プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ナイトライフ

2008-04-07 19:30:20 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの記事の続きです)

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 フォールディングカヤックでのカヤックトリップのスタイルは主に、飛行機、バス、フェリー、レンタカー、ヒッチハイクなどで国内外のあらゆる場所を訪れ、異文化と接触し、その土地特有の自然に心震わせ、さまざまな人々と出会い、そして別れゆくというスタイルになります。よりネイチャー色の濃い「バックパッカー旅」とでも言いましょうか。

 カヤックを漕ぐ日もあれば全く漕がずただ観光したり、一日中図書館で本を読んで過ごすこともあります。一日漕ぐ距離はだいたい10キロとか15キロくらいまでで、そこがエクスペディション(カヤック遠征)というスタイルとの大きな違いです。エクスペディションでは一日50キロも60キロも漕ぎますからね。あまり漕がずとも、その土地特有の自然エッセンスをキャッチできればそれでいいんです。泊まる所も、民宿とかゲストハウスなどを利用し、テント泊はむしろ少ないです。費用は切り詰めますが、そうめちゃめちゃケチるということもしません。めちゃめちゃケチらなきゃなんないんだったら、帰ります。

 それから、エクスペディションではどちらかというと人との交流が必然的に少なくなりますが、フォールディングでのカヤットトリップでは人との交流が多くなります。特に、昼間は一人きりの方がいいくらいなのですが、逆に夜は他人と交流しないと、なんというか気持ち悪くなってきます。

 で、この八重山トリップでは毎日あちこち飲みに行くか、あるいは同じ宿の宿泊者と飲みながら色んな会話をしまくっていました。どこか飲み屋に飲みにいったらたいてい地元出身の人と交流できてよかったですね。八重山の人は地元の人もよそから移住してきた人もみなお酒好き、話好きで、実に色んな話をフレンドリーにしていただきました。先の記事「石垣新空港について」の内容も、色んな話を聞き総合的に分析した上で書いた文章でして、別にあてずっぽうの個人的感情から書いているわけではありません。

 ということですが、上の写真は、石垣島滞在中よく行ったバーのひとつです。「ココソン」という、古いジャマイカ音楽が延々かかっているバーで、泡盛やラムを飲みながらまったりするのは最高でした。

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↑ ↓ 石垣島滞在中、連泊していた宿。一泊3000円

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石垣島北東部

2008-04-07 17:50:08 | 八重山カヤックトリップ

(八重山カヤックトリップの続き記事です)

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 川平湾に続いてカヤックを漕いだのは島の北東部の半島でした。石垣島の中でも最も人の少ないエリアで、特に半島の東海岸は道が通じていないので、全くの無人の海岸線を漕ぐことになります。つまり野趣、野性味を重んじるカヤッカー的には、石垣島におけるハイライト・エリアとなるわけです。上の写真は、玉取崎の展望台から眺めたその海岸線の風景です。沖のほうに見える白い筋がリーフのラインで、例によって北風が強い雨交じりのひどいコンディションでしたが、リーフの内側は波立たず、十分漕げる状況でした。

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↑ 出艇場所。伊原間(いばるま)という地名の土地に、「船越」という場所があり、道端には駐車できるスペースがあります。で、道向かいの民宿・船越のそばからこの浜に入っていく小道が通じています。こういうバックパック型のカヤックトリップにおいて「出艇場所」というのはかなり重要な要素になってくるわけですが、だいたいはパッパっと「カン」で決めます。ここは石垣島到着初日にレンタカーでグルーっと島を一周した際に地図と照らしあわせて、「多分ここが一番いいだろうな」と目をつけておいた場所。

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↑それにしても、荒天続きでした。本当はこのエリア、もうカーンと晴れると、ありえないほど鮮やかなブルーの南国風景が展開される場所のはずなのですが、重い乱層雲が立ち込め、こういう陰鬱な感じになっていました。ですが、雨降りの海上は、ぼく的には嫌いではないんですよね。

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↑ 道が通じていない海岸線なので人はぜんぜんいないですが、放牧された牛はたくさんいます。これがいわゆる石垣牛です。あくまで個人的な意見ですが、柔らかい肉のためにビールなんかを飲ませてもらい、マッサージまでしてもらう神戸牛や松阪牛の霜降り肉なんてどこか気色悪い感じがしちゃいますが、こんな場所でおおらかに勝手に育つ牛の肉は、なんといいますか、正しい牛肉という感じがします。石垣牛の焼肉も食べましたが、非常においしかったです。石垣牛の闘牛も見ましたが、非常に感動しました。

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↑ カヤックでかなりギリギリまで近寄りました。こちらを意識して群れが動き出し、「モーモー」とうなり声を上げ始めました。ぼくも「モーモー」とうなり返すと、なんだこいつはという表情で背中を向け、「シッシ」という感じでシッポを振り、歩き去っていきました。

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↑ 山に乱層雲が垂れ込め、全くの無人の海岸線というシチュエーションもあいまって、あたりは一層の神秘的な様相を呈し始めました。こういうところを一人で漕ぐ、というのは非常にリッチな体験だと思います。ぼくは色んな人と漕ぐのも好きだけど、このシチュエーションでグループで漕いでいたとするとただただ、「天気悪いねえ~」で終わってしまいます。逆に一人で漕ぐといわゆる濃密な、「自然との対話」ってやつになるのです。

