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第989話 統計分析は社内に眠る「金」を掘り出す道具

2021年01月17日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「統計は役に立ちそうだけど、ちょっと難しそう」そんな言葉を経営者の方々から聞くことがあります。ここでは、あるSI(System Integration)企業の営業活動を例にとって統計分析の使い方を簡単にご紹介いたします。

SIまたはSIerはシステム・インテグレータと呼ばれ、顧客の求める様々な情報システムを企画、提案、構築し、運用のサポートを行います。したがって、比較的大規模なシステムを扱うことが多く、金額は億単位で商談は半年からときには数年かかるという場合もあります。

当然、商談にはいくつもの段階があり、競合他社も少なくはありません。その商談プロセスを簡単な流れにすると次のようになります。

(1)初回コンタクト→(2)情報収集→(3)システム提案→(4)デモ(デモンストレーション)およびベンチマークテスト→(5)最終プレゼン→(6)受注

上記の各段階で競合他社とのバトルがあるわけです。

では、こうしたプロセスの一体どこに統計分析が役に立つというのでしょう。

答えは「すべて」です。

(1)は初回コンタクトは商談になるかどうかの判断です。ここで終わったときは、広告があいまいだったのでお客様が誤解していたのかもしれません。あるいは、すでに他社に決めていたので「いちおう他社も検討した」というアリバイ作りにされたということも考えられます。その理由を記録しておきます。

(2)は競合他社も売り込みをかけていますから、お客様のニーズを探りつつ他社をけん制します。このとき、営業担当者がどういうタイミングで何を聞いたか、そしてどういう情報を得たのかを記録しておきます。

(3)はどういう提案内容だったのか、ポイントはどこに置いたのかを記録しておきます。

(4)デモ内容と(お客様の)参加者のプロフィール、処理速度などの数値データ等を記録しておきます。

(5)プレゼンではどの部分に重点を置いたのか、どういう順序で話したのか、決定権限を持つ人物は誰が出席し、どういう質問をしたのか等を記録しておきます。

(6)いろいろと書くべきことはありますが、今回は省略します。

いずれもデータの収集が大事ですが、データは数値だけではありません。いつ、何を、どういう形でお客様とやり取りをしたのかというアクションもデータになります。

細かい解説を行うことはできませんが、こうしたデータに基づいて統計分析を行い、商談の効率化と対競合勝率アップを実現した例があります(私は当事者としてその案件に参加していました)。

具体的には「お客さんがこのキーワードを口にしたときはこの資料を見せよう」、「競合A社はこの機能を全面に出すからデモの前にこの点を強調しておこう」など優秀な営業担当なら身についていることなのですが、客観的に見ると驚くほど共通点が多いことがわかりました。

こうした暗黙知に近いノウハウを、過去の商談記録や営業担当者全員のインタビューから「言葉」にして抜き出し、分類し、統計分析を行いました(統計手法は数量化Ⅲ類を使いました)。

その後、営業の段階ごとのアクションとトークをマニュアル化して研修を行い、半年ほど実行したところ、特に若手営業担当の商談期間の短縮や対競合勝率においてはっきりとした成果が現れました。

もちろん、現在のように面談が十分にできない状況や、業種・業態の違いがありますから、上記のようなことがそのまま実現できるとは思いません。しかし、今のような状況こそ過去のデータや記録を読み返してデータとして使えそうな数値や言葉を集め、分析するチャンスです。

過去の記録や社員のアタマの中にある記憶は、もしかすると金脈になるかもしれません。統計分析はそうしたお宝を洗い出す有効な道具です。

それでも「統計学はどうも・・・」という方には、次の番組(ウェビナー)をご覧いただきたいと思います。統計学の初歩の初歩、ビジネスでの使い方の一端をご紹介します。Zoom、Facebookでのライブ配信ですので、お気軽にご視聴ください(視聴人数には限りがあります)。

「働き方の統計学」データ分析で考える仕事と職場の問題 

2021年1月19日(火)20:00~21:00

https://new-field.ch/webinar/20210119/

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ



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