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渡良瀬遊水地 「ラムサール条約湿地」に登録 加須市

2012年07月04日 15時31分48秒 | 川・水・見沼
渡良瀬遊水池 「ラムサール条約湿地」に登録 加須市

栃木、群馬、茨城、埼玉の4県にまたがる渡良瀬遊水池(3300ha)が、ルーマニアのブカレストで開かれるラムサール条約第11回締約国会議に合わせて、12年7月3日に「ラムサール条約湿地」に登録された。

日本から新規登録されるのは9か所で、合わせて46か所になる。

渡良瀬遊水地は、東京ドームの700倍、人工的なものとしては日本最大の遊水池。栃木県栃木市、小山市、野木町、群馬県板倉町、茨城県古河市、埼玉県加須市の4県4市2町にまたがる。

栃木県が約9割を占め、埼玉県分は加須市の旧北川辺町地域の80haしかない。登録されたのは2861haで、加須市分は51ha。

東京から約60kmに位置し、浅草発の東武日光線を使えば、加須市の柳生駅が南の玄関口。大人気のスカイツリーと結ぶ有力な観光資源になると期待されている。

遊水池の南側は、栃木と埼玉県の県境が入り組んでいて、中央エントランスは栃木市の飛び地。観光案内所の役割をする「道の駅きたかわべ」は加須市だ。

かなり前に6千羽の白鳥の渡来で有名な新潟県の阿賀野市の瓢湖を訪ねたことがある。このため、ラムサール条約に登録されている湿地は、渡り鳥の飛来地かと思っていた。

今度調べてみると、渡り鳥に限らず、「国際的に重要な湿地」であることが条件だと分かった。

渡良瀬遊水池は何が重要なのだろうか。

関東地方では代表的な「低層湿原」。北海道を除けば本州では最大の面積のヨシ原(1500ha)があり、トネハナヤスリ、タチスミレなど植物60種、タカの一種のチュウヒなど野鳥44種、昆虫23種、魚類5種の国指定の絶滅危惧種を支える。

ツバメ類の一大集結地でもあり、水鳥の渡りの拠点として重要だ。世界に250羽しかいないというオオセッカもやってくる。

このように、9つあるラムサール条約の登録の国際基準のうち3つを満しているという。

植物は約1千種が記録されている。

鳥類は、カイツブリ、サギ、ガン、カモ、シギチドリ、クイナ、ワシタカ類をはじめとして、日本で見られる野鳥の約半分252種が確認されていて、その繁殖・越冬・中継地として利用されている、特にチュウヒの大規模な越冬地である。そのほか、八イイロチュウヒ、ノスリ、ミサゴなどを主とする越冬ワシタカ類の豊富さは国内屈指。

湿地性の昆虫の宝庫でもある。昆虫の種類の多さは有名で、1700種が確認されている。この地の名が冠されたワタラセハンミョウモドキをはじめ、オオモノサシトンボ、ベッコウトンボ、シルビアシジミなどの湿地性の絶滅危惧種、準危惧種等が数多く発見されている。(数字は渡良瀬遊水池アクリメーション振興財団の資料による)

二回しか行ったことがないので、目にしたことのないのがほとんどだ。これだけ挙げられると、この遊水地が「湿地の生物たちの宝庫」であることがよく分かる。

この遊水地は、貯水池(谷中湖)、第1、2、3調整池に分かれていて、中央部にウォッチングタワーがあり、一望できる。

バードウォッチング、昆虫観察、魚釣り、パラグライダーなど年間100万人が訪れている。熱気球によるバルーンレースも4月に行われる。これを機にもっと活用されていい一大観光資源である。

3月下旬の「ヨシ焼き」は、春を呼ぶ風物詩になっている。

もちろんのこと、水没した谷中村の史跡保存ゾーンもあり、足尾銅山の公害に敢然と立ち向かった田中正造翁をしのべる。     


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