ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ちょっと一休み: 夏至祭り

2014-02-12 11:53:48 | 日記
「夏至祭り」についてお話します。デンマークのこの地域では毎年6月23日に夏至祭りが行われるとのことで、家族総出で出かけることになりました。出発は夕食後の21時です。2台の車に分乗して総勢8人で出かけたのです。

日本の夏至の頃は確かに19時頃でも明るさは多少残っていたかと思うのですが、北緯55度のデンマークにあっては21時は全く昼間同然と言った方が正しいくらいです。

農場を出発してドライブすること約30分、距離は20kmぐらいあったと思われます。海辺の小さな街に到着しました。人々が三々五々集まってきています。私達も会場の方に向かって歩いて行きます。が、先ず向った先はアイスクリームショップでした。

6月23日なのですが、空気はヒンヤリとしていて日本の初夏のイメージとは随分違います。どちらかと言うと「寒い」のです。それでも傾きつつある夕日を浴びながら皆アイスクリームを美味しいそうに食べるのでした。もちろん私もいただきました。

アイスクリームを食べながら祭りの会場方向に進みます。小さなヨットハーバーもありヨットが係留されています。ちょっと絵になる風景です。会場の中心付近に到着しました。およそ100人ぐらいの人が既に集まっているようですが、まだ混雑しているとは言えません。

中央に焚き火をするための草木が小山のように積まれています。そしてその頂上には「ほうきに跨った魔女」が立っています。魔女は藁で作られているようです。点火時刻は22時頃と聞きました。

近くには生バンドのグループが演奏の準備をしています。キーボードにサックス、そしてエレキギターの3人構成のバンドです。キーボードには「YAMAHA」のロゴが・・・ここにも日本ブランドがありました。電源はどうしているのだろうかと見渡すと、少し離れたところに自家発電装置が置いてありエンジンが作動していました。なるほどね。

会場には何人かの世話役がいるようでペーパーを配っています。私も受け取り、見ると歌詞カードのようでした。

そうこうしている間に22時です。空はいくらかは薄暗くなった感じがしますが、依然として視界は良好なのです。この頃には焚き火の周りには大勢の人が集まっており、およそ4・5百人ぐらいに膨れ上がっていました。

そして待つことしばし、数人の松明を持った人が焚き火の山の周囲にちらばり、ほぼ同時に草木に点火しました。火はパチパチと音を立てながら燃え広がって行きます。待つこと10分ぐらいでしょうか、頂上の魔女付近も燃え出し始めました。その頃に合わせて合唱が始まりました。そうです。会場に入った時に渡された歌詞カードはこの時のためだったのです。

魔女が紅蓮の炎に包まれて行きます。やがて燃え落ちて崩れて行くのでした。

この行事は、デンマークに行く前から知っていたもので、チャンスがあれば是非見たいと考えていたのでこの目論見は達成できました。ちなみに、夏至の頃に魔女のパワーが最大になるとされており、この時を狙って藁人形の魔女を焼き払うのでした。但し、この行事は昔の「魔女狩り」につながるものがあるとして場所によっては行事そのものをやめるか、または、魔女に見立てた人形を焼くことは避けている地域もあると聞いたことがあります。しかし、この地域では前述の通りの内容でした。

一方、宗教色はどうかと言うと、宗教儀式的なものは一切ないように感じました。唯一、合唱していた歌の中身(意味)はわかりませんでしたが、ひょっとしたらそうしたことを感じさせる内容があったのかも知れません。

焚き火は30分ほどで勢いを落として行きました。すると集まっていた人達は再び三々五々散って行くのでした。時刻は22時半を廻っています。この頃でも薄暗いと言った感じで歩くのに支障はありません。海岸沿いの小道をたどりながら車にもどり家路についたのでした。

日本の中部地方を流れる天竜川。その天竜川水系に7百年以上前から伝わる霜月祭りと言う行事があります。愛知県東三河の東栄町付近では花祭りとも言います。冬至の太陽の光(力)が一番弱くなる時期に人が生まれ変わる・・・とも伝えられています。冬至と夏至の違いはありますが、太陽の力が増す時、弱くなる時・・・人が未知の力に願いを捧げるかのような祈りの行為は、洋の東西を問わず部分的に共通するものを感じた次第です。

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