日本庭園こぼれ話

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和歌山城西之丸庭園=庭園回廊・和歌山(3)---(再編)

2021-01-22 | 日本庭園

和歌山市の中心街に、こんもりとある小高い丘・虎伏山の頂上の緑樹の中から姿を見せる白亜の天守閣。

和歌山城は、天正13年(1585)に紀州を平定した豊臣秀吉が、弟の秀長に築城させたのが始まり。その後、浅野氏などを経て、元和5年(1619)、徳川家康の第10子・頼宣が入城。徳川御三家の一つとして、長い歴史を刻んできました。

城郭は第二次大戦時に焼失し、戦後の再建ですが、その規模も風格も、名城といわれた往時を彷彿させます。

公園として開放されている城内を散策すると、石垣にも石畳にも、青石が多く使われているため、頭上の樹木の緑と溶け合って、視界は青緑の世界に。

そして、積み上げられた石垣をよく見ると、下の写真にある記号のようなものが彫られた石がたくさん見つかります。

和歌山城の石垣のうち、2,110個もの石にこの刻印があるそうです。なぜこのような刻印が彫られたかは不明で、石材所有者の表示や鬼門除けなど諸説あるようですが、これらの刻印が、浅野家が城主だった時代に修築された石垣にしか見られないことから、浅野家の家臣が、城普請の協力の印として彫り込んだという説が有力なようです。

名勝・西之丸庭園は、そうした一画にあります。

江戸時代初期に、西の丸御殿に築かれた庭園で、別名を「紅葉渓庭園」というように、モミジの名所でもあり、起伏に富んだ地形を巧みに生かした庭園には、渓谷の雰囲気が漂っています。

崖地から小さな滝が落ち、巨石の石組で護岸されたその池には、巨大な「御舟石」が据えられて豪快。

視線を反対側に移せば、内堀を利用した池に、釣殿を思わせる「鳶魚閣(えんぎょかく)」が、雅趣のある姿で佇み、その背後には屋根付き橋の「御橋廊下」が姿を見せています。

水墨山水画を彷彿させる幽邃かつ風雅な庭園です。

 


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