プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

シーカヤックアカデミー2008

2008-04-21 12:26:10 | インポート

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先週末のシーカヤックアカデミーはなかなか実りあるものとなりました。参加された方、お疲れ様でした。

 今回発表した私のスライドショー作品は、「宇宙から見たシーカヤック」と題し紀伊半島の魅力的なシーカヤックフィールドを紹介してゆくもので、我ながらけっこういい仕上がりになっていまして反響もよかったので、イベント時のみならずリクエストあれば都合さえ合えばいつでも披露いたします。

 また同じく講義した「天候と海の読み方」の資料も、今後、艇購入者様全員に差し上げます。私が書いた簡単な教科書で、春、夏、秋、冬のそれぞれのシーカヤックに不可欠な状況判断の基礎知識を、自分の経験を交えながら述べているものです。

 

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スライド

2008-04-17 13:23:04 | インポート

 その、シーカヤックアカデミーのスライドショー用のスライド作品、ようやく完成。

 ま、それほど大したものでもないんだけどね。

 今後、写真や映像、文章表現などマルチメディアを駆使して、シーカヤックのディープな面白みを人の感性に訴えかけてゆくワザも、色々と探求していきたい。んで、新しく拠点として増やしたアイランドストリーム唐尾ベースを、そういうギャラリー的な場所にもしていきたいと思ってるんだよね。

 では週末、よろしくお願いいたします。


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シーカヤックアカデミー

2008-04-14 20:36:49 | インポート

 八重山カヤックトリップの報告、またまた止まってしまっていますが、まだまだ続きます。今週末、紀伊長島の方でシーカヤックアカデミー2008が開催されるのですが、その講師として参加させていただくことになっていまして、その際のスライドショー用の作品作りに追われておりアップできませんでした。何事も、切羽詰ってからじゃないと気合入らない、という性格、あきませんねえ。

シーカヤックアカデミーについてはこちら。

http://www.dohmo.co.jp/oyamahausu/seakayakacademy/higashikishu/2008/


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ナーラの滝

2008-04-08 13:07:34 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの記事の続きです)

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 西表島の突き当たりの集落、白浜から出艇すれば島南西部の無人の自然フィールドをたっぷりとパドリングすることができます。仲良川、クイラ川といった、河口部にマングローブ樹林をたずさえた原始の香りのする川を遡っていくこともできますし、その支流に入っていって亜熱帯植物群の濃密なにおいをハートに染み込ませることもまた、非常に趣深いです。 海のほうに出れば外離(そとぱなり)島、内離(うちぱなり)島といった無人島の周辺から、さらに南西部の網取、崎山といった美しいサンゴ礁と無人のビーチが素晴らしいエリアまで、本格ツーリングすることができます。

 西表南西部は、ワールドワイドに通用する魅力を持った、屈指のカヤックフィールドといえるでしょう。分かる人は、だいたい地形を見ただけで分かります。

 ただ、ぼくが滞在した2月頭くらいというのは最も北風の強い季節で、実際、毎日毎日強風がかなり吹いていたので、「サバ崎」という岬から南西のエリアは漕ぐことができませんでした。夏場、台風さえさけることができれば、カヤックにテントを乗せて1週間くらいキャンプするのが最高でしょうね。

 ここではまず現地のツアーガイドに案内をお願いしました。一箇所だけではなく、南西部のエリア全般について色んなことをお聞きしたかったからです。また当アイランドストリームのお客様で「西表島に漕ぎに行きたいです」というリクエストがあった際、即座に紹介できる現地ガイドさんがいたらありがたいですので、そういうご挨拶も兼ねてツアー参加させていただきました。

 案内していただいたのは、西表島と石垣島両方にベースを持つツアー会社「ちゅらねしあ」の飯田さんというガイドでした。飯田さんは以前には広島でシーカヤックツアーガイドをされており、また国産シーカヤックメーカー「ウォーターフィールド」でカヤック製作に携わったご経験もある人で、西表島在住歴は長くないものの、本物のシーカヤッカーとしてすごく頼りになる人でした。今回、海況がよければ網取・崎山といった海岸線、悪ければ仲良川にしましょうということでしたが、案の定強い北風のため、結局仲良川のツアーになりました。オフシーズンということもあり、この日はぼくだけでした。

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↑ 白浜の港エリアを出てしばらく行くと仲良川の広い広い河口付近に出てきました。ここは干潮になると干潟になり、トビハゼなどがピンピン跳ね回っているゾーンでもあります。これだけ広いと風景全体の遠近感がつかみ難く、漕いでも漕いでもなかなか進んでいる気がしないものなのですが、そこはフォールディングと違ってこのカヤック・・・、ウォーターフィールド社の「マリオン」と言いまして、長さ5.4mもあり、色んな人が冒険旅行に使った実績を持つFRP製本格シーカヤックでして、あっちゅう間に進んでいきました。ちなみにマリオンは当アイランドストリームでも一押し艇として販売しています。よろしく。

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↑ 川幅の広いゾーンはたいていマングローブ樹林となっています。オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギがよく見かけるマングローブ植物ですが、こういう細い手がたくさん水底に伸びてるやつはヤエヤマヒルギです。  

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↑ 高速艇を使用し、同業者が2人だけで漕いでいるとさすがに、ペチャクチャしゃべりながらでもいつの間にかズンズンズンズン進んじゃっています。時折手を止め、肌身に植物の香りをしみこませるかのように、目を閉じ、深呼吸したりしました。その空気感と言うかフィーリングは、熊野灘沿岸の初夏の感じに非常に良く似てるというか、デジャヴみたいなものを覚えました。

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↑ 水際にせり出したアダンの木。ワイルドでよい。 

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↑ 日傘みたいになった植物が、ヒカゲヘゴだ。とにかく植物の密度が濃ゆいですね。

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↑ 河口から約6キロほど漕ぎあがると、このような清流域に行き着く。だんだん岩がごろごろし始め、これ以上いけなくなったところで上陸します。上陸し、ちょっとした更地の空間でお昼をいただき、その後トレッキングで幻の滝と呼ばれる「ナーラの滝」を目指します。

