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アンケート結果の数字だけを鵜呑みにしてはならない

2016年03月30日 | コンサルティング

日々の研修やコンサルティングの際に、形容詞を使った曖昧な表現をするのではなく、定量化することの重要性を繰り返し伝えている私ですが、ここ最近は研修アンケートの結果を定量的に数値することについての功罪も感じています。

数値化の功の部分については、アンケート結果で研修テーマに関する受講者の知識やスキルの習得度合いを確認したり、研修の受講前後の意識の変化を知ったり、新たな価値観を発見することができたかどうかなどを確認することができます。

そして、アンケートの結果が高評価であれば研修効果はあったと考えられ、お客様の次年度の研修予算を獲得しやすくなるなどにもつながるわけです。

このため、アンケートに用いられる形式は一般的には5段階評価やいくつかの選択肢を設けているものが多く、答える側からすれば予め選択肢が示されているため意味が分かりやすく、回答しやすいというメリットがあります。

一方、データを集計する側にとっては統計的な処理が容易なため、以前の数値と比較することもできますし、他のテーマの研修との比較も容易です。さらには、研修予算を獲得する場合に経営陣に対して数値を根拠として示すことができますので、明確で強力な説得材料になるというメリットもあります。

しかしながら、実は最近私はこの「数値化」のデメリットも感じてきているのです。

それは、数値は明確に示せる良さがある一方で、必ずしもそれだけでは表し切れない、いわゆる「行間」を示すことが難しいと感じているからです。

例えば、研修の際に発注側のご担当者がずっと帯同してくだされば、講義内容が研修目的に合致していたか、演習の進め方はどうだったか、講義や演習に対して受講者はどのように反応をしたのかなどを直接確認していただけます。アンケート結果の数字の「行間」や、数値に表れない受講者の反応を肌で感じていただくことができます。

しかし、実際には担当者によっては研修だけを担当しているわけではありませんので、研修の開始時と終了時にしか会場にいない方も多くいらっしゃいます。

そうなると、どうしてもアンケート結果の数値のみで研修の効果が評価されることになってしまいがちですが、それでは上記のように「行間」も含めた様々な要素が必ずしもきちんと反映されているわけではないため、定量化することのマイナス点だと感じています。

このため、弊社が行う研修終了後のアンケートでは、選択式の回答を求める項目だけでなく、できるだけ自由記述欄を設けるようにもしているのですが、そこに書かれているのは多くの場合「ためになった、わかりやすかった、面白かった、楽しかった、声が聞き取りやすかった」などの表面的な感想が圧倒的に多く、研修のどの部分がどのように良かったなど詳細に書いてくださる人はごく少数に限られるのが現実です。

一体どのようにすればもっといろいろと書いていただけるのか、さらには形だけでなく真に意味のあるアンケートにするにはどうすれば良いのか、数値だけが一人歩きすることのないようにアンケートの項目をどのように工夫すれば良いのかなど、日々頭を悩ませています。それと同時に、数字だけでは表れない研修の成果もきちんと把握していただくため、研修のご担当者様にはぜひ自分の眼で見て、感じていただきご担当者としての率直な感想を伺いたいと考えています。

(人材育成社)


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