中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第897話 テレワークではっきりする生産性

2020年03月29日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

先日、ある会社の社長がテレワークについてこう言っていました。「このご時世だから、うちも仕方なくテレワークに切り替えたんだけど、ダメですね。」私が、どうしてですか?と尋ねると「テレワークって在宅勤務でしょ?家にいたらサボるに決まっているじゃないですか。」そう答えました。

続けて「うちの社員はオフィスにいてもだらだら仕事している奴が多い。そんな連中が家で仕事?どうせ途中でネットやテレビを見はじめて、疲れたと言っちゃあ横になって、そのうち眠くなって気が付けば夜になってますよ。もう、目に見えるようですよ。」と言うのでした。

私は「なるほど。確かにその可能性はありますね。で、生産性はどうなのですか?」と聞きました。

社長はポカンとして「はあ?サボっていれば低くなるのは当たり前でしょ。」と言いました。

「では言い方を変えます。生産性が低いというからには、生産性を具体的に測定できるということですね?」
「そりゃあ、仕事をこなす量とか出来栄えとかでわかりますよ。」
「テレワーク以前の職場でその生産性を測定していたのですか?」
「いや、測定はしてないです。でも比べればわかるはずです。」
「ということは、テレワークに移行しても量や出来栄えが変わらなければ生産性は低下していない、ということですね?」
「・・・まあ、理屈はそうですけど・・・」

ここで私は労働生産性の定義と具体的な測定(推定)方法について社長に説明しました。そして次のように言いました。

「在宅勤務で社員がネットサーフィンしていようが寝ていようがまったく関係ありません。はっきり言えば、家で好き勝手にしていて良いのです。測定可能な成果物を納期通りにアウトプットできれば良いし、少しでもそれが増加するなら生産性は向上したことになります。」

すると社長は顔を曇らせて「それじゃまるで社員は機械と同じじゃないですか。お互いにコミュニケーションをとることでチームワークを発揮して生産性が上がるのじゃないですか?」と言いました。

「先ほど社長は”うちの社員はオフィスにいてもだらだら仕事している奴が多い”とおっしゃいました。職場にいてもチームワークを発揮できずだらだらと仕事をしてるのですから、もともと生産性は低いのです。テレワークは良い機会ですので、先ほど説明した測定可能な具体的成果物を社員に課してください。それと同時に、家で何をしていようが自由だと伝えてください。」

「成果物のノルマですか・・・社員にとっては厳しい対応になりますね。」

「そうです。ただ、社員が機械と同じになると思われたようですが、それは違います。単なる成果主義です。達成目標を明確にし、達成できない場合は格下げや昇給をストップすることを宣言してください。テレワークとは個人の業績が厳しく問われる働き方なのです。そして、もうひとつ大きなメリットがあります。」

「メリットですか?」

「またオフィスで仕事をする日が来れば、以前よりもチームワークが良くなり、生産性も大きく改善していることは間違いありません。もちろんテレワークの方が良いという社員も何割かは出るはずです。」

「なるほど。厳しいけど、当社の生産性を改善する絶好のチャンスかもしれません。」

皆さんの会社もテレワーク導入の機会を利用して、社員の生産性に関する意識を変えてみてはいかがでしょうか。

実は、経営者自身の意識を変えることが第一の目的なのですが。

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