ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ウクライナでの旅客機MH17便の撃墜から1年

2015-07-18 23:23:39 | 日記
2015年7月17日、ドイツやイギリス(BBC)などの国々でも、1年前にウクライナで発生した旅客機MH17の撃墜事故を報道しています。

中でも目にとまったものは、事故直後に現地に入ったカメラマンに関するものでした。直後の写真が掲載されてはいましたが、それよりもその現場の壮絶さを語ったものです。人間のボディー(体)が散乱していると同時にその凄惨な臭気にも耐えられなかったとも表現されており、また、小さな女の子の遺体も横たわっていたそうです。(写真出典: BBC、DW-DE)

プロとして写真の撮影はしたそうですが、二度と見たくない・思い出したくない光景でもあったそうです。

このような悲惨な現場に立会いたくないことも事実ですが、事故(誤射?)も起こって欲しくないと切に願うものです。









乗員乗客の計298名の多すぎる・想像できない数の犠牲者に祈りを捧げたいと思います。多くの犠牲者を出したオランダを中心に、事故の核心に迫る努力をしているようですが、現場は親ロシア派が抑えている地域でもあり、証拠の誠実な保存がなされていたのかどうかも疑問の残るところです。


ロシアによるクリミア半島の強引な併合(プーチン大統領が後からそれを認めている)など、とても許されないことと考えています。ロシア国内にも民主的勢力はいて、こうした強引な手法を批判しているようですが、暗殺なども行われて口を封じられるようなことも行われているのではないかと疑われています。こうした非民主的な国家が現存していることも事実です。

他方、我が国日本の最近を俯瞰(ふかん)した場合、平和憲法の下、国民主権で、民主国家で、正当なる選挙で選ばれた議員たちが、国民の意志を反映した政策(法律)などを決定して、国民からの信頼に応えて、望ましい社会の実現に邁進しているのでしょうか?

現実の安倍政権の政策決定は、法案そのものにも大問題(違憲等)を有し、決定過程も不誠実な手法で聞く耳を持たず、歴史に学ぶどころか過去の過ちを繰り返す体制を目指しているのと同じです。

世界の各地で発生している武力衝突などの解決は容易なものではないでしょうが、だからと言って、武力による報復の連鎖や解決を試みることは、ただただ戦争を繰り返して、一般の・弱き立場の人々の多くを無念の死に至らしめるものです。


自分(私)も経験し、他の人もしばしば語っていることがあります。それは、人民レベルや個人レベルでは他国や異民族・異教徒の人たちと接しても、非常に親しく交流もできるし、義理堅く且つお互いに親切であることも事実なのです。

しかるに、政治とか国益とかを論じるレベルになった時に、話し合いによる解決ではなく武力(戦争)に物を言わせるヤカラが出てくるのです。これは昨今も問われている外交力・交渉力、そして日頃からの意思疎通などの不足・欠如がもたらしていることでしょう。

話し合いで解決するものです。中には段階を経て、時間をかけて歩み寄って行くものもあるでしょう。一朝一夕に解決できるわけではないでしょうが、真の平和的な手法で臨むことが必須です。

宗教問題が絡んでいることもあるかと思いますが、異教徒そのものを認めないと言うことについても、調停者が介在するなどして互いの文化や宗教も排他的ではなくて認め合うように導く必要があるのでしょう。

最初から諦めるのではなく、それこそ一国を代表するような人物であれば、通常は尊敬を得られている筈ではありませんか?(通常は!) だとすれば、そうした恵まれた・可能性のある立場の「人」が、そうした仲介・調停をすべきなのではないでしょうか。

こうしたことが実力と共にできる人物が真のリーダーであって欲しいものです。


デンマーク: 平和国家レベルは世界2位(2015)

2015-07-16 18:35:20 | 日記
2015年6月22日、少し前のデンマークでの報道です。The Institute for Economics and Peaceと言う機関が発表したものですが、 the 2015 Global Peace Index (GPI)と言う名称で、平和国家の度合いを数値化してランクづけしています。

http://www.thelocal.dk/20150622/denmark-second-most-peaceful-nation-again

デンマークは前2年間に引き続き2位として評価されています。(世界162カ国)

