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児童文学作家 加藤純子のblog
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オンライン講演会

2020年11月14日 | Weblog

              

 

 今日は、午後から、日本児童文学学会と、東京純心大学共催による、リモートでの講演会です。

 「戦後75年ー戦時下の言論統制と子どもの本」というタイトルで、JBBY副会長・日本ペンクラブ常務理事の、野上暁さんの講演会です。

          

             

 事前に、野上さんから添付でお送りいただいた資料、なんと10枚!!写真上

 

「言論統制の検証」というカテゴリーで、戦時下の子どもの本についてなどから歴史を遡り、現代の学術会議の問題に至るまで、膨大な10枚にも渡るレジュメです。

 大事な資料なので、クリップでまとめて、クリアファイルに入れておきました。保存版です。

 

 野上さんはとにかく、すごい量の資料と、鋭い論考をお持ちです。

 そうしたものを、惜しげもなく見せながら、お話くださる。

 

              

              

 また、これは『神保町が好きだ!』という冊子です。「本の街・神保町を元気にする会」が発行している冊子で、第14号です。

 

 ここに、野上さんが街頭紙芝居から、絵物語。そして敗戦後、次々と生まれた漫画雑誌の裏側などを、微細に書いていらっしゃいます。

 小学館の取締役をなさって、それから小学館クリエイティブの社長だった、野上さんでなければ、知ることのできないような事実なども書かれています。

 

 若くして、講談社取締役になったK氏は、戦後GHQに追放され、職につくことを禁じられていたため、神田淡路町で奥さんを社長にして、会社を立ち上げ、そこから、「トキワ荘」に集っていた、手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫、石森章太郎などを『漫画少年』という漫画雑誌を作り、デビューさせ、その後の漫画の世界を牽引していったということなども書かれています。

 小学館の社長室の裏側まで書かれていて、野上さんは、本当に、相賀社長に愛されていらしたんだなと、思いました。

 

 私は『漫画少年』という雑誌とは、出会ったことがありませんでしたが、その後、劇画ブームで出てくる、月刊漫画『ガロ』の青林堂も、神保町の一丁目にあったらしいです。

 『ガロ』には、白土三平の『カムイ伝』が掲載されていました。数年続いた、長い長い劇画で、その後『カムイ外伝』も出され、それらも全て読みました。

 団塊の世代の私たちは『カムイ伝』から、いわば唯物史観を学んだといっても過言ではないような気がします。

 『カムイ伝』は、当時のバイブルでした。

 

 『ガロ』に載っていた、つげ義春の「紅い花」や「ねじ式」などなど、不思議な世界で、そのシュールな叙情性に魅惑されたことだけは、覚えています。

 世間からは「芸術だ、芸術だ」と、つげ義春は、評価されていました。その評価に、彼は一時、おののき、世俗から逃げ出したことがあります。

 度胸のある人なら、それを踏み台にして、階段を登っていくのでしょうが、「自分は芸術を書いているのか、それとも、気のおもむくままに書いているのか」そうした煩悩や、逡巡に、ある意味、正直すぎた人だったとも言えるのかもしれません。

 そんなわけで、私はいまだ、つげ義春の作品には、そのシュールレアリスムに魅惑されつつ、芯がよく理解できていないところがあります。

 ただ、すごい感性の漫画家だとは、ずっと思っています。

 

 白土三平は、まさに60年代後半の、時代の漫画家だと思います。確かに、あの頃は、熱にうなされたように『カムイ伝』を読み耽っていました。

 10年ほど前、それが映画になり映画館で見た、『カムイ伝」は、ちんけな映画でした。そのとき「ああ「カムイ伝」は、学生運動最盛期の、時代性から生まれた作品だったのかもしれない。それで、あの空気感の中、心を揺さぶられたのかもしれない」そう思いました。

 

 他にも野上さんの書かれた冊子には、いろいろな漫画が登場します。

 

 今回、この冊子を野上さんにご恵贈いただき、その青林堂の『ガロ』のところを読んだ時、「あれ?」と思いました。

 最近、みたぞ、青林堂って名前。

 そう思って、お礼方々、野上さんにメールで伺ってみました。

 

「『なぜ私は、左翼と戦うのか』(杉田水脈著・青林堂)、が話題になっていますが、ネトウヨの出版社とか、青林堂は言われていますが、『ガロ』を出版した会社とは別物ですよね?」

「青林堂は、長井さんが亡くなった後、しばらくして、社内で内紛があったようで、経営主体も、編集方針も全く変わったようです」と。

 ええ!!あんなすごいと思っていた、出版社が、まったく逆の方向へいってしまった!!

 

 とにかく、野上さんは、生き字引のように、なんでもご存知です。

 今日の講演も、この膨大なレジュメもパワポを駆使し、画面に登場させながら、本の映像などを見せてくださり、お話しくださるのだと思います。

 すごく楽しみです。

 

 これからご参加希望の方は、野上さんにメールをお送りし、ご相談してください。

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