プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

太平洋がだめなら瀬戸内へ

2015-10-28 22:38:03 | 旅行

 前回記事の続きですが、香川の島々を巡ったあと、再び徳島の太平洋岸へ。
 だけど案の定、台風うねりは続いていて、楽しめる雰囲気ではない。

 そのままドライブして室戸岬へ。
 そしてまた思い立って高知経由で瀬戸内へ。

 直島諸島付近を流しツーリング。

 このように四国は、太平洋がだめなら瀬戸内へ、

 というチョイスができるのがいい。
 逆に北風が強くなる時期には、瀬戸内側が風表になるけれど、
 太平洋岸は風裏のフラットなコンディションになる。

 四国は、5日とか1週間とか10日とか2週間とか、
 まとまった日数で旅してこそ、その良さがわかる。
 ま、それは紀伊半島も同じことだけどね。 

 ということで、ある程度長い期間でのツアーの開催も計画中。
 こっちも気合い入れて、
 一生に一度のスペシャル体験となるべく、そのプラン作りを考えています。

 室戸岬周辺の西日に照らされた海面。

 太平洋岸、うねりが海岸線を洗っている。


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瀬戸内、体感アート旅

2015-10-28 18:15:27 | 旅行

 先日の四国トリップの後半は、台風うねりにより太平洋側でのシーカヤック&キャンプが難しかったので、瀬戸内側に移動。香川県の屋島近辺から出て、無人の浜キャンプを挟みながら1泊2日でたくさんの島々を巡りました。

 太平洋の黒潮の海と、瀬戸内の海は、別宇宙と言ってもいいほど世界が違う。
 前日までいた高知南西岸との対比、そのギャップをとくと実感しましたね。
 太平洋側の海岸線は、ことのほか野性の気配が色濃い。波もうねりも風も全く質が違うし、断崖絶壁や洞窟も悠久のスケールを帯び、人間世界から超越したような圧倒感、凄み、迫力、アンタッチャブルさがある。あるいはきめこまかな繊細さがある。

 一方瀬戸内の海に漕ぎ出でてみると、どこか人間に近いというか、人間生活の延長上にある自然空間だなという印象を受ける。水平線の彼方は異世界である太平洋と、海の向こうはすぐ隣県である内海の違いからくるのか。実際にたくさんの島々にはそれぞれ、人々の生活と密接にかかわってきた歴史があるし、瀬戸内ならではの野性である「潮流」ってやつも、古くから水軍や船乗りに利用され、権力趨勢を動かすほどの影響すら与えてきた「人間臭い」存在なのである。今回も、稲毛島や兜島、鎧島といった無人島群と同時に、島自体が明治時代から今も続くハンセン病患者の療養所となっている大島、現在はアート作品鑑賞で結構多くの人が訪れる男木島、女木島など有人島もめぐりました。そこで強く思ったのは、一個一個の島に独特の文化や空気感、味わいがあって、シーカヤッキングでそれらひとつひとつに渡り、島を歩いていると、強烈なまでの旅情、「知らん世界を旅してるな~」というトリップ感があるなということでした。
 ウィルダネスの旅とはまた違う、人と海とのかかわりの歴史、島文化の多様さにクラっときたというか。

 太平洋と瀬戸内、どっちが好き? と聞かれたら、まあどっちどっちですね。
 比べる基準が違うので何とも言いようがない。
 どっちも面白い。

 ただ、純粋に「自然」という意味では、太平洋側の方が飽きないというか、自分の心の中にある野性感覚に訴えかけてくるものがある。だけど、瀬戸内にそういうものがないかといえば、そういうわけでもない。
 やはり、瀬戸内の潮流世界を自分の二本の腕で漕ぐと、色々インスピレーションが湧いてくる。その湧き出す源泉こそ、野性感覚そのものだなと思うんですね。とくに、べた凪で全く流れていないように見えてその実、海全体がダーッと大きく動いているというあの独特の世界、凄いと思いますね。
 この海を自在に行き来した船乗りの先人たちの息吹を感じると同時に、月の引力ってすげえよなと驚嘆する。
 意識の上で、時間軸が過去をさかのぼると同時に、空間軸は宇宙にいくわけだ。
 なかなかの境地である。
 いわゆるひとつのプラネット感覚。 

 やはりシーカヤッキングって、極めて優れた体感アートだなって思うね。
 瀬戸内の島々に展示されたアート作品の中にも 、ジェームス・タレルのような「体感アート」的作品も見受けられますが、もっと全身体的なもの。「漕ぐ」という切り口から、時間と空間をワープするような意識に至る旅、これ以上ないリアルなアートだと思います。
 たぶん、瀬戸内芸術祭は、シーカヤッキングで巡るのが最高でしょうね。


