パオと高床

あこがれの移動と定住

日高敏隆が死んじゃった

2009-11-25 14:15:21 | 雑感
日高敏隆の『動物と人間の世界認識 イリュージョンなしに世界は見えない』について、このブログに書いたのは2007年2月だった。
網野善彦や司馬遼太郎が死んでしまったときに、このジャンルは、この人がいるから大丈夫と思うことのできる人だったと書いたが、この日高敏隆もそんな人の一人だったと思う。動物へのあくなき探求が、そのまま人間の世界と繋がってくる。そして、そこに人間の生態と文化への批評性が現れる。そう、ボクのなかでは、多田富雄の免疫系についての文章が、哲学の自他論をするりと生物学的にクリアしてしまったように、日高敏隆の動物学とでも呼べるものは、イリュージョンや現実、そして環境との相互関係での環境論をぱっと跳躍できてしまうパラダイムを持っていたと思う。

何だか、最近、読書日記にならずに、追悼の文が続いてしまった。文化や思考の方法、視点の拡大と展開を行ってきた牽引者でありながら、すでに圧倒的な存在であった人たちが、死んでいく。時代が動いているのだと感じる。せめては、彼ら彼女らの本に触れ、豊穣な知の世界に浸りたい。
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