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↑ いつの間にか乱層雲が山全体を覆った。ゆっくり形を変化させてゆく霧のような雲の流れに、グレートな自然の鼓動を感じたのだった。太平洋上に浮かぶ小島としての、黒潮という巨大海流の中に浮かぶ小島としての息吹を感じた。上昇気流が雲を呼び、雨を降らせ、森を潤し、川に流れ、再び海に帰ってゆくという、水の惑星の循環を感じた。そしてそんなことを感じることができるのは、カヤックという敏感な宇宙船に乗っているからなのだった。

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↑ この雲のなびき方もいいね。非常にいい。

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↑ これも非常にいい。女性的なタッチの丸みある山の連なりと、立ち込める水蒸気、なんというか品格が感じられた。

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↑ 海岸線はずーーと砂浜海岸が続いていて、キャンプするにも素晴らしいだろうと思った。

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↑ この荒涼、寂寥とした風景、ハートにヒビが入りそうなくらいキューンときてしまいました。

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↑ 風に揺れるアダンの群落。アダンは実がパイナップルみたいな(実は食べられない)、南国風情たっぷりの植物。風に敏感に感応したような葉っぱのタッチもいい。

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↑ 石垣島北東部の海岸は、野趣、野性味に溢れていて、 よかった。 


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川平湾

2008-04-07 14:11:57 | 八重山カヤックトリップ

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 石垣島に着いて最初にカヤックを漕いだのは川平湾(かびらわん)でした。古くは帆船が風待ちをした避難港で、風波をさえぎる大きな入り江状の内湾になっています。世界初の黒真珠養殖に成功した場所としても知られ、また景観的にも素晴らしく、その美しさは全国8ヶ所しかない国指定名勝地に指定されています。ただ内湾のためサンゴ礁は大方駄目になっちゃってて、また観光ズレしていて野趣に欠けるという人も少なくないです。けれど、変な工場があったり、いかつい造船所のさびた鉄骨などが風景を威圧しているといった、よくある人工物がハバを利かせた内湾というわけではないので、一日ゆったり漕ぎエメラルドグリーンを堪能する分には悪くないと思います。観光ズレしているのもほん一部分だけで、ちょっとカヤックを漕ぎ出すと濃密な緑の山々に囲まれ、すごくいい雰囲気になります。

 しかしこの日、北風と雨が結構強烈で、ゆったりどころではなく、湾をグルーっと一周するのはかなりしんどかったです。ま、いいウォーミングアップにはなりました。天候が悪いと海の色も空の色と同じになっちゃいますが、逆に、雲がかかった山々の連なる風景には神秘性があり、よかったです。陸でただ見てる分には感じないけれど、カヤックに乗って海風に身をさらし、雨粒をダイレクトに感じることによってのみ見えてくるもの。そいつを通してオレの眼球レンズに映る、雨にけぶる八重山の山々は非常に趣深かったです。

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↑晴れたらこんな感じの鮮やかな美しさが広がる。

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↑ 川平湾の地形。一見してのんびり漕ぐのに適したフィールドだと分かる。赤い目印が出艇場所。黒真珠博物館のところの広い駐車場でカヤックを組み立て、そのすぐ目の前から出艇できる。

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↑ 天気悪かったです。北風がびゅうびゅう吹いていて、追い風になるケースではものすごく楽でしたが、逆に向かい風になるケースでは漕いでも漕いでもカタツムリのようにしか進まず、ヒイヒイ言わされました。

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↑小島が海を完全にさえぎった形の内湾なので、ちょっとやそっとの風では波が立たない。もし風に逆らって漕げず流されちゃったとしてもやがてどこかの岸に流れ着くのであまり心配ない。なので、八重山地方にフォールディングを持ってカヤックトリップしようと思われる初心者の人はまずこの川平湾で肩慣らしするのもいいかもしれない。

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↑湾の奥のほうの西側の沿岸にはマングローブ地帯が展開されている。その背後の雨にけぶった山々もいい。

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↑マングローブと言うのは塩湿地帯に生える植物の総称のことで、「ヒルギ」という植物がその代表格です。ヒルギにもたくさんの種類がありますが、八重山地方で多く見られるのはオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギの三種になります。で、この写真のように細い根が千手観音の手のように水底に刺さっているやつが「ヤエヤマヒルギ」です。

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↑ 川平湾の小島と陸地の間の水路を抜けると湾の外に出ます。

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↑ しかしこの水路がちょうど風の通り道になっていて、漕ぎ上っていくのが大変でした。手を止めてこのように写真を取るちょっとの間に100mほど後退させられてしまいました。

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↑ 湾を出てもしばらくはリーフ内の穏やかなゾーンが続きます。写真の左上のほうで白波が立っているところがちょうどリーフの境目で、それより沖は大荒れとなっています。

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↑湾の防波堤のような格好になった小島の湾側はこんな感じの浜になっています。天気がよければ昼寝するのにさぞよろしいことでしょう。

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↑今回の旅の片腕、アルフェック・アリュート430。

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↑ 島は亜熱帯植物の宝庫で、たくさん色々と生い茂っていた。写真は、雨に濡れてつやつや光るクワズイモ。潤いがたっぷり感じられていい。

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島の真ん中では牛が放牧されている。石垣牛だ。

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↑ゴミはどこにでも漂着している。


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