プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

春の風

2006-02-23 20:05:30 | インポート

昨日のツアーは今年で一番暖かかった。気温は日中20度くらいあった。

 海の生命もそろそろ動き始め、もうここ湯浅の海は完全に春モードに突入した感じ。浅く透明な海底ではワカメがゆらゆらしている。取れたてのワカメはわさびしょうゆでいただくと、とても美味です。

 午後3時頃から徐々に出始めた雲は、夕暮れ時には灰色に厚く垂れ込め、そして南のほうから湿り気を帯びた海風が流れてきた。これぞ春の香りのする潮風。
 

 いまの時期、シベリアの気団と太平洋南方の気団が徐々に入れ替わろうと両者が列島上でせめぎ合い、そのハザマに低気圧ができる。昨日が西のほうから近づいてきて、南方の暖かい空気をついでに運んできた。独特の湿り気を帯びた、黒潮特有のエッセンスが香る風

 Zmk


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グルーヴィ

2006-02-19 22:41:51 | 音楽

全身をゆったりと浮遊させる波うねりの中に一日中身を置いて上陸した後すぐ、浜辺でジャズのグルーヴ感に身をゆだね夕暮れの海面を見つめていると、まるでどっちが海なのかどっちが音楽なのか分からなくなる瞬間が訪れるのだった。太陽光線を吸収し反射する海面によくよく目を凝らすと、あらゆる色彩が微細に踊っているのが見える。同じくメロウでナイスなジャズに耳を傾けると、あらゆる色彩がキラめいて見えるかのように聴こえる。そうして次に、意識してゆっくり深呼吸を繰り返す。すると寄せては返す波打ち際の潮騒が、プラネットアースの深呼吸するリズムのように思えてくるのだった。

 シーカヤックを通じて海の鼓動に肉薄することと、体の芯からジャズの音の脈動を感じることとは、深い部分で何かが繋がっている。
 グルーヴ感というやつがキーワード。

 たとえば潮の満ち切った夕凪の海面には、潮の満ち切った夕凪の海面のように大らかで優しげなキャノンボール・アダレーの、よくグルーヴするアルトサックスが最高に似合う。

Xvc


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒潮ストリート出身

2006-02-01 17:17:03 | 紀伊半島カヤックツアー

 海からの水蒸気が雲をつくり雨に生まれ変わって木々を潤しながら川を流れ再び海へ帰ってゆき数千年かけて世界を一巡りし、その旅の途上でぼくらがゴクリと飲んだりすることもあるように、水のあるところは世界中どこでも繋がりつつ、ひとつところに沈滞することなく流動している。

 日本列島は四方八方海に囲まれているが、その海は「黒潮」の影響が強い。「日本列島とは黒潮という大河の通り道の中洲みたいなものだ」と言う人もいるけれど、日本の自然風土はかなりの部分、この「黒潮」ってやつに育まれたものでもある。
 
 この「旅をする群青色の水」は、アマゾン川の流量500倍を誇り、太平洋をぐるーりと一周循環して、流域沿岸に特徴的な気候状況もたらす。

 下の写真は、本州最南端・和歌山串本大島の海金剛・樫野崎周辺のシーカヤックフィールド。黒潮がバーンとぶち当たるこんなところを漕ぎ進んでいると、いろんなことに思いをはせる。たとえば黒潮は、ここ南紀・熊野地方の木々を育み、世界遺産にもなった熊野特有のスピリットを支えながら流れゆく。やがて日本列島を離れ、はるか北米大陸まで流れてゆく。そして、蒸発する大量の湿気がアラスカの海岸山脈にぶつかって大量の雨を降らせ、南東アラスカに広がるたくさんの氷河や海岸線を埋め尽くす森林地帯を形成し、グリズリーベアやハクトウワシやアザラシを養い、大量発生したオキアミを求めてハワイ沖からザトウクジラがやってくる・・・・、
 黒潮は呼び名をかえて南下しさらに流れに流れて赤道をたどってフィリピン沖を目指す。

 この写真のブルーはいわゆる黒潮ブルー。Xwqz


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする