プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

漕ぎ収め

2009-12-31 16:39:43 | インポート
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 昨日は湯浅湾にて今年の漕ぎ収め。
 やはり湯浅の海は、気品が感じられていい。
 
 微妙にだが、冬至という底を過ぎて、ギアが切り替わったように思う。
 もちろんこれからが冬本番だけれど、逆に、凍てつくような寒さの中にも、ほのかな春の息吹、芽生えを発見することができる季節にも入ってくるわけだ。
 夕暮れの色彩の中に、
 沿岸の植物や潮風の香りの中に、
 深く体を揺らすうねりのリズムの中に、
 海の生き物のざわめきの中に・・・、
 フィールドに出ることによってのみ察知することのできるそんな繊細な声をきくってことには、自然の秘密の合言葉を全身で解読するような心豊かな喜びがある。
 シーカヤックとはそういう乗り物。
 
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 湯浅湾のあやめの浜あたりから眺める毛無島、日没後のたたずまい。

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 昨日、ご近所さんのミカン農家のM川君と行った浜。湯浅湾は手軽なようでいて奥が深く、かなりここの海を漕いでいる人でもまだまだ知らないような浜がいっぱいある。その中のひとつ。


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回転する地球の歌

2009-12-22 16:57:43 | インポート
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四国へのスモールカヤックトリップ、12月19日、20日は高知土佐~宿毛あたりの海岸線をリサーチしました。スケールの大きさと景観の繊細さとの両面を兼ね備えた、「黒潮ブルー」のひときわ美しい、超一級品のシーカヤックフィールド。ここも日本一周の際に漕いでるんだけど、細かく見まわるという意味では見落としていたエリア。
 本当によかった。感動しましたね。

 ここはすごくいいので年明けにまた漕ぎに行く予定です。
 もちろんアイランドストリームでツアーもしますので、
 よろしくお願いいたします。

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雪の四万十川

2009-12-22 13:12:21 | インポート
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 四国へのスモールトリップ、12月16日、17日は四万十川を漕いだけれど、寒波の大襲来で非常に寒かったね。初日はまあただ寒いだけだったけど、その日適当な河原に上陸してテント張って寝てたら夜間に雪交じりの冷たい雨が降り、翌日になっても一日降り続いたので参りました。おまけにウェットとかシューズとかパンツとかウェア類を全部テント外に干し忘れたままワイン飲んで寝てしまったので、翌朝ずぶぬれのやつを着なきゃいけないことになってしまった。全身しびれるようにかじかんだ中、テント畳んだりパッキングしたりいろいろ大変だったけど、まあ漕ぎ始めると体は温もってくる(ネオプレーン地のウェットだから温もるんであって、濡れたままの普通の服では低体温症でドエライことになりますので誤解なく・・)。するとむしろこの冬枯れた人けのない川を下っていくのは、すごく贅沢な喜び感がありました。転がり弾むような瀬音、風に揺られる木々の葉擦れ、様々な種の小鳥の鳴き声、ごくまれに雲間からのぞく太陽光線とそれに反射してキラキラキラキラ輝く川面などなど、なんと言いますか、こんな日に川下りするぼくのような奴にのみ静かに語りかけてくれるのかもしれない川の精の息吹というか暗号みたいなものを感じ取りました。

 やはり人間、たまには、
 年に数回くらいは、
 自然の中でキリキリと負荷を与えられるような経験をした方がいいと思う。
 現代社会って、あまりにも便利にできすぎちゃってるからね。
 ヌクヌクとなんでも与えられすぎてて、
 感性が極めて鈍感になっちゃってる部分もある。
 人間も動物であり、生き物であり、
 外界の自然現象を感知するために、
 皮膚や五感って機能が備わってるわけだから、
 あんまり甘やかせると性能が低下するね。
 結果として、感性が鈍る。

 ま、ツアーとしてお客様には快適なシチュエーションで
 楽しんでもらいたいと思いますので、
 春か秋くらいにツアーを組むつもりです。
 
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山間を流れる清流、四万十川。この感じ、熊野川を連想しました。初夏になるとこの山々が生命感いっぱいの緑に萌えいずるのだろう。

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 写真の真ん中らへんに低い霧雲がかかってますが、吐く息も同じような質感の白い霧状になって消えてゆく。そんな寒々とした中、小石を転がすような瀬音が一層引き立って、素晴らしくよかった。

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濃密な野の香りのする川。ところどころで鹿が現れた。

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一日目はこんな感じで晴れ間も結構のぞいたけれど、翌日は下のような冷たい雪雨が降りそぼった。

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ただの雪より、雪交じりの雨のほうが冷たく身にしみてくるね。だけどそういう後に入る温泉ほど最高なものはない。

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この、寒々とした沈下橋の感じも、なかなか風情あるでしょ。

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雪雲が山肌を隠し、凍えるように瀬が転がってゆく。
この感じ、素晴らしく美しいと思った。

また、春や秋は、桃源郷のような景色の中を
快適に川下りが楽しめるんだろうな、と、
容易に想像できる。


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ユアサの対岸ヒワサ

2009-12-21 22:16:26 | インポート
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 四国へのスモールトリップ、12月14日、15日は徳島の日和佐を漕いだけれど、千羽海岸や牟岐大島の断崖絶壁、無数の洞窟、神秘的なたたずまいの静かな入り江など、何度か来てはいるけれど、自然のすごさ、素晴らしさに圧倒された。
 いい、圧倒感だった。
 
 人間たまには、
 年に数回くらいは、
 自然に圧倒される経験をした方がいいと思う。
 人間って時に、非常に傲慢だからね。
 と、同時に、不必要な卑小感にさいなまれることもある。
 どっちも同じ、
 この人間社会をあまりに絶対視してしまうところからくる。
 あるいは、無知の世界。

 ユアサの対岸のヒワサ、
 いいフィールドだ。
 
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 断崖絶壁の海岸線に抱き込まれるようにしてところどころに美しい入り江がある。

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 千羽海岸の断崖絶壁。近づいてみるとドカーンとハートが爆発するかのような圧倒感があるが、写真には出ない。断崖絶壁の臨場感って、最も写真が苦手とするものではないだろうか。

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いい感じの洞窟が無数にある。数百はあるだろう。海からしかそれはわからない。

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洞窟にもいろんな形状、フィーリング、陰陽などがあって面白い。

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これは洞窟の上から水しぶきが降り続けている場所で、虹ができている。こういうパターンも結構ある。南紀白浜にも同じように美しい虹の出る水しぶき洞窟がある。

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滝の流れ込みのある浜。キャンプにもよさげだし、真夏滝に打たれるのも気持ちよさそう。

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こちらは海に直接流れ込む滝。

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これは牟岐大島のラグーンのような入り江。エメラルドグリーンの海水がいい。

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これも牟岐大島のラグーンの中の浜。立ち去りがたい美しさがある。

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牟岐大島は岩肌の形状、質感もユニークだ。

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牟岐大島の外海の断崖。この岩は昔銀河鉄道999に出てきた「かじられ星」という星の形状、質感とよく似ている。ちなみにかじられ星というのは確かお菓子のような物質でできており、みんなが食べているうちに消滅してしまった星。

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この断崖も圧倒感あったけど、写真にすると悲しいほどぜんぜんですね。実際のリアリティを体験してみてください。

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このグニャーと彎曲した岩の層のうねり。一体どういうエネルギーがかかったのだろうか、地球ってすごいなあと思わせられると同時に、このエネルギーを電力に変えることができたならばファックな原子力発電所ってやつなんかいらなくなるんだろうなと思わせられる。だって、クリックして見ておくれよ、この岩層をば。


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スモールトリップ

2009-12-21 21:21:43 | インポート
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前回の日記を書いた直後から一週間ほど、四国にカヤックフィールドリサーチに行ってました。徳島の日和佐海岸、四万十川、土佐~宿毛にかけての沿岸周辺などなど。寒波到来で死ぬほど寒かったけど死ぬほどよかったぜ。とくに1泊2日で下った四万十川では、夜中に雪交じりの冷たい雨に見舞われてテントの外で干してたウェア類がズブ濡れになってしまったりと、なかなか大変でした。しかし、そういうチョイタフなのもいい思い出です。

 徳島&高知のカヤックフィールド、海も川もめちゃくちゃいいです。
 自然が濃密なうえ、お遍路さんの伝統があるせいか、なにやら旅がしやすい空気感がある。
 実は前から思っていましたが、アイランドストリーム四国支店を出したいくらいです(誰か湯浅を安心して任せられる人いないかな、2年あったらこっちもとことん開拓して軌道に乗せれる自信あるんだけど)。
 来年頭にも、より突っ込んだリサーチに行きます。

 とりあえずこれらの写真は土佐~宿毛沿岸の穴場フィールド。
 世界に誇れるカヤックフィールドだと、
 あちこちカヤックトリップしまくってるスレた目から見ても思います。

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広いアジア

2009-12-13 18:57:24 | インポート
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 今年の2月に行ったオマーンへのカヤックトリップの際に中継点として立ち寄った場所で、またカヤックトリップにてヨーロッパ、アフリカ方面へ飛ぶ際のハブ基点としてこれからも立ち寄る可能性の高い砂漠の都市・・・。ドバイのバブルが崩壊したけれどそのニュースを聞いてまず、世界各地からの出稼ぎ労働者たちはいったいどうなるんだろうかと思った。ドバイではドバイ人の占める割合が数パーセントしかなく、人口の90%以上が出稼ぎ移民で形成されている。とくに単純肉体労働者の人たちが多数を占めるが、彼らは驚くほど安い賃金で仕事している。ぼくが知り合ったレンタカー配車係のバングラデッシュ人のニイチャンは日本円にして月給三万円ほど、また安ホテルの住み込み従業員のインド人の兄ちゃんは二万円ほどと言っていた。相場的にも実際、そんなものらしい。そしてそこから故国の家族に仕送りをするようで、全くすごい世界だなと思ったが、それでも国に帰れば全く現金収入がなくそれよりはここで働くほうがマシだということだった。こっちが日本人だと言うと、どうやったら日本で仕事できるのか、オレを雇ってくれないか、と簡単にかつ真剣に迫ってこられて困ったものだった。日本の若者よりはるかに忍耐強く働き者の彼ら。アイランドストリームで雇えるものなら雇いたいなとか、そうなったらどうなるだろうな、とか想像したこともあったと思い出した。

 街を歩くと実にいろんな国籍の人がいた。一番多いのがインド、パキスタン、バングラデッシュ系の人たち、そこにアフリカ各地の出身者が続く、そして中国系、フィリピン系、ロシア系、また観光客や知的労働者であろうヨーロッパ系白人もわんさといる。あらゆる人種がミックスしている部分はすごく新鮮で面白いなと思ったが、その表皮を一枚引っぺがせば月給3万円の世界だったわけだ(逆にとんでもない大金持ちもいる)。

 いびつに歪んだ部分がたくさんあるドバイだが、今年ドバイとオマーンに行き「ああ、中東はアジアなんだな」と感覚的にはっきり認識させられたこともあった。ドバイ人もあるいはオマーン人も、自分たちはヨーロッパ人と違う、アジア文化圏の人間だと自覚しているフシがあるし、そういやサッカーのワールドカップの予選でも、中東各国はアジア・ブロックに属している。そして中東を介してアフリカがすぐそこに肉薄している感覚があるし、そのすぐ上に行くとヨーロッパが身近に位置するフィーリングもある。ちなみにカタール資本のテレビ・ニュース番組「アル・ジャジーラ放送」ってのがあるんだけど、それはまさにそういう視点というか世界観で作られている番組で、非常に面白い(BBCやCNNの中東版みたいなもので、しかしもっとジャーナリスティックで興味深い番組。実際面白みのなくなったBBCなどから転職してきた気骨ある記者も多いらしい。ホテルの部屋で毎晩見続けていたが、パレスチナ・ガザ地区のサーファーを取り上げる番組とか、エイジアン・ダブ・ファウンデーションのメンバーがセネガルのスラム街の音楽シーンを取材する番組とか、ほんとにすごいと思った。ネット上でもlive stationというサイトから無料視聴できる)
 アジアは広くて、さらに中東というハブを通してアフリカ、ヨーロッパと広がっていく文化のスジがあるなあ、そこには興味深いものがあるなという想いはドバイショックのあとでも心から消えないようだ、というかその感覚を思い出したのだった。

