中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,227話 予定人数を採用することはゴールではなくスタートである

2024年08月07日 | 研修

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「41.5%」

これは、2024年新卒者の採用計画人数に対する実際の充足率です。(2023年「新卒者の採用・選考活動に関する調査」東京商工会議所)

近年、労働人口の減少に伴って採用活動の厳しさが増していることを、報道や企業の採用の担当者から耳にすることが増えてきています。実際に2025年4月入社の大卒求人倍率は1.75倍で、2024年卒の1.71倍から0.04ポイント上昇しているとのことです。小さな数字のようにも思えますが、この数値からは多くの企業において採用意欲が旺盛になっている結果若手の奪い合いとなり、予定通りの人数を採用できている企業がある一方で、中小を中心に希望人数を採用できていない企業があることがうかがえます。その結果、冒頭のように採用充足率が50%を切る結果になっているのだと思います。

こうした状況を受けて、それぞれの企業では採用に繋げるために初任給を引き上げたり、福利厚生制度を充実させたりするなど、様々な取り組みを行っているようです。

実際に、今春ある企業の新入社員研修を担当させていただいた際にも、受講者から「数社から内定を得たけれど、給与の高さでここに入社することに決めた」と話す人が複数いました。また、同様に中堅社員研修を担当させていただいた際にも、「こんなにもらってよいのか」と昇給額に驚いている声を聞いたこともあります。

給与を受け取る側の社員のからすれば、もちろん高い方が良いでしょうから嬉しい限りだと思います。しかし企業側の視点で考えると人材を採用するということはゴールではなく、人材を育成するスタートになるということですから、採用して諸制度を充実してそれで終わりということでないことは言うまでもありません。

では、採用した人をどのように育てていけばよいのか。せっかく予定数の人材を採用することができたとしても、その後にきちんと計画的に育成していかなければ、あっという間に当人のモチベーションが下がってしまい、退職してしまうということにもなりかねないのです。実際、厚労省の調査(令和5年10月20日)によると、新規就職者のうちの2020年3月卒業者の3年以内の離職率は新規高卒就職者37%、新規大卒就職者32.3%と、3年以内に3割強の人が退職しています。

退職理由を調べた調査は複数ありますが、近年注目されている理由の一つに、新人が「自己実現」を強く目指し、自らの成長にスピード感を求めたり、そのためのスキルの習得を急いだりするということがあります。そして、それが短期間で叶わないと他での実現を求めて退職につながってしまうのです。 

実際、私の知人の職場でも入社しても数年以内に退職して他へ移ってしまう例が珍しくなくなってきているそうです。そんなことになってしまっては採用の際やその後のせっかくの取組みも意味がないということにとどまらず、組織の将来にも少なからず影響を与えることになってしまいます。

私はこうした事態を防ぐためにも、組織として採用後の人材育成の充実を今まで以上にしっかり考えて進めていくことが重要になっていくと考えています。本人の希望を踏まえながら短期~長期など期間ごとの目標を定めるとともに、それに向けて具体的にどのように育成していくのか、その過程をはっきり示し本人と共有する。同時に育成の過程で本人が成長しているという実感を味わえるようにしていくことも大切なのではないでしょうか。

労働力が不足していることで事業が拡大できない、回らないという企業の話も最近は少なくなです。そのような事態を招かないために、せっかく採用した人を丁寧に育てていくことが大切だと改めて考えています。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成社のホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。