プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

鳥のように魚のように

2008-04-05 15:52:36 | 八重山カヤックトリップ

Kurosio

 ぼくは1月末から2月20日頃まで南琉球・八重山方面にフォールディングカヤックを持って、フィールドリサーチを兼ねたカヤックトリップに出かけていましたが、ここからしばらくはその報告の記事を続けたいと思います。

 ・・・・と書いてあれから、しばらく経ってしまいました。筆不精ごめんなさい。ちょっと色々バタバタしていた事柄もひとまず落ち着いたので、今度こそきちんと書いていきます。ダーッと立て続けにアップしていきますのでついてきてくださいね。よろしく~。

 えー、今回はまず石垣島の民宿までフォールディング(折りたたみ)カヤック「アリュート430」を宅急便で送り、自分の体は大阪南港発のフェリー(有村産業)で約50時間かけて石垣港まで運びました。船旅を選んだのはちょうど航路が黒潮の流れを逆走する形で、真上を突っ走ることになるからです。まあ、黒潮本流のど真ん中に身を置くということはカヤックではなかなかできないことですが、想像しただけでゾクゾクしてきます。あ、ちなみにシーカヤックであちこちの海を漕ぐという行為を何年も意識的にやっていると、別に自慢じゃないですがフィーリングやイマジネーションが割と発達してくるんですけど、たとえば「NHK 大自然紀行」みたいなテレビ番組なんかで海の映像が流れるとしますよね。あんなのを見ただけで自分がまさにその場にいて風を受け、波に揺られ、潮の香りを味わいながらシーカヤックを漕いでいるような感覚にどっぷり浸ることができたりしちゃいます。で、映像ごときでもそういうわけですから、たとえカヤックではなくデッカイフェリーだったとしても、その場に身を置くという生体験で、かなり黒潮本流のエッセンスを実感できるんじゃないかなあ、と思ったわけです。

 アマゾン川の約500倍の流量を誇り、最大幅100kmに達する世界最大級の暖流・・・、などなどカタログスペック的に色々書いたりすることもできますけれど、それよりも感覚的なインプレッションとしては、「世界最大」とか「地球規模」とかなんとかいうより、宇宙的なスケールの質感、エネルギー感を感じましたね。

 地球の圧倒的な丸みに抱かれる、四方八方見渡す限りの群青色。その圧倒感に圧倒されました。また大型フェリーの安全なデッキの上で浴びる潮風がなんともよかったです。寒かったけどね。

 行きはそのようにしてフェリーで行きました。四国、九州の沿岸を進んでいるときは数年前に日本一周した際に通った沿岸も出てきて、非常に懐かしい感慨が込み上げて来ました。。

 そして帰りは飛行機で帰ったんですけど、これもまた味わい深かった。青く美しい琉球の海に浮かぶ宝石のような島々を超え、雪をたたえた山頂をいただく屋久島を過ぎ、九州、四国、と今度は黒潮の流域を空から鳥のように眺めたわけです。ちょうど渡り鳥が北上するのと同じルートです。

 鳥のように魚のように、なかなかよい旅でした。やはりカヤックトリップは素晴らしいと思いました。次生まれ変わったらクジラ、その次生まれ変わったら渡り鳥、という流れで黒潮を行ったり来たりするのもいいかもな、とふと、思いました。

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↑これが黒潮の色だ。大型フェリーのデッキという安全地帯から眺める安心感がいい。

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↑宇宙的なスケールを突き進む中で、有村産業の「A」と言う文字が人間くさいというのか、なんかよかった。

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↑シーカヤックで日本一周をしたとき、鹿児島最南端の佐多岬から大隈半島東岸を通って志布志湾にたどり着くまでの約70キロくらい、ずっとこのような断崖絶壁が続き避難するエスケープルートがない中ででかいうねりが打ち寄せ続け怖かったおぼえがあるが、その記憶が蘇った。

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↑これこれ、これが黒潮のブルーだ。コンテナの色も似ているが、やはり海の色の深みにはかなわない。


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カヤックトリップの片腕

2008-04-05 13:51:51 | インポート

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  先日のクリーンアップイベントのお昼休みに、今年から新しくガイドベース兼クラブハウスとして稼動することになる「アイランドストリーム・唐尾」(湯浅湾・唐尾海岸。栖原ベースから車で約10分。なお当面これまでどおり栖原ベースがメイン)で、フジタカヌーのフォールディング(折りたたみ)カヤック「アルピナ2 430 EX」の簡単な紹介と、組み立て披露を行いました。