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↑ ここのところずーっと雨が多く、ちょっとした小川も水量が軒並み増していました。ここは本当に水の豊かな島です。黒潮の通り道、海流の中の島。湿度が高くムワーッとした空気。植生密度の濃ゆさ・・・、ますます初夏の熊野灘沿岸域と同じにおいがするなと思った。

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↑ この飛び散った鳥の羽は、イリオモテヤマネコにやられたものかもしれない、とガイドの飯田氏はおっしゃっていました。イリオモテヤマネコはもう約100頭ほどしか生息しておらず、絶滅の危機に瀕しています。

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↑ こういうシダ類の獰猛な生え方がいい。

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↑雨でどろどろになった山道を歩き、30分ほどすると滝が現れる。ここの滝の現れだし方というか、見え出し方がいいなと思いました。

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↑ とにかく雨でパドリングシューズはつるつるすべりましたが、ガイドの飯田氏は便所用ゾウリみたいなゴムゾウリでスタスタスタスタっと歩いていきます。その軽い身のこなしはまるで猿のようでした。飯田さんはツアーのない日には、イノシシ猟も手伝っているそうで、20キロものイノシシを背中に担いで山を歩きまわるそうです。その時も、そのゴムゾウリ使用だそうです。グリップ感が最高だそうで、トレッキングシューズも地下足袋も沢用シューズも全く履かないらしいです。・・・参りました。

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↑ 幻の滝という異名をとる、ナーラの滝。それほど落差があるわけではないけれど、気品があっていい滝だと思います。夏は滝つぼで泳ぐのが最高でしょうね。

 仲良川のツアー、素晴らしいです。往復約12キロと、初心者の方にはちょっと距離を漕ぐことになりますが、トライしてみる価値はあります。マングローブ、川、滝の神秘感は、西表島でも屈指といえるでしょう。


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西表島

2008-04-08 02:01:37 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの続きの記事です)

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 石垣島の次は西表島に渡りました。西表島には北部の上原港と東部の大原港の2つの定期便発着所がありますが、北よりの強風が吹くこの時期、上原ルートは欠航が多く、ぼくが渡った日も案の定、大原ルートしか便がありませんでした。

 大原港のヤマネコレンタカーでパジェロミニを借り、そのまま島外周道路を端から端までひた走りました、石垣島と西表島は海を隔ててたった30数キロしか離れていないのですが、雰囲気がぜんぜん違いました。石垣島が陽とするならば西表島が陰。山々の緑もより重く、暗く、秘めたる深み、凄み、威厳のようなものを感じました。

 西表島は、亜熱帯のジャングルです。日本というより、東南アジアです。

 西表島の4分の3は外周道路が通っていますが、残りの4分の1は道がなく、完全にウィルダネスのエリアです。で、車を終点の「白浜」集落まで走らせ、集落の一番端にある「海人の家」という町営の宿に投宿し、そのまま1週間ほどいました。白浜を基点として、あちこちに漕ぎに周っていました。上の写真は白浜の集落のものです。

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↑ 左の真ん中のちょっと上らへんが白浜。ここから無人のエリアを漕ぐのが醍醐味だ。 

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↑ これは石垣島の離島桟橋。ここを基点として、西表島や波照間島や竹富島など、八重山の各島々に船便が出ている。ここはいわば八重山のターミナル駅だ。

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↑ 西表島の最南端、南見田(はいみだ)の浜。車で行ける南の終点でもある。滞在中、ここから鹿川湾(かのかわわん)まで漕いで往復した。途中、サメの大群に出くわし、取り囲まれた。・・・と思ったらサメではなく、なんとマンタの大群だった。

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↑ 西表の山々の緑には、独特の重みがある。

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↑ 向こうに見えるのは小浜(こはま)島。その間の海峡が「ヨナラ水道」。別名「マンタウェイ」とも呼ばれている。潮が速いことでも有名。


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ナイトライフ

2008-04-07 19:30:20 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの記事の続きです)

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 フォールディングカヤックでのカヤックトリップのスタイルは主に、飛行機、バス、フェリー、レンタカー、ヒッチハイクなどで国内外のあらゆる場所を訪れ、異文化と接触し、その土地特有の自然に心震わせ、さまざまな人々と出会い、そして別れゆくというスタイルになります。よりネイチャー色の濃い「バックパッカー旅」とでも言いましょうか。

 カヤックを漕ぐ日もあれば全く漕がずただ観光したり、一日中図書館で本を読んで過ごすこともあります。一日漕ぐ距離はだいたい10キロとか15キロくらいまでで、そこがエクスペディション(カヤック遠征)というスタイルとの大きな違いです。エクスペディションでは一日50キロも60キロも漕ぎますからね。あまり漕がずとも、その土地特有の自然エッセンスをキャッチできればそれでいいんです。泊まる所も、民宿とかゲストハウスなどを利用し、テント泊はむしろ少ないです。費用は切り詰めますが、そうめちゃめちゃケチるということもしません。めちゃめちゃケチらなきゃなんないんだったら、帰ります。

 それから、エクスペディションではどちらかというと人との交流が必然的に少なくなりますが、フォールディングでのカヤットトリップでは人との交流が多くなります。特に、昼間は一人きりの方がいいくらいなのですが、逆に夜は他人と交流しないと、なんというか気持ち悪くなってきます。

 で、この八重山トリップでは毎日あちこち飲みに行くか、あるいは同じ宿の宿泊者と飲みながら色んな会話をしまくっていました。どこか飲み屋に飲みにいったらたいてい地元出身の人と交流できてよかったですね。八重山の人は地元の人もよそから移住してきた人もみなお酒好き、話好きで、実に色んな話をフレンドリーにしていただきました。先の記事「石垣新空港について」の内容も、色んな話を聞き総合的に分析した上で書いた文章でして、別にあてずっぽうの個人的感情から書いているわけではありません。

 ということですが、上の写真は、石垣島滞在中よく行ったバーのひとつです。「ココソン」という、古いジャマイカ音楽が延々かかっているバーで、泡盛やラムを飲みながらまったりするのは最高でした。

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↑ ↓ 石垣島滞在中、連泊していた宿。一泊3000円

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石垣島北東部

2008-04-07 17:50:08 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの続き記事です)

