プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

エコ・システム

2009-06-26 13:17:07 | インポート
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 6月13日、14日両日行った、スペシャルゲストに内田正洋さんを迎えてのシーカヤックツーリングイベントは、おかげさまをもちまして有意義なものとなりました。
 参加者の皆さま、ありがとうございました。

 1日目はかるも島、鷹島、黒島を経て湯浅湾南端の白崎海岸まで行く予定でしたが、途中いろんな話をしながらゆっくり進んだので黒島までにしておきました。黒島の洞窟をひとつひとつたっぷり探索し、途中で唐尾ベースに休憩に立ち寄って音楽聴いたりしながら気ままに進んだので、結局この日は10時間くらい海にいましたね。夜はおいしいバーベキューをいただきながら、内田氏のスケール大きな話を中心に、楽しく盛り上がりました。
 そして次の日、湯浅湾最北端の宮崎の鼻までツーリングしました。

 内田氏には前の晩からうちに来ていただいたのですが、
 特に打ち合わせするでもなく、
 ただお酒を飲んで雑談して酔っ払って寝て、
 気がついたら朝、ツアーが始まりました。
 という感じのテキトーなノリで、
 それでいて肝心なところはバシっと決まるってのが、
 運営者のぼくとしては面白かったです。
 かるも島の明恵上人や鷹島の縄文土器の話をすると、
 それをより豊かに押し広げてくれるような
 イマジネーション溢れる話を内田氏はしてくださいました。
 ミクロとマクロ、
 ピンポイントと全体像、
 ローカルとグローバル、
 そういうバランスが成り立って、
 ああ素晴らしいなと思いました。

 前記事でも書いた海洋緑化協会についての話も興味深かったし、製塩技術者であり八丈島あたりまで行き来した鷹島の海洋系縄文人と、ポリネシア人の先祖であるラピタ人との相関関係なども、ここ湯浅でシーカヤックをより深く楽しむ上で、とても示唆的でした。

 そしてこのイベントで、
 ぼくがいつも言っている「プラネット感覚」ってのを、
 ひとつのテーマにしていましたが、
 そいつと繋がってくる「エコロジー」ってやつへの意識が
 今回スケールの大きな広がりある話をしていただいたおかげで、
 改めて自分の中でクリアーになったように思えました。

 前回の記事でも書いたように、
 山も海も空も、
 水によってひとつのリズムで紡がれた音楽みたいなもので、
 そのサイクルのどこかが崩れると、
 全体のハーモニーもガタガタになってしまいます。
 自然とはそういうもので、
 その大きな循環のことをエコロジーといいますが、
 そういう自然の息吹を伴ったサイクルのことは
 都会の日常生活ではなかなか実感することがなく、
 結局「エコ」といってもよく分からんものだったりします。
 エコロジーかエコノミーか違いがよく分からなかったりもします。

 そこのところを見事なまでクリアーしているのが
 シーカヤックだなと改めて実感したわけです。
 ピンポイントの自然の声なき声を感じると同時に、
 地球スケールの大きな視野で自然を捉える遊び。
 時代の流れにもマッチした可能性に満ち溢れたスポーツで、
 やりようによっていくらでももっと面白くしていけるなと思いました。

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海洋緑化

2009-06-10 11:23:47 | インポート
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 海面付近の湿った空気が、
 上昇気流に乗って雲を作り、
 雲はやがて雨となり、
 山や森の木々を潤しながら川へとまとまり、
 再び海へと流れてゆく。

 水という不思議な媒体によって紡がれる
 ひとつの大きなエコロジカル・サイクル。
 そいつを実感できるRainy Seasonに入りました。

 さて、シーカヤックレジェンドの内田正洋氏を迎えた
 湯浅湾シーカヤックツーリングイベントも
 いよいよ今週末に迫ってきましたが、
 最近内田さんが立ち上げられた
 社団法人「海洋緑化協会」という団体は、
 まさに水が紡いでゆくエコロジカル・サイクルに
 まつわる環境問題を解決していくための活動を展開されています。

