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センスにもいろいろなタイプがある

2016年03月20日 | コンサルティング

誰にでも一度は「あなたには〇〇のセンスがあるね」と言われたことがあると思います。そのセリフを言った方は(まあ、普通よりはちょっとできるかな・・)という程度の軽い気持ちで口にしたとしても、言われた方は一方的に拡大解釈して舞い上がってしまいます。

「センスがあるね」の一言でますます努力するようになり、コンクールで入賞したり、強豪校で3年間レギュラーの地位をキープしたり、全国規模の大会で勝ったり・・といった「栄光」をつかみ取った人も多いと思います。

私にとって最も興味深いセンスを持っている人物は「黒子テツヤ」です。ご存知のとおり黒子はマンガの主人公ですから、実在はしません。「黒子のバスケ」は少年ジャンプに掲載され、コミックの発行部数は2,800万部、アニメ化もされています。同じバスケットボールを題材にした「スラムダンク」の1億2,000万部には及ばないもののスポーツ物では飛び抜けて人気があります。

このマンガで興味深いのは、黒子のセンスの「種類」です。スラムダンクの主人公・桜木花道は体格も立派で運動神経も抜群、高校に入ってから初めて接したバスケでセンスが開花したという天才です。

一方の黒子テツヤは、体格に恵まれず(身長168cm、体重57kg)、フリーでのレイアップシュートすら決められないという身体能力の低さです。そのため、コート上ではまったく目立たず、主人公がシュートを決めるシーンが一回も無いという大変珍しいスポーツマンガになっています。

このマンガの面白さは、黒子が自分の「影の薄さ」を武器にしている点です。黒子は大好きなバスケをいつまでも続けていたいために、裏方という自分の立ち位置(ポジション)を見つけてセンスを磨きました。試合では、相手チームの選手の視線を外し、存在感のなさを逆手に取ったパス回しやスチールでチームを勝利に導きます。ダンクどころかレイアップもままならない選手ですが、全国大会での優勝に貢献します。

さて、会社の仕事の中でも、特に色々な個性が必要とされる職種は営業ではないでしょうか。営業の仕事にもいろいろな役割(ポジション)があります。顧客と対面で行う商談が得意な人はもちろん、提案書や説明用の資料作りに長けている人も必要です。新規開拓が得意な人、リピート顧客になってもらえるような関係作りができる人なども必要でしょう。

押しが強くて積極的な「いかにも」タイプの営業パーソンばかりではなく、商談全体を常に把握し、最善の策を打てるセンスがいかに大切かは、営業の仕事をやったことがある人にはよくわかると思います。

特に、顧客が何を考えてどのように行動するのか「相手を読む力」を持ち、裏方的な仕事も上手くこなせる黒子のような人材は間違いなく営業向きです。

もし、あなたの部下や後輩に「あいつはこの仕事に関するセンスが無いな」という人がいたとしても、よく観察してあげてください。仕事で役に立つ、どこかに活かせるセンスを持っている人物かもしれません。

(人材育成社)