ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ドイツのクライン・ガルテンを再考(その2)

2014-09-28 00:12:15 | 日記
クライン・ガルテンに関する続きです。2013年の5月、ドイツ行きを計画している中で、日本(中部地方)のクライン・ガルテンの実例を見ておきたかったので、長野県(南信州)にある2ヶ所の施設を訪ねてみました。

一つ目は、新野(にいの)にある新野高原クライン・ガルテンです。私の住んでいる愛知県尾張東部からは車で2時間半ぐらいでしょうか。しばしば走る道でもありますので、ナビの必要はありません。稲武、平谷、売木を通って新野の道の駅へ。そこから先だけがわからなかったので、郵便局に入って道を尋ねました。そこから数分もかからない場所にそれはありました。写真をご覧下さい。
(写真: 正面の住宅群がクライン・ガルテンです。)

(写真: 立派なラウベ)
ここの施設は宿泊可能なので、結構立派な施設の印象でした。

(写真: 管理棟の前にある看板です。)

(写真: 1区画分を撮影しています。)
区画のサイズは色々あるようですが、宿泊可能なラウベが付いた区画で300㎡前後はあるようです。(詳細に知りたい方は直接尋ねた方が良いです。)また、畑エリアのみを100㎡単位で借りる方法もあると聞きました。何れにしても、私が訪問した時点では「空き」はなかったかも知れません。

(写真: 共同施設部分)
正面が管理棟になっています。左側手前は器具・資材置き場になっている小屋です。

(写真: 管理棟の内部です。許可を得て撮影しています。)

(写真: 器具等の小屋)

日本の中山間地におけるこうした施設は、様々な目的を持って建てられて運営されているようです。一つには、現地の高齢化や過疎化対策の一つとして、都会との交流人口等を増やし、その地への関心度を高め、Iターン等を期するものです。また、耕作放棄地等も増えつつある中で、そうした土地の有効利用もあるでしょう。耕作放棄地が増えると雑草が増えて、猪等も人家近くまで出やすくなり、結果、獣害につながったりするようです。

一方、こうした設備に対する投資も相応に掛っていると思われ、メンテナンスを含む維持管理費用も考慮すると、「儲ける」(利益を出す)ことは容易ではないかも知れません。そうした事柄を考慮して行くと、本質的な目的は集落や街に活気や雇用を創出し、あわよくば定住者・移住者を獲得するところにあるのではないかと考えています。

但し、農業(真似事であったとしても)をやろうとすると片手間では出来ないでしょう。その地に定住していない形態で、遠方から通い(?)のような形で農作物管理をしようとすると、少々無理があると実感しています。それを考えると、中山間地でのこうした仕組みは、その継続性や採算性の面で楽観できないのが実情ではないでしょうか。

やはり、本格的に農業に取り組む為には、家と畑が至近距離にあって欲しいと思います。一方、交流人口を増やすには各種のイベントも有効でしょうし、農業体験的な宿泊施設運営の方が有用ではないかとも感じています。さらには、空家を農地ごと一定条件の下に貸し出すとか、または、複数家族で同一物件をシェアできる仕組みにするとか(農地は区分して)・・・、良い方法がトライできると面白いかもしれません。

話を戻したいと思います。2ヶ所目のクライン・ガルテンは下栗の里(しもぐりのさと)にあります。愛知県東三河方面からアプローチすると前述の新野(にいの)を通って遠山郷に向かい、そこから「日本のチロル」とも呼ばれている下栗の里に上がって行くのです。しかし、私が訪問を試みた時期は道路工事か(?)崖崩れか(?)理由はわかりませんでしたが、通行不能となっていたため、北の方のルートを経由して下栗の里へ入ったのです。

「天耕乃家」と名づけられていました。ここは標高1000mほどあります。また、ラウベとは多少印象は異なりますが、立派な宿泊施設(契約方式)があります。但し、畑は少し離れた場所の山の斜面にあるようです。施設数はそれほど多くはなくて5軒あるだけでした。
(写真: 南アルプスを望むすばらしい眺望の地です。)

ところで、南信州、天龍川水系のこの地には「霜月祭り」という伝統行事が伝わっています。近くの遠山郷周辺から、この下栗の里にも・・・。愛知県東三河の東栄町や設楽町の津具にも同様の行事(名前は”花祭り”)が今に伝えられています。と言うことで、霜月祭り等を見るためにこの地に何回か入ったことがあります。これ以外にも、この地の歴史を紐解くと実に興味深いのです。

話を戻します。下栗の里です。
(写真: 山の斜面に形成されている集落)
(写真: 見晴台にある蕎麦屋さん)
この近くに「天耕乃家」はあります。

(写真: 宿泊施設)
畑が隣接していないこともあって、ラウベとは呼びづらい印象でした。但し、使用目的は同様のものですが・・・。


(写真: 逆方向から同施設を撮影したもの)

私が訪独前に訪問できたのは以上の2ヶ所のみです。前回のブログで紹介したドイツのクライン・ガルテンとは形態的にも大きく異なるものです。良いとか悪いとかの問題ではありません。日本の中山間地にあるこうした施設も、それぞれの地域の目的に沿った成果につながって欲しいと切に願うものです。

さて、(その2)はここまでとします。この続編では本年(2014年)から取り組んでいる趣味レベルのオーガニック・ファーミングを通して、体験・体感していることを綴る予定です。
~続く~