御手洗場」と書いて「みたらし」と読む、お伊勢参りの人々の禊(みそぎ)の場。透明な水の流れに心が清められるのを実感します。

(上: 内宮神域を清らかに流れる五十鈴川は、天然の「御手洗場」。川岸の石畳は、徳川綱吉の生母・桂昌院が寄進したものと伝わる)

この近くに祀られている滝祭神は、「おとりつぎさん」と親しまれている神様で、正宮にお参りする前に、この神様を詣でると、頼み事を大神にとりついで下さるとか。発想がユーモラス。

二の鳥居をくぐり、立派な神楽殿を左に見て、さらに進めば、参道の両側や途中にも、びっくりするほどの大樹が林立し、2000年の歴史を物語るかのよう。 

(上: 内宮参道に林立する老杉)

正宮は参道から20段ほどの石段を上ったところにあります。といっても、外宮同様、正殿は四重の神垣に囲まれ、参拝は白絹の「御幌(みとばり)」が風に揺れる外玉垣の御門前から。

(上: 内宮=伊勢神宮パンフレットより)

こんなに囲まれていて、願い事が届くのかしらと、ちらりと見える程度の屋根の端を見上げながら、不謹慎な考えがよぎったものですが、八百万(やおよろず)の神々のトップに位置する天照大御神のことですから、大丈夫なのでしょう。

建築に興味のある方は、正宮からの帰り道、右手の脇道を行くと、正殿と同じ建築様式を見ることができます。「御稲御倉」と「外幣殿」がそれで、小規模ではありますが、囲われていないので「唯一神明造り」の特徴がよく分かります。

ここから少し先の石段の上には、天照大御神の荒御魂を祀る、内宮第一の別宮「荒祭宮」があります。その前で、太陽に向かって立ち、両掌で三角形を作り、顔の前にかざしている女性たちがいたので、何かの儀式かしらと尋ねると、こうして太陽から「気」をもらうのだとか。場所が場所だけに、木洩れ日さえも、神々しく思われるのでした。

 


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