 海の環境問題にも、汚染や埋め立て、護岸工事、海ゴミ漂着など
 さまざまなものがありますが、その中の一つに
 「磯焼け現象」という海の砂漠化問題があります。

 簡単に言うと、
 昔は海藻が豊富に生い茂っていた海中林が、
 激減してしまっている現象です。
 海中林は小魚の隠れ家にも、産卵場所にもなるし、
 魚介類のエサそのものにもなります。
 その海藻が育たなくなることによって、
 魚介類が消え、
 海底の岩が裸で露呈し、岩のすき間に
 ウニなんかが痛々しく転がっている殺伐とした状態を、
 (栄養不足で中身の詰まっていないウニ)
 いわゆる「磯焼け現象」といいますが、
 それは日本全国いたるところで深刻化している、
 環境問題なのです。

 ではなぜ海藻が育たなくなるのか。
 そのシークレットはなんと「山」にあるのです。
 山の木々、
 特に落葉広葉樹の落ち葉の堆積の中に含まれる養分、
 「フルボ酸鉄」という
 微妙な「鉄分」が、海藻の育成に不可欠な物質です。
 で、そいつが雨水に流され川を伝って海にたどり着き、
 植物性プランクトンや海藻に取り込まれて
 彼らの成長を促すわけです。

 しかし戦後から今までにかけて軒並み広葉樹林を伐採し、
 杉やヒノキなどの針葉樹系に植え替えた結果、
 栄養鉄分の源が断たれる、
 あるいはダムの乱造によって鉄分の流通が分断される・・・、
 などの理由により、
 海の砂漠化現象が進行してしまっている現象が、
 日本の海岸線で深刻化しています。

 また、海中林の激減により、
 二酸化炭素の自然吸収力が落ち、
 地球温暖化を加速させてしまうという悪循環もあります。

 山は山だけのものではなく、
 海も海だけでは存在しない。
 山も海も空も、水によってひとつのリズムで紡がれた音楽みたいなもので、そのサイクルのどこかが崩れると、全体のハーモニーもガタガタになっちまう。
 自然とはそういうもので、環境とはそういうものなのです。

 ピンポイントの自然の声なき声を感じると同時に、
 地球スケールの大きな視野で自然を捉えるというのが、
 シーカヤッカーの自然観の真髄だと思いますが、
 骨の髄までシーカヤッカーである内田氏が立ち上げた
 「海洋緑化協会」は、
 海の砂漠化現象に真っ向から取りくむ活動をされています。
 なかなか「おお~、」と唸る秘策を駆使しています。
 詳しい内容はこちらのサイトをご参照ください。
 http://www.oceangreen.or.jp/05_entry.html

 今週末のイベントではそういう話をたっぷりしていただけますので、
 参加者の方はどうぞ楽しみにしておいてください。
 


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うちの庭とヒマラヤとの関係

2009-06-10 10:26:35 | インポート
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 やっと梅雨に入りましたね。
 この「やっと」というのはいい意味で使っています。
 水のリズムを実感する季節、好きなんですよね。
 
 フィールドに出て、
 海や自然の、
 場所ごとの微細なフィーリングを
 ピンポイントで捉えつつ、
 地球スケールの大きな視点を持って、
 全体を見るっていうか、
 目の前に展開される現象の、
 「シークレット」を見抜くっていうのが、
 シーカヤックの自然観のひとつの醍醐味だけど、
 ちょうど梅雨ってのは、
 ひとつのよいサンプルと言えるでしょう。
 
 地球スケールの梅雨のシークレット。
 そのヒントは「ヒマラヤ山脈」にあります。
 その答えはこちらのエッセイにて。
 ここでは梅雨時期のシーカヤックや自然の楽しみ方、
 注意事項などにも触れていますのでぜひどうぞ。


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