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研究開発は投資ではない

2015年05月31日 | コンサルティング

トヨタ自動車の2016年度の研究開発費(計画)は約1兆500億円、マツダ、富士重工業も1,000億円前後だそうです。燃料電池、ハイブリッド技術、自動運転システムなど、自動車産業が挑む研究開発テーマはスケールが大きいものばかりです。

自動車に限らず電機、機械、化学など大手メーカのR&Dセンター(研究所)では、大勢の技術者が日夜試行錯誤を重ねています。まさに技術立国・日本が行っている「未来への投資活動」であるといえます。

ここで、「おや?タイトルとは矛盾したことを言っているぞ」と思われた方も多いと思います。

ここであらためて研究と開発の定義の違いを述べておきます。研究は新しい知識を生み出すための活動であり、開発は新しい製品、サービス、生産技術などを生み出すための活動です。言うまでもなく、研究開発は企業が存続し成長していくために必要不可欠な行為です。

研究開発費には人件費や原材料費、減価償却費など、研究開発のために使われたすべてのコストが含まれます。

「将来に向ってお金を使っているのだから投資でしょう!」と思われたかもしれませんが、会計上、研究開発費は原則として支出した年度の費用として一括計上することになっています。

分かりやすく言えば、営業担当者の給料も研究所の技術者の給料も扱いは一緒で、その年の費用として消えて無くなるのです。研究開発費は資産扱いしない、すなわち「研究開発は投資ではない」ということです。

会計の考え方によれば、研究開発の成果が確実に利益を生むわけではないし失敗もあるので、「資産」と呼ぶのは疑わしいというわけです。また、名前だけの研究開発費(極端な例としては、単なる無駄遣い)が資産として計上されることを許してしまう可能性もあります。

工学系大学院の会計学の授業でこの話をすると、将来の技術者である学生たちは少し表情を曇らせます。特に「営業とエンジニアが一緒の扱い」になっていることが不満のようです。

そこで、「研究開発費は財務諸表の注記に記載されている。つまり注記に値する特別な費用としてしっかり分けられている」と話すと、一様にほっとした表情を浮かべます。

もちろん単なる思い上がりかもしれませんが、それくらいのプライドを持って研究開発に挑む技術者になってほしいと思っています。

研究開発は技術立国・日本を支える投資なのですから!

(人材育成社)

 

 


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