企業が倒産する理由は様々です。需要の減退による販売不振、その結果として売上が低下し赤字に陥る。中小企業なら連鎖倒産や大口顧客からの発注が激減するなど、死(倒産)に至る原因はいくつもあります。いずれにしても、経営者自身が正しい判断力を身に付けていなければ会社は傾いてしまいます。
しかし、どれほど経営者がしっかりしていても会社を危うくしてしまう病(やまい)があります。
会社を生き物にたとえてみましょう。立派な自社ビルがあったとしても建物自体が会社ではないように、会社には物理的な実体はありません。会社はあくまでも人々が形式的に集まって出来上がった組織です。
会社が存続していられるのは、集まった人々がそれぞれの立場で与えられた役割を果たしているからです。そして、社員(人々)が能力を上げること、すなわち成長することで会社は存続することができます。
もしも社員の「役割を果たす力」が徐々に低下していくならば、会社は衰退しやがて死(倒産)を迎えることになります。そうならないために、社員には成長し続けてもらわなければなりません。
しかし、人は勝手に育つものではありません。自分より上位の人から指導されることで学び育っていきます。ですから、部下を正しく育てることができない上司は、会社の成長を妨げる存在です。そうした上司が多い会社は、必ず倒産の危機に直面します。
「正しく人を育てることは会社を育てること」。この言葉を実践できない上司は「死に至る病」の原因であると言っても過言ではありません。
少々大げさなようですが、昨今の大きな組織(大企業や官庁など)の混迷ぶりを見ていると、「死に至る病」が本当に存在していると思わずにいられません。