中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

情けは人のためならず

2013年11月27日 | コンサルティング

文化庁による平成22年度・国語に関する世論調査で「情けは人のためならず」の意味をたずねたところ、結果は以下のとおりでした※。

①人に情けを掛けておくと巡り巡って結局は自分のためになる
・・・ 45.8%

②人に情けを掛けて助けてやることは結局はその人のためにならない
・・・ 45.7%

③分からない他
・・・ 8.5%

正解はもちろん①ですが、まったく逆の意味である②も同じ割合であることに驚きます。

「人のためならず」の「ならず」は「他人のためでない」ですから「自分のためである」というのが正しい解釈です。

日本人の国語力の低下についてはさておき、この言葉を学問的(?)に解釈してみたいと思います。

「他人に情けをかけること」は、すぐに見返りを期待することができない状況で「労役または金銭を提供すること」です。

これは収益率が不明な投資と考えることができます。合理的に考えればそうした投資は極めてハイリスクです。つぶれるか大儲けするか全くわからない会社の株を買うことを考えてみればわかります。

人間が100%合理的に行動するなら、この言葉自体そもそも存在しなかったでしょう。

しかし多くの人は、裏切られる可能性があったとしても一度は信頼して情けをかけるのが普通なのではないでしょうか。

「いや、その考えでは人類は滅んでしまう。他人は100%信頼してはならない!」と思われるかもしれません。

ところが事実は逆です。

ゲーム理論(繰り返しゲーム)によると、「最初は相手を信頼して情けをかける。裏切らない限り信頼し続ける。でも裏切られたらその相手は信頼はしない」という行動が社会の全体の利益を高めているとしています。

企業の中にも「信頼」があることで、組織が維持発展できます。

大げさなようですが「信頼」が実は人類の進化に大きく関係してきたことは間違いありません。

「情けは人のためならず=人に情けを掛けておくと巡り巡って結局は自分のためになる」

今一度、正しい解釈をしっかりと頭に刻んでおきたいと思います。

(人材育成社)

※参考

http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2012_03/series_08/series_08.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B9%B0%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%81%97%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0