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黒潮沿線上の最高スポット

2015-10-23 10:40:56 | イベント

 しばらく四国トリップに行っていましたが、帰ってきました。
 まず行ったのは、高知南西端の、大堂海岸周辺。

 黒潮ブルーの海。
 断崖絶壁、洞窟、無人の浜。島々。
 もぐればサンゴの群落。

 いやー、いいところですわ。
 黒潮沿線上の海岸において、個人的にも、
 5本の指に入るといってもいいほど、好きなフィールド。
 日本っぽくないスケールの大きさ、おおらかさ、ダイナミズム。
 そしてダイレクトに外洋に面した海岸線でありながら、
 どこか入り江や多島海特有の、
 繊細なたたずまいもあわせ持っているところが、素晴らしい。

 流木の多い、いい浜もたくさんあるし、
 何泊しても飽きない。
 テント泊した際の、星の多いこと、美しいこと。 

 なお、アイランドストリームでは、
 ここでもツアーやツーリング講習、やっています。
 興味ある人はご連絡ください。 


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秋のスケジュール

2015-10-08 11:25:51 | イベント

 写真・紀伊由良・かさね山頂上から眺める産湯海岸方面

 さて、秋のスケジュールができましたので、
 下記の通りお伝えいたします。 

 (下記以外は湯浅湾ワンデイツアーで通常催行。
 サンセッ
トツアー時の日中も湯浅湾ワンデイツアー通常催行)

☆【10月11日(日)~12月10日(木) サンセットツアー】
 刻一刻と移り変わってゆく空と海の間を漂う夢見心地のひととき。
 http://homepage3.nifty.com/creole/sunset.html

☆【10月9日(金) パドリングスキル&レスキュー講習】
 カヤックライフを安全に楽しむために必要なスキルを
 http://homepage3.nifty.com/creole/skillup.htm

☆【10月11日(日) パドリングスキル&レスキュー講習】
 カヤックライフを安全に楽しむために必要なスキルを
 http://homepage3.nifty.com/creole/skillup.htm

☆【10月24日(土)~25日(日) 湯浅湾キャンプツアー】
 シーカヤックキャンプの醍醐味を気軽に満喫。
 http://homepage3.nifty.com/creole/yabitsucamp.html

☆【10月28日(水) 黒島ツアー】
 洞窟だらけの無人島を一日がかりで探索
 http://homepage3.nifty.com/creole/kuroshimatour.html

☆【10月31日(土)~11月1日(日) みなべ海岸キャンプツアー】
 ウミガメも寄りくる「みなべ海岸」から神の住む無人島「鹿島」沿岸をトリップ
 夜は野趣あふれる海岸線でキャンプ。
 http://homepage3.nifty.com/creole/campminabe.html

☆【11月3日(火・祝)友が島ツアー】
 潮流の中の気品ある島々を巡ります。
 http://homepage3.nifty.com/creole/suidou.html

☆【11月7日(土)産湯海岸ツアー】
 中紀にしてトロピカルな風情漂う美しいフィールド
 http://homepage3.nifty.com/creole/ubuyutour.htm

☆【11月8日(日)南紀・すさみ海岸ツアー】
 枯木灘の荒海が作り出した造形美の中を周遊。
 http://homepage3.nifty.com/creole/susami.html

☆【11月15日(日) 南白浜ツアー】
 富田川河口のアシ原の風情と、
 一転、ダイナミックな太平洋へとワープ。
 http://homepage3.nifty.com/creole/minamishirahamatour.html

 ●10月13日(火)~10月20日(火) 徳島リサーチにより休業させていただきます。
 ●11月18日(水)~11月30日(月) 瀬戸内カヤック横断隊参加により休業いたします。


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サンセット進水式

2015-10-06 19:44:46 | 湯浅湾ツアー

 今日もまた、サンセットの海に出ました。

 今日はウォーターフィールドカヤックスの
 シメスタ500 五分割艇をご注文いただいていたお客さまの納品&進水式を兼ねて、
 美しいひとときをご一緒させていただきました。

 日が沈んでから、徐々に変わりゆく海と空の色彩。
 オレンジからダークブルーへ、球を思わせるグラデーションの天体。
 まさにここは惑星であるということを、意識させられましたね。 

 Yさん、おめでとうございます。
 素晴らしいネイチャーライフを約束する切符を手に入れられたわけです。
 末永く、安全にお楽しみください。 


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サンセットの海を漂う

2015-10-06 14:11:35 | 湯浅湾ツアー

 昨日、黒島ツアーとダブルヘッダーで、サンセット&夜光虫ナイトツアーを催行しました。

 素晴らしい美の世界。
 言葉にならない、言葉というものがむなしくなるひととき。


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なにげにすごい4億年前の地層の島

2015-10-06 13:24:45 | 湯浅湾ツアー

 昨日、湯浅湾南岸・黒島ツアー催行しました。
 貫通系、迷路系、袋小路系、水路系、隣の洞窟とのジョイント系、
 などなど、100以上数え切れないくらい洞窟の多い島。

 こんなところが何気にある湯浅湾、すごいと思うね。
 と同時に、こんなところに誰も気づかない和歌山の観光シーン、
 だいぶ遅れてるなと思う。

 だけど、むしろ下手に気づかないほうがいいのかもしれない。
 なぜなら、一昔前の「観光」イメージでの観光PRに臨むと、
 変に人工的に手を加えようとして、一気に俗化してしまうから。

 現在の最先端の自然観光、
 エコツーリズムのスタイルとは、
 人工的インパクトを与えず、
 太古以来そのままの姿の自然と、
 心深く静かに対話することにある。
 そこで自然の妙味に驚嘆したり、世界の豊かさに心を巡らせたり、
 同じ自然を見て神話や伝説を作った古人の心に、
 想像を馳せたりすることにある。

 ただの気晴らし、物見雄山としての観光ではなく、
 自分の人生、心をより肥沃にしてゆくための観光。 

 で、それには、ある程度の知的レベルが必要になってくる。
 しかしそれを扱う行政などの側がまだまだそのレベルに来ていない。
 だからダサい看板を作ったり、
 一部を削って休憩所やトイレや土産物屋を作ったり、
 変なアナウンスを轟かせた漁船観光を前面に押し出したり、
 変なギャルのモデルをあしらった観光パンフレットを作ったりする。

 実は日本のツーリズムは遅れている。
 タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどより遅れている。
 一言で言って、センスがない。
 遊びを知らないからだ。
 遊びというものの価値を下に置いているからだ。
 だが、遊ばないと、ほんとうの豊かさは絶対にわからない。
 遊ばない人が、観光PRすると、絶対ヘンなことになる。
 だから、まだしばらく人知れず秘境のままの方がいいのかもしれない。


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ひとつ脱皮すると世界が変わる

2015-10-06 12:22:31 | 旅行

下津・沖ノ島の船着き場付近。

 

湯浅湾最北部・宮崎の鼻近辺の洞窟(この付近も洞窟多い)

 

下津・かるも島。湯浅湾だけではなく下津にもかるも島がある。キャンプするにもいい。

 

下津・沖ノ島の数少ない砂浜のひとつ。

 

下津・沖ノ島から臨む宮崎の鼻。その向こうは白崎海岸。木々がうっそうと茂る紀州にあって、
このさわやかな景観で異彩を放つ島。
 

下津・沖ノ島の灯台。この島には背高い木がほとんどなく、クマザサに覆われていて、
北方系、あるいは高山系、はたまたこの近所の生石高原にも似ている。 

 

和歌山マリーナシティ・ポルトヨーロッパの観覧車。

 

 ゴール地点・浜の宮近くのリゾートマンションの夕景。

 先日、湯浅湾アイランドストリームベースから和歌山・浜の宮ビーチまで漕ぎました。
 直線距離にして30キロ弱ですが、沖ノ島、地の島、下津・かもる島、マリーナシティなどを丹念に廻ったので、40キロほどの漕行距離になるだろうか。
 このルートはバラエティに富んでいて、トリップ感が深いコースです。
 ただ一個一個見どころが離れているため、ある程度の漕力が必要。

 シーカヤッキングって実は、景色をゆっくり愛でながら漕ぎたい派の人ほど、漕ぐ力があった方がいいんですね。単調な所はサーっと漕ぎ、美しい場所ではじっくりひとつひとつの洞窟や入り江の中に入り、進んでいけるから。漕ぐ力がないと、単調な場所も美しく入り組んだ場所も、ただただ闇雲に一生懸命漕ぐだけになってしまうんですね。地形に関係なく最短ルートで一直線に漕ごうとしてしまう。そうすると景色なんかに意識を持っていく余裕がなくなる。

 実はこういうことを忘れがちなんですが、
 一個一個の島、岩、洞窟、入り江などを丹念にめぐると、
 結果として累計で、結構な距離を漕ぐことになる。
 だから景色をゆっくり愛でる派の人ほど、
 余裕のある漕力キャパを持っておく必要があります。 
 むしろレース派や漕行距離にこだわる人以上に、キャパシティを持っておいた方がよい。  

 このコースは初級から中級者クラスに脱皮するための、
 ひとつのバロメーター的なルートともいえるでしょう。
 ここを漕げるくらいのレベルに脱皮すると、
 海岸線の隠されたたくさんの秘境を巡ることができ、
 世界が変わるくらい面白くなってくることでしょう。 

 ツアー、あるいはパドリング/ナヴィ講習実践編スクールとしての、
 リクエストも受け付けます。 


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光線のマジック

2015-10-03 21:09:15 | 湯浅湾ツアー

 今日の湯浅湾ワンデイツアー。
 定番のやつですが、今すごくいいシーズン。
 
 夏場とは太陽の入射角度も、
 光線の強度も全然違うのですが、
 この「光の入り具合」ってのはすごく重要なポイント。

 今日のお客様も、
  「こんな美しい海辺に来たことがない」とおっしゃっていました。
 この時期特有の空気の透明感、
 そして光線の入り具合のなせるマジックです。 


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島に書いたラブレター

2015-10-02 12:34:30 | 湯浅湾ツアー

 白上山からのぞむ、いぶし銀の湯浅湾。
 海の真ん中にある無人島が、かるも島。
 
 先日のシーカヤック&奉納演奏ライヴの際に、
 みんなでかるも島に宛てたラブレターを書きました。

 鎌倉時代のアーティスティックな高僧・明恵(みょうえ)上人は、
 若かりし頃この島で修業しましたが、
 壮年期になってもこの島の景観の美しさが忘れられず、
 まるで人間に宛てて書く手紙のように、
 島に対してラブレターをしたためたというエピソードが残っています。

 で、その文面は今でも残っており、それは、
 明恵上人に関する著書などで読むことができるのですが、
 先日ぼくらもそれにちなんで、島に対してラブレターを書きました。
 それらをまとめてボトルに詰め、近日中に島に埋める予定です。
 タイムカプセルとして、そのまま埋めておくか、
 あるいは何年か後に取り出してみたいと思っています。
 (毎年やってもいいけどね。200年後くらいの連中が読んでも面白い)

 島にラヴレターを書く、というのは、一見酔狂な、
 というか、キザったらしい行為のように思えますが、
 明恵上人は「マジ」で書いてた、というのがミソです。
 いや、マジというより、当然のこととして書いていた。 

 どういうことだろう? 

 人間はともかく、動物も「魂」を持っている、というのは動物好き、
 特にペットを飼っている人はよく分かることでしょう。
 虫や魚などもわかる人にはわかるでしょう。
 植物にも気心がある、というのも、そういう内容の本もあるし、
 そういわれて納得できる部分もある。
 「一寸の虫にも五分の魂」という言葉があるように、
 生命を持つものには全て、何か根底で通じる「気」
 のようなものが存在すると言っても、そうおかしくは聞こえないだろう。
 
 ならば石ころや風、島、大地にも気や心があるのかどうか?
 こういう無生物にまで行くとちょっと話は変わってきますね。
 普通の感覚でいくと、ないように思える。

 だけど、それを「ある」と捉えるのが、日本の仏教思想のユニークな所です。

 「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」と言って、
 草も木も、獣も土も川も石も、森羅万象全てに仏性が宿っていて、
 ことごとく成仏する、という考え方ですが、
 それが日本仏教の基本的な生命観なのです。
 森羅万象すべて分け隔てなく、このエコシステムの中で
 有機的に脈打っているという捉え方。
 
 それはおそらく仏教伝来以前から、つまり
 旧石器~縄文時代からの日本人の自然観であり、
 仏教伝来後それを「仏性」と言ったが、
 以前はアメリカ・インディアンがいうところの
 「グレート・スピリット」とかそういうニュアンスのものとして、
 ずっと存在していたのだろうと思われます。

 あえてわかりやすく図式化すると、
 自然のリズムとともに生きてきた人たち特有の生命観の系譜が
 何千年も連綿と続いてきて、
 有史以降そのベースの上に外来の仏教思想が乗っかったという構図。

 明恵上人は自然と一体化する行・瞑想を通して
 そのことを実感として、深々と感じていた。
 つまり日本仏教の真髄を全身で感得していた。
 島に宛てたラブレターというのは、
 心の内側から発せられた、ごく自然な行いだったわけです。

 で、その意図のなさ、てらいのなさ、自意識の自然さがとても美しいのです。
 行為そのものがアートになっているわけです。
 そのことに敬意を表し、
 800年後を生きるぼくたちも同じ事をしたというわけです。

 またアウトドアマンとしても、実は、
 こういう行為こそが安全性に繋がってくるのです。
 征服、制覇系のチャレンジではなく、
 自然との対話、一体化、リスペクトを抱くことによって、
 気象、海況の微細な変化に気づくことにもつながってくるわけですし、
  「詩情を大切にする」というのは、
 ただのセンチメンタリズムではなく、状況把握という、
 安全管理の根本にも繋がってくる一大事項なのです。
 そしてそれが面白いわけです。 

 海気を読む、とかもそうだし、
 おれたちはポエジーを大切にしたいからアウトドアをやり、
 自然のポエジーが最も繊細、濃密に感じられる行為だから、
 シーカヤッキングをメインにやっているというところがあります。
  
 深くて、豊かなんだよな。 


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