1 Iceland 1.148
2 Denmark 1.150
3 Austria 1.198
4 New Zealand 1.221
5 Switzerland 1.275
6 Finland 1.277
7 Canada 1.287
8 Japan 1.322
9 Australia 1.329
10 Czech Republic 1.341
11 Portugal 1.344
12 Ireland 1.354
13 Sweden 1.360
14 Belgium 1.368
15 Slovenia 1.378
16 Germany 1.379
17 Norway 1.393
18 Bhutan 1.416
19 Poland 1.430
20 Netherlands 1.432
21 Spain 1.451
22 Hungary 1.463
23 Slovakia 1.478
24 Singapore 1.490
25 Mauritius 1.503
26 Romania 1.542
27 Croatia 1.550
28 Malaysia 1.561
29 Chile 1.563
30 Qatar 1.568

上記はGPIからの抜粋情報です。1位はアイスランド、そして、北欧であるその他のフィンランド(6位)、スウェーデン(13)、ノルウェー(17)も、20位以内にランクインしていると報道されています。

様々な面で北欧各国の評価は高い傾向にあるようですね。

ついで(?)に、その他の国も探してみましょう。 日本は8位に入っていますね。ドイツは16位、アイルランドは12位、ベルギーは14位、ポーランド19位、オランダ20位です。

UK(イギリス)は39位、USA(アメリカ)は94位、最下位の162位はシリアになっています。

評価指標は別として、一定の価値がある情報としてもよいのではないでしょうか。



さて、安倍政権は多くの国民が反対している安保法制について、本日(7月16日)、衆議院本会議を通過させました。審議に十分な「時間」を費やしたから審議は十分尽くした・・・とか言い切っていますが、質問に答えていない・説明できない状態では、何時間やっても無意味なことは誰にでもわかること。議員の数にのみ頼った全く不誠実な行動です。

前述の2015GPI(ランク)には、日本が8位にランクされていて平和国家としての位置づけとして世界からも評価されていると思われます。これは正に戦後の平和憲法の下で、極力、各国とも均等距離外交等に努めてきた結果ではないでしょうか。しかし、解釈改憲で強引に集団的自衛権を認めようとする安倍の試みは、平和国家ランクを下げることになるでしょう。

USAやUKを含む先進各国の重要な役割を認めないわけではありません。しかし、ドイツのメルケル首相も時に精力的に外交手腕を発揮しているように、日本は94位のUSAに「追従」するのではなく、もっと真の平和外交交渉力で世界平和にも貢献できる姿を目指したいものです。

ものまね・追従をしているだけでは日本の独自性の発揮や過去の歴史に学ぶことができていません。先の大戦での多くの・無念の犠牲者の気持ちに応えるためにも「同じ道」を歩んではならないのです。(専守防衛のための備えは否定していません、私は。)

臨時: もう我慢ならない! (日本のことです。)

2015-07-15 13:57:24 | 日記
2015年7月15日(日本)、多くの国民が安保法制に関して反対の意志を示していることは、各報道機関のアンケート結果からも確かなことと思われます。(例外として、読売新聞社の論調は、過去も現在も安倍政権に賛同するものです。)

本日の午前中の国会答弁で、首相は「国民の理解は進んではいない、だから、さらに説明を丁寧にして行く・・・」などと述べたようです。全く、人の言葉を聞き入れない姿勢としか言いようがありません。国民を無視・軽視しています。それが国民を守る為とは・・・全く矛盾した人間のようです。

国民が「理解していない」のではなく、法案自体が納得できる内容でもなく、賛同もできない内容なので「反対」しているのです。曖昧模糊とした「説明になってない説明」を何度繰り返しても納得はできないのです。

いくら条件(自衛隊派遣・出動等の)を説明・限定したとしても、それは日本側の都合・解釈であって、相手国(敵国)にとっては関係ないことなのです。つまり、限定的地域であったとしても、エスカレートすれば日本国土への攻撃に及ぶかも知れないことは誰も否定できません。これは「戦争に巻き込まれる」ことにつながります。つまり、リスクは高まります。

先の大戦での歴史を振り返れば、沖縄戦に限らず、広島・長崎の原爆・・・等々の惨禍を忘れてはなりません。自国兵士が自国人民を殺傷するような事態も発生しているのです。自決(自殺)を強要された人たちも大勢いらっしゃいます。

同じ過ちを繰り返してはなりません。武力は専守防衛に関するものは必要ですが、戦禍を招くような行為・交渉は避けねばなりません。そして、敗戦国の一つとして、先進国の一つとして自負するのであれば、真の意味の平和外交(人的国際交流・高い精神性によるリーダーシップ)に邁進すべきでしょう。現在の安倍の言う「積極的平和主義・・・」などの「マヤカシ」の言葉を使った話は、本心・本音を隠した虚言に他なりません。

安倍は信用が既に無いのです。失墜しています。


そもそも選挙において、およそ30数%の得票しかない自民党が議員数として過半数を占める結果となっており、その議員数による多数決原理で賛否を問うことになっている制度そのものに「無理」があるのです。

これだけ「国民を理解しない」政権であるならば、議会政治の限界も感じざるを得ません。政党政治そのものにも疑念を抱かざるを得ませんが、得票数の比率に応じた議員一人一人の議決権(例: 1人×0.3得票率=0.3票/人の重み、つまり100議員がいても30票の重みしかない。)などのように、国民の意志を如実に国会の議決に反映させる方法なども検討すべきでしょう。(現在のままの方法、つまり、議員だけの賛否多数決原理では国民の意志を反映していないのは明白です。)

でなければ、現状の安倍政権のような政治が行われる限り、議案ごとに国民投票で決めることが必要になります。つまり、議員に付託することはできないと言うことです。これは、非現実的なことは承知していますが、それぐらいの政治不信の状態であると言うことなのです。


仮に、一旦、同法案が成立したかのような手続きが進められたとしても、安倍政権や自民・公明両党を糾弾し、政界から追放する運動が必要でしょう。我々が日本国土(国政)から脱出するのではなく、彼らを追放すべきでしょう。公明党のTV-CMを見ると、いかにも人心を掴めるような優しいテーマで流されていますが、現実に政治の世界でやっていることとは乖離が甚だしいのではありませんか。

いずれにしても、人の意志や基本的な人権をないがしろにする行為をするものは、何人といえども許せません。


安倍政権の即時退陣を要求します!!

デンマーク: 風力発電で画期的な記録達成!

2015-07-14 13:06:40 | 日記
2015年7月12日(Sun.)デンマーク、ローカルタイム。デンマークにおける風力発電に関し、驚くべき記録が達成されたとのニュースが流れました。(ニュースソース: THE LOKAL DK)

報道によると、7月10日(金)の朝にかけての出来事です。デンマーク国内で必要とする電力の100%(!)を風力発電で供給できたと言う内容です。しかも、数値的には140%という数値が報道されており、余剰となった約40%近い電力は近隣の諸外国に輸出(送電)できたそうです。

これは前日の木曜日夜から金曜日朝にかけての出来事で、限定的時間になってはいますが、画期的な出来事として伝えられています。

これは二つの要因が重なったことによるとも伝えられています。一つは、この日、驚異的な風がデンマークに吹き付けたこと。そしてもうひとつは7月そのものは、デンマークにとって年間で最も電力消費が下がる月であること。この二つが生み出した記録でもあるのです。

それにしても、よ~く考えてみれば、国内需要の100%電力を再生可能(Renewable)エネルギーで賄えたことは驚嘆すべきことです。多くの風力発電施設が海上や沿岸付近に設置されていることと、風がコンスタントに吹いている地理的条件(パンケーキのような・・・と言われる国土)などが幸いしているのでしょうが、いずれにしても賞賛すべきことと考えています。

そしてスポークスマンが伝えるには、人々が思っているよりは早く再生可能エネルギーをベースにした社会が訪れるだろうとも。そして、2020年には使用電力の50%(half)を風力によって賄うだろうとも明言しています。




2012年のデンマーク滞在に関する当ブログ内にも関連する情報を記載したことがあります。原子力発電を国民投票で3回も否決しているし、再生可能エネルギー買取制度の法的措置も含めて、多くの面で国民の望む方向に政治・政策が向っていますし、政治に影の部分が少ない(透明性が高い)ことも相乗しているのではないでしょうか。


どこかの国のように、特定秘密保護法などといって政権に不都合なことは隠蔽することさえ可能にしておいて、且つ、国民の意志・意見に背き、暴走する政治とは雲泥の差を感じてしまいます。

デンマーク: 地球上で一番幸せな国民(27の理由)

