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センスがある人と渡り合うには

2016年03月16日 | コンサルティング

イチロー:「(プロの目に止まるため)目立つからピッチャーをやっていた。だから続けたかったんですけど、イップスになっちゃって投げられなくなった」

稲葉:「それ、どうやって克服したの?」

イチロー:「センスです」(途中省略)

これは昨夜のテレビ朝日の「報道ステーション」の中で、野球解説者の稲葉篤紀氏がイチロー選手にインタビューしたときのやりとりです。イップスとは極度の緊張感、精神的なストレスが原因で筋肉が硬直し、思い通りのプレーができなくなってしまうことです。

イップスの治療法には、カウンセリングや自律訓練法など様々な方法があるようですが、要はストレスから解放してリラックスすることが大切で、イチロー選手はイップスを「センス」によって克服したと言います。

イップスを克服できるセンスとはいったいどういうものなのか、とても気になるところですが、メジャーリーグ通算3000本安打まであと65本に迫るなど、数々の記録を出し続けているイチロー選手のことです。何か特別なセンスを身に付けているのだろうと想像します。

ところで、私たちが普段何気なく使っているこの「センス」ですが、どのような意味なのでしょうか。辞書を引いてみると、センス(sence)とは物事の微妙な感じを悟る働きで、感覚、思慮、分別のこととされています。

一般的に「あの人は○○のセンスがある」というような表現をしますが、ではこのセンスは身に付けることはできるものなのでしょうか。

感覚的には「天性のもの」のような感じもしますが、そうだとするとセンスを持ち合わせていない人は、センスを持ち合わせている人に永遠に対抗できない、渡り合えないことになるのでしょうか。

私自身は小学校時代から絵を描くことがお世辞にも上手いとは言えないため、仕事の研修やコンサルティングのときに、受講者の前でホワイトボードにイラストを描いて説明をする際に、我ながら恐ろしく下手くそな絵を描いています。

「どうしてこんな絵しか描けないのだろう」と時々自己嫌悪に陥りますが、そんな絵であっても多少でも理解に役に立てればと思い、描き続けています。一方で描くことは苦手でも、絵を鑑賞することはとても好きですので、美術展などには定期的に足を運んでいますし、機会があれば絵画教室にも通いたいと思っています。

こういう私には、永遠に絵を描くセンスをアップさせることはできないのでしょうか。

私は「センス」とは対象となるものが好きで、それについて今よりも少しでも上手くなりたいという気持ちがあり、それ相応の時間をかければアップするものではないかと思っています。

これを公式にすると、 センス=(好きな気持ち+向上心)×時間 となります。

この公式に基づいてセンスアップに取り組んだとしても、天性のセンスの持ち主に適うレベルにまでなれるかどうかはわかりませんが、やってみないことにはいつまでも前には進めませんから、まずは好きな気持ちで一歩前に踏み出して、努力し始めることが大事だと思います。

この努力ということで言えば、数々の記録を生み出しているイチロー選手であっても実にストイックなトレーニングを自らに課していることは有名な話です。センスがある人でも、あるいはセンスがある人だからこそ、人知れず真摯に努力を続けているということなのでしょう。

本音を言えば、私のようなセンスのない人間には「センスは努力次第でアップできる」と思わなければ救われないことになってしまいかねませんので、まずはホワイトボードの絵を上手く描けるようになることを目標に頑張っているのです。

(人材育成社)