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 川平湾に続いてカヤックを漕いだのは島の北東部の半島でした。石垣島の中でも最も人の少ないエリアで、特に半島の東海岸は道が通じていないので、全くの無人の海岸線を漕ぐことになります。つまり野趣、野性味を重んじるカヤッカー的には、石垣島におけるハイライト・エリアとなるわけです。上の写真は、玉取崎の展望台から眺めたその海岸線の風景です。沖のほうに見える白い筋がリーフのラインで、例によって北風が強い雨交じりのひどいコンディションでしたが、リーフの内側は波立たず、十分漕げる状況でした。

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↑ 出艇場所。伊原間(いばるま)という地名の土地に、「船越」という場所があり、道端には駐車できるスペースがあります。で、道向かいの民宿・船越のそばからこの浜に入っていく小道が通じています。こういうバックパック型のカヤックトリップにおいて「出艇場所」というのはかなり重要な要素になってくるわけですが、だいたいはパッパっと「カン」で決めます。ここは石垣島到着初日にレンタカーでグルーっと島を一周した際に地図と照らしあわせて、「多分ここが一番いいだろうな」と目をつけておいた場所。

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↑それにしても、荒天続きでした。本当はこのエリア、もうカーンと晴れると、ありえないほど鮮やかなブルーの南国風景が展開される場所のはずなのですが、重い乱層雲が立ち込め、こういう陰鬱な感じになっていました。ですが、雨降りの海上は、ぼく的には嫌いではないんですよね。

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↑ 道が通じていない海岸線なので人はぜんぜんいないですが、放牧された牛はたくさんいます。これがいわゆる石垣牛です。あくまで個人的な意見ですが、柔らかい肉のためにビールなんかを飲ませてもらい、マッサージまでしてもらう神戸牛や松阪牛の霜降り肉なんてどこか気色悪い感じがしちゃいますが、こんな場所でおおらかに勝手に育つ牛の肉は、なんといいますか、正しい牛肉という感じがします。石垣牛の焼肉も食べましたが、非常においしかったです。石垣牛の闘牛も見ましたが、非常に感動しました。

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↑ カヤックでかなりギリギリまで近寄りました。こちらを意識して群れが動き出し、「モーモー」とうなり声を上げ始めました。ぼくも「モーモー」とうなり返すと、なんだこいつはという表情で背中を向け、「シッシ」という感じでシッポを振り、歩き去っていきました。

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↑ 山に乱層雲が垂れ込め、全くの無人の海岸線というシチュエーションもあいまって、あたりは一層の神秘的な様相を呈し始めました。こういうところを一人で漕ぐ、というのは非常にリッチな体験だと思います。ぼくは色んな人と漕ぐのも好きだけど、このシチュエーションでグループで漕いでいたとするとただただ、「天気悪いねえ~」で終わってしまいます。逆に一人で漕ぐといわゆる濃密な、「自然との対話」ってやつになるのです。

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↑ いつの間にか乱層雲が山全体を覆った。ゆっくり形を変化させてゆく霧のような雲の流れに、グレートな自然の鼓動を感じたのだった。太平洋上に浮かぶ小島としての、黒潮という巨大海流の中に浮かぶ小島としての息吹を感じた。上昇気流が雲を呼び、雨を降らせ、森を潤し、川に流れ、再び海に帰ってゆくという、水の惑星の循環を感じた。そしてそんなことを感じることができるのは、カヤックという敏感な宇宙船に乗っているからなのだった。

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↑ この雲のなびき方もいいね。非常にいい。

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↑ これも非常にいい。女性的なタッチの丸みある山の連なりと、立ち込める水蒸気、なんというか品格が感じられた。

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↑ 海岸線はずーーと砂浜海岸が続いていて、キャンプするにも素晴らしいだろうと思った。

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↑ この荒涼、寂寥とした風景、ハートにヒビが入りそうなくらいキューンときてしまいました。

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↑ 風に揺れるアダンの群落。アダンは実がパイナップルみたいな(実は食べられない)、南国風情たっぷりの植物。風に敏感に感応したような葉っぱのタッチもいい。

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↑ 石垣島北東部の海岸は、野趣、野性味に溢れていて、 よかった。 


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川平湾

2008-04-07 14:11:57 | 八重山カヤックトリップ

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 石垣島に着いて最初にカヤックを漕いだのは川平湾(かびらわん)でした。古くは帆船が風待ちをした避難港で、風波をさえぎる大きな入り江状の内湾になっています。世界初の黒真珠養殖に成功した場所としても知られ、また景観的にも素晴らしく、その美しさは全国8ヶ所しかない国指定名勝地に指定されています。ただ内湾のためサンゴ礁は大方駄目になっちゃってて、また観光ズレしていて野趣に欠けるという人も少なくないです。けれど、変な工場があったり、いかつい造船所のさびた鉄骨などが風景を威圧しているといった、よくある人工物がハバを利かせた内湾というわけではないので、一日ゆったり漕ぎエメラルドグリーンを堪能する分には悪くないと思います。観光ズレしているのもほん一部分だけで、ちょっとカヤックを漕ぎ出すと濃密な緑の山々に囲まれ、すごくいい雰囲気になります。

 しかしこの日、北風と雨が結構強烈で、ゆったりどころではなく、湾をグルーっと一周するのはかなりしんどかったです。ま、いいウォーミングアップにはなりました。天候が悪いと海の色も空の色と同じになっちゃいますが、逆に、雲がかかった山々の連なる風景には神秘性があり、よかったです。陸でただ見てる分には感じないけれど、カヤックに乗って海風に身をさらし、雨粒をダイレクトに感じることによってのみ見えてくるもの。そいつを通してオレの眼球レンズに映る、雨にけぶる八重山の山々は非常に趣深かったです。

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↑晴れたらこんな感じの鮮やかな美しさが広がる。

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↑ 川平湾の地形。一見してのんびり漕ぐのに適したフィールドだと分かる。赤い目印が出艇場所。黒真珠博物館のところの広い駐車場でカヤックを組み立て、そのすぐ目の前から出艇できる。

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↑ 天気悪かったです。北風がびゅうびゅう吹いていて、追い風になるケースではものすごく楽でしたが、逆に向かい風になるケースでは漕いでも漕いでもカタツムリのようにしか進まず、ヒイヒイ言わされました。

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↑小島が海を完全にさえぎった形の内湾なので、ちょっとやそっとの風では波が立たない。もし風に逆らって漕げず流されちゃったとしてもやがてどこかの岸に流れ着くのであまり心配ない。なので、八重山地方にフォールディングを持ってカヤックトリップしようと思われる初心者の人はまずこの川平湾で肩慣らしするのもいいかもしれない。

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↑湾の奥のほうの西側の沿岸にはマングローブ地帯が展開されている。その背後の雨にけぶった山々もいい。

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↑マングローブと言うのは塩湿地帯に生える植物の総称のことで、「ヒルギ」という植物がその代表格です。ヒルギにもたくさんの種類がありますが、八重山地方で多く見られるのはオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギの三種になります。で、この写真のように細い根が千手観音の手のように水底に刺さっているやつが「ヤエヤマヒルギ」です。

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↑ 川平湾の小島と陸地の間の水路を抜けると湾の外に出ます。

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↑ しかしこの水路がちょうど風の通り道になっていて、漕ぎ上っていくのが大変でした。手を止めてこのように写真を取るちょっとの間に100mほど後退させられてしまいました。

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↑ 湾を出てもしばらくはリーフ内の穏やかなゾーンが続きます。写真の左上のほうで白波が立っているところがちょうどリーフの境目で、それより沖は大荒れとなっています。

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↑湾の防波堤のような格好になった小島の湾側はこんな感じの浜になっています。天気がよければ昼寝するのにさぞよろしいことでしょう。

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↑今回の旅の片腕、アルフェック・アリュート430。

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↑ 島は亜熱帯植物の宝庫で、たくさん色々と生い茂っていた。写真は、雨に濡れてつやつや光るクワズイモ。潤いがたっぷり感じられていい。

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島の真ん中では牛が放牧されている。石垣牛だ。

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↑ゴミはどこにでも漂着している。


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石垣新空港について

2008-04-06 00:00:31 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの話の続きです)

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 ↑ サンゴ石をシンプルに並べただけの、白保集落の素朴な港。

 石垣島に着いてまず白保地区に泊まりました。ここでしばらくカヤック&シュノーケル三昧の日々を送ろうかと思っていたけれど、毎日毎日予想以上に寒く、北よりの風も強く、ほぼ雨か曇りで遊べませんでした。

 石垣島でのカヤッキングはまず川平湾をグルーっと回ってウォーミングアップし、その後、島北東部に位置する半島の東海岸エリアを漕ぎました。いずれの日も雨風が強かったけれど、新しい環境で新鮮味がありました。

 そのことはまた別の記事で書くとしまして、この記事ではここ白保エリアについて触れてみたいと思います。ぼくの泊まったのは「環礁アトル」という名の、10数年前に東京からこの白保の地が気に入って移りすんだ女将さんが一人で切り盛りする民宿でしたが、滞在中、彼女と色んな話をしました。「この白保にマブイー(魂)を落としちゃったのよ」と言ってらっしゃいましたが、それゆえ、石垣新空港の話をするときには、自分の身を削られるように、本当に辛そうでした。

 石垣新空港とはここ白保地区に建設を計画されている空港です。現在ある空港は第二次世界大戦中に軍用空港として作られたものを元にしていて、滑走路が1500mと短く、大阪、東京からの直行便が離着陸できないと言われています。また扱える貨物数も少ないらしいです。これでは観光面、産業面ともに石垣島の発展に障害をきたすということで、1979年に新空港設立の計画が立ち上がりました。当初の予定は、白保の沖合いを埋め立て、2500mの滑走路を作り、中型以上のジェット機を離着陸できるようにしようというものでした。

 しかし、この白保周辺の南北10キロのほどの海域はサンゴ礁の宝庫で、有名な世界最大のアオサンゴの一大群落があったり、巨大な塊状のハマサンゴの群落が展開されています。それも何キロも沖合いにあるのではなく、目の前の砂浜からすぐ目と鼻の先の距離に素晴らしいサンゴ礁が散りばめられた、世界的にも極めて希少性の高い場所です。またサンゴだけでなく、魚、貝、エビ、カニ、海草、水鳥、ウミガメ類などかけがえのない生き物たちの宝庫として、自然環境的に見て、あるいは観光資源的、水産資源的な見地から、埋め立てなどとんでもない話なのでした。

 当然、集落住民や自然保護団体、研究者たちが立ち上がり、反対運動が繰り広げられました。やがてマスコミや世論なども巻き込み、海上案は撤回されたけれど、紆余曲折を経て、白保より少し北の「カラ岳」という小高い小山の付近に作る陸上案が立ち上げられ、2005年12月に国土交通省の認可が下りたのでした。開港は2012年の予定です。

 その、カラ岳に建設したならば白保のサンゴ礁には影響がない、現代の最新土木工学を駆使したならばサンゴに害を及ぼす赤土の流出もないだろうと、推進側は御用学者などを使って説明しているけれど、実際は陸上案であっても同じ事で、結局白保のサンゴ礁は死ぬだろうと言われています。

 ひどい話です。美しい自然と素朴な人情が色濃く残っているのが石垣島の魅力なのに、それを殺しちゃって開発を推し進めても、逆に人を引き寄せる魅力が消え去り、誰も来なくなっちゃうのが目に見えています。計画発案は1979年で、当時は世の中全体に環境倫理も観光の多様性の価値観も全く根付いていず、ただただ旧式の経済成長観一色の時代でした。そこから世界も日本も大きく変わっています。特にこれからは国家ブランディング、地域ブランディングの時代で、どの地方もローカルの魅力を探すことに必死になっているというのに、何もせずともそこに存在してくれている、ワールドワイドな価値のある白保ブランドをぶっ壊して、一体どうしようというのでしょうか。ましてや石垣島は「観光」を機軸に経済が回っている島です。