 ご存知の方も多いかと思いますが、当アイランドストリームでは湯浅湾ローカルのシーカヤッキングを大切にすると同時に、全世界の水辺をぼくらの遊び場に変えちゃう「カヤックトリップ」というスタイルを非常に大事にしています。

 カートップでカヤックを運搬できるケースでは、あるいは自由にレンタルできる境遇などではポリエチレンやFRPといった剛性素材のカヤックの方に利点が多いんだけれど、飛行機、バス、フェリー、レンタカー、ヒッチハイクなどの交通機関を使って国内外のあらゆる場所を訪れ、異文化と接触し、その土地特有の自然に心揺り動かし、さまざまな人々と出会い、別れゆくというディープな「バックパッカー旅」のスタイルを取ろうとするならば、断然フォールディングカヤックがお勧めになるわけですね。

 そういうわけで、必然的にフォールディングカヤックの販売および購入者へのフィールド情報提供や、メンテナンスその他のアフターサービスもますます充実させていきたいと考えています。で、去年まではアルフェックの「アリュート430」あたりを前面に押し出していましたが、今年からはそれに加え、フジタカヌーのラインナップを前面に押し出していきたいと思っています(もっともっとシーカヤックそのものでの本格海旅~、ってことになったら「フェザークラフト」をお勧めしますが、バックパック旅ならばこちらで十分です)。

 フジタカヌーのよさはまずなんといっても「軽さ」と、国産品ならではの信頼度の高さ、一艇一艇手作りの製造スタイル、そしてアフターフォローのよさです。工場は、京都・笠置にありますが、同じ関西圏ですし(私は奈良にも家がありますのでかなり近所です)、担当者のM氏は湯浅湾でシーカヤッキングするのが大好きな人であり何か不都合があった際にはできる限りのフォローを約束するとのことですので、より安心して当店でご購入いただけます。

 ところでなぜフジタカヌーの艇をお勧め品に加えていこうと思ったのかと言いますと、カヤックトリップにおいて、「重量」「携行性」という部分がかなりのウェイトを占めるからです。たとえばアルフェック・アリュート430はカタログスペック上は17.5kgとありますが(実はもうちょっと重い感じがする)、その点、アリュート430に相当するフジタカヌーの「アルピナ2 430」は重量が14kgと大変軽くなっており、工夫次第でさらに軽量化することもできます(アルピナ1 400では12kgとなる)。

 たった3kg、4kgの違いなのですが、実際に旅をしているとこの差が行動力、気力、体力、モチベーション、交通機関使用などの面において、ものすごい違いとなってきます。カヌー・エッセイストの野田知祐なんかは遠征のときに、「ボールペンの外側の部分を捨て中身の芯だけ持っていく」と書いていますが、ぼくは非常によく分かります。この差が、でかいんです。

 また携行性という面において、フジタのアルピナ2 430にはちゃんとしたバックパックが標準装備として付いていますが、アリュート430の標準装備のバッグはショルダーバック形式のものでとてもじゃないけれど背負うことはできない形式のものです。もっとも、オプションとしてまともなものが手に入りますが、ほとんど在庫がなく輸入も打ち切りということらしく、「あ~、カヤックトリップというスタイルに対するリスペクトが感じられないな」、という不満が浮上してきています。

 もっとも、艇そのものはアルフェック、フジタともに、技術的に行き着くところまで行き着いていて、しっかりとした作りですので、どちらも遜色なくお勧めです。正直言うと、重さ以外の部分ではぼく個人的に、アリュートで全く問題ありません。いずれも、カヤックトリップだけじゃなく、海、川の週末ツーリング、カヤックでの釣り、水遊びその他色んなスタイルに対応します。

 で、もっと艇について色々説明したいところですけれど長くなりすぎちゃいますので、詳しくはHPをご閲覧ください。http://www.island-stream.com/cgi-bin/island-stream/siteup.cgi?category=4&page=0 しかしいずれにせよ、カヤックトリップというスタイルは、「その土地のディープな自然の真髄」に迫ることができて、素晴らしいんですよね。そんなの他にないですよ。

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↑アルピナ2 430 EX ↓アルピナ1 400

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↓アルピナ2 430 EX

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