中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第853話 部下をほめたのになぜ辞める?

2019年10月27日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「部下はほめて育てなさい。」ビジネスパーソン向けのセミナーでよく聞かれる言葉です。
昭和の時代には部下に対して「仕事は見せて覚えさせろ。失敗したら叱れ。」という育成方法が主流でした。その頃若手社員だった私もよく叱られました。「叱られた回数が多いほど仕事ができる奴」などと公言する上司もいました。
 
しかし、平成になると徐々に風向きが変わってきます。「ハラスメント」という概念が浸透し始め、「叱ること=良くないこと」という風潮になってきます。
 
そして、今世紀に入ると「ほめる」ことが優勢になってきます。「社員の半分を、部下を積極的にほめる管理職のもとで、もう半分を、あまりほめない管理職のもとで働かせたところ、ほめる管理職の下で働く社員の方が企画の提案などが積極的になる傾向がみられた」という研究も出てきました。最近は、社員同士で「ほめる」ことをポイント化して、たくさんポイントを得た人にバッジを与える大企業も現れました。

今や「部下をほめない上司はダメな上司」とばかりに、多くの管理職の方々は終業後にセミナーに通っては初対面の人と向かい合って「ほめ合うワーク」に没頭しています。
 
ところが、若手社員の離職率は30年以上も前からほとんど変わっていません。
 
ある会社の管理職は私にこんな愚痴を言いました。
「企業文化改善コンサルタントとかいう奴に『とにかく部下はほめろ、良いところを探してほめろ、探してもなければ作ってでもほめろ』と言われたのでその通りにしたら、半年もたたないうちに若手社員が2人も辞めてしまった。叱るのはダメ、ほめるのも効果なし。一体どうすりゃ良いんだ!」

実は、これほど極端ではありませんが「ほめる」ことが効果を現さないケースは非常に多くあります。こうした実態を当社で聞き取り調査をしてみたところ、原因は2つあることがわかりました。

1つは「間違ったほめ方をしていること」、2つ目は「正しく叱っていないこと」でした。「間違ったほめ方」とは簡単に言うなら「めったやたらに意味もなくほめる」ことです。

のどが渇いているときに冷たい水を飲むと、思わず「気持ちがいい」と感じます。このとき、脳内の報酬系(神経回路の集まり)が活性化してドーパミンという神経伝達物質を放出していると考えられています。人はほめられると同じように脳内で報酬系が活性化するそうです。
 
ただし、言うまでもなく「のどが渇いている」から「気持ちがいい」と感じるのです。何も思っていない、何も感じていないときにいきなりほめられても、まったくピンとこないはずです。せいぜい「・・・ああ、どうも」と思うくらいでしょうか。これが間違ったほめ方、「ムダほめ」です。この「ムダほめ」を日常的に連発されたら苦痛でしかありません。
 
もうひとつは「正しく叱る」ことをしていないからです。
たとえば部下が失敗したとします。叱ることは、失敗をとがめることではありません。失敗に向き合わず改善しようとしないときこそ、叱らなければなりません。なぜなら、失敗を放置すれば、また同じ失敗を繰り返すからです。
 
そして、失敗にきちんと向き合って仕事の進め方を改善することができれば、部下は成長します。そのこと自体、十分にほめるに値します。
 
管理職の皆さんにお願いします。決して「ムダほめ」はやらないでください。
若手社員の成長を邪魔するばかりか、下手をすれば会社を辞めてしまいます。


 
 
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