 争点となっている、空港の離着陸に関する問題も、結局理屈をこねるための具にすぎないのです。実際は、新空港の必要性に切実さはまるでありません。そして何より、工事に携わる土建屋と政治家以外に経済的メリットがないわけです。諫早湾や長良川の例を見ても明らかなように、覆水盆に帰らずということわざ通り、複雑なメカニズムをたたえる自然を壊すのは一瞬ですが、人間の手では永遠に元通りのものを作ることはできません。しかし、(もう実はそういう時代になりつつありますが)いつか白保のサンゴ礁が絶対必要であるという時代が来るかもしれません。そうなったとき後悔してもどうすることもできません。そして、後世の子孫に、「あの時代の連中は気が狂っていた」と馬鹿にされることでしょう。

 ではなぜ、どう見てもアホな筋書きを推し進めようとするのでしょう? 答えは簡単。土木工事ほどオイシイ利権を生むものはないからです。たとえば地域ブランドを現出するには創意工夫、知恵、不断の努力などが必要とされてきますが、土木公共事業は税金を引っ張ってくるだけで、知性も教養もまるで必要とされません。

 旧態依然とした「政・官・財の鉄のトライアングル」。仕事を発注する国土交通省があり、土建屋を推薦する政治家がいて、工事を請け負う土建屋がいる。事業に絡んだ企業はその見返りとして官僚に天下り先を用意し、政治家に対しては政治献金を渡し、選挙の際には票を差し出す。そんな典型的な構造に根ざしたストーリーなのです。国民、市民、島民のことなど全く眼中になく、また石垣島の発展のためなのでもなく、すべては目先の利権のためなのです。見え透いています。

 自然の神様の、タタリとか起こんないんだろうか?

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↑緑色に見えるのは沖縄地方でアーサと呼ばれる海草(ヒトエグサ)。味噌汁やお吸い物に入れるとおいしい。で、一見なんの変哲もない単調な海岸にしか見えないが、すぐ海の中に入ると、有数のサンゴ礁が展開されているのである。

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干潮になると一面アーサ畑になる。

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白保を黙って見守るウタキ。


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鳥のように魚のように

2008-04-05 15:52:36 | 八重山カヤックトリップ

Kurosio

 ぼくは1月末から2月20日頃まで南琉球・八重山方面にフォールディングカヤックを持って、フィールドリサーチを兼ねたカヤックトリップに出かけていましたが、ここからしばらくはその報告の記事を続けたいと思います。

 ・・・・と書いてあれから、しばらく経ってしまいました。筆不精ごめんなさい。ちょっと色々バタバタしていた事柄もひとまず落ち着いたので、今度こそきちんと書いていきます。ダーッと立て続けにアップしていきますのでついてきてくださいね。よろしく~。

 えー、今回はまず石垣島の民宿までフォールディング(折りたたみ)カヤック「アリュート430」を宅急便で送り、自分の体は大阪南港発のフェリー(有村産業)で約50時間かけて石垣港まで運びました。船旅を選んだのはちょうど航路が黒潮の流れを逆走する形で、真上を突っ走ることになるからです。まあ、黒潮本流のど真ん中に身を置くということはカヤックではなかなかできないことですが、想像しただけでゾクゾクしてきます。あ、ちなみにシーカヤックであちこちの海を漕ぐという行為を何年も意識的にやっていると、別に自慢じゃないですがフィーリングやイマジネーションが割と発達してくるんですけど、たとえば「NHK 大自然紀行」みたいなテレビ番組なんかで海の映像が流れるとしますよね。あんなのを見ただけで自分がまさにその場にいて風を受け、波に揺られ、潮の香りを味わいながらシーカヤックを漕いでいるような感覚にどっぷり浸ることができたりしちゃいます。で、映像ごときでもそういうわけですから、たとえカヤックではなくデッカイフェリーだったとしても、その場に身を置くという生体験で、かなり黒潮本流のエッセンスを実感できるんじゃないかなあ、と思ったわけです。

 アマゾン川の約500倍の流量を誇り、最大幅100kmに達する世界最大級の暖流・・・、などなどカタログスペック的に色々書いたりすることもできますけれど、それよりも感覚的なインプレッションとしては、「世界最大」とか「地球規模」とかなんとかいうより、宇宙的なスケールの質感、エネルギー感を感じましたね。

 地球の圧倒的な丸みに抱かれる、四方八方見渡す限りの群青色。その圧倒感に圧倒されました。また大型フェリーの安全なデッキの上で浴びる潮風がなんともよかったです。寒かったけどね。

 行きはそのようにしてフェリーで行きました。四国、九州の沿岸を進んでいるときは数年前に日本一周した際に通った沿岸も出てきて、非常に懐かしい感慨が込み上げて来ました。。

 そして帰りは飛行機で帰ったんですけど、これもまた味わい深かった。青く美しい琉球の海に浮かぶ宝石のような島々を超え、雪をたたえた山頂をいただく屋久島を過ぎ、九州、四国、と今度は黒潮の流域を空から鳥のように眺めたわけです。ちょうど渡り鳥が北上するのと同じルートです。

 鳥のように魚のように、なかなかよい旅でした。やはりカヤックトリップは素晴らしいと思いました。次生まれ変わったらクジラ、その次生まれ変わったら渡り鳥、という流れで黒潮を行ったり来たりするのもいいかもな、とふと、思いました。

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↑これが黒潮の色だ。大型フェリーのデッキという安全地帯から眺める安心感がいい。

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↑宇宙的なスケールを突き進む中で、有村産業の「A」と言う文字が人間くさいというのか、なんかよかった。

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↑シーカヤックで日本一周をしたとき、鹿児島最南端の佐多岬から大隈半島東岸を通って志布志湾にたどり着くまでの約70キロくらい、ずっとこのような断崖絶壁が続き避難するエスケープルートがない中ででかいうねりが打ち寄せ続け怖かったおぼえがあるが、その記憶が蘇った。

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↑これこれ、これが黒潮のブルーだ。コンテナの色も似ているが、やはり海の色の深みにはかなわない。


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カヤックトリップの片腕

2008-04-05 13:51:51 | インポート

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  先日のクリーンアップイベントのお昼休みに、今年から新しくガイドベース兼クラブハウスとして稼動することになる「アイランドストリーム・唐尾」(湯浅湾・唐尾海岸。栖原ベースから車で約10分。なお当面これまでどおり栖原ベースがメイン)で、フジタカヌーのフォールディング(折りたたみ)カヤック「アルピナ2 430 EX」の簡単な紹介と、組み立て披露を行いました。

