福田改造内閣は、福田首相が「公約実現」と「解散総選挙の日程」まで仕込む最高の布陣である

2008年08月05日 16時12分55秒 | 政治
◆福田改造内閣は、世情、マスコミなどて色々と批判されているけれど、それらはいずれも、皮相的な見方にすきない。適材適所という言葉が、人事のたびにステレオタイプに繰り返されるのに反して、よく分析してみると、この改造内閣には、見かけに反して、福田康夫首相の老獪な「仕掛け」が仕込まれていることに気づかされる。
◆まずは、見かけの部分である。八大派閥の領袖のうち六人を閣僚と自民党4役に取り込んでおり、近年珍しい「実力者内閣」であり、「挙党一致内閣」である。いまの自民党では、これ以上の内閣は、つくれないと言っても過言ではない。
 財務省好きの福田首相は、大蔵官僚出身の伊吹文明を財務相に、中山恭子を少子対策担当・拉致問題担当に配置、財務相経験者である谷垣禎一を国土交通相に送り込んでいる。
 福田首相、与謝野馨と谷垣禎一の3人は、麻布高校の先輩後輩の関係にある。また、福田首相の「名門好き」は、吉田茂元首相の孫・麻生太郎、鴻池財閥の当主である鴻池善右衛門に嫁いだ伯母を持っている太田誠一を農水相に、与謝野鉄寛・晶子の孫・与謝野馨に見事に表れている。
 改革路線については現在、①小泉構造改革路線(行財政改革)、②「上げ潮路線」(積極財政)、③財政改革+消費税増税路線の3つのうち、「③」の路線を鮮明にして、とくに小泉構造改革路線と訣別している。
◆次に、福田改造内閣の「本質部分」である。これは、3つの公約を果たそうとしている点である、①「拉致問題担当相」に中山恭子②「消費者問題担当相」に野田聖子③国土交通相に谷垣禎一をそれぞれ配置している。
福田首相は、「私の在任中拉致問題を解決する」「道路財源を一般財源化する」「消費者庁をつくる」と公約してきた。この人事は、いかなることがあっても、公約を実現して見せる決意表明である。このなかで、「拉致問題」が解決すれば、「一発逆転」し、民主党による「政権交代」は、夢幻に終るか、露と消える。
元郵政相・野田聖子の「完全復活」は、民主党寄りになっている「全国郵便局長会」(約2万人)と郵便局員の奪還という総選挙対策の意図が含まれており、小泉元首相が強引に断行した「郵政改革」の行き過ぎの「見直し」を行うとともに、「後遺症」を癒そうという政策転換をアピールしている。野田聖子がその象徴として担ぎ上げられたのである。
元財務相・谷垣禎一を国土交通相に送り込んだのは、「道路財源を国土交通官僚と道路族から財務省にもぎとる」という強い意志表示以外の何ものでもない。
◆ということは、福田首相は、この福田改造内閣に、衆議院解散・総選挙の日程まで仕込んでいると読み取れるのである。2009年9月11日の「任期満了」を睨み、メ一杯、「公約の実現に努力する」という意味である。2009年度予算案と、これを裏付ける法律案を国会で成立させ、公約実現のメドが立つまでは、解散しない、メドが立てば解散するということである。
 福田首相が内閣改造に踏み切るまで、「年末か来年初めの解散」を唱えていた自民党の古賀誠選挙対策委員長が、将来、総理大臣にしようとしている野田聖子が入閣したことや自ら留任したのを受けて、「任期満了選挙を」と前言を翻したのは、こうした福田首相の内閣改造の意図を見抜き、よく理解したからに他ならない。
 とにかく、福田首相は、解散権という伝家の宝刀の柄を握っているのであるから強い。公明党が、早期解散すれば自民党が壊滅状態になるのはわかり切っているのに、首相に「来年の東京都議会選挙の半年前の解散・総選挙」を迫ったのは、「私利私欲」にかられ、「天下国家・国民の利益」は二の次にする、まさに血迷いとしか思えない。
 また、小沢民主党は、自民党との攻防戦において、福田改造内閣という手強い「城」への「1年間」にもわたる長丁場を否応泣く耐え抜き、これを落城させるために、物心ともに相当の犠牲を迫られる。その覚悟が必要となっている。

板垣英憲マスコミ事務所

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