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30年後の「プログラマー35歳定年説」

2016年03月13日 | コンサルティング

私がまだ「若手社員」だった1986年当時、職場にMicroVAXというコンピュータがありました。VAXと聞いて懐かしい思い出がよみがえる人は多分、50代以上でしょう。当時unixはまだ「格下」で、CADをはじめとする技術計算はVAXで動かすのが主流でした。

ある日、MicroVAXでCADを使っていたエンジニアが、モニタを見ながら「俺さ、今年35なんだ。もうプログラマーとしては定年なんだよなあ・・・」と私に聞かせるようにつぶやきました。

「プログラマー35歳定年説」という言葉は知っていましたので、その時は「ああ、そういうものか」と思っただけでした。そのエンジニアがその後どのような会社員生活を送ったのかはわかりませんが、今年は彼も65歳となり、本当の定年を迎えたわけです。

さて、プログラマー35歳定年説の根拠となっていた理由を挙げるならば、以下の3点だと思います。

1.長時間労働に耐える体力がなくなり、無理が効かなくなる
2.知識を吸収する脳力が衰え、新しい技術についていけなくなる
3.仕事ができるほど役職も上がるため、管理業務が多くなって時間に追われる

プログラマーという職種は、35歳に達すると体力、脳力、時間という制約条件が重くのしかかってくるというわけです。

もちろん、プログラムを書かなくても開発、設計、製造、サービスなど技術関連の部門はたくさんありますから、35歳が「エンジニアの定年」ではありません。むしろ品質管理のように、経験が重要視される部署もあります。

一方、少し古いデータですが、情報処理推進機構(IPA)は「40歳代を境にIT関連業務からITとは無関係な業務に転職する人が50%を超える」という調査結果を発表しています※。

IT業界で働く人=プログラマーというわけではありませんが、なんとなくプログラマー35歳定年説を裏付ける結果になっているようです。

とはいえ、私の知る限り、40代、50代になってもプログラマーとして立派に生き残っている人もたくさんいます。そうした人たちは、体力もあり、頭の回転も速く、時間の使い方も上手です。そして、その仕事ぶりは、時に驚異的な成果物を生み出します。

つまり、普通の会社員が出世競争で生き残って部長や役員になったように、コンピュータ業界で生き残って上級プログラマー(アーキテクト、シニアプログラマーetc)になったのです。

大多数の会社員は35歳で転身してもしなくても、与えられた仕事を淡々とこなしながら65歳で定年を迎えます。

しかし、プログラマーの仕事に対する評価は、その成果物の出来次第です。ですから、プログラマーの仕事に年齢は関係ありません。

そういう生き方ができる人には、定年説など無視して「終身プログラマー」でいてほしいと願っています。

40歳代を境にIT以外の業務に転職増加:「プログラマ35歳定年説」を思い起こさせるIPAの調査結果 - @IT

(人材育成社)