 ご存知の方も多いかと思いますが、当アイランドストリームでは湯浅湾ローカルのシーカヤッキングを大切にすると同時に、全世界の水辺をぼくらの遊び場に変えちゃう「カヤックトリップ」というスタイルを非常に大事にしています。

 カートップでカヤックを運搬できるケースでは、あるいは自由にレンタルできる境遇などではポリエチレンやFRPといった剛性素材のカヤックの方に利点が多いんだけれど、飛行機、バス、フェリー、レンタカー、ヒッチハイクなどの交通機関を使って国内外のあらゆる場所を訪れ、異文化と接触し、その土地特有の自然に心揺り動かし、さまざまな人々と出会い、別れゆくというディープな「バックパッカー旅」のスタイルを取ろうとするならば、断然フォールディングカヤックがお勧めになるわけですね。

 そういうわけで、必然的にフォールディングカヤックの販売および購入者へのフィールド情報提供や、メンテナンスその他のアフターサービスもますます充実させていきたいと考えています。で、去年まではアルフェックの「アリュート430」あたりを前面に押し出していましたが、今年からはそれに加え、フジタカヌーのラインナップを前面に押し出していきたいと思っています(もっともっとシーカヤックそのものでの本格海旅~、ってことになったら「フェザークラフト」をお勧めしますが、バックパック旅ならばこちらで十分です)。

 フジタカヌーのよさはまずなんといっても「軽さ」と、国産品ならではの信頼度の高さ、一艇一艇手作りの製造スタイル、そしてアフターフォローのよさです。工場は、京都・笠置にありますが、同じ関西圏ですし(私は奈良にも家がありますのでかなり近所です)、担当者のM氏は湯浅湾でシーカヤッキングするのが大好きな人であり何か不都合があった際にはできる限りのフォローを約束するとのことですので、より安心して当店でご購入いただけます。

 ところでなぜフジタカヌーの艇をお勧め品に加えていこうと思ったのかと言いますと、カヤックトリップにおいて、「重量」「携行性」という部分がかなりのウェイトを占めるからです。たとえばアルフェック・アリュート430はカタログスペック上は17.5kgとありますが(実はもうちょっと重い感じがする)、その点、アリュート430に相当するフジタカヌーの「アルピナ2 430」は重量が14kgと大変軽くなっており、工夫次第でさらに軽量化することもできます(アルピナ1 400では12kgとなる)。

 たった3kg、4kgの違いなのですが、実際に旅をしているとこの差が行動力、気力、体力、モチベーション、交通機関使用などの面において、ものすごい違いとなってきます。カヌー・エッセイストの野田知祐なんかは遠征のときに、「ボールペンの外側の部分を捨て中身の芯だけ持っていく」と書いていますが、ぼくは非常によく分かります。この差が、でかいんです。

 また携行性という面において、フジタのアルピナ2 430にはちゃんとしたバックパックが標準装備として付いていますが、アリュート430の標準装備のバッグはショルダーバック形式のものでとてもじゃないけれど背負うことはできない形式のものです。もっとも、オプションとしてまともなものが手に入りますが、ほとんど在庫がなく輸入も打ち切りということらしく、「あ~、カヤックトリップというスタイルに対するリスペクトが感じられないな」、という不満が浮上してきています。

 もっとも、艇そのものはアルフェック、フジタともに、技術的に行き着くところまで行き着いていて、しっかりとした作りですので、どちらも遜色なくお勧めです。正直言うと、重さ以外の部分ではぼく個人的に、アリュートで全く問題ありません。いずれも、カヤックトリップだけじゃなく、海、川の週末ツーリング、カヤックでの釣り、水遊びその他色んなスタイルに対応します。

 で、もっと艇について色々説明したいところですけれど長くなりすぎちゃいますので、詳しくはHPをご閲覧ください。http://www.island-stream.com/cgi-bin/island-stream/siteup.cgi?category=4&page=0 しかしいずれにせよ、カヤックトリップというスタイルは、「その土地のディープな自然の真髄」に迫ることができて、素晴らしいんですよね。そんなの他にないですよ。

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↑アルピナ2 430 EX ↓アルピナ1 400

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↓アルピナ2 430 EX

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クリーンアップの報告2

2008-04-02 00:00:58 | インポート

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前回に続いてクリーンアップの件で、少々長くなりますが、参加された方の感想を記しておきます。

    ここまでゴミがあると思っていなかった。特に発泡スチロールのくず。とても拾いきれない。でも大まかなゴミだけでも掃除して結構きれいになったと思う。「小さなゴミくらい」という感覚が積み重なって、たくさんのゴミを生み出していたんだなあと思った。ゴミ箱以前にゴミをポイ捨てしないようにしないといけないと思った。

20代女性

●お疲れ様でした。1人ではなかなかできないことが、30人もいればあっという間にとてもきれいになりました。もう少し、(シーカヤックツアーの)繁忙期前にも(鷹島のクリーンアップを)できればと思います。また、ツアー中でも30分だけお客さんにゴミ拾い活動をしてもらうのもありではないかと思います。

  20代女性

●ボランティアに参加したのは初めてだったので非常に勉強になった。「百聞は一見にしかず」で、新聞やテレビなどで環境問題について「考える、知る」とは全く異なる体験でした。なんと袋が多いことか!! スーパーの袋、コンビニの袋、スナック菓子の袋・・、袋、袋、ああ袋・・・。風で飛んできた袋、土に埋まって途中で切れた袋、土や砂にまみれて分別することも難儀な袋。この安価で便利な袋は、一方でこんなに不便だったとは。石油製品がないとぼくたちの生活ももはや成り立たない時代になったとはいえ、袋は企業の努力でもう少し何とかなるのでは、と。

「人間に便利なものは、地球に不便である」そんな風に思いました。

  30代 男性

●思っていたよりもゴミは多かったです。正直、マリンスポーツを始めるまでは海のゴミになど関心もなかったです。悪い人間だとつくづく反省しますね。海を好きになったからこそ、海が汚れると悲しくなります。一人一人がもっと環境に注意して意識していけばもっともっとよくなると思います。そのために今日のようなクリーンアップ活動が大切だと思います。大変だとは思いますが、これからもこのような活動をがんばってください。

