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小泉首相はカルロス・ゴーンの名言「コミットメント」「デッドライン」に力づけられている

2005年08月15日 14時45分30秒 | 政治
郵政法案「選挙後国会成立」自民が公約に (読売新聞) - goo ニュース

 小泉首相は日産自動車のカルロス・ゴーンCEO(現在、ルノーCEOを兼務)の影響を強く受けているようにみえる。
 小泉首相は平成13年6月26日午前、首相官邸で訪問を受け、初めて顔を合わせた。首相に就任(4月26日)してからわずか2か月後のことである。カルロス・ゴーンは、平成11年4月に訪日し、6月に日産自動車の社長に就任し、10月に「日産リバイバルプラン(NRP)」を打ち出して、3年計画という期限付きで経済再建に取り組んでいた。平成13年6月21日の株主総会では、第一段階の「必達目標(コミットメント)」である「コスト削減による黒字転換」を同年3月期決算で達成し、「V字回復に成功した」と報告し、その成果が各方面から絶賛されていた。この最中、小泉首相は、カルロス・ゴーンに会ったのである。
 小泉首相は、就任直後の5月7日、衆議院本会議で行った初めての所信表明演説で、こう力説していた。
「私は、この内閣において『聖域なき構造改革』に取り組みます。私は、自らを律し、一身を投げ出し、日本国総理大臣の職責を果たすべく、全力を尽くす覚悟であります」
 小泉首相が日本変革を成功させるカギは、3つあった。第1は、将来ビジョンとこれから向かうべき進路を明確に示すことであり、第2は、既得権益と権限の維持に懸命になっている中央省庁の官僚群との戦いに勝つことであり、第3は、不良債権を一気に解消して国際金融資本による日本市場への席巻に歯止めをかけ、守勢から攻勢に転じていく態勢を一刻も早く整えることであった。小泉首相はこれらの難問に取り組む強い決意を示した。
 「私は、『構造改革なくして日本の再生と発展はない』という信念の下で、経済、財政、行政、社会、政治の分野における構造改革を進めることにより、『新世紀維新』ともいうべき改革を断行したいと思います。痛みを忘れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、『恐れず、ひるまず、とらわれず』の姿勢を貫き、21世紀にふさわしい経済・社会システムを確立していきたいと考えております」
 小泉首相は、「新世紀維新」実現のため、「聖域なき構造改革」に取り組む「改革断行内閣」を組織し、スタートしてわずか2か月後に、カルロス・ゴーンと会ったのであった。ちょうどそのころ、小泉首相の行く手には、改革を阻もうとする「抵抗勢力」が、7月の参議院議員選挙が終わるのを手ぐすね引いて待ち構えており、日本の未来を賭けた「死闘」が始まろうとしていた。
「日産リバイバルプラン」の進捗は、まだ道半ばだったとはいえ、小泉首相にとって、「痛みを伴う改革」を断行し、「コスト削減による黒字転換」を達成したカルロス・ゴーンは、「改革の先輩格」と言ってもよく、握手もそこそこに、小泉首相はカルロス・ゴーンに質問を浴びせたという。
 小泉首相は、平成13年3月期決算で、予想を上回る利益をあげた日産自動車の再建計画について、
 「どのように目標を達成したのか?」
 「目標達成の秘訣は?」
 「職を失った人たちはどうなったのか?」
 「社長が一番困難だった時期は?」
 などと聞いたという。おそらく抵抗勢力に打ち勝って改革を進める「ヒント」を、カルロス・ゴーンから得ようと考えたようであった。これに対して、カルロス・ゴーンは、
 「努力の期間の後に、必ず成果は目に見える形で出る」
 「会社の再建は進み、新卒採用も増やしている」
 などと答えたという。
 カルロス・ゴーンは、いまルノーCEOと日産自動車CEOを掛け持ちして、3分の2をフランスなど、3分の1を日本という割合で世界を股にかけた忙しく飛び回っている。平成11年から17年までの6年間の在日期間に、カルロス・ゴーンは、いくつもの「心に残る名言」を日本人の心に刻んだ。そのなかで、重要な言葉(キーワード)が、2つある。それは、
 「コミットメント(必達目標)」
 「デッドライン(締切り日)」
 である。
 「コミットメント(必達目標)」は、単なる「努力目標」とは違う。達成できなければ、「責任を取って辞任する」という絶対目標である。大袈裟に言えば、「死んでも必ず達成する」ということである。甘っちょろい日本人の「生温い努力目標」ではない。しかも必達目標の「期日」を設定する。
 私は、これらの内容をまとめて、2冊の本を上梓した。「小泉純一郎 恐れず ひねまず とらわれず」(平成13年6月15日、KKベストセラーズ刊)、「カルロス・ゴーンに学ぶ改革の極意」(平成10月10日、KKベストセラーズ刊)である。
 いまこれらを読み返してみると、小泉首相が、在任4年4か月経て、「最後の勝負」に打って出ている並々ならぬ決意を感じる。カルロス・ゴーンは、来日し、日産自動車社長に就任して6年で「コミットメント」を達成して、フランスに帰り、ルノーCEOとして新たな使命を得て戦っている。
 小泉首相の任期は、あと1年1か月で終わる。「デッドライン」は、日々迫ってきている。この機会を逃しては、カルロス・ゴーンの言う「コミットメント」を達成することはできなくなる。
 就任して4年4か月を経てもなお、自民党内には「抵抗勢力」が存在している。党外では、民主党がやはり抵抗勢力である「官公労(全逓)」に拘束されて、事実上「抵抗勢力」と化している。
 この状況を正確に把握して、小泉首相は、自民党内の「抵抗勢力」の排除と、党外の民主党内に巣くう「抵抗勢力」の撲滅に乗り出したとも言えよう。
 カルロス・ゴーンの経営の神髄とも言える「コミットメント(必達目標)」と「デッドライン(締切り日)」という2つの言葉に力づけられ、これに背中を押されてか、森喜朗前首相に対して「殺されても、郵政民営化は成し遂げる」とまで言い切ったという。
 「恐れず、ひるまず、とらわれず」
 織田信長を自認する現代版「革命児」の気迫と迫力を示す「名フレーズ」である。これに圧倒されている国民・有権者の53%が、感嘆し、期待し、その成功を願っているのである。


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