ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

デンマークでの農場体験(10) <鶏の早朝出荷と初めての一人ドライブ>

2014-02-11 23:05:09 | 日記
今回は鶏にまつわるお話です。この農場ではほぼ毎月のペースで250羽ぐらいのヒヨコを購入してきます。母屋の側にあるグリーンハウス(ガラス張りの温室)がしばらくの間の鶏舎になります。鶏舎と言っても放し飼いが基本で、夕方になると餌や給水器の置いてあるハウスに勝手に戻ってきます。5月では電気ヒーターも使用しています。

4週間ぐらい経つと、この農場から12km離れた別の農場へ移されます。その農場には2haのリンゴ園があり、そのリンゴ園内にやはり放し飼いされるのです。ここにも夜露をしのぐ小屋が設置されていて、鶏達は出荷されるまではここで飼育されます。鶏糞がリンゴの生育にも良いのでしょう。この農場とは協力関係にあるようです。

およそ8週間ぐらいの時点で出荷の頃合になるようです。出荷は深夜か早朝の暗闇の中で行われます。と言うのは、放し飼いであるので鶏達は小屋周辺ではありますが思い思いの場所で寝ており、彼らの目が見えない暗がりの中で捕捉して出荷用のケージに入れて行くのです。

ある日の夕食時、奥さんが言いました。「明日の早朝、鶏を出荷するので手伝ってくれるか?」と。私にとっては初めてのことです。早朝(4時起き)なのですが、これも体験の一つと考え二つ返事でOKしました。

そして翌朝、4時起き。簡単に身づくろいして出発に備えます。車は奥さん自慢のトヨタ・ランクル。私は助手席に乗り込みました。早朝の暗闇を走ること凡そ30分、リンゴ園のある農園に到着しました。そしていよいよ鶏の捕捉開始です。しかし、その時点になって奥さんは積んだ筈の捕捉用のネット(タモのようなもの)を忘れてきたことに気が付いたようです。

そして奥さんが言った言葉は「ジロー、家に戻ってネットを持ってきて! あなたなら出来る!」・・・。つまり、ランクルを一人で運転して戻り、ネットを探して再びこの農場まで来ること。

ここでいくつかの障害に気が付きました。一つは運転免許証(国際免許証)を携帯してないこと。そのことを伝えるといとも簡単に言われました。「デンマークでは免許証の携帯不携帯は問われることはないから大丈夫よ!」。(ちなみに、国際免許証はデンマークへは持参して行きました。)

次に、日本は左側通行、デンマークは右側通行。そして私は右側通行の国での運転経験はない点。これは口には出しませんでしたが不安材料の一つ。そして、この農場までの距離は片道で約12km、3回ほどは助手席に乗ってきたことがあるのでなんとなくは道は覚えているのですが、右左折するポイントは6ヶ所程度。しかし、この地帯の風景は開けた農村地帯であって目立つ目標物が少ないのです。これも不安材料。しかも、夜中同然なのでヘッドライトで照らされる視界のみが頼り・・・。それでも奥さんは言うのです。「ジローなら出来るよ!」

全く簡単に言ってくれるもんだと思いつつも「OK!」と言ってランクルに乗りました。左ハンドルです。救いはオートマチック車であること。来た道を逆トレースしながら右左折するポイントや標識等を探しながら走ります。朝5時前のことで走行している他の車が少ないことも幸いしました。1ヶ所のみ左折ポイントを通り過ぎましたが、風景が違うことに気が付きUターンして正規の道に戻りました。ロスタイムは5分ぐらいでしょうか。

無事にホーム農場にたどりつきネットを探し出して再びランクルを走らせました。今度は道を間違えることはありませんでした。が、途中で幹線道を3kmぐらい走るのです。時刻も5時を過ぎていたので何台か走っています。しかも制限速度70km時の道路を90~100km時で走行している感じです。幸いランクルは3500ccの排気量でアクセルを踏めば楽々と100km時ぐらいは出るので他車に追いつかれることはありませんでした。また、左折ポイントも見逃すことなくリンゴ園にたどり着くことが出来た次第です。

しかし、しかしです。往復で1時間近くを要することになったので時刻は5時半を過ぎた頃です。空は白みがかっておりネットを手渡した時には明るくなり過ぎていたのです。奥さん曰く「今日は無理だから帰ろう!」でした。そう、明るいので鶏は容易に逃げ回るのです。

いやはや、無駄になったとは言え、驚きの体験をすることになったもんだと心の中でつぶやいた私でした。 ~続く~


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