ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ヨーロッパでのクオーター制と今の日本について

2014-09-05 21:32:33 | 日記
2012年にはデンマークに滞在し、それに関するブログ「デンマークについて思う」の中で少し「クオーター制」について触れています。それと少し重複する部分がありますが関連することを綴りたいと思います。

クオーター(quota)は「割り当て」の意味であって、(quarter)「4分の1」の意味ではありません。北欧を中心にして世界的に広まりつつある社会制度(?)の一つです。例えば、様々な意思決定機関(国会とか)において、その構成員である議員に関し、女性の割合を一定の比率になるように、または、下回らないように何らかのルール等を定めたものです。

北欧5カ国(デンマーク含む)や2013年に滞在したドイツでも、その比率は世界各国の中でも高い部類に属しています。30%~50%に近い数値を示しているようです。但し、残念ながら最新の正確な数値までは把握していませんので、関心のある方はネット等で調べていただきたいと思います。

私のデンマークやドイツでの滞在体験から、様々な政策決定にこの制度がプラスに作用しているのではないかと考えています。また、ヨーロッパと日本の間に様々な価値観の違いを感じていますが、その価値観醸成の元になっているであろう教育制度そのものや各種の社会制度(税制含む)にも女性視点の考えが反映されているのではないかとも感じているのです。

一方、9月3日(2014年)に安倍改造内閣の顔ぶれが発表されました。閣僚の中に5人の女性閣僚が含まれていて、その”数値(5人)”に関しては歴代タイ・・・との報道が成されています。

報道の表面だけを見るとよい方向なのかなと思ってしまうかも知れませんが、様々な情報からして、必ずしも喜べる内容ではないと感じています。例えば、経産省の女性新任大臣は原発再稼動方針を示しています。多くの国民が再稼動に反対の意思を示しているにも関わらず、現政権は原発を維持・再稼動しようとしています。放射性廃棄物の最終処分場問題や福島の原発過酷事故の終息も見られない状況下で、しかも、トータル的には決して安価でない発電コストにも関わらず・・・です。

女性が入閣することへの国民の期待は、女性視点で様々な政策等に関し「あるべき姿」を客観的に俯瞰していただきたいところにあります。任命した総理と同じ考えを持って「右向け右」に従うような考えであっては、女性閣僚の比率が歴代タイ・・・の意味が全くと言っていいほど「無い」に等しいのです。

正に「見せ掛け」に過ぎないと感じます。様々な意見を有した方々がお互いの意見を聞きつつ「多様性」をも尊重した国政を担っていかなければなりません。クオーター制もそうした効果を期待したものでしょう。表面の数値上だけに焦点を合わせたものではほとんど意味がありません。「目的」が違うのです。

加えて、デンマークやドイツに滞在し暮してみて感じたことの一つに、国民一人一人が政治に関心を持つことの差があります。「何故、日本人はもっと騒がないのか(抗議しないのか)?」・・・こう言った人もいました。

クオーター制が日本にも導入されることを望んでいますが、「見せ掛け」のものかどうかは我々が看破しなければならないでしょう。

今回は、最近の飛び交うニュースから感じ取ったことを綴りました。

(巻頭写真: デンマーク・コペンハーゲン 2012年7月)