2015-07-13 18:18:20 | 日記
デンマークの幸福度について、エクスペディア(DK: デンマーク)がまとめた興味ある資料がネットに公開されています。納得できる項目もいくつかありますのでご紹介しておきます。

(クリックして拡大可)



上記の資料を何らかの方法で拡大して見て下さい。(上記の二つは全く同じ情報です。)

代表的な項目を見てみましょう。矢印に従って見て行って下さい。

2.首都コペンハーゲンには、有名なチボリ公園や、アンデルセン(童話)にまつわるものがあります。

3.平均気温は7.7℃で、冬も楽しく、夏は外で楽しめます。(彼らは暑い南欧よりも北欧が快適だと言っています。)

4.パーティーは明け方まで開かれることが多く、BARも朝の5時まで開店しているところが多い。

7.サイクリングが国内の多くのルートで楽しめます。

8.74%の国民が毎年のように海外旅行をしています。

12.デンマークの人口は約560万人と少なく、国土も狭いのです。

13.前回(2011年)の選挙での投票率は87.7%です(非常に高い)。

15.医療費は無料です。(税金で賄われています。)

16.世界でも有数の高税率ですが、教育や社会のセーフティーネットが整備されていて、失業保険も2年間(80%)適用されます。

17.性による格差が少ない。

18.結婚は男女の組み合わせに限定されていない。

19.他のスカンジナビア各国と同様に、リサイクル(循環型)に対する考えが浸透している。

22.高額給料は、ヨーロッパで第6位の高さということです。

24.1週間当たりの労働時間は37時間(平均)で、且つ、年間で5週間(35日間)の休暇をとる権利があります。

25.年間労働時間は1,411時間で、ヨーロッパでは下から4番目の少なさです。(2,000時間云々の日本とは違いが大きすぎる。)

26.労働日数は年間で218日、休日は147日になります。


2012年の4月末から7月までの90日間をデンマークで暮しました。滞在中の農家で様々なことを経験させてもらい、国民幸福度が高い源泉に触れることができたと今も感じています。印象を強くした内容については以前のブログ内に記述していますので、本ブログの最初から読み直していただけると、この27の理由ともリンクしてくると思います。

ちなみに、エクスペディア(DK)は航空券やホテルなどの予約サイトで、私もデンマーク滞在やドイツ滞在の際にはこのサイトを利用しています。そのデンマーク部門がまとめた内容です。

じっくりと読み込んで行くと納得できるものが多いと感じました。但し、朝まで続くパーティーは、当事者は楽しいのですが、周辺住民には騒音(音楽の)問題がある・・・と一方で指摘するニュースもあります。

また、ここには登場していませんが、教育制度そのものの仕組みもユニークであるし、弱者に手を差し伸べる精神性が高い人民であることや、意思決定機関における女性の比率を高めるクオータ(割り当て)制度採用など・・・、全体として成熟度が高い社会(国家)となっている他の根幹部分の理由もあるように感じました。

人口レベル(DK=約560万人)が違うので、容易ではないと思いますが、日本も見習う点は多々あるのではないでしょうか。


翻って、現在の日本の政治はあきれ返るほどに残念なレベルにしか見えません。隣の芝生は青く見える・・・論は別として、安倍政権の推し進める政策の大半が国民の期待するものとは異なっているものです。特定秘密保護法、安保法案(違憲で、且つ、戦争に巻き込まれる)、原発政策、秘密裏に進められるTPP(食糧自給率を飛躍的に高める政策が必要)、株価上昇や円安効果によるみかけ上の経済対策(マネーゲームであって、実体経済の改善効果は?)・・・、取り組む内容が間違っています。

唯一、地方創生的な取り組みはもっと期待したいところです。ギリシア問題が世界を騒がせていますが、日本の地域問題とも共通する点を感じます。地域の歴史的な背景や存続・持続可能な地域を意識的にも作りこんで行くことが、一極集中的な流れを変えることになるのではないでしょうか。

とかく日本人は、同質的な考えに陥りがちで、結果、同質的な競争にはまりこんで行く傾向があります。各地域がその独自性を見出し・認識して、それぞれの地域で持続可能な社会を構築して行くことが肝要かと感じます。

その意味でも、デンマーク(幸福度)やドイツ(持続可能社会)の生き様を「参考」にすることは悪くはない・・・と考えています。