20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊3冊ご紹介

2013年04月26日 | Weblog

 友人の皆さんの新刊を3冊、ご紹介いたします。

      

『恋する和パティシエール』(工藤純子作・うっけ絵・ポプラ社)

『恋する和パティシエール』シリーズの第3巻です。

 今回は「キラリ!海のゼリーパフェ大作戦」

 毎回オリジナリティに富んだ、おいしそうなスイーツを、子どもたちが完成させていきます。

 そのプロセスを、ストーリーと絡めながら、どきどきしながら読んでいく楽しみのあるシリーズです。

 子どもたち自らが作り出すスイーツの楽しさ。

 そして主人公の「杏」、ボーイフレンドの「倫也」、スイーツ作りのライバルである「マリエ」との関係。

 さて、今回はどんな事件が「杏」たちを待ちかまえているのでしょうか。

 いつも、いい味をだしているのが、『杏」のおばあちゃん。

 今回のシリーズでは、『マリエ」の兄がフランスにパティシエの勉強に行ってしまうところから、お話が始まります。

「杏」たちが作り上げた夏らしい涼やかなスイーツ。「海のゼリーパフェ」

 ほんとうにおいしそうです☆

 

        

『命のバトン』(堀米薫・佼成出版社)

 副題に、「津波を生きぬいた奇跡の牛の物語」と、記されています。

 宮城にお住まいの堀米薫さんは、津波被害を受けた宮城農業高校の牛と先生と生徒たちのことをニュースで知ります。

 そこから、堀米さんと宮城農業高校の生徒さんや先生たちとの交流、取材がはじまります。

 読みながら、農業高校の生徒たちが最初はどきどきしながら向き合っていた牛たちと、いつの間にか限りない信頼関係を結び、家族のような関係を結んでいくことになるプロセスを、胸を打たれながら知ることになります。

 そんなところに襲いかかってきた3・11の大地震と津波。

 牛舎や学校が津波に襲われる瞬間の、臨場感を、宮城にお住まいでご自身も牛飼い農家をやっていらっしゃる堀米さんは、目をそらすことなく書き上げています。

 東日本大震災での、津波の被害、放射能の被害に襲われた家畜たちへ鎮魂の思いをこめ、堀米さんが書き上げた大切な記録です。

 そして牛を大切に守り抜いた高校生たちのすがたを描いた、感動のノンフィクションです。

 

         

『もうすぐ飛べる!』(越水利江子作・津田真帆絵・大日本図書)

 このお話は、クラスでいじめにあった、実際の少女をもとにしたお話だそうです。

 滋賀のいじめ問題など、またいじめが社会問題になっています。そんな状況のなか、2000年に発売されたこの本がこのたび復刊されました。うれしいことです。

 作者の越水利江子さんは言います。

「友だちを救うのは、スーパーマンみたいな勇気じゃない」と。

 いじめを受けている子どもたちへの、大きな愛と、メッセージの込められた一冊です。

「子どもが死においつめられないように。そんな思いをこめて」と。

 作中で、いじめられてひとりぼっちの「春海」が、「青木くん」とつながりあう瞬間。

 その空気が、ざわっとかわる瞬間が鮮やかです。

 ひとりでもたくさんの子どもたちに、春海が感じたその瞬間と同じ思いを体験してほしいと思います。

 

 皆さま、この3冊、ぜひお読みになってください。

コメント (4)
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