パオと高床

あこがれの移動と定住

若冲と江戸絵画展

2007-02-04 03:50:51 | 雑感
あの「なんでも鑑定団」でおなじみの伊藤若冲の展覧会に行く。
アメリカのプライス氏のコレクションで、若冲だけではなく、江戸絵画を楽しめた。
若冲の画題は広く、色遣いや描かれた造型の豊かさや筆致の自在さが、見ているものを飽きさせない。「鳥獣花木図屏風」のモザイク画の技法は新鮮な青に驚かされ、その描かれた象を初めとする様々な動物に楽園のイメージが喚起される。絵画が作り出すエキゾチックな楽園。溢れる色とタイル画のイスラム風の雰囲気に圧倒される。その一方で、「伏見人形図」の微笑ましいユーモアが光るし、85歳で没した若仲の晩年の作品「鷲図」の鷲は緊張感を持ちながら、口うるさげな老人の顔も連想させる。数点ある鶏の動的な姿。水に頭を沈めることで際だつ鴛鴦の円を描く動線がなめらかな絵。足の不思議な配置や首の動きがおもしろい群れた鶴の絵。そして、軽妙自在でユーモラスな「花鳥人物図屏風」。これは、今回お気に入りの一作だ。などなど、発散される想像力に、思わずニタニタしてしまった。
江戸も深いな。
それにしても、様々な動物、江戸の見せ物小屋とかで見られたのかもしれないが、実際に、そうそうお目にかかれるわけじゃない。様々な先達の絵を模写参考にしたり、ネコから虎の連想などの想像力を駆使したりしながら描いていくのだろうな。視覚効果を計算しながら、多くの伝統の上に立ちながら、「奇想」を形にしていく。何より、見て楽しい。これは音楽が何より聴いて楽しいことと同様、絵画にとって力強いことだろう。
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