 ついでに以前、井筒俊彦という哲学者が、イスラム教の「アラー」とは仏教の「真如」と深いところで全く同じである、と言っていたことも思い出した。

 20,30年とかではなく、100年とか200年とか、あるいは500年、1000年とかそういう単位で考えてみると、行きつ戻りつしながらもいずれ世界から国境がなくなっていく方向に向かっていくことは、まず間違いないだろうな、とか、時々考えたりすることがある。そうなると世界各地の固有文化の消滅が危惧されるけれど、逆にぼくはそれによって各地固有の文化が自覚され、再評価されていく力学が働くようになるんじゃないだろうかと思う。ぼくは、ごくたまにだが想像する。セネガル人やインド人やロシア人がシーカヤックで湯浅湾のかるも島に渡り、たとえば明恵上人の偉大さについて哲学したりするシーンを。

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ええフィールド

2009-12-13 16:49:58 | インポート
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 先日の「近江八幡水郷カヤックツアー」をもちまして、2009年度アイランドストリームのスペシャルツアー日程は無事終了しました(湯浅湾シーカヤックツアーは12月25日まで催行)。みなさん、ありがとうございました。

 水郷ツアーでは最初、冷たい雨がそぼ降る幕開けとなりましたが、昼から晴れ間が顔をのぞかせ、結果として、雨、くもり、晴れすべてのよさが味わえるよい一日となりました。

 来年も湯浅湾ツアーと並行して、
 様々な場所でのツアーも催行していきます。
 まだまだいい場所、マル秘スポット、
 たくさんあります。
 よろしくお願いいたします。

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ジャングル風呂

2009-12-13 15:55:17 | インポート
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 初冬に絶好のツーリングエリアとなるやびつ海岸の先端に「やびつ」という集落がありますが、上の写真はそこにあるバカでかい「有田温泉ホテル」の建物です。もっとも、数年前に倒産して今はほっぱらかし、廃墟マニア垂涎モノの廃ホテルになっています。
 先日ツアーの際に集落の波止場に上陸し、周囲をみんなで散策しました。

 とにかくでかい建物、ジャングル風呂やゴンドラ風呂など突飛さが売りの温泉、海岸脇のプール、ハーブ園などなど、ハコ物のでかさ、派手さに高度成長期~バブル往時のイケイケ具合が偲ばれると同時に、そのズレ加減というか昭和センスの夢の跡みたいなものの哀しみも味わえました。

 上の写真の真ん中あたりにあるのがジャングル風呂です。浴室に亜熱帯植物が植えられていて、その枝葉を縫ってウォータースライダーを降り、湯船に飛び込むという仕掛けなどがあったようです。それが今や、ちょうどガラス張りになった浴室が温室効果となり植物が伸び放題となっています。お化けというより、たぶんどこかから忍びこんできたヘビや蜂の巣などで、内部はどえらく怖いことになっていると想像します。いつもここの沿岸を通ると、植物が窓を突き破っているように見え、その不気味さ加減に彩りが添えられてて渋いなあと思っていました・・・・・、が、よく見ると↓

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 この写真では右上2枚および右から3列目上から5番目のガラスが破れているように見えます。
 しかしさらによく見ると↓

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 まず右から3列目上から5番目のガラス、破れてないようです。光の加減による目の錯覚だったようです(要写真クリックして拡大)。
 また ↓
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 ここでも、右上のガラスは割れていないことがわかります。
 破れ目ではなく、
 何やら隙間みたいなところから植物が出てきているようです。
 ・・・・・・ああ、悔しいぜ!!!

 「窓を突き破って植物が伸び放題になっている」
 とこれまでいろんな人に説明していましたし、
 また、そのほうが不気味かつ、
 ジャングル感溢れまくっててカッコイイと思ってました。
 何やら裏切られた感があります。

 ま、どうでもいいことだけど、先日そんな発見がありました。

 下の写真は、
 それぞれ、海辺プールおよびゴンドラ風呂のゴンドラ跡のやつ。
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