「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「経験豊かな人を探しているのですが、このテーマについてはどのくらいの経験がありますか?」
企業などから研修のお問い合わせをいただく際に、時々こうした質問をいただくことがあります。
私自身は研修講師としてのキャリアは長いのですが、それだけでなく研修テーマについての経験の有無が採用の判断材料になっているのです。
一般的に、人は経験することによって様々なことを学びますから、経験が少ないよりは多い方が良いと考えることは、もちろん理解できます。経験が多ければ、それだけたくさんの状況に対応しているわけですし、そもそもそれくらいたくさん導入されている講師であれば、失敗はないだろうと主催者が安心材料として考えるのはごく自然なことです。
また研修以外にも、もし自分や家族が手術をすることになったとして、病院や医師を選ぶとしたら、多くの人は手術の実績が多い病院を選んだり、手術の経験が豊富な医師に手術をしてもらいたいと考えたりするでしょう。たとえ遠路であっても、そういう病院やそういう医師を求めて転院したりするのは当然のことだと思います。
しかし、このような話を聞くたびにいつも思うのは、どういう仕事であっても「今があるのは1回目があるから」ということです。
すべてが経験豊富な人ばかりを求めていたら、経験が少ない人はいつまでたっても経験を積むことはできなくなってしまいますし、経験を積むためには一体どうすれば良いのでしょうか?
講師の仕事で言えば、初めは他の講師が研修を行っているのを傍で(場合によっては受講者として)見ることから始め、少しずつ担当させてもらい、その後担当する割合が増えていくことによって「点」の経験が「線」の経験になり、やがては「面」の経験になることによって、経験豊かな講師になっていくのだと思います。
先日、お会いした30代前半のビジネスパーソンから聞いた印象的な話があります。
自分には到底できそうにもない億単位の大規模なプロジェクトを任されたときに、始めは「自分には無理ではないか」と言ったそうです。
ところが、上司から「やってみろ。お前ならできる。そして、万が一失敗するようなことがあったら俺が責任を取る。心配するな」と言われたそうです。途中、細かいトラブルはいろいろあったそうですが、最終的にはそのプロジェクトは見事成功に至ったそうです。
彼は、今回このプロジェクトを成功させた経験によって、とても自信がついたとのことで、「次はもう少し大きなプロジェクトにも挑戦してみたい」とおっしゃっていました。
手術であっても、研修あっても、そして、大企業でも中小企業であっても、誰にとっても必ず1回目の経験があり、その後経験を積み重ねていく中で成長し 、はじめて実績豊かな経験者になれるのです。
どの世界であっても経験者ばかりを優遇したり活用したりしていると、いつまでたっても後進は育ちません。上司がフォローをしながら、敢えてハードな仕事を経験させてみる、まず、そこから始めることで経験者を育成していくことができるのです。
上司の皆さんは、どうか「誰でも1回目があり、その後の積み重ねを経てはじめて経験豊かな人になれる」ことを忘れずに、後進を育てることにチャレンジしてください。
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