中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第865話 同僚の前で叱ることは「パワハラ」にはならない

2019年12月04日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「同僚など他者がいる前で叱ることは、パワハラにはならないのですか?」

これは先日、弊社がパワーハラスメント(以下パワハラ)研修を担当させていただいた際の、受講者からの質問です。

最近パワハラにかかわる報道などが多くなっていることもあり、これまでにも同様の質問を何度もいただいているのですが、皆さんはこれはパワハラに該当する行為だと思いますか?

弊社では、「(上司として指導(叱る)すべき内容であれば)パワハラには該当しない」と考えています。

厚生労働省ではパワハラの6類型を次のように定義しています。

1. 身体的な攻撃

2. 精神的な攻撃

3. 人間関係からの切り離し

4. 過大な要求

5. 過小な要求

6. 個の侵害

受講者が冒頭のような質問をする背景には、2番目の「精神的攻撃」の例示として「同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり繰り返し執拗に叱る」と示されているからでしょう。

特に、「同僚の目の前で叱責をされる」という文言が入っているために、同僚など他者がいる前で叱ることはパワハラになってしまうと考えてしまうようです。

しかし、このとおりとすると、遅刻が続いている部下や仕事のミスが続いている部下がいた際に、本来は指導の一環としてきちんと叱らなければならないのに、いちいち他の部屋に行ってしなければならないことになってしまいます。それでは、もし他の部屋が空いていなければ部下を叱るタイミングを失ってしまうことにもなり得ます。

極端に言えば、他の部屋の予約が1週間先まで埋まっていたとして、「同僚の前では叱ることができない」とするのであれば、その間ずっと叱ることができないことにもなってしまうのです。

そういうことになってしまったら、それこそ大切な部下指導をすることができなくなってしまいます。

部下指導はリアルタイムで行うことが原則です。もし、時期がずれて間の抜けたタイミングで叱ったら、叱られた部下の方は何で叱られているのかピンと来なくなってしまうでしょう。

また、遅刻が続いている人やミスが連発している人に対して、上司が叱るなどの指導をしなければ周囲の同僚にも悪影響が危惧されます。具体的には、ルール違反をする人が放置されてしまっているので、職場全体のモラルが低下するなどが起きるわけです。要は、上司の指導を甘くみることにもなってしまいかねないのです。

こうしたことから、「上司として指導(叱る)すべき内容であれば、同僚などの他者がいる前で行うことは全く問題ない」わけです。

ただし、ここで一つ注意をしなければならないのは、6類型の注意書きにもあるように「必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る」ことで、この場合はパワハラにあたります。

では「長時間」とは何分なのか?これは指導(叱る)すべき内容によるので、一概に何分ということはできませんが、先ずは5分程度を目安に考えてみてはいかがでしょうか。一般的には5分前後であれば、叱る場合であっても長時間に該当はしないと考えられますし、上司の一方通行にはならないはずです。指導(叱る)行為は本来、双方向でおこなわれるべきものです。遅刻を例に考えるならば、どうして遅刻をしてしまったのか?今後遅刻をしないためにはどうすればよいのか?ということを部下本人に話させるなどして双方向で行うことがポイントです。

パワハラ研修を担当させていただくと、「グレーゾーン」に該当するものを教えてほしいという声もよく聴きますが、基本的に先の6要素で示された要件をきちんと押さえていれば、いたずらにグレーゾーンを気にする必要はないと考えます。

もちろん、パワハラ自体は絶対にしてはいけない行為です。同時に、パワハラと捉えられることを恐れるあまり、上司が部下に必要な指導育成を行わないことも見逃すことができない問題なのです。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ

 


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