ぼくは1月末から2月20日頃まで南琉球・八重山方面にフォールディングカヤックを持って、フィールドリサーチを兼ねたカヤックトリップに出かけていましたが、ここからしばらくはその報告の記事を続けたいと思います。
・・・・と書いてあれから、しばらく経ってしまいました。筆不精ごめんなさい。ちょっと色々バタバタしていた事柄もひとまず落ち着いたので、今度こそきちんと書いていきます。ダーッと立て続けにアップしていきますのでついてきてくださいね。よろしく~。
えー、今回はまず石垣島の民宿までフォールディング(折りたたみ)カヤック「アリュート430」を宅急便で送り、自分の体は大阪南港発のフェリー(有村産業)で約50時間かけて石垣港まで運びました。船旅を選んだのはちょうど航路が黒潮の流れを逆走する形で、真上を突っ走ることになるからです。まあ、黒潮本流のど真ん中に身を置くということはカヤックではなかなかできないことですが、想像しただけでゾクゾクしてきます。あ、ちなみにシーカヤックであちこちの海を漕ぐという行為を何年も意識的にやっていると、別に自慢じゃないですがフィーリングやイマジネーションが割と発達してくるんですけど、たとえば「NHK 大自然紀行」みたいなテレビ番組なんかで海の映像が流れるとしますよね。あんなのを見ただけで自分がまさにその場にいて風を受け、波に揺られ、潮の香りを味わいながらシーカヤックを漕いでいるような感覚にどっぷり浸ることができたりしちゃいます。で、映像ごときでもそういうわけですから、たとえカヤックではなくデッカイフェリーだったとしても、その場に身を置くという生体験で、かなり黒潮本流のエッセンスを実感できるんじゃないかなあ、と思ったわけです。
アマゾン川の約500倍の流量を誇り、最大幅100kmに達する世界最大級の暖流・・・、などなどカタログスペック的に色々書いたりすることもできますけれど、それよりも感覚的なインプレッションとしては、「世界最大」とか「地球規模」とかなんとかいうより、宇宙的なスケールの質感、エネルギー感を感じましたね。
地球の圧倒的な丸みに抱かれる、四方八方見渡す限りの群青色。その圧倒感に圧倒されました。また大型フェリーの安全なデッキの上で浴びる潮風がなんともよかったです。寒かったけどね。
行きはそのようにしてフェリーで行きました。四国、九州の沿岸を進んでいるときは数年前に日本一周した際に通った沿岸も出てきて、非常に懐かしい感慨が込み上げて来ました。。
そして帰りは飛行機で帰ったんですけど、これもまた味わい深かった。青く美しい琉球の海に浮かぶ宝石のような島々を超え、雪をたたえた山頂をいただく屋久島を過ぎ、九州、四国、と今度は黒潮の流域を空から鳥のように眺めたわけです。ちょうど渡り鳥が北上するのと同じルートです。
鳥のように魚のように、なかなかよい旅でした。やはりカヤックトリップは素晴らしいと思いました。次生まれ変わったらクジラ、その次生まれ変わったら渡り鳥、という流れで黒潮を行ったり来たりするのもいいかもな、とふと、思いました。
↑これが黒潮の色だ。大型フェリーのデッキという安全地帯から眺める安心感がいい。
↑宇宙的なスケールを突き進む中で、有村産業の「A」と言う文字が人間くさいというのか、なんかよかった。
↑シーカヤックで日本一周をしたとき、鹿児島最南端の佐多岬から大隈半島東岸を通って志布志湾にたどり着くまでの約70キロくらい、ずっとこのような断崖絶壁が続き避難するエスケープルートがない中ででかいうねりが打ち寄せ続け怖かったおぼえがあるが、その記憶が蘇った。
↑これこれ、これが黒潮のブルーだ。コンテナの色も似ているが、やはり海の色の深みにはかなわない。