 20代 女性

●新しいゴミを集めるのは苦痛だった。どんな人々が集う浜かによってこうもゴミの種類が変わるものかということは、今日まであまり考えたことがなかった。遠浅の浜は、子連れが多い→紙おむつが多い!! 子供に伝えていく大事なものを、ちゃんと持ち合わせている大人にならないといけないと思いました。

拾うことを続けてもキリがない。やっぱり、捨てないように、捨てるものを使わないように、作らないようにしないと、本当にゴミで埋もれてしまいます。ただ、やはりゴミ集めしたあとの浜はきれいになっていました。もっと多くの人たちが参加していたら、もっときれいになるはず。できることから、していきます。海の仲間と会えてよかったです。

 40代 女性

●ゴミ拾いを自己満足で終わらさず、データとして形にすることまでできたので有意義でした。なかなか結果の見えてこない活動なので、難しいことだとは思いますが、これからも今日のような活動を企画していってもらいたいです。

それにしても午後のビーチ(西広ビーチ)の汚さには悲しくなりました。午前中は漂着物が中心だったので、日常の中で見るものとは違う時間を進んでいたかのようなゴミを前にして、まさにビーチコーミングができたのですが、午後のゴミはあの場所にやってきた人々の出していったゴミばかりでした。本当の海の美しさも、楽しさも知らない人たちが、心ない行動に出るのだと思います。シーカヤックを通じて、何か、人と海との関わり方さえも、それとなく伝えていくことができるのではないでしょうか?

 10代 男性

●缶を集めたり、袋を集めたり、ゴミを掃除することは楽しかったです

10代 男性

●素晴らしい天気に恵まれて、クリーンアップに少しでも参加できてよかったです。今は物も溢れる時代になって、物を大事にしないというか何でも気軽に捨てる傾向が多いです。自分で作ったゴミは自分で最後まで責任を持って管理して欲しいと思います。自然を大切にいつまでも、きれいな地球を残していきたいと思いました。

  50代女性

     普段の生活の中で、現在の日本のゴミの分別方法や、リサイクル率の低さや、「包む」ことが美徳とされているこの国の、商品パッケージを必要以上にしすぎている点などには毎日うんざり腹立たしさを感じています。ゴミに対する人々の意識の低さに、とても情けなく思います。

30代 女性

     こういったゴミ拾いの活動は初めてだったのですが、ゴミの多さに改めて気づかされました。普段の生活の自分の行動を考えさせられます。でも、ほんの数時間で、かなりきれいになったのを見て、やってみることの大事さを感じました。

 30代 男性

●想像以上にゴミが多くて驚きました(特に西広ビーチ)。一時間くらいで終わるだろうと思っていたので・・・・。分類の仕方は大変勉強になりました。普段の家庭ゴミにも役立ちます。「洗わないといけない、らしい」「フタを別にしないといけない、らしい」というのは頭で分かっていても本当にそうなのか、実際捨てた後にどうなっているのか、きちんと理解しなければちゃんとリサイクル可能なものをリサイクルすることができないと思います(実はお菓子の袋はきちんと洗わないとリサイクルできない、とか・・・)。今回、知識が乏しい中で参加して実は分類が間違えている(しかるべきところにしかるべきゴミが入っていない)部分も多いまま終わったのでは・・・、と思いました。また分類、集計は大変難しかったです。もう少し工夫すれば、より効率的にできるのでは、と思いました。あの集計もどこまで正確に記載できたのか、まだまだだと思います。どこまで本来の目的を達成できたのか不安ですが、いつもよりは環境を考えるきっかけになりました。まずは第一歩。

 20代女性

●きれいになるのは気持ちのよいものです。ゴミを掃除することはもとより、ゴミを出さない生活を心がけたいものですね。今日はご苦労様でした。

  40代男性

     ゴミが思っている以上に多く、びっくりした。最初は拾っても拾ってもキリがないと思ったけど、終わって振り返ってみるときれいになっていたので、うれしかった。西広ビーチでは食料品関係のゴミ(ビニール)等が目立った。11人の意識でゴミは減らせるのにと思った。でも物があふれすぎているからゴミも多いんだと思った。きれいな海を汚さないために、皆がもっともっと意識して、最低限の自分が持ってきて出したゴミを持ち帰るという事をしないといけない・・・。

20代女性

     久しぶりにいい気分です。漁協に負けず、がんばってください。いつでも参加いたします。

40代 男性

     気候もよく、気持ちよくゴミ拾いをすることができました。ゴミ拾いの前後ではパっと見ても海岸がきれいになっていたので、一定の成果はあったのかなと思います。またこういうイベントを通して色んな人と交流を深めることができたのはよかったと思います。

20代 男性

     本日は参加させていただきましてありがとうございました。海岸の(ゴミの)現状や、海で遊ぶときの意識を学ぶことができました。またこのような活動は皆でないとできないものなので価値がありました。今後も海での過ごし方や、海の環境がよりよいものとなることを願います。またよろしくお願いします。

20代男性

     なかなか拾いにくい発泡スチロールの粉状になったものは、大変やっかいな存在だと確認できました。ゴミを鳥や海ガメなどの生き物が食べ物と間違えて食べている現実をどうやったら帰れるかと考えると夜も眠れません。ゴミ拾いを通して、人と協力して浜がきれいになっていくととても気持ちよくなりましたが、継続と、もっと多くの人がまずゴミを海に流さない努力が必要だと思いました。またやりましょう!! ありがとうございました。楽しかったです。あと、ゴミをゴミとするのではなく、漂着物から何か作りたいです。

30代男性

     ゴミの量に加えて、ゴミの種類の多さに驚きました。多くのゴミに対して、自分ができることは何なのか、レジャーの際にはゴミを出さないようにするなど取り組んでいこうと思います。「自然が好きです」と、胸を張っていえるような生活スタイルにしようと思います。

20代男性

     去年、かるも島に行ったとき、発泡スチロールの細かい物体がたくさんたくさん漂着していたのが記憶にあります。今回もプラスティックや発泡スチロールが小さくなっても小石の中にありました。身近な石油製品は、丁寧に廃棄しないとと思いました。みんなでやればきれいになるものだなあと思いました。

50代 女性

     本日は、初めてのボランティア活動でした。普段よく行く海岸のゴミに目を向けることがあまりなかったのですが、改めて現状の悲惨さに少し驚きました。自分ひとりでできることは少なく小さいとは思いますが、今後少しでもきれいな地球に戻す貢献ができればと思います。

30代 男性

     今回は参加させていただき、ありがとうございました。ゴミの収集についてはおそらく今後も永久的になくならないだろうと思います。これまで以上に、ゴミの取り扱いについて現状が続かないように行動したいと思いました。

   30代女性

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クリーンアップの報告1

2008-04-01 23:42:31 | インポート

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  前回、カヤックトリップの報告をしていきますと書いておきながら、自分でもあきれるほど筆不精でごめんなさい。先に3月29日(土)に行ったクリーンキャンペーンの報告をしておきます。

 当日、北風が結構吹いて白波がピョンピョン跳ねていました。鷹島までシーカヤックで渡れないことはないけれど、偏屈な土地の漁協が想像以上にやかましい状況下、無理して参加者に迷惑がかかってもしゃあないな、ということで、地続きの唐尾・宮代海岸(午前)および西広海岸(午後)をクリーンアップいたしました。参加された29人の皆さん、お忙しい中、本当にありがとうございました。

 今回のクリーンアップは、「全国クリーンアップ事務局」というNGOの海ゴミクリーンアップ活動と連携し、ゴミを拾いながら「どんなゴミがどれだけあったか」分類するということに特徴があります。ただゴミを拾うだけでなく、意識的なごみの分類によってゴミの発生源や問題点をじっくり考える、というところに意義があるわけです。以下のようなフォームに則ります。ちなみにこれは全世界統一フォームであり、ひとつのクリーンアップ活動がいかにちっぽけなものであろうとも、全世界が繋がった海というフィールドの貴重なローカルデータのひとつとなるわけです。だから鷹島には渡らなかったけれど、とにかくこのスタイルでのビーチクリーンを「やる」ということに非常に意義があるわけです。

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 このように60種類以上に分かれ、かつ管轄の広川町のゴミ袋分別は6種類(燃えるゴミ、プラスティック、缶、ビン、ペットボトル、その他不燃物ゴミ)と多いので、慣れない作業、なかなか大変でした。クリーンアップが終わってデータを集計した結果、多かったゴミのベストテンを以下のようにまとめました。

唐尾・宮代海岸    

 1:発泡スチロール破片 大(1c㎡以上)  341

 2:(飲料の)フタ、キャップ  250

 3:飲料用プラボトル   168

 4:硬質プラスティック破片 161

 5:飲料缶  147

 7:食品の包装、容器  138

 8:発泡スチロール破片 小(1c㎡未満) 161

 9:ガラスや陶器の破片    59

 10:ロープ ひも   53

 西広ビーチ

 1:プラスティックシートや袋の破片  484

 2:硬質プラスティック破片  138

 3:ガラスや陶器の破片   112

 4:食品の包装 容器    96

 5:タバコの吸殻 フィルター 79

 6:飲料用プラボトル   53

 7:発泡スチロール  48

 8:ロープ ひも 45

 9:(飲料の)フタ、キャップ 43

 10:袋類(農業用以外)  19

ゴミの重量

宮代 50.5kg 

西広 113.7kg

総重量 164.2kg

このようにデータを出したところ、まずなにより一目瞭然なのが、「日常生活で使っているプラスティック製品」が大半を占めるということでした。それらは完全には分解することなく、永遠に近いような歳月、海を漂い続けます。海ゴミ問題は、ゴミを拾うこともさることながら、いかにしてゴミを出さないようにするか、ということの方がより大切なのであり、また言い換えれば、ゴミを拾うことによってゴミを出さないことの大切さをよりリアルに肌身に感じるということに意義があります。

すべての水が最終的には海にたどり着くように、多くのゴミも最終的には海にたどり着き、悠久の大海原を旅し、いずれ海底に沈み、あるいは海岸に打ち寄せられます。その数やおびただしい限りです。道端にポイと捨てたタバコも、雨が降り側溝に落ち川に流れ着き、そして海へと行き着きます。そんな風に蓄積されたゴミがチリも積もれば山となって、あるデータでは、太平洋のある場所の海底にはアメリカ大陸の2倍分に相当する、いわばゴミの島のような塊ができているのが発見されたという報告もあります。世の中には、ふきこぼれる鍋の熱湯のようにモノが溢れ返っています。ちょっとしたモノを買うと色んな包みがこれでもかと言わんばかりにコーティングされており、その処分が面倒くせえなあと思うことが多い昨今です。で、一見ご親切だけどその後すごく面倒くせえそのようなような物質、つまり石油系製品が海の漂着ゴミの大半を占めるブツとして海底や海岸線を大いに汚しちゃってしまっています。あんまりモノが溢れていない途上国の人はそんなことないだろうと思われがちだけど、その実そうでもなく、途上国の人らも彼らは彼らですべてのゴミを処分せずどこでもそのままそこらにポイ捨てしています。人間全体の生活の下で、海は巨大なゴミ箱になっているという現状があります。そして海岸への漂着ゴミは、今後さらに増えていくだろうと言われています。

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まあ、掃除しているうちに、見た目には結構きれいになりました。何より、爽快感があります。色んな人と交流しながら行えるのも有意義です。今回はこれでいいとして、次こそは鷹島をやりたいと思います。あそこは今回の比ではなく、ゴミの質も量も、またそれ以外の色んな意味を含めて、手ごわい場所です。

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↑使用前  ↓使用後

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まあ正直、海ゴミ問題をぼくらの世代で解決することは無理でしょう。何世代もかかるでしょう。しかし無理だからといって刹那的アナーキーになりポイポイゴミを捨てることはよくないことは誰でも分かることです。ちょっとずつ、価値観というか、DNAを変えていくように、できることをコツコツと継続してやっていきたいと思います。


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