それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「スクルージ」 12/8 ソワレ

2013-12-10 | 舞台


ミュージカル『スクルージ』~クリスマス・キャロル~
12/8(日)ソワレ 赤坂ACTシアター 2階J列下手(招待券)

【原作】チャールズ・ディケンズ
【脚本・作曲・作詞】レスリー・ブリカッス
【演出】井上尊晶
【出演】市村正親 / 武田真治 / 笹本玲奈 / 田代万里生 / 安崎 求 / 愛原実花 / 今 陽子 / 今井清隆 

「クリスマス・キャロル」をベースにしたミュージカルということですが…
って私、クリスマスキャロルのお話をよく存じ上げていなかったので、ざざっと予習してから行きました。
でも特に物語を知らなくても楽しめる、わかりやすく楽しい作品でした。

要は、強欲な金貸しがクリスマスの夜に精霊により夢を見せられて改心する…というおとぎ話。
オープニングの場面で見せる舞台装置は、雪をかぶった家並みが奥深くまで続いて、
まるでクリスマスカードのようで素晴らしく美しい。

市村さんの老けメークと老け演技は、もう達人の域に達していました…
なのにワイヤーアクションはスピーディでアクロバティックで、
低音をたっぷり聞かせる歌声も、御年64歳とは思えません。
この役を他に演じられる人はいるのか?と考えても、どうにも思いつかない。

この強欲ジジィのスクルージにこき使われるのが、事務員のボブ・クラチット(武田真治)なのですが、
これがまた絵に描いたように実直で謙虚。
「あんた、それ労働基準監督署に訴えた方がいいわよ!」と言いたくなるくらい冷遇されているのに、
主人であるスクルージを敬愛してやみません。
病を抱える息子のティム(加藤憲史郎くんでした)が、松葉杖をつきながらで健気に歌う場面では、
父親役としての優しさが見えたり、子役を見守る先輩役者としての気遣いも見えたり。
「未来」の場面ではクラチットはお墓の前で「…ティム!」と泣き崩れるんですが、
武田さんの演技力のおかげで、劇場の観客全員が一斉に鼻をすするわけです。さすがだなぁ。

あとビックリだったのは「現在のクリスマスの精霊(今井清隆)」。
だって、予習したときに見た絵本の挿絵とソックリだったんだもん…
緑のローブの間から胸毛が見えたときはもう爆笑…いや、感激しました。
その豪快奔放なキャラどおりに、太く豊かな歌声が大変素敵でした。

とまあ魅力的な出演者がいるはいるんだけど、
作品としては特に派手な場面もなく、ガッツリしたダンスもありません。
唯一印象に残ったのは「Thank you very much」という二幕のナンバーで、
アンサンブルの石井雅登さん(だと思う、たぶん)が大活躍でした。ちょっと惚れた

お目当ての万里生くんの印象がちょっと薄かったのは残念でしたが、
極めて真っ当で良心的な作品でした。
今回は14年ぶりの再演ということだったけど、クリスマスに家族連れで観るに相応しいと思うので、
毎年恒例で上演されるのがいいよね。
ホリプロさんだったら可能なのではないでしょうか…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする